Linkage   作:enz

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動き出したセカイ

 雨島諸島を構成する7つの島、その中でも、本州から最も離れた位置に存在する無間島は、この日、喧騒に包まれていた。

「まったく、間引きをするにも一苦労だな」

 ユニオンを構成するチーム、LostWingリーダー八神刹那は、禍々しい黒い翼を生やし、無間島の上空で、数多の幻獣型と戦闘を繰り広げている。

 無間島に生息する喪失獣(ロストビースト)は、大半が幻獣型であり、それ以下の個体が出現することは、稀であり、刹那が相手にしている個体も、例に漏れず、幻獣型ばかりだ。

 けれども、出現している幻獣型は、他の島で出現する幻獣型と異なる点が一つ有る。それは――

「相変わらず、群れで襲ってきやがって」

 統率のとれた幻獣型が、群れで刹那を襲う。異能の属性や、大きさ、それらを組み合わせ、または、同じ個体同士で群れを作り、行動する。

 そんな複数の群れが組み合わさり、結果として、軍を構成している。

 けれども、そんな数を物ともせず、刹那は一方的に蹂躙する。

 飛行可能な幻獣型は、喪失獣(ロストビースト)の本能か、刹那の力に惹かれ、近づこうとする。けれども、幻獣型の射程に入る前に、『ガン・パレード』による掃射を受け、核であるロスタイトだけが残る。それをいくどとなく繰り返し、そこら中に、ロスタイトの山が出来ていた。

「まったく、後何時間だよ」

 2月ということで、太陽が照りつけていながらも、寒さを感じている。そんな中、異能の力を使い続け、薄っすらと疲労感を覚えながらも、異能を行使し続ける。既に作業と化した嫌気が差して来た頃、突如変化が訪れた。

 太陽が照りつけているにも関わらず、辺りが闇に包まれる。

 無間島に生息する喪失獣(ロストビースト)は、その変化に一瞬の戸惑いを見せる。だが、刹那は、その変化を受け、口元に喜びの感情を浮かび上がらせる。

「久しぶりに出たな。闇精(シャドウ)

 刹那の視線の先には、コウモリのような姿をした黒い半透明の喪失獣(ロストビースト)が出現していた。その姿を確認すると、展開している『ガン・パレード』の銃口を向け、引き金を引く。

 銃口から、オリジンで構成された銃弾が発射され、闇精(シャドウ)へ殺到する。その結果は、刹那の予想通りだった。

 霧のような闇で構成された体を通りぬけ、傷一つ追わせることが出来ない。けれども、刹那はわかりきっていた結果に落胆することなく、次の動作を始める。

 闇精(シャドウ)へ向けた銃口を戻し、周囲の掃除を続けながら、自らの前で向かい合わせた手の平に意識を傾ける。

 手の中に、刹那自身の幻想から、全てを焼き尽くすための漆黒の炎が複製される。刹那は、その炎を闇精(シャドウ)へ向けて放つ。

 その行動に反応し、闇精(シャドウ)は、逃走を図るが、刹那によってばら撒かれたオリジンが実態を持たない闇精(シャドウ)の逃げ道を塞ぎ、行動を阻害する。

 闇精(シャドウ)へ放たれた漆黒の炎は、その射線にあるもの全てを焼きつくし、ばら撒かれたオリジンを燃料としながら進む。そして、闇精(シャドウ)の羽を焼き尽くした。

 実態を持たない個体に対し、物理的な攻撃は効かない。であれば、影響を与えることが出来るものを使えばいい。刹那はそう考えていた。そのため、最初にばら撒いたオリジンの弾丸は、その軌跡を利用し、闇精(シャドウ)を捕まえるための檻だった。

 刹那は、辺りを照らす太陽を睨みつけながら、一人吐き捨てる。

「羽だけか」

 概念の炎は、闇を体とする闇精(シャドウ)の羽を焼き尽くした。けれど、闇精(シャドウ)の本体を焼くことが出来ず、羽を失い小さくなった体をオリジンの隙間にねじ込み逃走していた。その結果は、過程は違えど、何度も繰り返されていた。

