雨島学園高等部では、修学旅行が開始された。クラス単位で、フェリーの日程が違う為、目的地が同じ他のクラスのチームとは、一緒にならない。
夜星ほのか達Linkageのクラスは、二日目の出発だった。
修学旅行の初日、フェリー、電車、新幹線を乗り継ぎ、京都駅へと到着する。
「眠いよ」
「確かになー」
雨島から都内の港まででも、かなりの時間がかかる。さらに、そこから京都となると、夕方になりかけていた。
その為、この日は、ANT御用達の宿にチェックインだけ行い、本格的な観光は、翌日からになる。
天野司と細川匠の部屋がノックされる。
司が扉を開けると、そこには、ほのか達がいた。
「夕食の前に、明日の相談しよ」
「ああ、とりあえず、入れよ」
司は、ほのか達を招きいれる。
この宿には、他のチームや先生も、宿泊しており、男子が女子の部屋に入るのは禁止されているが、女子が男子の部屋に入るのは、許可されていた。
「明日は、神社仏閣めぐり」
「京都選んだら、指定されちゃったわね」
「有名所、歩いて、まわる」
ほのかに続き、皐月詩歌と四葉空が、簡単な説明をする。
場所を報告した際に、いくつかのルートを提示され、その中から選ぶよう言われていた。
「空、歩きまわるって言っても、バスとか電車とか使うだろ」
「それは、わかってる」
普段から封鎖領域を歩き回っている為、体力的には問題ないが、走りまわるわけにも行かず、時間が問題になる為、乗り物を使うよう言われていた。
「私、舞妓さん見てみたい」
「残念だが、祇園は、行くなって言われただろ」
「眺めるくらいはしたかった。着物に興味あるし」
「雨島じゃ、和服は、ないものね」
「ま、まぁ、ほのかは、似合うかもな」
司は、照れくさそうに、呟いた。
その様子を見て、空は、匠をじっと見つめた。
「はいはい、空もきっと似合うよ」
「今回は、許して、あげる」
他愛無いはなしをしていると、夕食の時間となり、食堂へ向かう事にした。
各チームごとに、まとまって座る為、テーブルに札が置かれている。そこには、チーム名ではなく、事前に割り振られた班の数字が記載されていた。
ANT御用達の宿とはいえ、一般客もいる為の配慮だった。
ほのか達は、1班と書かれている札のもとへ集まる。
「秋萌先生は、くじ引きで決めたって言ってたけど、これ、成績順だよね」
「次が、Trustだもんな」
担任である秋萌夕なりの配慮だが、生徒には気付かれていた。
食堂での生徒同士の会話が聞こえている為か、遠くにいる一般客が、ほのか達の方を見ながら、小声で話をしている。だが、ほのか達は、それを無視し、夕食をとる。
「ここって、街中にあるから、ANTが良く使うって言ってたよね」
「ああ、宿の人が、数人脅えてたけど、ANT御用達じゃ、断れないよな」
「ギアの持ち出しは、禁止だから、何も出来ないやつも多いけどな」
「ネクスト、増えてる」
「何かする意味が、ないわよ」
「それにしても、PDAのソフトウェアをアップデートするだけで、使えるようになるなんてね」
ほのかは、PDAを取り出し、接続を確認している。
雨島諸島でしか、使えないのではなく、雨島諸島でしか、使えないようにしてあるだけだった。だが、バースト対応などで、外に出る可能性が増えた為、機能を拡張し、雨島諸島以外でも、使えるようになっていた。
「そのかわり、絶対に無くすなっていわれたけどな」
「結構な機密情報の塊が入ってるものね」
「中身は、寮のパソコンに移して、空にしたけど、技術的にも、重要らしいな」
夕食を食べ終わり、ゆっくりしていると、学園からの連絡を受けていた秋萌が、やってきた。
「みなさーん、明日の出発時間は、守ってくださいね。それと、就寝時間もですよー」
生徒が、思い思いの返事をし、食堂を去っていく。
二日目、食堂で朝食をとり、それぞれのチームが、決められたルートを観光していく。
様々なルートで、神社仏閣をめぐる。各地で、同じような集団を見かけるが、秋萌が言うとおり、定番らしく、相手も驚いていなかった。
ほのかは、寺の舞台から、下を眺めている。
