Linkage   作:enz

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進み行くセカイ

 8月中旬、この日、Linkage・Labo・Paladinは、いつも通り、水輪島へ向かっていた。だが、一つ、いつもと違う事があった。

「ねぇ、智花、今日は荷物が多いけど、そのケースの中って何?」

「夜星ほのか、私達は、研究型チームだ。とすれば、研究関連の物に決まっているだろ」

 日向智花は、いつも通りだった。

「夜星、ちゃんと具体的に聞かないとダメだろ」

「まったく、最上君の言葉は、傷つくなー。智花、言える範囲でいいんだけど、その中身について、詳しく教えてくれる?」

 夜星ほのかは、最上誠の忠告通り、言葉による反撃を受けないように、細心の注意を払い、質問した。

「まぁ、お前達なら、問題ないな。ギアの力を引き出すには、オリジンが必要なのは、わかっているな。そこで……いや、これはまだだ。とりあえず、手で持つ以外武器とか、色々な新型だ」

「新型……でもさ、ケース多くない?」

「五十鈴は、貯蓄型(チャージタイプ)の重力を司る喪失者(ロスト)だ。その辺は、なんとなかる」

 ケースが、全部で八個、一人二個ずつの計算だ。その全部に、新型ギアが入っているとなると、相当な重量になる。重力を司る五十鈴がいるからこそ、この量を持ってきていた。

「なるほどね、後、今日の探索だけど、智花達は、山肌を直接登るとして、最上君達は、いつもどおりでいいの?」

「ああ、そっちがいつもどおりでいいならな。今回ので、確認してある洞窟は、最後になりそうだから、もしかしたら、会うかもな」

「じゃあ、期待しないで、期待しようか」

「さて、皆さん、そろそろ着きますよ」

 皆が話し込んでいると、既に専属船長と化している松下紳が、到着を告げる。

「それじゃあ、皆いつも通り?」

「ああ、俺達は、そのつもりだ」

「私達もだ」

 三チームは、散開し、それぞれのルートを行く。その中で、Laboだけは、洞窟へは向かわず、山の斜面に向かっている。

「さて、五十鈴、頼むぞ」

「了解ですよー。舞、微調整は、頼むよー」

「はい。お任せを」

 五十鈴は、周囲の重力を吸収する。それは、智花達に掛かる重力も例外ではない。重力を制御し、ゆっくりと上昇を開始する。山の急斜面に沿うようにして、上昇する。

 さらに、矢吹舞が風を使い、方向に調整を加える。そうする事で、大きくそれる事なく山を登る。

「着いたか」

 智花が、周囲を確認した。

 そのまま、宿泊を予定している観測室へ向かう。途中で、大型喪失獣(ロストビースト)に出会うが、草食恐竜型であれば、苦戦はしない。

「智花、新型のテストをしますか?」

「いや、ケースの重量を吸収し続けている五十鈴の負担が心配だ。まずは、観測室を優先する」

「放出じゃなくて、吸収だから、大丈夫ですよー」

 貯蓄型(チャージタイプ)の異能は、吸収と放出。一般的な喪失者(ロスト)は、吸収した分しか、放出できない。だが、ネクストである以上、オリジンがあるかぎり、放出し続けられる。とはいえ、吸収であるかぎり、各々の上限までは、吸収し続けられる。それに変わりはない。

「五十鈴君、上限が凄くても、限界はあるんだから、注意してね」

「大丈夫ですよー。だって、時々放出してますから!」

 そういいながら、近くにいた大型喪失獣(ロストビースト)へ重力を放出する。大型喪失獣(ロストビースト)は、押しつぶされ、身動きできず、風化し塵と化した。

「五十鈴、吸収した以上に、放出したな?」

「わかりますー?大した量じゃないですよー」

 そういいながら、洞窟へ入り、観測室を目指す。

 出口側からでは、観測室へはすぐに到着する。そこで、ケースを置き、手続きをしてから、テストの順番を確認する。

「それでは、最初は爆弾系だな。IG(イグニッションギア)は、私が持っていく」

 八個のケースの内四個は、爆弾系と呼んでいるギアであり、一個は、IGである。残りの三個は、武器系のギアだ。

 武器系のギアは、可変型ギアとなっている為、ある程度は持ち運びが楽に出来る。そして、爆弾系とIGを持ち、大型喪失獣(ロストビースト)が跋扈する湖周辺へと向かう。

 

 

 

 

 智花達は、草原となっている部分へと到着する。湖から離れており、恐竜型の大型喪失獣(ロストビースト)が出没するが、その中でも、肉食恐竜を元にした大型喪失獣(ロストビースト)の存在が、確認されている。

「この辺りでいいか、舞、広域検索を頼む」

「はい、それじゃあ行きますよ」

 広域検索を始めるが、すぐに答えがでる。

「近いですね、約1km向こうです。森と草原との境付近です。寝てるようですね」

「設置を開始する」

 智花の合図で、爆弾系と呼んでいるギアを円状に地面に埋めていく。複数の属性を混ぜたギアであるが、複合ギアではない。単属性のギアでパーツを作り、それを組み合わせた、複数属性使用ギアであった。