 結局はいつも通り。刹那は、少しの未練も感じさせず、無間島の間引きへと意識を戻す。

 幻獣型の勢いが落ち、間引きももうすぐ終わる。そう思っていると、視界の隅に、引っ掛かりを感じた。

 通常は、無間島を覆い尽くすように張り巡らせている感知用のオリジンを、引っ掛かりを覚えた方向へと引き伸ばす。その結果、刹那が感じ取った引っ掛かりは、一隻の大型船だった。公海上とはいえ、海洋生物型の喪失獣(ロストビースト)が出現する海域であるため、この辺りを通る船は、ほぼいない。そのため、船の姿に違和感を覚えていた。

 刹那は、間引きを続けながら監視するが、表面上は疑うに足る証拠を見つけることが出来ず、判断を保留にした。

 無間島の間引きが終了し、ロスタイトを回収した後に、雨島へと戻る。その間にすら、一隻の大型船は、不審な行動を見せなかった。けれども、この日を境に、雨島諸島沖で、日のある時間に大型船の出没が確認されるようになった。

 

 

 

 

 2月になり、連日の雪で封鎖領域の立ち入りが禁止されている。

 それは、島全体が封鎖領域となっている島も例外ではなく、実質的に、全てのチームが、探索を行えずにいる。そのため、多くの研究型チームは、いつも以上に、研究に没頭し、探索型チームは、研究の手伝いに関する依頼を受けていた。

「夜星ほのか、並列思考の糸口は掴めたか?」

 Laboのリーダーである日向智花は、喪失者(ロスト)の第3段階について解明すべく、そのきっかけを探していた。

「並列思考って言っても、私の全方位攻撃ってのは、全部まとめて制御してるから、やり方が違うんだよ」

「私達の様な風属性の喪失者(ロスト)は、空間把握能力に長けやすいので、一つ一つを制御するよりも、飛び地の様に捉えて、全体で一つのものとした方が、制御しやすいですからね」

 この場には、Laboのメンバーと夜星ほのかの計5人が集まっている。Linkageの他のメンバーは、それぞれが個別に依頼を受けていた。

「智花、僕達だって、複数の制御をしていても、それを一つのものとして制御するのですから、それらを完全に切り離して制御するのは、一朝一夕には、出来ないと思いますよ」

 松下紳が、飲み物を注ぎながら、会話に加わる。

 智花自身、そのことはわかっている。けれど、第3段階のきっかけと考えられている概念干渉と並列思考に関する情報が、圧倒的に少なく、焦りを露わにしている。

 そんな智花を尻目に、鈴木五十鈴が、口を挟む。

「この中だと、チャージタイプが俺だけっすけど、結局、第3段階の鍵は、同じなんっすね」

「第3段階の中身は違うのに、鍵となるものは、同じなのね」

「ええ、そのようですね。天野君のお陰で、概念干渉については、それなりのデータが得られましたが、並列思考に関しては、まだまだです」

「ああ、それに、ユニオンは、全員が何らかのサモンパターンを持っているらしい。それぞれの好みで、使用頻度が違うらしいがな」

 智花は、ごく一部の情報をユニオンから聞き出していた。けれど、肝心の部分は聞き出せておらず、何もわかっていないも同然だった。

「それにしても、全く別のことを同時に考えるって難しいよー」

「夜星ほのか、全く別の事であれば、そう難しくはない。極端な事を言えば、歩くと話すは同時に出来るだろ。喪失者(ロスト)としての並列思考は、異能を同時に使うから、難しいんだ。もっとも、全体を一つとして制御しているのは、別々に制御出来ないからなんだがな」

 並列思考と難しく考えて入るが、難易度の違いはあれど、本来出来ていることではある。ただ、今やろうとしている並列思考の難易度は、格段に高い。

「そっか。歩くと話すはできても、話すと話すはできないもんね。でも、空気の振動を利用して音を出せば、同じようなことはできるよ。代用品ってやつだね」

 ほのかは、風属性の喪失者(ロスト)であり、一般生徒の中では、トップクラスに位置する。ほのかの実力を持ってすれば、空気を操作し、空気の振動を音にすることは容易い。

 代用品、その言葉を聞き、智花は、一つの仮説を閃いた。

「繊細に操作されたオリジンを持って、回路を作り上げれば、メモリを増設する様に、特定の思考をする為の部品を作る事は可能か?」

「そうですね。僕の様な、電気属性の喪失者(ロスト)であれば、容易だと思います。但し、オリジンではなく、電気を走らせる事になりますが。ですが、難易度は上がりますが、オリジンでの代用は可能だと思います」