「この舞台って、高いのかな?」
「諺だから、昔の人にとっては、高いんだろ」
ほのか達は、全員が、舞台の端に行き、下を見ているが、その光景を不思議そうに眺めるグループもいた。
「怖くないのか……」
「あれはリア充だ」
そんな声が、聞こえていた。
寺を後にし、次へ向かおうとしていると、背後から声がかかった。
「あの、ほのかだよね」
ほのかは、その声に振り向く。そこには、ほのか達同様、修学旅行と思わしきグループが居た。
ほのか達は、状況が飲み込めず、ただ呆然としていた。
「やっぱり、ほのかだよね。ほら、小学校で一緒だった綾乃だよ」
ほのかは、記憶を遡る。だが、すぐには思い出せない。
そんな中、やっとの思いで、言葉を絞り出した。
「えっと、どちら様ですか?」
「あー覚えてないか。私、ほのかが、学校を休みがちな頃に転校しちゃったから」
ほのかは、その言葉がきっかけとなり、記憶がよみがえる。だが、それを悟らせなかった。
「すみません。私は、夜星ほのかといいますが、やっぱり知らないんですけど」
「え……、あ、そうですか。その、私、
ほのかは、自身の名を名乗る事で、相手に勘違いだと思わせた。ほのかを含め、雨島学園の生徒は、名前を変える必要があった為、その大半が、名前を変えている。だからこそ、相手は、勘違いだと認識する。
「いえ、似てる人は、案外いるものですから」
「ところで、みなさんも、修学旅行ですか?」
「ええ、そうですよ」
「そうですか、じゃあ、多分ルート決まってるんですよね。じゃましちゃって、ごめんなさい」
そういうと、ほのかを呼び止めたグループは、自分達の予定をこなす為に、ほのか達とは、違う方向へ歩いていく。その様子を眺め、司は、ほのかに声をかけた。
「ほのか、何も言わなくていいから。行こうぜ」
司を先頭に歩き出す。司達は、ほのかの表情の変化を読み取っていた。初対面や、今のほのかを知らない人には、わからないかもしれないが、同じチームの仲間として行動している司達には、その表情を読み取る事は、簡単だった。
「あはは、流石にね、今更思い出すとは思わなかったよ」
「ほのか、抹茶ソフト、まだ、食べて、ない」
「そうね、二人に、甘いものおごらせちゃいましょ」
雨島の生徒であれば、多少の違いはあれど、似たような経験をしている。だからこそ、島の中では、お互いの過去を聞きだすような事はしなかった。
学園側からしても、今回の件が想定外だという事は、容易に想像がつく。
ほのかは、観光を続けた事により、表面上は平静を取り戻した。
ほのか達は、宿に戻ったが、夕食には、まだ時間があった。
「ちょっと時間もてあましちゃうわね」
「うーん、人ごみにはなれないなー」
「つか、れた」
「どうせなら、郊外の露天風呂のある温泉旅館でも、よかったわね」
「来年も、あるなら、そうしよー」
「大、浴場、行く」
ほのか達は、司達に一言告げてから、浴場へ向かった。
司達は、部屋にいてもしょうがないと考え、男湯へと向かった。
「ほのかが、来年もあるなら、温泉がいいって言ってたな」
「ここは、街中だから、露天風呂は無理だからな」
そんな話をしていると、隣から声が掛かる。
「おや、お二人も、お風呂ですか」
「よっす、Linkageのお二人さん」
Laboの松下紳と鈴木五十鈴だった。
「Laboの二人か、そっちは、3日目か?」
「そうっす。今日は遠出してたっす」
「智花さんに、白衣を置いていかせるのは、苦労しました」
常に、制服の上に白衣を羽織っている智花の私服が想像できず、司達は、困惑するしかなかった。
「すまん、想像できない。後、松下、眼鏡曇ってるぞ」
「ええ、これは、智花さんに、キャラ付けの為に掛けろと言われまして、伊達眼鏡です」
「そ、そう、だったのか」
司達は、今まで気付かなかった為、困惑を隠せずに居た。だが、五十鈴は、その様子を見て、笑い続けている。
「二人とも、騙されてるっす。元眼鏡っす」
「昔は、本当に目が悪かったんですよ。
司達も、異能の制御が上達するにつれ、遠くを見渡せるようになっていた。
「つまり、ただ掛け続けてるってことか?」