 その中心部には、火属性のギアが使われている。それが、爆弾系と呼ばれる仕組みの、中心だ。

「智花、IGを下さい。それで、完了します」

「ああ、気をつけろよ」

 智花からIGを受け取り、慎重に爆弾系ギアにセットする。これは、爆弾系ギアを起爆させる為の物だ。

 準備が完了すると、刀剣型の、一般的な可変型ギアを展開し、肉食恐竜型へと向かう。

「私が、行く。皆は、サポートを頼む。起爆のタイミングは、紳に任せる」

「わかりました」

「智花、気をつけてね」

 智花は、肉食恐竜型へと向かう。気付かれたとしても、逃げる事のできる距離を保ち、ギアに力を込める。ギアが炎を纏い、一気に振り下ろす。斬撃が飛び、肉食恐竜型へ命中する。しかし、大きなダメージを与えていない。

 起こすのが目当てであり、この一撃で倒す気はなかった。

 肉食恐竜型が目を覚まし、智花に向けて、走り出す。それを確認すると、智花も、すぐに戻る。

「かかった。おびき寄せるから、注意しろ」

 智花からの連絡を受け、舞達も、警戒を開始する。

 肉食恐竜型は、水属性だった為、強烈な水流を、智花へ向けて吐き出す。しかし、智花も、ネクストを発動し、その火力を推進力とし、回避する。

「紙一重で回避し、攻撃へつなげる必要はない」

 その言葉が示すとおり、火力に物を言わせ、大きく回避し続ける。一見無駄の多い行動であるが、爆弾系ギアや、IGのテストである為、これでいい。

「紳、タイミングを間違えるなよ」

「大丈夫です」

 紳は、IGから伸びたコードを一つに纏め、手元に伸ばしている。

 智花が、設置地点を通り過ぎ、肉食恐竜型が設置地点の中央へ来るのを待ち構える。

「今だ!」

 誰もがそういい、紳がコードに電気を流し込む。

 IGが反応し、中に溜めてあるオリジンを放出する。

 放出されたオリジンは、爆弾系ギアに注ぎ込まれ、予定通りの動作をする。それはすなわち、火属性のギアによる、爆撃。周囲にある他の属性は、爆発に指向性を持たせる為の物だ。肉食恐竜型は、円状の爆発に飲まれる。その爆発自体が、IGにより、オリジンを纏っている為、その肉体に直接届き、肉体を破壊する。

 爆炎が収まると、残っているのは、核となっているロスタイトだけだった。

「とりあえず、成功だな」

 智花が、結果を確認する。

「IGも、ちゃんと動きましたね」

「それに、火力も申し分ないです」

「申し分ないというか、過剰だった気もしますねー」

 円状に敷き詰めた為、周囲から、爆炎が押し寄せた。それぞれが、喪失獣(ロストビースト)を殺す為の力を持ってだ。

 この後、大体の必要個数を判断する為に、爆弾の数を試行錯誤し、大まかな固体ごとの目安の作成を行う必要があった。

「IGも、問題ないな」

「オリジンが無いと、力を引き出せないギアを、誰でも使えるように、オリジンを封入した起爆装置ですからね。動いてくれないと、困りますよ」

「一応、僕の電気を使っていますが、理論上は、普通の電気で、問題ないですからね」

 遠距離から攻撃するには、ロスタイトを使った弾丸や、コーティングが必要だ。だが、それでは威力が低い。そこで、ギアの起動に必要なオリジンを溜め込む物を開発し、それを使い、爆弾系ギアの起爆装置とする事に成功した。

「とりあえずは、成功だ。LostWingには、感謝する必要があるな」

 八神刹那から、複可変型複合ギアを預かったが、剣以外に、銃の形を持っていた。それは、弾丸を込め、打ち出すのではなく、引き金を引く事によいり、注ぎ込まれたオリジンが、力となり、発射される仕組みだ。

 そこには、オリジンを注ぎ込み、力を発動させるという、システムが組み込まれていた。

 智花達は、そこに目を付け、力を注ぎ込み、力を発射させるシステムから、力を注ぎ込むと、爆発するシステムを作り出した。

 それは、刹那の思惑を超えた事実だ。

「それでは、テストの続きですね」

「ああ、数の調節が必要だな」

 数体の大型喪失獣(ロストビースト)を倒すと、残りのケースは、一つになった。

 だが、一つの結論がでた。

「爆弾系と呼んでいるが、手榴弾の様には使えないな」

「タイミングが難しいですからねー」

「それに、一個だと、威力も足りないんですよ」

 喪失獣(ロストビースト)が纏うオリジンを相殺するためのオリジンを含ませる事には成功した。だが、一個では、大型喪失獣(ロストビースト)が纏う密度のオリジンを貫く事が出来なかった。