 思いがけない一言から、一つの仮説が組み上がる。そして、その仮説が新たな気づきを生み出した。

「だからこその、サモンパターンか」

 智花は、そう呟いた。けれど、ほのか達は意味がわからず、ただ智花を見つめるだけだった。その様子に気づき、言葉を付け足す。

「サモンパターンは、特定のモチーフを意識した動きをさせるものだ。つまり、氷や炎の竜を作り、竜の様に動かす為の回路を作り上げたということだ」

「んー、わかったような、わからないような」

「夜星ほのか、今ここで全てを理解する必要はない。後で、まとめたものを送ってやる」

 ほのかは、その言葉を聞き安堵する。きっかけを作ったとはいえ、この会話だけで、並列思考を会得出来るわけではない。だからこそ、試行錯誤するための材料が必要だった。

 

 

 

 

 この日、連日の雪が止んだ。雪自体は積もっているが、視界がある程度回復したため、双子島までの封鎖領域が解放された。

 水輪島や関門島をメインに活動しているチームは、研究系の課題や依頼を受けている。そのため、探索に出ているチームのほとんどは、実力的に劣るチームが、多数を占めている。

 学園側は、足場が悪い中、力の足らないチームの成長を期待し、封鎖領域を解放していた。

 けれど、教師陣が想定していない勢力が、双子島へ潜入していた。

 始めは、ちょっとした違和感だった。理由もわからず、いつもとは違う何かがいるような感覚。いくつかのチームは、それを感じ取っていた。

 多くのチームが、違和感を覚える中、海岸に近いエリアを探索しているチームが、その証拠を見つけた。ここ数日は、雪が降っていたため、封鎖領域への立ち入りが禁止されており、人による足跡のない雪が、幅広く積もっていた。けれど、海岸エリアの雪には、かなりの数の人による足跡が残されている。その足跡には、大きい物もあり、雨島学園指定の靴とは違う跡が残っている。さらに、喪失獣(ロストビースト)が何かと戦ったような跡があり、正規の方法以外で封鎖領域へ入ったものがいることは、確実だった。

 痕跡を発見したチームのリーダーは、咄嗟にPDAを取り出すが、封鎖領域では、基本的にPDAによる通信機能が使えない。そのことを思い出し、学園側へ連絡を入れるために、観測室を目指し、移動を開始する。

 観測室の場所自体は、PDA内にデータとして記録してあり、もっとも近い観測室へ、迷うことなくたどり着くことは容易だ。

 そう、普段であれば。

 積雪による不安定な足場、雪が積もるほどの低い気温、そして、普段とは違う光景、一つ一つであれば、対処に苦労はしても、対処しきれないわけではない。だが、それがいくつも重なることで、大きな隙を作る原因となる。

 その証拠に――

「中型がいたぞ!」

 いつもならもっと遠くで発見するはずが、いくつもの理由が重なり、接近を許してしまう。

「ごめん、気づけなかった」

「まずは対処だ」

 接近を許してしい、対処のタイミングがずれる。

「引きつけるよ」

「なら、とどめは任せろ」

 だが、対処が遅れたとしても、今までに数多くの戦闘をこなしてきただけのことはある。多少の戸惑いは見せるが、声を出し、連携を取る。

 数回の戦闘をこなし、普段との差異に慣れ始め、危なげなく戦闘をこなしはじめた。そして、移動速度が上がり、観測室が視界の隅に見えた。

「待て」

 リーダーが、観測室への接近を止める。彼等は、海岸エリアからまっすぐ向かってきたが、観測室の入り口付近を始め、付近に多くの足跡が見て取れる。その足跡を見つめる視線に気づき、目的地の変更を余儀なくされる。

「どうする?他の観測室に行く?」

「それもだけど、侵入者が今どこにいるかも、だよな」

「相手は、何者かな?」

 相手の目的も、現在位置も、正体もわからず、ただ迷うことしか出来なかった。

 そうこうしていると、状況が変化した。

「動くな」

 気がつけば、装備一式が白で統一された集団の接近を許していた。

 銃を白い布で包み、少しだけ飛び出た銃口を突きつけてくる。

「そのまま大人しくしていろ。隊長、どうしますか?」

「こいつらなら、あの施設を使えるかもしれん。だが、余計な真似をしたら、容赦するな」

「了解です。お前達、通信機を持っているなら出せ」

 白装束の部隊は、確認出来るだけで5人、一般生徒のチームも5人、数の上では互角だが、人を傷つけたことのない一般生徒にとって、相手が人間である以上、手出し出来るはずがなかった。