「ええ、そうですよ」
「そういえば、俺達は、明日、帰ることになってるけど、そっちは、明日は遠出っすか?」
「ああ、遠出というよりは、今日行ってないところだな」
「そうですか、では、良い旅を。僕達はそろそろ上がります」
紳と五十鈴は、風呂から上がる。間を空け、司達も上がる事にした。
司達は、夕食までの間、部屋で時間を潰していると、扉がノックされる。
「司ー、入れて」
ほのか達が来たようで、部屋へ招き入れる。だが、司は、言葉を失った。
「ほーら、フロントで色浴衣と羽織借りたんだー」
「あ、ああ、その、なんだ、えーと」
「司君も、匠君も、声が出ないって感じね」
「見惚れ、てる」
「ほのか、その、似合ってるぞ」
「ありがと」
「元気になったみたいだし、なによりだ」
このまま、夕食をとり、明日の打ち合わせをし、夜が更けていった。
修学旅行三日目、明日は、雨島へ帰る為、観光が出来るのは、今日が最後だった。
「さて、3日目だよ」
「奈良まで行くんだよな」
「遠いわね」
「鹿」
他愛無い会話をしながら、電車を使い、奈良へ向かう。奈良駅からバスが出ているが、ほのか達からすれば、歩けない距離ではなかった。
バス停で迷っていると、声をかけられた。
「あの、夜星さんですよね」
「え、あー、確か、本田さんですよね」
前日に声をかけてきたグループだった。
ほのか達は、多少の警戒心を見せるが、それを気にせず話しかけてきた。
「覚えてくれてたんですね。もしかして、みなさんも、平城宮跡に行くんですか?」
「ええ、そうですよ。歩こうか迷ってまして」
ほのかの発言に、綾乃達は、驚いていた。
ほのか達と違い、歩くという発想が無かった。
「一緒にバスで行きましょうよ」
その提案に、ほのか達は、顔を見合わせ、相談する。
ほのかの過去を知っている以上、雨島の生徒だと知られると、思い出したくない事まで、思い出してしまう可能性があった。その為、迂闊に頷く事が出来ない。
そんな中、ほのかがやっとの思いで口を開き、話し合いを始める。
「どうする?バス乗る?」
本来であれば、司達に、それを決める事は出来ず、ただほのかに任せるしかない。だが、司は、一歩踏み込む。
別々に行ったとしても、向こうで会う可能性がある。この場はしのげても、次をしのげるとは限らない。
「ほのか、せっかくだし、一緒に行くか?」
「そう、だね。本田さん、一緒に行きましょうか」
ほのかは、自身の事を聞かれると、気付かれる可能性を考え、先手を打つ。
司達も、それにならい、深くは語らないように注意しながら、会話を続けた。
「本田さん、私に似てる子って、どんな子だったんですか?」
「須藤ほのかちゃんですか?小学校の頃しか知らないんですけど、しっかりと芯の通った子でしたよ。やさしくて、強くて、いつも笑ってて、夜星さんにとても似てるんです。いじめられてた私を、助けてくれましたし」
「いじめてた内の、男の子は、本田さんが好きだったんじゃないんですか?」
「そんな話も、よく聞きますよね。逆効果ですけど。でも、ほのかちゃんも、男の子には、いじめられてましたよ。けど、強気に立ち向かってましたけどね。かっこよかったなー」
「
「え?何か言いました?」
ほのかは、「なんでもない」そういいながら、話を逸らす。
なんとか取り繕い、話を続けていると、バスが目的地に着く。
観光地である平城宮跡に着いてしまえば、後は、場所にちなんだ話をするだけだった。
「外国人も多いですね」
「でも、私達みたいに、修学旅行生もいますね。制服の人もみかけますよ。私達は、私服でよかったですね」
「でも、制服だと、服を選ばなくていいので、楽ですよ」
ほのかの発言に、綾乃達が笑いながら反論する。
「せっかく可愛いんですから、おしゃれしましょうよ」
「そうだよ、勿体無いよ」
「ほのかは、いつも制服だもんな」
「だって、楽だし」
ほのか達は、平城宮跡を歩き回る。しかし、ほのか達と綾乃達では、基本的な体力に違いがあり、平然としているほのか達に比べ、綾乃達は、疲労が見て取れた。