「それがわかっただけでも、有意義なテストだった。残りを使いきり、他のギアのテストにうつるぞ」

「智花、次からは、おびき寄せる段階から、新型ギアのテストをしましょう。その方が、早いです」

 紳は、そういいながら、新型ギアを取り出しながら、続ける。

「次は、僕が囮をします」

 その手には、サブマシンガンの形をしたウェポンギアが握られている。弾丸を使わず、オリジンのみを弾丸とするシステムが搭載されている。

 オリジンを持たない普通の人が使う為のギアと、オリジンを持つ喪失者(ロスト)が使う為のギアを作っている。前者を開発すれば、普通の人から、後者を開発すれば、喪失者(ロスト)から、認められる。その想いが、智花達にはあった。

 最後の爆弾系ギアの設置を終え、紳は、囮を開始する。

 紳は、電気属性の異能を使い、大型喪失獣(ロストビースト)に対し、攻撃を加えながらおびき寄せる。電気属性の喪失者(ロスト)は、空を飛ぶ事にたいしての適正が低い。それは、機動力の面で大きく劣る。だが、電気属性を持つ攻撃は、その意識を、その肉体を、一時的に麻痺させる。その事実は、紳の低い機動力を、相手の機動力の低下でまかなっている。

「この新型は、中々な出来です。そろそろ着きますのっで、準備をお願いします」

 大型喪失獣(ロストビースト)が、爆弾系ギアの中央に来ると同時に、IGを起動させる。四方から迫り来る爆炎が、大型喪失獣(ロストビースト)を包み込み、その身に纏うオリジンを焼き尽くし、その肉体を焼く。

「爆弾系ギアと、IGの実験は、完了だな。紳、新型ギアはどうだ?」

 大型喪失獣(ロストビースト)の消滅を確認し、実験の結果を確認する。

「目に見えての不具合は、ありません。属性の付与も出来ています。物質型(マテリアルタイプ)に関しては、問題ないです」

「それじゃあ、次は俺ですねー。重力弾が出来るかどうか、楽しみですねー」

「無茶は、しないでね」

 爆弾系ギアは、もうない。これからは、持ち込んだ新型ギアによる、包囲殲滅の実験に取り掛かる。

 

 

 

 

 Linkageは、未踏破の洞窟を通り、宿泊が出来る観測室を目指す。このルートは、比較的短く、障害となる大型喪失獣(ロストビースト)も、多くは無かった。

 洞窟の出口付近は、草木が無く、岩肌が見えていた。

「洞窟自体は、短いし、楽だけど、船着場から、ちょうど反対なせいで、時間は、あんまり変わらないね」

「こっちには、船着場なかったしな」

「次への、橋、無かった」

 雨島から双子島、双子島から水輪島へは、それぞれを繋ぐ橋が存在した。だが、水輪島から4の島へと続く橋は、存在しない。それどころか、双子島からの橋にある船着場と観測室以外、水輪島には、手を加えられた後が無かった。

 五人は、台地部分の探索を始めようとした時、後ろから、声が聞こえる。

「夜星、お前達も、この辺りに出たのか」

 Paladinのリーダーである誠だった。

 誠達が入った洞窟の出口は、ほのか達が入った洞窟の出口と、近い位置にあった。

「封鎖領域で、他のチームと会うって珍しいね」

「実際、反対周りで回ってるんだ。最後の方になれば会う可能性はあると思っていたが、本当に会うとは……」

 Paladinが、時計回りで回り、Linkageが、反時計回りで回った為、最後の方になれば、出会う確率は高くなるが、洞窟の出口にもよる為、実際に会うとは思っていなかった。

「最上君達は、どっちに行くの?」

 ほのかは、PDAに集めた地図を表示させながら、確認をする。大まかな場所は決めてあったが、かぶると、効率が悪い為、確認しようとする。

 三チームは、観測室で手に入れた地図データを共有している為、最後の観測室で手に入れた地図データを表示させながら、範囲の確認を行おうとし、ほのかは、誠に歩み寄る。誠もまた、地図を表示させながら歩いてくる。

 その時、ほのかが、地面を踏み抜いた。

 近くにいた誠を巻き込み、地面が崩れる。二人を呼ぶ声が聞こえるが、足元が抜けるという出来事に対し反応できず、ただ呆然と落ちるしかなかった。

 そんな中、誠は、一つの行動に出た。

「夜星!」

 そう叫びながら、自分より下にいるほのかの手を、辛うじて掴み、自身を下にするように、体勢を変える。そのまま二人は闇の中に落ち、意識を手放した。

 残された司達は、穴を塞ぐように周囲も崩れた為、近づく事が出来ずにいる。

「円藤、地図データを合わせるぞ。詩歌、インカムで呼びかけろ。空、PDAで連絡を取れるか確認してくれ」

 天野司は、お互いのリーダーがいなくなった為、サブリーダー同士で、この状況に対処しようとする。

 円藤(えんどう)(みどり)は、司に言われ、お互いの持つデータを共有させる。その中から、この地点の下を通るルートを探す。

 皐月詩歌や四葉空が、ほのかとの連絡を試みるが、連絡が帰ってこない。PDAは、封鎖領域では、観測室にいる間や、短距離の通信しか出来ないようになっている。インカム自体も、PDAの機能を利用している為、通信の距離は変わらない。