 全員がPDAを渡す。そして、リーダーが口を開いた。

「あんた達、何が目的だ」

 リーダーは、チームメイトを守るために、情報を集めようとする。けれども、白装束の部隊は、どんな些細なことすら、認めるつもりはなかった。

「黙れ、そちらからの一切の質問はなしだ」

「この通信機、どうやって使うんだ?」

「この封鎖領域で使える機能は、チーム内の短距離通信と、中に入れてあるソフトだけだ。他のチームや、学園側とは、あそこの観測室じゃないと、使えない」

 リーダーが、観測室を指さしながら教える。

 白装束の部隊員に、明確な違いがなく、個人を識別出来ないため、誰に向かって話すべきかわからなかった。

「そうか、とりあえず、歩け」

 そのまま無言で観測室まで歩くと、隊長が、口を開いた。

「お前達が、この施設について知っていることを話せ」

「ああ、さっきも言ったが、観測室って名前の施設で、PDAの……、その端末を使って、他のチームや学園、観測室同士との連絡が出来る。後は、保存食とかあって、喪失獣(ロストビースト)との戦闘で怪我した時の、避難所みたいなものだ。もっとも、双子島じゃ、そこまで豪勢な設備はないけどな」

「我々が、この施設を使えなかったのは何故だ?」

「鍵はかかってないけど、中のコンピュータを立ち上げるには、学生証が必要なんだ」

「そうか」

 隊長が短くそう言うと、女子生徒を一人連れ、観測室へ入ろうとする。けれど、リーダーが、それを遮る。

「待て。このチームのリーダーは俺だ。俺のIDを使った方が、権限は広いぞ」

 早口でまくしたてることで、発言を止められる前に言い切った。けれど、この情報は、白装束の部隊にとって、有益な情報だった。

 一般生徒のリーダーは、大丈夫。そんな意味を込めて、チームメイトへ視線を向ける。

「それを早く言え。来い、ただし、余計な真似はするな」

 白装束の隊長は、一般生徒のリーダーを連れて、観測室へと入る。

 チームメイトが白装束の部隊と共に残される。しかし、銃口を突きつけられており、身動きが取れる状態ではなかった。

 観測室の中では、リーダーがコンピュータを起動している。けれど、普段よりもゆっくりと操作を行っている。それは、隊長によって不用意な行動の監視をされているからだ。

「この施設にカメラがないことはわかっている。ネットワークから、データを引き出せるか?」

「PDAしか認識しないから、これ経由になる。PDAから移すにしても、専用の端末が必要だ」

 雨島で使われている機器のほとんどが、機密保持の観点から、独自の規格になっている。これは、情報収拾が目的の集団からすれば、厄介なことこの上ない。

「つまり、その端末にコピーし、持っていくしか無いわけか。本国へ戻り、解析すれば、なんとかなるだろう。容量の許す限りのデータを入れろ」

「かまわないが、充電と電源入れるときに、複数の生体認証がいるぞ」

 バースト対応などで、島外へ行くこともあり、PDAには、厳重なセキュリティーが施されている。それも、かなりいやらしいかけかたをしている。

「ならお前を連れて行けばいい。後は、その端末が作業を終えるまで待つだけだな」

 PDAへのコピーを行っていると、画面が一瞬ブレる。けれど、作業に変調をきたしたわけでもなく、そのまま順調に進んでいく。

 リーダーは、隊長の隙を伺うが、外では、チームメイトが人質となっているため、大きな音を立てることは出来ない。それを念頭に置き、自身に出来ることを考えるが、上手くまとまらず、ただ時間だけが過ぎていく。

 そうしている間に、PDAへのコピーが終わる。

「さて、他のやつの端末にもコピーするか」

「待ってくれ。俺だけで十分だろ」

「黙れ。持っていける全てを持っていくだけだ。それに、サンプルは多いほうがいい」

 リーダーの顔が青ざめる。この場で何も出来ない自身に絶望しながら、隊長が扉を開くのを、ただ見ていることしか出来なかった。

 けれど、扉から漏れる光は、太陽光よりも眩しく、恐ろしかった。

「やっと、出てきてくれましたか。待ちくたびれましたよ」

 外にいたはずの白装束だった部隊員は、多少の帯電を残し、黒く燻っている。

 そして、4人の一般生徒と、1人の生徒会長が立っていた。

「貴様!」

 白装束の隊長は、咄嗟に銃を構えようとする。けれど、体が動かない。

「同じような相手に、何度も同じ手を使うとは、お互いに変化がないということでしょうか?ああ、君、その人は動けません。PDAを回収して出てきてください。そこは、消し飛びます」

