Linkage   作:enz

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閃くセカイ

「明日は、関門島への挑戦日だよ」

 夜星ほのかは、仲間と共に、準備を開始している。

「いや、改めて言わなくても、わかってるから」

「ほのか、手、止まって、る」

 天野司と四葉空に言われ、準備を再開する。

 ほのか達は、Laboから調達した、ウェポンギアと、Gearsから調達した、サポートギアの整理をしている。

「Laboのウェポンギアが、便利なのはわかってたけど、Gearsのサポートギアって、本当に、便利グッズだよな」

 細川匠は、Gearsの開発したギアを見ながら、呟く。

 研究型チームは、探索型に比べれば少ないが、ある程度の数は、存在する。その中でトップに位置するLaboは、ウェポンギアの研究で知られている。

 それは、ウェポンギアの研究をしている研究型チームが、手本とし、教えを請うほどであった。

 それに比べ、Gearsが、主に研究しているサポートギアは、戦闘で使えるもの以外の、全てに当てはまる。無論、ウェポンギアから流用している技術もあるが、その逆も、ある。

「それに、可変機構つけて、持ち運びを楽にしたのは、すごいわね」

 皐月詩歌も、その便利さには、ありがたみを感じている。

「それじゃあ、ギア各種に、飲食物、救急セット、インカム、全部大丈夫?」

「OK」

 全員が頷き、準備が出来た。後は、明日行う、関門島への移動を成功させるだけとなった。

「明日が始めての挑戦だけど、LaboとPaladinと順番に挑戦するから、失敗したら、次は3日後だからね。絶対に、成功させるよ!」

「おー」

 その言葉と共に、全員が、気を引き締め、明日へ望む。

 

 

 

 

「それじゃ、皆、準備はいい?」

 Linkageの五人は、関門島への立ち入り許可を得る為の移動を開始する。

「Limit Break-Mode”THE NEXT”」

 五人は、ネクストを発動させる。それは、自らを切り替え、異能の力を十全に使いこなす為の方法。

 ほのかは、風を纏い、宙を舞う。司は、炎を推進力とし、空を飛ぶ。詩歌は、下への運動エネルギーを吸収し、さらに、進行方向への運動エネルギーを増加させる事により、空を足場に、跳び回る。

 三人は、空を駆ける事で移動を可能とする。

 匠は、自身の力で作り出したボートを、海に浮かべる。土属性の異能で作り出したボートは、強度や軽さにおいて、通常存在する物の全てを上回る。空は、匠のボートに乗り、周囲を警戒する。