 返事がないという事は、通信距離の外にいるか、意識が無い事を意味する。

「この下を通るルートは……」

「天野、あったぞ。俺達が、前に通ったルートだ。誠も、地図は持ってるから、意識があれば、場所の確認はするはずだ」

「なら、俺達は、上から行こう。前衛を頼んでいいか?」

「任せろ」

 司達は、Paladinのメンバーを前衛に、封鎖領域を駆ける。

 

 

 

 

 どのくらい意識を失っていたのか、誠は、暗闇の中、目を覚ます。

「いっつー」

 痛みにより、意識が呼び起こされた事に気付く。体が重く、右手は何かを握っている。だが、暗闇の中で、周りを見渡す事が出来ない。自身の異能で、明かりをともそうとするが、周囲の空気に異変を感じ、火を生み出す事をやめる。代わりに、PDAを取り出し、その明かりを頼りに、周囲を見渡す。

 最初に目に入ったのは、少女の黒い髪だった。誠は、咄嗟に、ほのかと地面の間に自分の体を入れた為、ほのかの下敷きになっている。ほのかを抱きしめるように落下していった為、右手は、ほのかの腕を掴んでいた。

 ほのかは、細かな傷が見られるが、意識を失っているだけのようだ。

「夜星、起きろ」

 そういいながら、体をゆする。

「ん……んん……」

 ほのかが、うっすらと意識を取り戻す。だが、呆然としているようで、状況を把握できていない。

「夜星、ちゃんと目を覚ませ」

 ほのかは、周囲を見渡した後、至近距離で、誠の顔をじっと見つめる。

「最上君?」

「とりあえず、起きたな。状況わかるか?」

「なんとなくは、わかるよ。落ちたんだよね」

 会話が出来る事を確認し、安堵する。周囲を岩に囲まれた状況では、一人よりも、二人の方が、打てる手が多い。

「夜星、まず確認したいんだが、岩を支えているのは、お前の力で間違えないか?」

 誠は、火属性の喪失者(ロスト)であるため、気圧には、多少敏感だ。その直感が、火をつける事を危険視した。

「そう……みたい。無意識下で制御してるみたいだね。超高気圧の壁を作ったって所かな?」

 誠は、空気中の気体の濃度まではわからない。もし、酸素濃度が高ければ、火を付けた瞬間、一気に燃え広がる可能性があった。その為、火を付けなかった自分を褒めたくなる。

「後……ちょっと、離れてもらえるか?その……顔が、近い」

 空間に余裕は無いが、誠には、ほのかの至近距離で見詰め合うのは、荷が重かった。

「その、ごめん。後、ありがと。血、出てるけど大丈夫?」

 ほのかは、ハンカチを取り出し、頭から垂れている血を拭く。

 誠は、自身の怪我には気付いていなかったようで、されるがままになる。

「頭の怪我なら、血が出ない方が怖いって言うくらいだから、大丈夫だろ。戻ったら、精密検査でもするさ」

「そんなこといってー。まったく、顔赤いよ」

「それよりだ。場所を確認するぞ」

 そう言いながら、PDAを取り出す。データの共有をし、記憶を頼りに、最後にいた位置を確認する。

 立ち上がるほどの空間は無い為、横に並んで座る事になる。

「最後の位置覚えてる?確か、この辺りのはずだけど」

「ああ、そうだな、そこでいいはずだ。その辺りを通る洞窟を探そう」

 誠は、ほのかを意識しないように、PDAを見つめる。手に入れた地図データを、平面画像で、立体的に表示させ、位置を確認する。

 大まかではあるが、位置の予想がついた。

「ここって、最上君から貰ったデータの方だよね」

「ああ、前に俺達が通った洞窟だ」

「場所は、わかったね。後は、この瓦礫をどうするかだね」

 ほのかの力で、少しの空間は、確保できている。だが、どれだけの量が積もっているのかがわからず、さらに、場所がわかっても、方向までは、わからなかった。

「夜星、瓦礫が積みあがってるといっても、隙間がないわけじゃないはずだ。広域検索の要領で、向こうを調べられないか?」

「出来ると思うけど、意識が戻ったことで、ここの空間維持に結構力使ってるから、ちょっと時間かかるよ」

「とりあえず、頼む」

 空間維持の為に力を使いつつ、瓦礫の向こう側を調べる。

