Linkage   作:enz

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関門島編
つぎへのセカイ


 雨島学園の一般生徒によるバースト対応のニュースが、世界中を駆け巡っていた。

 今までバースト対応に現れていた人物と比べると、実力面では、圧倒的に劣るが、バースト対応に回れる人が増えた事は、朗報として、広まっている。

 職員室では、バースト対応の話で盛り上がっていた。

「シルバーエンブレムの皆さんは、凄かったらしいですねー」

「クラスの担任として、お互い鼻が高いですな」

 特に、Linkageのクラス担任である秋萌(あきもえ)(ゆう)と、Laboのクラス担任である夏芽(なつめ)(さく)の二人は、席が近い事もあり、話が盛り上がっていた。

 そこへ、保険医の冬凪(ふゆなぎ)(あさ)が加わる。

「二人とも、朝から元気ですね」

「ああ、冬凪先生、だって、夜星さん達が、がんばったんですよ!」

「日向達も、結構やってくれたらしいですな」

「それは、わかりましたから、あちらで睨んでいる教頭に、気付いてください」

 そこには、目だけが笑っていない教頭の顔があった。

 それに気付くと、会話がぴたりと止まった。

「さて、静かになったところで、報告があります。まず、修学旅行ですが、何箇所かの候補地を決めて、チーム単位で決める事になりました。次に、LI(ロストアイランド)協定に関する事ですが、協定の失効が来年に迫り、急遽日本で会議が行われる事になりました。各地のLIの所有権を主張する国と、その近隣諸国がメインと成りますが、場合によっては、護衛として、生徒を派遣する可能性があると、ANTから報告が来ています」

 教頭の話を聞き、職員室がざわつく。

 LI協定が締結され、来年でちょうど10年になる。それは、LIを最初に発見した国々の、優先制圧権が、終わる事を意味する。その結果、どこの国でも、国連を通し申請する事で、制圧が完了していないLIの制圧に乗り出す事が出来る。

 雨島諸島は、既に制圧完了を認められているが、制圧を可能とする戦力を保有していると見られている為、学園の生徒が狙われる危険性があった。

「はい、先生方、お静かに。国際会議は、まだ予定段階です。まずは、目の前の修学旅行を成功させましょう」

 基本的に、生徒たちは、雨島諸島から出ようとしない。大型連休では、双子島の封鎖領域が立ち入り禁止になった事もあり、島外へ出かける生徒もいたが、それ以降は、相変わらずの状態である。その為、教師陣は、どうにかして、島の外に目を向けさせようとしていた。

「秋萌先生、一般生徒によるバースト対応以来、何か変化は見られますか?」

「それが、まったく変化が見られません。夜星さんの私服姿も、大型連休以来、見てませんし……」

 最優秀といえるレベルの生徒が、その調子では、先が思いやられる。

「とりあえず、修学旅行は、学校行事なので、先生方は、生徒に相談された際には、きちんと対応してください」

 教頭が話を締めくくると、ホームルームの為、数人の教師が、職員室を出て行く。

 

 

 

 

「修学旅行に、国際会議、失獣教団、そして、4の島ですね」

「ああ、今の所、緊急の内容は、その辺りだな」

 生徒会長である黒月紫苑と、風紀委員長の双月氷華が会議をしていた。

 その中で、半分は、職員室での報告と同じ内容だった。

「修学旅行は、先生方が何とかするでしょうし、国際会議は、天岡さん待ちですね」

「失獣教団は、何か仕掛けてきたら。やりかえすくらいだよな」

 喪失獣(ロストビースト)を神の使いとして崇めているカルト教団が出来ているが、バーストによる被害が大きい為、そこまでの拡大はしていない。だが、何がきっかけで教団が大きくなるかわからない以上、楽観は出来なかった。

「シルバーの先行した3チームは、肉食恐竜型くらいなら、たやすく倒せるレベルになりましたし、4の島を開放したいのはやまやまですが……」

「あそこは、施設を作れてないからな」

 4の島では、間引きの頻度は少ないが、多くの幻獣型が出没する為、観測室を作れていない。さらに、船で行くにしても、かなりの時間がかかる為、飛行可能な喪失者(ロスト)でないと、探索が難しい。そういった理由の為、解放には、消極的だ。

「飛べないチームが、入れないのは、問題ですから」

「いっそのこと、島までいけるのが、条件にするか?」

「ふふ、そうしましょうか」

 氷華は、冗談だったが、その案が通ってしまい。拍子抜けしてしまう。

「本気か?」

「飛行可能か、水上を行けるチームでしたら、問題はありません。実力もありますし、ハードルは低いと思いますよ」

「まぁいい、関門島(かんもんじま)を開放する準備が必要だな」

 