 リーダーは、意味を理解出来なかった。だが、黒月紫苑の指示に従い、観測室から出る。

 それを確認すると、紫苑は、帯電している手を前に伸ばした。

「待て、どうしてわかった」

「ふふ、簡単なことですよ。紹介しましょう。私の『サモンパターン・ヴォルト』です」

 周囲から電気の塊が浮かび上がる。さらには、周囲に有る電子機器からも這い出してくるようだ。

 その体を電気で出来た0と1で構成されたヴォルトは、ただ周囲に漂う。

 隊長はその姿に驚く。けれども、体の自由を奪われた状態では、何も出来なかった。

「この子は、電子的なネットワークの中にも入れますから。これが、答えです」

 そういうと、紫苑は、前に突き出した手に纏う電気の出力を上げる。しかし、周囲へ一切漏らすこと無く凝縮されていく。

「俺達を殺したところで、次から次へとやってくるぞ」

「貴方達が乗ってきた船なら、沈めましたよ。新しい方法を見つけるまでは、おとなしくしてくださいね」

 紫苑の手から、凝縮された電気が放たれる。

 その一撃は、目の前にあった観測室を含め、直線上にあるもの全てを焼き払った。

 紫苑は、ゆっくりと一般生徒を振り向く。

「さて、皆さん大丈夫ですか?」

 紫苑の優しさを含めた声を聞き、緊張の糸が切れたのか、その場に座り込んでしまう。そんな様子を確認し、紫苑は、やるべきことをやる。

「私には、やるべきことがあるので、今日のところは、皆さん戻ったほうがいいでしょう」

「あ、はい、そうですね」

 リーダーは、何とか気を取り戻すと、チームメイト一人一人に声をかけ、この場を後にする。

 それを確認すると、紫苑は、足元に転がっている黒く焦げた物体に視線を向ける。

「さて、運びますか」

 帯電させ、磁力を使い浮遊させる。それを紫苑が歩くスピードに合わせ、移動させる。

 そうしてゆっくりとこの場を後にした。

 

 

 

 

 次の日の朝、ALUの峰地総一から、紫苑へ連絡が来た。

「紫苑ちゃん突然わるいね」

「いえ、突然どうされましたか?先日の侵入者の件ですか?」

 紫苑は、突然の連絡にも関わらず、おおまかな検討がついていた。

「まぁ、その通りなんだ。でも、正確には少し違うんだよ。侵入者が使った船、あったろ。今回は、その持ち主が因縁をつけてきたんだよ。それで、沈めた喪失者(ロスト)を呼び出せって言われちゃって」

「そういうことですか。今までからすれば、早い対応ですから、予定していたのでしょう。船を担当したのは、刹那ですから、行かせます」

 侵入者の対応をしたのは、紫苑だ。だが、それと同時に船を沈めにいったのは、八神刹那だった。

 場所が海の上である以上、紫苑には向かない場所であるため、刹那が対応に行っていた。

「八神君かー。何か暴れそうだね」

「ええ、内容によっては暴れそうですね。では、刹那に連絡しておいてください」

 連絡が終わり、紫苑は、刹那に連絡を入れる。後は、刹那と峰地に任せることになった。

 

 

 

 