その為、休憩所で軽く昼食を取る事にした。
昼食時であったが、なんとか席を確保し、賑やかに食べ始める。そんな中、いくつかの修学旅行生のグループが、席をさがしているようだった。
「私達は、京都に戻って観光の続きをするんですけど、本田さんたちは、どうするんですか?」
「私達は、奈良観光なんです」
お互い次がある為、移動する事になり、席を片付ける。
突如、司が肩を掴まれ、因縁をつけられる。
「お前、見たことあるぞ。
司は、相手を振り返り、怪訝な瞳を向ける。さらに、ため息を交えながら、口を開く。
「何か用か?」
「お前、そんな口を利いていいのか。俺は、お前達を人間だと認めてやってるのに!」
「だから、何か用か?」
司は繰り返した。
「お前達を人間だと認めてるやってる俺達に、感謝をしながら席を譲るべきだろ!それなのに、悠々とメシなんか食いやがって」
その言葉を聞き、周囲に目を向ける。同じような学生服を着たグループが、司達を睨んでいた。
司は、因縁をつけてくる相手に対し、丁寧な対応をする気はない。それを意識付ける為に、鼻で笑った。
「ふ、人間だと認めてやってるねー。なら、それが人間に対していう台詞か?」
「てめえ、馬鹿にしやがって」
さらに、司の対応に、頭にきたのか、遠巻きに眺めていた生徒の一人が、加わる。
「お前、バーストの時の映像で見たぞ。あんなに時間かけやがって、手を抜いた癖に、ヒーロー気取りか」
「で、だから、何か用か?用がないなら、手を離せ」
そういいながら、司は、立ち去ろうとする。
司に続き、ほのか達も、立ち去る。だが、綾乃達は、驚きの表情を浮かべながらも、突然の出来事に、動けずに居た。
「夜星さん……」
だが、ほのかは、その声を聞き流した。
逆上した男達は、抑えきれない怒りを、綾乃達へ向ける。
「お前らもお仲間なんだろ。俺達に感謝もしねーで、ふざけやがって」
「もう、お前らを人間だと認めてやらねーからな!」
捨て台詞を吐く。だが、一つの声が、続きを促した。
「人間だと認めない。だったら、何だというんだ?尻尾を巻いて逃げる前に、そこだけは、はっきりさせろよ」
ほのかは、その声に足を止めた。記憶を手繰り、声の主を思い出す。だが、思い当たった人物は、最悪の相手だった。
全員が、声の主へ振り向く。その人物は、雨島学園の制服を着ていた。暗闇を彷彿とさせる黒い髪の少年は、さらに続ける。
「ああそうか、お前らは、その先を口に出す勇気がないのか」
「なんだお前、その制服、
その答えは、ほのかの口からこぼれた。
「日之影次」
「ああ、たしかLinkageか、お前は、見たことあったな」
ほのか達は、何も出来ない。ただ、これから起こりうる事を予想し、見届ける事しか出来ない。
そんなほのかに、声が掛かる。
「夜星さん、知ってるんですか?」
「逃げた方がいいですよ。私達じゃ、手も足も出ないんで」
「別にそっちには、何もしねーよ。用があるのは、そこの粋がってる勘違い共だ」
影次は、わざとらしく笑い、挑発する。だが、男達は、顔を赤くしながらも、口を開かない。
「大体、なんでお前らがここにいるんだ。島に引きこもってればいいだろ」
「あっちは、修学旅行だ。学校行事だよ。俺は、機密事項だ。教えるわけねーだろ。Linkage、お前らは、さっさと行け。面倒だから断った俺らと違って、強制なんだから、続けろ」
ほのか達は、これ以上この場に留まりたくなかった。
影次の威圧感、それは、近くにいるだけで、体力や、精神力を大きく削る。そして、普通の人間である綾乃達にとって、それは、気を失いそうになるほどのものだった。
「行くよ」
ほのかは、やっとの思いで声を絞り出し、行動する。その際に、綾乃達の肩を叩き、離れるよう促した。
ほのか達が離れるのを確認すると、影次は、声を大きくし、周りにも伝える。
「さてさて、観客の皆さん、怖いのであれば、さっさと離れる事を、お勧めしますよ」
影次の周囲から、黒い影の様な物体が溢れ出る。その光景を、遠巻きに見ていた人達は、恐怖の余りに後ずさる。
その結果、目撃者は、いなくなった。