 匠は、オリジンを使い、ボートを操る。ボートは、滑り出すように動き始める。だが、運動エネルギーを司るロストではない為、瞬間的に加速させる事が出来ない。

「やっぱ、水属性のやつに手伝ってもらわないと無理か。詩歌、手伝ってくれ」

 この結果を予測していたようで、もう一つの手段をとる。

「やっぱり、だめだったの?」

 そういうと、ボートに乗り、運度エネルギーを与える。その結果、圧倒的な加速を始める。匠と詩歌が作業を分担し、ボートの維持と移動を行う。

 インカムを通し、ほのかの声が届く。

「上から見てるけど、今の所、飛行型は、いないよ」

「了解、空が目視を担当してるが、気配はないらしい」

 1時間という制限時間ではあるが、30分足らずで、関門島が見えてくる。そもそもの制限時間が、設定しただけの時間であり、ふるい落とす為のものではなかった。

 次第に、港の様な物が見えてくる。観測室などの設備はないが、港だけは、作られていた。

 五人は、突如臨戦態勢を取る。何処にいるかはわからないが、ロストビーストの気配を感じ取っていた。海中に潜んでいる可能性を考え、空が力を溜める。

「上には、いないよ!」

 空には、ロストビーストがいない。それは、海の中にいる事を意味する。

 何処から来るかわからない相手と戦うのは、避けるべきだと考え、詩歌は、速度を上げる。

「とにかく、陸にあがるわよ」

 もうすぐで港に着く。だが、その直前に、海からロストビーストが飛び出してきた。サメ型のロストビーストが、巨大な口を開き、匠達に襲い掛かる。

 空は、既に準備が出来ていた。雷の槍がサメ型の口から入り、体を貫く。一撃が通り過ぎると、サメ型は、核だけを残していた。

「ぶい」

 そういいながら、振り返る。

「場所が悪いからって、脅えすぎたみたいだね」

「まったくだ」

 ほのか達は、未知の場所である事を、意識しすぎていた事を反省し、そのまま関門島へ入る。そのままPDAを使い、雨島学園へ、連絡を入れる。

 本来、封鎖領域では、観測室を除き、長距離通信が出来ない。それは、関門島でも例外ではない。だが、港の一部に、長距離通信を可能とする設備が埋め込んである。

「生徒会長から、連絡が来たよ。合格だってさ」

 制限時間内に関門島に着いた事により、正式に立ち入り許可が下りる。Linkageは、これから関門島の探索が出来るようになった。

 あらためて、司が、ほのかに尋ねる。

「それじゃあ、探索を開始するのか?」

「勿論。皆、異論はある?」

「ないよ」

 仲間が、口を揃えて言う。

 ほのか達は、これから手が届くかわからない、幻獣型が跋扈する、関門島へ足を踏み入れる。

 本来なら、広域観測を使い、周囲にいるロストビースト分布を確認する。だが、幻獣型は、異能の力に敏感な為、下手に気付かれると、大量の幻獣型を相手にする事になる。それは、避ける必要があった。

「ゆっくり、目視で確認してくよ」

 港を出ると、すぐに森が広がっている。

 森を探索する前に、匠が、一つ意気込む。

「俺の必殺技をお披露目する時だな!」

「いつの間に、作ったんだ?」

「ふっ、秘密だ」

 司と二人で、会話をしていると、周りから人影がなくなっていた。

 三人の女性陣が、先に進んでいた。

「追いかけるか……」

「そうだな……」

 

 

 

 

 関門島は、中央を川が通っている為、所々にその分流が見受けられる。そのうちの一本が見え始めると、川の流れとは違う水音が聞こえ出した。

 ほのか達は、前進を止め、警戒を強める。他の四人が、周囲を警戒しながら、ほのかは、音のする方に注意を傾ける。

「緑色が見える」

 ほのかの言葉を聞き、司がその正体を確かめる。

 距離があるのか、確認に手間取どり、時間がかかった。

「河童?」

「だよね……」

 川辺にいる幻獣型は、河童の姿をしていた。

「水辺に、河童、そのまま……」

 全員が、その姿を確認し、拍子抜けする。河童型は、頭に皿を載せており、水を掛けていた。

 しかし、大型ロストビーストの証である、複数の角を持っている。そこだけが、異質だった。

「皿の下のひらひらが、全部角だと……」

「河童でも、幻獣型だから、気をつけてね。水属性だといいんだけど」

 ほのか達が見た事のある幻獣型は、どれも、その外見から予想できる属性を持っていた。ロストビースト異能は、その外見から予想する事は出来ない為、その願望は、危険だった。

「水属性を期待しすぎても、危ないだけだ」

「匠、さっき言ってた必殺技、試す?」

 ほのかは、匠が言っていた事を覚えており、本当かどうかを聞く。

「ああ、せっかくだ。試し切りだな」

 ほのか達女性陣は、内心では、本当だったんだと思っていた。だが、相手が気付いていない事をこれ幸いと、作戦会議を開始する。

「それじゃあ、トドメは、匠の必殺技に任せるから、どんなのか教えて」

 幻獣型は、生半可な方法では倒せない。ほのか達は、それを身をもって実感している。つまり、倒せる方法があるという事は、それを主軸にするしかない。

「詳しい事は、見てのおたの――」

 見てのお楽しみ。そう言おうとしたが、女性陣のジト目に耐えられず、言葉を切り、言い直した。

「ごほん。今出来る範囲だと、刀剣型ギアと同じ長さだ。準備には、まだ短くても2分だな」

 匠の提示した2分。それは、ほのか達にとって、幻獣型の注意を引き付けて置かなければいけない時間を意味する。

 相手の実力が未知数な為、どれだけの危険があるかわからない。だが、それを理由に逃げてしまえば、自分達が、ここにいる意味が無い。

 ほのかは、自身の居場所を守る為に、作戦を考える。

「まず、私が、注意を引き付ける。そしたら、匠は、その技を維持したまま動ける距離まで近づいて、準備を始めて。他の皆は、匠をフォローしながら、河童型を取り囲んで。後は、各自臨機応変に対応するって事で」