 

 

 

 教室では、担任の秋萌がホームルームを始めている。

「皆さん、机の端末を見てください。修学旅行のデータを表示させてください」

 机と一体型の端末に、修学旅行のデータが表示される。そこには、日本の観光地の中から、学園が決めた候補地が表示されている。

「来月、10月ですね。その2週目に出発する予定です。実際、急な話かもしれませんが、先生達は、前々から準備していたので、観念して島の外へ出てくださいね。チーム単位で行ってもらうので、場所を決めてください。以上です」

 生徒達は、観光地に興味をそそられないのか、微妙な反応を繰り返していた。

 自然を見に行くのであれば、封鎖領域で事足りる。また、娯楽施設に縁がないので、アミューズメント施設に関しては、知識しかなく、面白そうと思う事が出来なかった。

「うう……とにかく、場所が決められない人は、先生達に相談してくださいね」

 強引に話を打ち切り、授業を開始する。だが、修学旅行の相談を許可した為、まともに授業が進まなかった。

「ほのか、何処にするよ」

「私は、何処でもいいよ。誰か、行きたいところある?」

 夜星ほのかが、リーダーとして、話を進めようとするが、誰も場所を決める事が出来ずにいた。

 そこで、四葉空が、一つの名案をもたらす。

「せっかく、だから、秋萌、先生に、聞いてみよ」

「流石、空だね。じゃあ、呼ぶよ。秋萌せんせー」

 他のチームに取られる前に、ほのかが秋萌に声をかける。その行動を見た他のチームが、悔しそうな顔をした。

「夜星さん、どうしましたか?」

「秋萌先生は、修学旅行って何処行ったんですか?」

「私ですか?私は、修学旅行の定番と言われている京都です!まぁ、関西圏の人をメインに、壮絶な反論を受けそうですけどね。あ、後、沖縄も一部では定番って言われてますね」

 秋萌が、過去を振り返りながら胸を張る。勉強面では、優秀な生徒達である為、自信を持って教えられる事が嬉しかった。

 そんな様子を見た他の生徒が、質問を繰り出した。

「せんせー。富士山って何で山登りするの?」

「そこに山があるからって理由で登る人とか、世界遺産になったからっていう人もいますね。山からの景色がよかったり、好きだからって人が、大半だと思いますよ」

 双子島の封鎖領域にある双子山からの景色を見た事がある生徒は、頷きながら、その話を聞いていた。

「名湯一覧ってのもあるね」

「聖地巡礼一覧って何だ?」

 目的別の一覧リストもあるが、教師の数よりも、候補地が多い為、思いつく限りの場所を書き出しただけに見えた。

「それと、皆さん、修学旅行の初日と、最終日以外は、私服なので、ちゃんと用意してくださいね。特に、夜星さん。制服は、ダメですよ」

 ほのかは、バツが悪そうに視線を逸らす。服装自由を盾に、制服で済まそうと考えていた。だが、前もって制服を禁止され、困っていた。

「ほのか、また選んであげる。今度は時間あるから、通販で、可愛いの探すからね」

「えっと、その、前のあるし……」

「選んであげる」

「いや、前の――」

「選んで、あげる」

「お願いします」

 皐月詩歌に押され、ほのかは、断る事が出来なかった。

 授業の終わる間際に、秋萌が、ほのか呼ぶ。

「夜星さん、黒月さんが、呼んでるので、探索前に、生徒会室に行って下さいね」

「はい、わかりました」

 紫苑から呼び出される時は、決まって何かの課題を出されている為、多少の警戒を見せるが、行かないわけにもいかないので、生徒会室へ向かう。

 

 

 

 

「夜星ほのかです」

 中から返事があり、生徒会室にはいると、既に、日向智花と最上誠がいた。

「揃いましたね。とりあえず座ってください」

 紫苑に言われ、座ると、紫苑は、プロジェクターを起動し、一つのデータを表示させる。

「これは、雨島諸島、4の島です。名前は、関門島。島内に、施設は一切ありません」

 表示された島は、大きな川のようなものが、島を二つに分けていた。丘や台地はあるが、高い山などは見当たらず、大きな川以外の特徴が見られなかった。

 三人の様子を見ながら、紫苑は話を続けた。

「皆さんの実力を鑑みて、とある条件をクリアした場合、この島への立ち入りを許可する事にしました」

 新しい島への立ち入り許可。突然の出来事に、声が出なかった。だが、智花だけが、すぐに反応した。

「黒月紫苑生徒会長、その条件とは?」

「簡単ですよ。異能を使い、1時間以内に、関門島へ到着することです」

 異能を使い、島へ移動するという事は、船の使用を禁止するという事だ。水輪島自体、高等部がある双子島からでも、時間がかかる。移動に関して時間がかかるということは、それだけ探索の時間が減るという事だ。