 誠は、その間、ただ待つしか出来ない事が、歯がゆかった。

 ほのかは、そっと目を開いた。

「道の途中みたいだね。方向としては、この二つ。後、近くに喪失獣(ロストビースト)はいないみたい」

 道が続いている方向を示し、周囲の状況を説明する。近くに喪失獣(ロストビースト)がいないという状況は、二人にとって好都合だった。

「瓦礫の厚みは、わかるか?」

「1mは、なかったけど、天井まで積みあがってる。通路を、完全に遮断してるから、壊すにしても、向かう方向を確定した方がいいね」

「あいつらの事だから、場所に目星をつけて、上から来るはずだ。俺達も、出口を目指すべきだな」

 向かうべき場所を決めるが、方向を決める手がかりが無く、手を拱いている。

「ここからだと、入り口よりも、観測室の方が近いよね」

「ちょっと待て、夜星――」

 観測室の方が近い。だが、相当な距離がある。この洞窟を通った事のある誠だから、わかる事だった。けれど、ほのかは、その距離を、風を使い、把握し始めた。

 制止しようとした誠の言葉に耳を貸さず、目を閉じ、風に意識を載せる。周りに対して無防備になるが、狭い空間であり、誠を信頼しているからこその、行動だった。

 周囲が瓦礫に埋もれているので、警戒のしようがなく、ただ待つしかなかった。

 しばらくすると、ほのかが目を開き、結果を伝える。

「あっちだよ。観測室があった。でも、大型が3体入ってきてる」

 誠は、その事実に絶句する。大型喪失獣(ロストビースト)は、その巨体故、洞窟に入ってくる事は、滅多にない。そもそも、誠達は、洞窟内で遭遇した事すらなかった。

「それって、恐竜型か?」

「草食が2体と、肉食が1体だと思う。気付かれた様子はなかったよ。幻獣型なんて、バーストの最後の方しか、確認されてないんだから、安心していいと思うよ」

 喪失獣(ロストビースト)は、角を持たない小型と、一本の角を持つ中型と、複数の角を持つ大型に分かれている。その体の大きさからも、判断できるが、三本以上の角を持つ個体は、珍しい。

 水輪島に残されていた雨島レポートによると、肉食恐竜型の中でも、特に強いタイプが、三本の角を持っていると記載されていた。さらに、その上位の幻獣型という項目名だけが、記されていた。

「そうだが……わかった。とにかく、この狭さを有効に使って行くしかないな」

「それじゃあ、瓦礫を吹き飛ばしますか」

「ああ、だが、どうやる?」

 瓦礫の壁は、1m前後の厚みだが、吹き飛ばしたとしても、また、上から降ってくる可能性がある以上、何らかの準備をしなくてはいけない。だが、ほのかの支配下にある空気が、瓦礫を支えている以上、誠の火を使う事は、避けたかった。

「私が、ギアを使って吹き飛ばして、その後に、上から降ってくる瓦礫を支えるしかないかな?」

「確かに、この状態で火を使うのは、まずいと思うが、全て任せるのは……」

「気にしないの。大型との戦闘で、役にたってもらうから」

 ほのかは、片膝立ちになり、ネクストを発動し、ギアを変化させる

「Limit Break-Mode”THE NEXT”  Realization」

 立つ事の出来ないほどの狭い空間で、風が吹き荒れる。力が舞い、翼を形成する。

 同時に、ギアに力を注ぎ込み、循環させる。

 ほのかの持つ可変型ギアの武器形態は、通常のレンタル用ギアと同じ形だ。それは、使い慣れた形を求めたに過ぎない。だが、余計な飾りを持たないお陰で、この狭い空間で使うには、適していた。

「その状態でも、この空間を支えている空気を維持できるのか……」

 誠は、ほのかの卓越した制御能力に脱帽した。それと同時に、自身の未熟さを見せ付けられた。

 ギアが風を纏い、力を蓄える。

「行くよ。吹き飛ばしたら、一気に走るからね」

「ああ、お前のタイミングでいけ」

「いくよ」

 誠の返事を聞き、ほのかは、片膝立ちの姿勢からギアを振り上げる。喪失獣(ロストビースト)を倒す時と違い、力を拡散させながら、風を解き放つ。圧縮された空気が解放され、周囲に積もった瓦礫を吹き飛ばす。