 刹那は、ALUの本部を訪れていた。

 侵入者を運んだ国からのクレーム対応に関しての詳細を聞くため、峰地の部屋でくつろいでいる。

「それで、俺に文句を言いたいわけだな」

「まぁ、そういうことだね。それと、君の実力は知られているから、大量の護衛を引き連れて来ているよ」

「有象無象がいくらいても、変わらないだろ」

「それは、大国の意地じゃないのかな?」

「まぁいい、もう来てるんだろ。じゃあ、怒られに行ってやろうじゃないか」

 刹那は、峰地を置いて先に行こうとする。

 オリジンを周囲に散布することで、ALU本部の中を確認することは、大した手間ではなかった。

「やれやれ、会場についてはまだ話してないのに、とっくに把握済みか」

 峰地は、ぼやきながらも刹那についていった。

「ああ、忘れてた。これ流す準備しといてくれ」

 そういうと、刹那は一つの記憶媒体を峰地に投げてよこした。

 峰地はこの記憶媒体について聞くが、刹那は何も答えなかった。

 ALU本部の会議室には、アメリカのロスト関連機関代表と護衛の喪失者(ロスト)達が刹那と峰地を待っていた。

「ようやく来たか。君が、我々の重要な船を沈めた犯人か」

「領海内で、いくら声をかけても応答しない不審船なら沈めたぜ。雨島諸島によって拡大された領海については、喪失獣(ロストビースト)が出現する関係上、雨島関係者に、全権が委ねられているからな」

「確かに、日本の領海内ではあった。だが、とある作戦行動中の行動であり、日本政府からも、許可は得ていた。そちらの連絡ミスであろう」

 アメリカ代表は、自らの正当性を主張する。事実、不審船を沈めた報告をした後に、ALUを通し、連絡が来ていた。

「それで、どうするんだ?」

「我々の作戦を妨害した人物、つまり、君の身柄の引き渡しを要求する。そして、我々の監視下に入ってもらう」

 アメリカは、部隊を出し、一般生徒と雨島の情報が手に入れろ。そう命令していたが、本当の目的は、特殊部隊によって制圧されるような一般生徒ではなく、たった一人でバーストの対応しきることの出来るユニオンの方だった。

 戦力面や、研究材料などのあらゆる面で、ユニオンの方が、価値が高い。それは、誰しもが理解している事実だ。

「なるほど、それが目的か。なら、その前に聞いておくが、あの侵入者は、どう説明する?」

「そんなものはいない。そちらが我々の船を沈めたことを正当化するための、デマだ」

 ユニオンは、今まで侵入者を生かしておくことはしなかった。それはつまり、今回も処分している可能性が高いということだ。つまり、侵入者を証明することは出来ない。アメリカ代表は、そう考えている。

 事実、ユニオンは、今回の侵入者を処分しており、それを軸にした主張は出来ない。だが、刹那は余裕の笑みを崩さない。

「一つ、映像がある。まぁ見てみろ。峰地さん頼む」

 刹那の合図を受けると、部屋に入ってから準備していた映像を流し始める。そこには、暗い部屋が映しだされていた。

 いくつかの機械と、扉、そして、休憩所の様なスペースが、一つの部屋に押し込められていた。

 時折轟音がなり、何かの生物のような声が記録されている。

 しばらくすると、白装束の集団が部屋に入ってきた。カメラの前に立ち、何かをしようとしている。けれど、この部屋の設備を起動させることが出来ず、一時的な休息を取っているようだった。

 その映像が流れる中、刹那が説明を始める。

「これは、双子島の封鎖領域にある観測室と呼ばれる場所だ。大まかには知っているだろ。数日の間、こいつらはここを根城にして、活動しているし、通信をした痕跡も把握している。もっとも、この設備を起動出来てないし、封鎖領域の監視ネットワークの存在すら気づけてないがな」

 映像が早送りになるが、基本的には誰も居ない映像と、白装束の部隊が休息をとる映像だけだった。しかし、白装束の部隊が扉から出入りをするたびに、白い雪に包まれた光景が見え隠れした。

 そして、映像が始めて白装束の部隊以外の人間を映し出す。それは――

「昨日、こいつらに襲われた一般生徒のチームリーダーだ」

 銃で脅されたリーダーが、カメラの前で、コンピュータを操作している。聞こえてくる音声から、何が行われているかは、明白だ。

「こいつらは、観測室をくまなく調べた。監視カメラを無いと判断したようだが、パソコンの画面がカメラになっているとは、気付かなかったみたいだな。ああ、特注品だぜ。雨島諸島全体の設備がな」