 さらに、施設が一切無いということで、船が使えないという事は、理解出来る。だが、チームメンバーによっては、立ち入りが不可能になってしまう。それは、不公平というレベルでは無かった。

「黒月生徒会長。俺のチームで、飛行に適正があるのは、俺だけです。それは、不利だと思います」

「最上君、誰も、空を飛ばなくてはいけないとは、言っていませんよ。異能を使うという条件を守れば、方法は問いません。ちなみに、ユニオンでは、単独で、遅くても10分あれば、行けますよ」

 そう、空を飛ぶ必要はない。異能さえ使えばいいのだから。

「最上誠、お前のチームには、水無瀬守がいるだろ。水を足場にし、メンバーを乗せればいい」

「そっか、匠が、ボートみたいなのを作って、浮かべればいいのか」

「夜星ほのか、それを制御して、水の上にある状態を維持すればいい。それに、円藤緑の力で、筏でも作ればいい」

 智花は、気付いていた。紫苑の言葉の意味に。島へ到着する事、それは、到着するという結果さえ満たせば、いいという事だった。

「日向さんに、全て言われてしまいましたね。異能で船となる物を作る分には、構いません。関門島に関しての詳しいデータは、後で送りますので、見ておいて下さいね」

 それを最後に紫苑は三人を送り出す。

 生徒会室からの帰り道、三人は、今日の予定について話し合っていた。

「智花、最上君、私達は、今日は日帰りにしようと思うけど、二人の方はどうする?」

「俺達も、そのつもりだ。関門島の準備がしたい」

「夜星ほのか、愚問だな。あの話の後で、水輪島に留まる理由がない。それに、状況から察するに、関門島には、幻獣型がいるんだろ」

 ほのか達は、既に水輪島の全てを回った。だが、幻獣型に遭遇した事が無い。そして、バースト対応で、幻獣型と戦った後に、紫苑が話を持ちかけた。これを繋げられない理由が無かった。

 それぞれのチームメイトに、紫苑からの話を聞かせた。そして、全員が、揃って今日の探索を、日帰りにする事を望んだ。

 

 

 

 

 水輪島へ向かう船の中、ほのかは、詩歌に聞きたいことがあった。

「ねぇ、慟哭の拳(スクリーミングフィスト)って何?」

 それは、バースト対応の際に、詩歌が思いつきで行った行動についてだった。

 ほのかの楽しそうな表情を目の当たりにし、服の件で、着せ替え人形にする事への、抵抗だと悟った。

「えっと……ほら、前に八神さんが、技名って必要だよなって言ってたから、真似してみたの」

「へー、技ねー。詩歌は、技名を叫んで、楽しいってことかー」

 ここぞといわんばかりに、ほのかは、詩歌を言葉責めにする。だが、別の乱入者が現れた。

「皐月、技って言ったか?」

「最上君もか……。私をいじめて楽しいのね……」

「いや、そうじゃなくて、この前のバースト対応の時、七星の双月さんが、『サモンパターン・炎竜&氷竜』とか言ってて。その動きが、慣れてるっていうか、一連の流れみたいだったから、技ってやつかと思ってな」

 ほのか達は、八神刹那や空宮あやめが技名を言う事を知っている。そこに、七星の双月氷夜までもが、技を持っている事を聞かされた。

「サモンパターンか……、それが、あの時の竜の正体か」

 智花までもが、参加していた。そのせいか、詩歌が、さらに落ち込んでいく。

「日向さんまでも……。あれは、ただの気まぐれだから、これ以上責めないで……」

「皐月詩歌、お前を責める気はない。ユニオンが技を使っている理由が気になっただけだ。いいか、喪失者(ロスト)の異能は、感情の力と言われている。感情や思い、そして、意思の力だ。たとえば、炎の弾丸を飛ばす時、威力・大きさ・位置・速度などなど、様々な設定をする必要がある。だが、技として、一連の動作にする事が出来れば、それだけで様々なものを省略出来る。後は、非科学的なことだが、気合を入れやすくなるなどの、利点があるな」