ほのか達は、しばらく無言で歩き続ける。一刻も早く離れたかった。
途中、スーツを着た男達とすれ違う。しばらくして、綾乃が口を開いた。
「みなさん、
「そうですよ。すみませんね、変な事に巻き込んじゃって」
ほのか自身、何故、影次があの場にいたのか、わからなかった。
「いえ、それはいいんです。それで、ですね。一つ、確認したいんですけど、夜星ほのかさん、本当に、私のこと、知りませんか?」
綾乃は、ほのかが、かつての友達だと考えていた。時折見せるちょっとした癖、その一つ一つが、かつての記憶を刺激する。一つだけであれば、偶然かもしれない。だが、いくつもの類似点が、疑問を確信に変える。
ほのかは、にこやかに笑いながら答えた。
「私は、あなたのことを知りません。だから、あなたの知る人とは、別人ですよ」
ほのかは、嘘をついた。
綾乃にとっては、楽しい時間の記憶だ。だが、ほのかにとっては、思い出したくない辛い時間の記憶だった。
「私達は、このまま歩いて行くので、ここで失礼します。それでは、良い旅を」
司達も、異論を唱える事なく、歩き出す。全員が、これ以上彼女らと居たくなかった。だが、最後に声だけが届く。
「もし、私のことを知っている人がいたら、ありがとうって伝えてください」
ほのかは、返事をせず、後ろ手に大きく手を振った。今は、表情を見せたくなかった。
この日の予定を済まし、宿へと戻る。入り口では、秋萌がくつろいでいた。
ほのか達は、一つの疑問をぶつける事にした。
「秋萌先生、ちょっといいですか?」
「あれれ?夜星さん達、何かありましたか?元気ないですね」
ほのか達は、見た目や授業からは信じられないが、秋萌が、優秀な教師だと実感した。
「えっと、今日ユニオンの人を見かけたのですが、何か知ってますか?」
「ああ、えっとですね、先生も一昨日知らされたんですけど、近畿地方の警察が連携して、ALUみたいな組織を作ろうとしてるらしいんですね。それで、雨島学園にも、協力要請があったとかで、ユニオンの誰かを派遣したらしいんです」
「それで、日之影次がいたんですね」
「派遣されたのって、日之君だったんですか?詳しい事は、聞かされていないんですよ。それで、何かあったんですか?」
「いえ、ただ見かけて気になったので……。ありがとうございました」
そういうと、ほのか達は、部屋へ戻ろうとする。だが、後ろから、声が掛かる。
「悩み事があれば、相談してくださいねー」
振り向きながら会釈をし、今度こそ立ち去る。
最終日、ほのか達は、雨島へ向けて、出発する。初日と同様に、ただの長い移動が続く。
最後にフェリーに乗り、雨島へと戻って来た。
「んー、ついたよー」
「長いだろ」
「空港でも作って、飛行機を飛ばして欲しいわね」
「まぁ、楽しかったけどな」
「お土産、送った。交換、して、食べる」
他愛無い会話をしながら、寮へと戻る。
明日からは、封鎖領域での日常が始まる。
「騒ぎを起こしたそうですね」
「別に、問題になるほどじゃないだろ」
生徒会室で、黒月紫苑と影次が話をしていた。
紫苑の手元には、近畿地方版ALUからの、報告書が来ていた。
「確かに、最終的な目撃者は、関係者を除くと、ゼロですが、精神的なダメージが、大きいようですね」
「ふっ、ただ四肢を切断したように見せただけだろ。あの程度で脅えて漏らすようじゃ、お笑い種だ」
「その件もですが、警察からクレームが来てますよ。協力要請を断ったそうですね」
「協力要請に関しては、俺に一任されてたはずだ。あいつらの態度が気にくわなかったからな」
「では、それに関して、詳細なレポートを下さい」
影次は、生徒会室から出て行きながら、返事をした。
「はいよ。ちゃんとまとめといてやるよ。安心しな、俺じゃなくても、断ってるさ」
こんばんは
今回の話は、もっと短くなると思ってました。
日数があると、案外長くなるんですね
浴衣っていいですよね
それでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございます。
これからもお付き合いいただけると、幸いです。