 ほのかが囮となれば、河童型も迎撃をしてくるはず。それを元に、相手の力を計り、他の三人に、対処方法を考えさせる。

 河童型が、水に入っている為、火属性の可能性は低い。だからこそ、ほのかが、囮を買って出た。

「わかった。無理するなよ」

 ほのかは、頷き、作戦を開始する為、位置に着く。

「行くよ!」

 そういい、森から飛び出す。

 河童型は、ほのかに気付く。だが、河童型と、距離を保ちながら川へと走る様子を、眺めているだけだった。

 ほのかは、川を横に、河童と向かい合うと、戦う為の準備をする。

「Realization」

 ギアが変化し、剣となる。

 その様子を見ると、河童型も、敵対心を感じ取ったのか、川の水を操る。

「KAPPAーーー」

 大量の水が、ほのかへ降り注ぐ。その様子を確認し、四人も動き出した。

 ほのかは、風を操り、降り注ぐ水に、切れ込みを入れる。その結果、ほのかを避けるように、水が流れる。全員が、河童型が、水属性の異能だと確信した。

 匠が、待機形態のギアを持ち、異能を発動させる。土属性の異能は、ギアを握りとし、刀身を作り上げる。

 河童型が、司達に気付く。その瞬間、ほのかに集中していた水流が、細かい粒に変わり、周囲へと降り注ぐ。水の勢いによる攻撃から、細かな弾丸へと変化した。

「KAーPAーーー」

 だが、それぞれの異能や、オリジンを使う事で、防ぐ事が出来た。

「おかしい」

 ほのかは、一つの違和感を覚えた。

 最初の一撃に込められていたオリジンの量を考えると、たとえ分散しているとはいえ、この程度の防御で、防げるわけが無い。その答えは、すぐにわかった。

「匠!」

 誰と無く、声が上がる。

 河童型は、ほのか達四人に対して、足止め程度の力しか使っていない。その本命は、力を溜めている匠だった。

 河童型が持つ力の大部分を、匠へと向ける。大量のオリジンを内包した水の弾丸が、無防備な匠を襲う。匠自身、気付いては、いる。だが、対応するだけの余裕がなかった。

 一番最初に動いたのは、空だった。完全に制御された雷撃を放ち、水を電気分解する。河童型は、川の水を使用している。関門島を流れる川は、山などから流れているのではなく、海の水が、海流に従い、通っている。つまり、この川の水は、塩分を含む海水だ。それは、電気を通さない純水には、程遠い。その為、媒体としている水を消し去るのは、簡単な事だった。