 饒舌に喋る智花に、誠達が唖然としてる。だが、一人だけ、興味深い反応を示している。

「智花、つまり、技ってのは、有用ってこと?」

「夜星ほのか、当たり前だ。但し、使うにしても頃合いを見計らう必要があるがな。それと、サモンパターンという名前と、効果から察するに、動きに関して、ある程度自由度を持たせた技ということだな」

「でもよ、技を使うにしても、炎の弾丸程度じゃ、微妙だよな」

「ようするに、大技だよ。大技。必殺技でも可。高威力・高出力・広範囲とかの、手間の掛かるのを、技にすればいいんだよ」

「一種のショートカットだと思えばいいんだ。最上誠、お前が見せた、青い炎の剣のようにな」

 技については、理解出来た。だが、智花が、何故誠の使った青い炎の剣を知っているのかが、疑問として残る。そのことについて考えていると、智花が続けた。

「最上誠、バースト対応の映像が、流出しているのを知らないのか?皐月詩歌の慟哭の拳(スクリーミングフィスト)については、見つからなかったがな」

 詩歌は、自身の恥ずかしい映像が存在しないと聞き、安堵する。

「皆さん、お話中申し訳ありませんが、つきましたよ」

 松下紳が、盛り上がっている中、到着を告げる。その為、全員が、探索の準備を開始する。

 

 

 

 

 Linkageの五人は、探索をしながら、当面の課題について相談する。

「とりあえずさ、4の島、関門島への移動方法と、技だね!なんか、こう、かっこいいやつ」

「そ……そうね、技ね。こういうのは、男の子が得意そうよね……」

 詩歌は、ぐったりしている。精神的にきついようだった。

「関門島については、ほのかと司と詩歌は、飛ぶ時の応用で行けるだろ。俺も、何か浮かべればいけるはずだし、空はそれに乗って、海洋生物型の相手をしてくれればいいんじゃないか?」

「異論、なし」

 細川匠の意見に、四葉空が同意した。電気属性の異能では、飛行や、水しかない空間での高速移動は、無理だといってもよい。だからこその、提案だ。

「移動方法は、解決したね。時間とかが、問題になるけど、あの山肌で練習しようか」

「それもそうだな。空、運ぶから付き合ってくれ」

 そういうと、匠は、練習に移る。自力で移動出来るほのか達であれば、1時間は余裕と言っていい。そこで、試した事のない方法を使う匠が、一番の問題だった。

 匠は、水上での使用を前提とした物を意識する。水に浮かべる以上、軽い方がいい。さらにいえば、操作する必要がある以上、抵抗が少ない事も重要だ。パーツが少なく、大きさも小さい方が、効率的だ。それらを踏まえ、理想的な物を作り出す。

「サーフ、ボード?」

「だな」

 少し大きめのサーフボードの様な物だった。だが、水上で使う分には、申し分ないはずだ。けれど、練習として選んだ場所は、山である。

「山、だよ」

「そもそも、水辺で使うのに、山で練習するのが、間違ってるな。海岸に移動しよう」

 二人は、ほのか達に連絡をし、二度目の移動を行い、試行錯誤を陸化絵師ながら、練習に明け暮れる。

 

 

 

 