 ほのかは、誠が脱出する為の通路を確保する為に、天井を高密度の空気で支える事に、意識を割いていた。

 そのため、動き出しが遅れる。

「世話が焼けるな」

 ほのかが異能の制御に意識を割いた事を確認した瞬間、誠は無意識に動いた。

 ほのかの肩と膝の裏に手を回し、抱きかかえ、一気に走りだす。

「え、ちょっと」

 突然の事に、異能の制御を手放しそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまる。

 誠は、無我夢中で走り続ける。今の一撃で、洞窟の他の場所が脆くなった可能性が、頭の中をよぎる。ほのかが異能の制御を手放したのか、背後で岩の崩れる音がした。

「最上君、もう大丈夫だから」

 ほのかの声に、我に返ると、ゆっくりと立ち止まる。

 ほのかは、少し顔を赤くしながら、誠に声をかける。

「とりあえず、おろしてくれるかな?」

「ああ、すまない」

 いつのまにか、ギアを待機状態にし、ネクストの発動もやめていた。

「えっと、運んでくれて、ありがと」

「別に……あのまま埋もれられても、面倒だと思っただけだ。それで、大型は、どの辺りだ?」

 誠は、照れを隠しながら、話を切り替えた。

「まったく、女の子に対して面倒だなんて、ひどいなー。でも、助けてくれたみたいだから、許してあげる。もうちょっと先だよ。曲がり始めるあたりかな」

 誠は、頭の中で、洞窟を通った時の事を思い起こす。ほのかが示した地点を思い出し、大まかな道のりを思い出す。

「結構近いな。草食恐竜型の方が弱いとはいえ、大型だ。油断するなよ」

 そういうと、誠は歩き出す。その後を、ほのかは、着いてく形になった。

「最上君、図々しいお願いだけど、灯り点けられる?」

「ああ、そうだな」

 ほのかは、目が慣れていたとはいえ、PDAの画面の明かりだけでは、暗い洞窟を歩くのは危険と判断し、誠を頼る。

 誠は、制御した火を点ける事で、揺らぎを減らし、満遍なく辺りを照らす。

「もう少しで、大型の予測地点だ」

「それじゃあ、私が先陣を切りますかね」

 ほのかは、明かりの制御に専念させ、自身が喪失獣(ロストビースト)と戦おうとしていたが、誠が口を挟む。

「夜星、さっきからお前にばっかりやらせてるんだ、そのくらい俺がやる。草食恐竜型くらい、なんとかなる」

 そういうと、ギアを取り出し、大型喪失獣(ロストビースト)への準備をする。それは、男の意地だった。

 しばらく進むと、通路を塞ぐほどの大きさの、大型喪失獣(ロストビースト)が、ほのか達の方を向き、鎮座していた。

「なんか、大人しいね」

「ああ、だが、ちょうどいい」

 そういうと、誠は、ネクストを発動させ、ギアを展開する。

 それは、暗い洞窟を、煌々と照らす。闇に包まれていた大型喪失獣(ロストビースト)の全体を浮かび上がらせる。

 ギアが炎を纏い、燃え上がる。赤い炎が、ギアを包み込み、より大きな剣となる。

「燃えろ」

 その一言と共に、ギアを振り下ろす。

 大型喪失獣(ロストビースト)が纏うオリジンによって、一度は阻まれるが、それも束の間。誠の力がそれを上回り、オリジンを焼き尽くす。オリジンを失った大型喪失獣(ロストビースト)には、身を守る手段が無く、ただ切り裂かれるのみとなる。

 後には、核である、ロスタイトだけが残った。

「一撃とはねー」

「身動きの取れない相手なら、このくらいは出来る。とはいえ、最大火力を出す必要があるから、実戦じゃ、無理だ」

「それでも、十分だよ。PaladinとLaboは、聞いてるか知らないけど、黒月生徒会長から聞いたんだ。バースト対応を、一般生徒に任せる予定があるって」

 それは、初耳だった。だが、他のチームに、ネクストを発現させる為の課題について考えれば、ありえる事だった。

「だから、MTGの指導があったのか」

「多分ね。場合によっては、幻獣型の相手もすることになるから、力をつけなきゃね」

「ああ。ところで、次は、どの辺りだ?」

「次は、肉食恐竜型なんだけど、坂みたいなところだったよ」

 ほのかは、二体目の位置を教える。この位置からは、そう遠くは無かった。

 その先に待ち受けるのは、先ほど戦った相手よりも強いと言われている肉食恐竜型だった。

 先に向けて進みながら、二人は相談を始める。

「最上君、肉食型は、どうやって相手をしようか」

「お前から貰ったデータにあっただろ。四葉が、口の中に一撃入れて倒したって。あの方法が、ベストだろ」

 かつて、空は、自身の最大火力を、肉食恐竜型の口に入れることで、体内から攻撃した。それにより、体内は、外と比べ、オリジンの膜が薄いということが、実証されている。

「じゃあ、最上君には、トドメをお願いしようかな。私が、時間を稼ぐから」

 誠は、迷った。確かに、自分なら、トドメを刺せるかもしれない。だが、ほのかが時間を稼ぐと言う事は、それだけ、ほのかを危険にさらすと言う事だった。

「お前は、広い空間なら、問題無いと思うが、ここは洞窟の中だ。それに、広域検索した時の位置だって、そんなに広いわけじゃない。逃げ回れるのか?」

「さっきの一撃を準備した段階で、私がおびき寄せれば、何とかなると思うよ」

 誠の準備が出来た段階で、ほのかが、囮として喪失獣(ロストビースト)に近づく。確かに、準備が出来ている分、囮としての時間を短縮出来るが、誠は、その方法に、賛同出来ない。

「だが、移動速度の――」

「最上君、私が信じられないの?確かに、この状況の原因を作ったのは、私だよ。でも、私は、Linkageのリーダーなの。Paladinに負けないくらい、この水輪島に入り浸ってる。私達が倒した喪失獣(ロストビースト)の大きさや、数だってわかってるよね。それでも、私の事信じられない?」