「空、すまねぇ」

 匠は、ギアに集中しながら、自身の前に移動した空に目を向ける。

「気に、しないで。対処は、楽」

「KAPAA」

 河童型は、匠に向けて、さらに攻撃を加えるが、それは同時に、ほのか達に対して、無防備になる事を意味する。

「はあーーー!」

 ほのか達は、弱まった攻撃の合間に、反撃を加える。細かなダメージを与え、河童型を消耗させようとする。

 匠は、その様子を感じ取りながら、目を瞑り、異能の制御に集中する。

 ギアを核に精製した刀身から、余計な部分を削り落とす。

 より薄く。

       より薄く。

             より薄く。

 刀の刃よりも、薄く。

 目に見えない程に薄く。

 薄さのみに特化した刃。たった一つの分子の厚みを持つ刃。ただ分子の繋がりを断ち切る為だけの刃。

 それは、横から見れば、確かに存在する。だが、正面から見た時、その薄さ故、見ることが出来ない。

 匠は、目を開き、準備が出来た事を告げる。

「いいぜ」

「匠、私が、攻撃を、防ぐ。着いて、来て」

 空が、異能を前に集中し、河童型の水を打ち落とす。

 河童型がその手を振り上げる。河童型の爪が、突如伸びる。それが、空へ向かって振り下ろされた。

 空は、咄嗟に、両手で持ったギアを変化させ、受け止める。だが、河童型のもう一方の手が、横から襲い掛かる。

 その攻撃に気付くと、左手を離し、盾にする。

 オリジンを纏い、電気を放出する。

「く……」

 致命傷を防いだ。だが、それと引き換えに、左腕に、爪による傷が刻まれる。

 しかし、空は、痛がるそぶりを見せない。なぜなら、後ろに匠がいるから。匠に、戸惑いを与えるわけには行かない。だからこそ、強がった。

「空、サンキュ」

 空に礼を言いながらも、河童型だけを見つめる。自身の持つ、最大の一撃を与える為に。

 匠は、気を抜くと、剣の軌道がずれそうになる感覚に襲われる。単分子という特性上、空気中の塵や埃にすら、影響を受けてしまう。

 だが、強引にその影響を撥ね退ける。剣を上段に振り上げる。

「喰らえ!『一閃』!」

 その言葉を合図に、空が横へ飛び、匠の前を空ける。河童型の爪が、くうを切る。

 匠の剣が、一直線に振り下ろされるが、自身の未熟さ故、軌道が斜めにずれる。だが、腕力を使い、無理やり修正し、河童型を斜めに切断する。

 剣を振り下ろした匠を、河童型の目が追う。だが、河童型の見ている光景が、斜めにずれる。

 それは、切断面に沿って、体がずれ落ちたせいだ。

 河童型の体が、死んだ事を理解する。その結果。風化し塵と化す。

 核であるロスタイトが残り、関門島での最初の戦闘が終了した。

「空、大丈夫か?」

 匠は、空の傷に気付いていた。だが、自身を動揺させない為に、気丈に振舞った姿を見て、敵を倒す事に、集中していた。

「大、丈夫」

「空」

 ほのか達も集まり、空の手当てをする。匠の腕に抱かれ、傷を洗い流す。しかし、川の水が海水である為、司が煮沸消毒をし、詩歌が、温度を下げるが、傷に染み、暴れようとする。

「痛い、皆、恨む」

「その様子なら、大丈夫だな」

 手当てを施し、この日の行動を決める。

「この後だけど、今日の目的は、立ち入り許可を得る事だから、戻るべきだと思う」

「待って、私は、大丈夫、だから、進もう」

 空は、自身の怪我が原因で戻ろうとしているのだと思い、腕を振り回しながら、反論する。

 だが、皆の意見は、決まっていた。

「空、怪我の問題じゃない。幻獣型を倒す手段の問題だ。正直、『一閃』をもう一度使うにしても、かなり時間がかかる。それに、『慟哭の拳(スクリーミングフィスト)』だって、何度も撃てないだろ」

「正直、連発はきついわ。それに、倒しきる保障は無いわ」

 詩歌もまた、倒す手段を持っているが、何度も使えるわけではなかった。

 さらに、ほのか達は、その手段を確立してはいない。

「私達一人一人が、簡単に倒す方法を持っていればいいけど、それが無い以上、無理をするべきじゃないの」

 空も、状況を飲み込み、理解を示す。そして、森を通り、港へ戻る。

「戻るよー。皆、注意してね」

 ほのかが、指揮を執り、警戒しながら着た道を戻る。

 幸いにも、ロストビーストが移動した様子は無かった。

 

 

 

 

 匠は、港に着くと、一つの事実に多い当たる。

「なぁ、異能を使って、島に来るってことはさ、異能を使って戻るんだよな……」

「そうだよ」

 ほのかは、余裕の表情を見せるが、匠は、げっそりしている。

「くそ……。振り絞りすぎて、しんどい」

「まぁまぁ、いざとなったら、私が、沈む為の運動エネルギーも、吸収するから、頑張ってね」

「匠、ガンバ」

 詩歌と空が、匠を励ます。

 来る時に作ったボートは、置いてあるので、行きに比べれば、楽だ。そう言い聞かせ、体にムチ打つ。

 帰りは、ロストビーストと遭遇することなく双子島へたどり着く。

「それじゃあ、空を保健室に連れて行ったら、反省会するよ」

 

 

 

 

 空の手当てを済ませた後に、双子島の寮にある食堂、そこの一角を陣取り、反省会を開始する。

「はい、それじゃあ、今日の反省ある人」

 ほのかの言葉に、司が手を上げる。

「まず、俺とほのかと、空に、幻獣型を倒せる明確な方法が無い事だな」

 詩歌と匠には、不完全ながらも、倒す為の技がある。だが、三人には、それがない。だからこそ、一体との戦闘の後、戻る必要があった。

「それは、個人で、考える、必要が、ある」

「そうだよね……、今ここで思いつけって言われてもね……」

「とりあえず、先に進めましょ。匠君、一つ気になったんだけど、『一閃』の時に、軌道がずれて、無理やり修正したように見えたの。あれの原因は、わかる?」

「ああ、あの剣は、厚みが、分子1個分なんだ。だから、ものすごく軽い。そのせいで、空気中のちっさいゴミの影響を受けちまう。無理すれば、折れるくらいにな。今回は、常に支配し続けて、強度を底上げしてたんだ」