「技ねぇー。詩歌、何か無い?」

「もう、技の話はやめて……」

「技なんて、実際に、必要に応じて何かしら思いつかないと、意味無いだろ。とりあえず、修学旅行の行き先、決めようぜ」

 ほのか達は、周囲の大型喪失獣(ロストビースト)を倒しながら、修学旅行の相談をはじめる。

 洞窟よりも手前に生息する動物型であれば、障害にもならなかった。

「修学旅行って言っても、秋萌先生が、観光目的だって言い切ってたよね」

「そうなると、行きたい場所がないんだよな」

「もう、先生お勧めの京都か沖縄でいいんじゃない?」

「沖縄って、結局島だから、島から修学旅行で島行ってもな……」

「それに、海は入れそうに無いわね」

 夏ならともかく、10月ともなると、海に入れそうも無い。そして、自然なら、雨島諸島で、飽きるほど見ている。

 雨島諸島の海は、海洋生物型喪失獣(ロストビースト)の出現が確認されている為、泳ぐ事が禁止されている。さらに、封鎖領域以外に、砂浜が無かった。

「じゃあ、京都でいいかな?」

「俺は異論ない」

「京都でいいと思うわ」

 匠と空に確認はするが、修学旅行の行き先が、決まってしまい、今日は日帰りをする為、時間をもてあましてしまう。

 匠と空の、海上移動練習をメインにしている為、下手に離れるわけにはいかない。

「ほのか、今って、風の弾丸を作る時に、気体を集めて圧縮するんじゃなくて、気体を生み出して、圧縮してるんだよな」

「ん?そうだよ」

 突然の疑問に、首をかしげながらも、答える。その様子を見て、司は一つの思い付きを口にする。

「生み出す気体が、自由になるなら、酸素100%とか、燃えやすい気体にして、そこに火を点けるってのは、どうだ?」

 それは、個人の技ではなく、連携技だった。

 ネクストを発現し、操作ではなく、司る事が出来るようになり、出来る事の幅が広がった。だからこその、新しい発想だった。

「ちゃんと、方向を制御すれば、危険もなさそうだよね」

 詩歌は、技の話題が再開された事にショックをうけながらも、幻獣型を倒した時の感覚を忘れないように、異能の制御に集中しようとしていた。

 

 

 

 

 それぞれの時間を過ごし、三チームは、この日の探索を終えた。

「私達は、京都にしようと思ってるんだよね」

「夜星ほのか、奇遇だな。私達もだ」

「担任が言うには、無難な場所らしいからな」

 三チーム共、修学旅行では、京都へ行く事を決めていた。理由は様々だが、偶然にしては、偏っていた。それだけ、それぞれの担任が、修学旅行に、固定観念を持っているようだった。

「後は、関門島への移動を成功させて、立ち入り許可を貰うだけだね」

「ああ、データによれば、幻獣型が生息しているらしいからな。倒せれば、ロスタイトの確保には、困らないだろう」

 強力な喪失獣(ロストビースト)であればあるほど、所持しているロスタイトの質や量がよくなる。その為、より強力な喪失獣(ロストビースト)を倒すと言う事は、ロスタイトの供給量を増やす事でもある。

「皆ライバルだけど、頑張ろうね」

 

 

 

 

「関門島の立ち入り許可は、出す事になるでしょう」

 紫苑は、生徒会室でPDAを使い、ゴールドエンブレムのチームリーダーと会議をしていた。

「これからは、叫喚島と炎熱島と無間島の間引きだけですめばいいんだがな」

「関門島の間引きは、頻度が少ないって行っても、僕達にも、限度があるからね」

「炎熱島と無間島の近くには、ミズチの生息域がありますから、下手に許可は出せませんね」

 雨島諸島には、立ち入りに関して、事前の許可が必要な場所と、完全立ち入り禁止区域が存在する。ミズチと呼ばれている神獣型の生息域は、何があろうとも、立ち入り許可が出ない場所である。

「ところで、ALUへの協力担当だったんだが、LI協定会議の護衛に、表立っては、一般生徒を出して、秘密裏にユニオンを出してくれって言われたぞ」

 日之影次が、峰地総一からの伝言を伝える。しかし、他のメンバーは、その要請を予測していた。

「そりゃ、何があるかわからない以上、躊躇い無く人を殺せるユニオンが欲しいよな」

「ユニオンであれば、襲撃があったとしても、誰にも気付かれずに終わらせられますからね」

「となると、俺とあやめか?それとも、ShadowFangか?」

「それは、開催日時が決まってから決めましょう。それと、職員室から、私達にも、修学旅行に参加するよう言われましたが、どうしますか?」

 LI協定会議自体、開催が決まっただけで、日時も場所も決まっていない。だからこそ、送る人員の候補を決める事しか出来ない。

「修学旅行って言っても、バースト対応組みは、基本時間帰り旅行だろ。ろくに観光してないけどな」

「地上は、まぶしいからいい」

 旅行に興味が無いのは、ユニオンも同じだった。

「では、雨島の護衛もありますし、正式にお断りしておきます。他に何も無ければ、終了しますが、どうですか?」

 紫苑の問いに、誰も意見を出さず、会議が終了した。

 2学期にはいり、ShadowFangがElementalKnightsの監視下から離れた事で、頻繁に会議をするようになった。外に居た影次の意見を参考にする為だが、動ける人数が増えた事により、ユニオンメンバーの手が、空くようになった事も、理由の一つだ。

 だからこそ、紫苑も、前より自分の時間を持つ事が出来ている。

「去年の年末くらいから、状況が動き出しましたね」




こんばんは
完全にネタ振り回ですね……
今回も、お付き合いいただきありがとうございます。
これからも、お付き合いいただけると、幸いです。
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