 誠の思いは通じない。だが、ほのかにも、譲れない事がある。

「……」

 お互い、しばらく無言が続く。しかし、一歩も譲らないように、見詰め合う。

 先に動いたのは、誠だった。

「わかった。信じるよ。でも、約束しろ。絶対に失敗するなよ」

「うん、約束するよ。私は、絶対に失敗しない」

 ほのかは、そう言いながら、小指を出すが、誠は、目を逸らし、先へ行く。

「最上君、指きりしないの?」

「必要ない。お前の事を信じるからな」

 二人は、先へ進むと、予想地点までまだ距離があるが、突如、威圧的な感覚を覚えた。

「Gyaaaa」

 それは、肉食恐竜型の存在が原因だった。

 準備をする間もなく、戦闘を開始する事となる。だが、お互いを信じる以上、作戦に変更はない。

「最上君、引き付けるから、準備して!」

「ああ」

 短く返事をすると、誠は距離を取り、敵を殺す為の準備をする。

 ほのかも、ネクストを発動し、ギアを変化させ、肉食恐竜型の攻撃を捌く。せめてもの救いは、二足歩行でありながらも、手が進化しておらず、その牙と尻尾が最大の武器だという事だった。また、狭い洞窟の中という事もあり、その巨体故、尻尾を振り回す事も出来ず、周囲の壁や天井を破壊しながらも、素早い攻撃を繰り出す事が出来なかった。

 ほのかは、風を纏い、肉食恐竜型が暴れる事による副産物である、壁の飛散物から身を守る。

「ほーらほーら」

 言葉が通じない事を理解しながらも、挑発し、意識を向けさせる。

 全方位からの攻撃を繰り出すと、その方向へ、意識を向けてしまう可能性がある為、自身がいる方向からの攻撃にかぎる。時折、大きな一撃を繰り出すが、肉食恐竜型の纏うオリジンを、少し削るに留まる。

「夜星、いいぞ」

 誠は、ほのかに合図を送りながら、肉食恐竜型へ突進する。

 誠の合図を受たほのかは、予定通り、口を誠へ向けるように、間に入る。自身が離脱する時間を作る為に、一瞬の隙を突き、速度重視の一撃ではなく、重い、傷つける為の一撃を放つ。

「はあーーーーーー!」

 怯んだ隙を突き、纏った風を使い、宙返りの要領で誠の上を越える。

 ほのかと入れ替わるように、肉食恐竜型の前に突き進んだ誠は、その閉じられた口に向け、ギアを突き出す。一瞬、歯に当たるような感触を得るが、さらに踏み込み、口の中へ、刺し込む。