 刃筋を通すことが出来れば、武器として使う為の強度は維持できる。だが、横からの力には、めっぽう弱い。それを克服する事が出来れば、利便性は、格段に増す。

「匠、空気中のゴミとかに影響を受けるんなら、ぶつけなければいいんだよね」

「は?」

 匠は、ほのかの突然の物言いに、理解が追いつかなかった。

「えっとね、私の場合だと、風の弾丸があるでしょ。あれは、空気中に、一箇所だけ、高気圧の場所を作る感じなんだけど、周りにも風があるから、すぐに拡散しちゃうの」

 風属性の異能は、空気が何処にでもあるからこそ、何処でも使えるが、何処にでもあるからこそ、手を離した瞬間に、周りに溶け込んでしまうと言う点がある。だが、それを防ぐ為の方法があった。

「だから、風の弾丸を作った後に、それをオリジンで包むの。オリジンの外殻があるから、中の空気が拡散しなくなるわけ」

「でも、刃をオリジンで包むと、今度は、命中の時点で、じゃまにならないか?」

 オリジンの膜があるという事は、オリジンを剣とする事と変わらない。それでは、分子一つ分の厚みという意味がなくなってしまう。

「弾丸だと、2段攻撃みたいになるからいいけど、匠の場合は、命中の瞬間に、オリジンを解放するしかないのかな?」

「そんな、剣豪みたいな事をやれと……」

「匠、選択授業で、剣道、ある。再開、すれば、いい」

 雨島学園の制度で、自由参加の授業の中に、様々な武術も、含まれている。

 一般的に貸し出されるウェポンギアは、剣の形をしている為、基本を学ぶ生徒は多い。だが、そのほとんどが、基本だけで終わっている。それは、匠達も、例外ではなかった。

 匠の意見を聞かず、ほのかは、話を次へ進める。

「匠に関しては、解決だね。後は、私達の方か」

「司君、最上君のやってた青い炎の剣って出来ない?」

 詩歌は、最上誠がバースト対応の際に、ケルベロス型に対して使った、青い炎の剣、それを、真似できないのかと、尋ねる。だが、司は、首を横に振る。

「出来るか出来ないかでいえば、出来る。だけど、あれは、最上の技だ。それを真似する訳にはいかない。俺は、俺で何か考えるさ」

「まったく、かっこいい事、言うねー」

 ほのかは、司に対して、無理強いをする気は無い。無理やりにでも、使わせたとしても、意思や思いの篭らない力に、ロストビーストを倒す事は出来ないからだ。

「ほのかは、何かあるのか?」

「んー、技の候補はあるんだけどね、決め手にならないんだよ」

「私も、二つ、候補が、ある。」

「空は、実用的か?」

「一つ目は、オリジンを、持つ、相手には、厳しい。二つ目は、道具が、必要」

「それじゃあ、空の分は、Laboに頼もうか」

「詳細は、秘密。だから、自分で、頼む」

「LaboもPaladinも立ち入り許可を貰えると思うから、その後だね」

 この日の反省会を終え、幻獣型を倒す為の手段を整える事になった。

 

 

 

 

 数日後、生徒会長である黒月紫苑と風紀委員長の双月氷華が、生徒会室で相談をしている。

「Linkage・Labo・Paladin、3チーム共、関門島への立ち入り許可を手にしましたね」

「面白いことを考え付いたみたいだな」

「必殺技ですか。刹那みたいですね」

「伊達や酔狂で生きてると、公言してるからな。刹那は。しかし、サモンパターンを使おうとするやつは、いなかったか」

「あれは、一朝一夕に出来るものでは、ありませんよ。並列思考による操作を必要としますから」

「ところで、一般生徒によるバースト対応の予定はどうする?実際、修学旅行までに、バースト予測はあるが、ユニオンか、ALU主導だろ」

「彼女達が、幻獣型と戦った時点で、目的は果たしました。水輪島の立ち入り許可を持つチームも、彼女達がいれば、天井を誤認することは、ないでしょう」

「たしかに、私達と違い、学園で成長したロストだからな。何かあるとしても、修学旅行の後だな」

 そういいながら、PDAを操作し、修学旅行で行く場所の一覧を表示させる。

 各地で定番と呼ばれている場所に、集中していた。

「ええ、修学旅行は、各々の出身地から、離れていますから、大丈夫でしょう」

 二人は、相談を終え、それぞれの仕事に戻った。




こんにちは
必殺技は、とんでも科学系なので、それっぽいような事を言っているだけです。
忘れた頃に、出てくると思いますので、期待しないでください。

それでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。
これからも、お付き合いいただけると、幸いです。
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