 肉食恐竜型の体内で、力が解放される。誠が司る炎が、敵の内側を焼き尽くす。

 その瞬間、肉食恐竜型は、核を残し消え去った。

 誠は、息を荒くしながらも、ネクストの発動をやめ、ギアを待機状態にする。

「やったねー」

 ほのかが後ろから飛びついてきた。突然の衝撃に驚きながらも、ほのかを振りほどこうとする。

 だが、思いのほか、力が強く、そう簡単には、振りほどけなかった。

「離れろ。重い」

 背中に当たる微かな感触を意識しながらも、気を紛らわせるように言い放つ。だが、その瞬間、空気が凍る。

「へー。重いんだー。重いのかー」

 一瞬にして、ほのかの雰囲気が変わり、声が低くなる。誠は、後ろにいるほのかの表情が見えないが、自身が、間違った選択をした事に気づいた。

「えっと、その、夜星……いや、夜星さん、あの、離れていただけますか?」

「重いからね、そうだよね、どくべきだよね。ごめんね、気がつかなくて」

 ほのかは、そのまま歩き始める。

 誠は、しばらく呆然としていたが、ふと我に返りほのかを追う。

 何度も声をかけるが、ほのかは、一切返事をせず、ただただ前へと進むだけだった。

 しかし、この先には、まだ大型喪失獣(ロストビースト)がいるはずである。その為、このまま黙々と進むわけには行かなかった。

 誠は、ほのかの腕を掴み、強引に歩みを止めさせる。

「夜星――」

 名前を呼びながら振り向かせるが、ほのかの感情を殺したような目つきに萎縮してしまい、何も言えなくなってしまう。

 その様子に痺れを切らし、ほのかは、口を開く。

「何」

 ただその一言に、言いようの無い威圧感があった。

「えっと、その、あの……この先に、草食動物型の……大型喪失獣(ロストビースト)が……」

「わかってる。別に私でも倒せるから、問題ない」

 取り付く島も無く、先へ進もうとするが、この機会を逃すと、誠は、何も言えなくなる気がし、勇気を振り絞る。

「夜星、あの、すまん。重いって、その、言葉のあやというか……決して、本心じゃないんだ」

「で?」

「だから、その、抱きつかれて、照れくさくて……」

「で?」

「えっと……」

 ほのかの視線に耐え切れず、逃げ出したくなるが、じっとこらえ、言葉を搾り出す。

 だが、ほのかが、言い訳の続きを遮る。

「はぁ、女の子に抱きつかれて、照れくさいって……まったく。その割には、手はずっと握ってられるんだね」

 そう言われ、誠は、すぐに手を離す。

「いや、その……」

「とりあえず、重いって言った分、一発殴らせてくれれば、チャラにしてあげるよ」

 その瞬間、大きな音が響き渡る。

 返事を聞く前に、ほのかが裏拳を叩き込んだ。

 突然の衝撃に、よろめき、頭の理解が追いつかない。やっとの思いで、頭を整理し、状況を理解する。誠は、口の中を切ったようで、血を拭いながら、立ち上がる。

「夜星、ビンタとかじゃなくて、裏拳って、何考えてんだよ」

「重いっていわれたことに対する精神的苦痛からすれば、軽いもんだよ。さ、行くよ」

 しばらく歩くと、最後の喪失獣(ロストビースト)の予測地点に近づく。一度止まるが、二人は違和感を覚えた。

 その瞬間、奥の方で、炎が燃え上がった。指向性を持った喪失者(ロスト)により制御された炎だ。

 耳を澄ますと、微かに話し声が聞こえる。その声に、聞き覚えがある。

「司!」

 ほのかは、大きな声で自らのチームメンバーの名前を呼んだ。その声に反応し、奥から人影絵が見える。そこには、LinkageとPaladinの残りのメンバー、そして、Laboの全員がいた。

「ほのか、無事だったか」

「誠、元気そうだな」

「落っこちた時の怪我は、最上君が、助けてくれたから、かすり傷ばっかりだよ」

「俺は、少し血が出ただけだから、問題ない」

「最上、ほのかの事、助けてくれたんだな」

「一人だと、大変だと思っただけだ」

 各々が、それぞれの無事を祝う。だが、ほのかは、Laboが居る事に、疑問を感じている。

「それで、何で智花達がいるの?」

「夜星ほのか、簡単な疑問だな。洞窟の入り口付近で、たまたまあっただけだ」

「私達が、新型ギアのテストをしていたら、天野君達が、血相を変えて走ってくるものですから、智花が、心配になったんですよ」

 舞が、説明すると、余計な事を言うなと言わんばかりに、智花が、舞の口を塞ぐ。

「とにかく、お前達が、無事なら、それでいいんだ。戻るにしても時間がかかるんだ。急ぐぞ」

 智花が、指揮を執る。だが、誰も逆らえなかった。

 洞窟内の喪失獣(ロストビースト)は、倒し終わっている為、ゆったりとした時間が流れていく。それぞれの出来事などを話し、洞窟から出る。

「そうか、バースト対応に一般生徒を使うのか。新聞部達が、ネクストになれば、すぐだろうな」

 ほのかが、黒月紫苑生徒会長から聞かされた事を話すと、智花自身、急な連合課題に、合点がいくようだった。

 Laboと別れ、LinkageとPaladinは、宿泊する予定の観測室へ向かう。ほのか達が落ちた場所に着くと、落ちた直後と比べ、下側を吹き飛ばした分、下がっているが、崩れた事は、容易に想像できるようになっていた。

「最上君、あらためて、助けてくれてありがとね」

「気にするな。だが、無事で何よりだ」

 その会話を最後に、二つのチームは、別の道を行く。

 日が暮れ始めており、各チームは、それぞれ観測室で、一夜を明かした。

 

 

 

 

 数日後、生徒会長である黒月紫苑は、ALUの室長補佐である峰地総一と、ネット回線による打ち合わせをしていた。

「こちらは、シルバーエンブレムのチームが、6チームになりました。実力差は、まだありますが、バースト対応には、問題ないと考えます」

 新聞部・Gears・Trustの三チームも、全員がネクストを発現させ、シルバーエンブレムへの昇格を果たしていた。代表して、Linkageから水輪島の情報を渡され、立ち入りの準備に追われている。

「では、シルバーエンブレム6チームと、ブロンズエンブレム9チームによる、バースト対応実験ですか」

「ええ、その予定ですよ。勿論、そちらの部隊を投入しても、かまいません」

「それは、ありがたい。次のバーストは、9月に入ってすぐでしたね」

「ええ、そうです。ところで、失獣教団は、何か動いていますか?」

「いや、普段どおりですよ」

「そうですか。では、お互い、良い成果を残しましょう」

「そうですね。それでは、また」

 その言葉を最後に、通話が終わる。架空の生物の形状を取る喪失獣(ロストビースト)がいるせいで、喪失獣(ロストビースト)が神の使いだと信じている失獣教団は、人間派の失脚もあり、勢いづいていた。だが、テレビなどで騒がれる程度であり、具体的な妨害は、起きていない。

 紫苑は、生徒の無事を祈ることしか出来なかった。




こんばんは

なんとか目標の一つである周一投稿に、間に合いました。
少し詰め込んだり、前に出てきた設定?を最後に引っ張ってきたりしました。

こんかいも、お付き合いいただきありがとうございます。
これからも、お付き合いいただけると、幸いです。
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