 刹那は、唇を釣り上げ、凶悪な笑みを見せつける。

 まず一つ、侵入者の存在を、証明した。

「侵入者がいたことは認めよう。だが、そいつらは、我々とは関係ない!」

 そう、この映像は、侵入者の存在を証明しただけであり、その背後関係を証明したわけではない。だが、それは刹那も重々承知している。

 アメリカ代表も、一瞬慌てふためいたが、自身に言い聞かせることで、落ち着きを取り戻した。

 だが、刹那は、凶悪な笑みを崩さない。

「そうだな。あんたの言うとおり、侵入者を証明しただけだ。だが、今の映像の目的は、それだ。そして、次の映像だ」

 そういうと、峰地に指示を出し、別の映像を映し出す。

 その映像は、いくつかに分割されており、雪に埋もれた森の中や、海岸沿いを映し出している。

「まぁ、手短に話そう。さっきの集団の移動経路だ。峰地さん、地図も出してくれ」

 地図が映し出されると同時に、白装束の部隊の移動経路が順番に表示される。

 アメリカ代表は、この映像が信じられなかった。

「この映像が、本物だという証拠が何処にある。我々が、この場を開くことを要求してから、どれだけの時間があった。彼等の映像を探し出す時間など有るわけがない」

「紫苑のヴォルトは優秀でな」

 そういいながら、胸元の学生証を指さす。

「この学生証や、職員用のIDを持たないやつが、監視ネットワークに映ると、自動で追尾・記録するように出来てるんだよ。だから、この映像は、本物だ」

「だが、彼等の移動経路を証明して、何になる。我々の船に乗っていた証拠になるわけではない」

 そう、移動経路を証明した。そして、それは海岸に、小型ボートで乗り付けており、不審船との関係が証明されたわけではない。

 アメリカ代表は、さらに畳み掛ける。

「そちらの連絡ミスで、我々の貴重な実験船が破壊された事実は変わらん。それは、何を証明しよともな」

「ああ、そうだな。あの船を破壊したのは、俺だ。結局、何を言っても、侵入者と船の関係は証明出来ない。侵入者も、全て処分したからな。まぁ、生きていても、意味はないがな」

 刹那は、凶悪な笑みを仕舞い。真面目な顔で話し始めた。

 アメリカ代表は、その雰囲気の変化に戸惑いを覚える。

「とにかく、貴様には、その罪を償ってもらおう」

「罪か、それは、船を破壊したことだよな。その船の中にあるものを含めてだ。そして、そこには人命も含まれる。違うか?」

「違わん。わかっているではないか。なら――」

「つまり、それが元通りになれば、どうなる?」

 アメリカ代表は、咄嗟に「そんなこと出来るわけがない」そう言いそうになった。けれども、公式非公式問わず、雨島が流している情報から推測するに、刹那の異能は、複製。それも、かなり自由度の高い力だと、伝わっている。それはつまり、破壊した船の修復すら可能だと、アメリカ代表は判断した。

「どうなるも何も、貴様が船を破壊し、乗組員を殺した。その事実は変わらん」

「そうか、まぁ、そうだな。ところで、乗組員のリストはあるのか?」

 刹那の突然の要求に、リズムを崩されたが、アメリカ代表は、一つのデータを開示する。

「これが、船の乗組員のリストだ。先ほどの部隊のメンバーと照合しても構わんぞ。どうせ、一致しない」

 刹那は、表面上の驚きを見せる。

「おやおや、開示するとは思わなかったよ。まぁ、手間が省けた。確認しておくが、そのリストは、何処にも出していないな?」

 大げさな驚きから、含みの有る笑顔へと変え、口を開く。

「ああ、このために、持ってきたものだ」

「話を戻すが、完全に複製するには、残骸が必要だから、面倒だ。峰地さん、とっておきの映像、流してくれ」

 峰地が映像を流す。そこには、船のブリッジが映し出されている。そして、その中には、見覚えのある顔が映し出されている。

「最近の船ってちゃんと監視カメラがあるんだな。その辺は詳しくないから、いい勉強になったぜ」

 アメリカ代表は、この映像を出されても、平然としている。

「その映像が何だと言うんだ」

「いやー、苦労したぜ。実働部隊の奴ら、カメラに映らないように行動してるんだからよ。特に、隊長に関しては、全く映ってなかったよ」

 そうして、いくつかの場面が抽出される。それらの画面の隅には、見切れている場面が多いが、人物の顔が映し出されており、それらと、刹那が用意した白装束の部隊の顔が、並べられている。

 そして、その映像が、顔認証ソフトによって照合される。

「さて、この事実は、どう説明する?この実働部隊のやつが映ってるぜ」

「そんな映像いくらでも作れる。そもそも、それがこちらの船だという証拠がどこにある」

 刹那が用意したデータでは、白装束の部隊員が乗っていた船だということだけであり、これが、アメリカの船だという証拠ではない。

 けれど、刹那は、その笑みを崩さない。

「くっくっく。じゃあ、そのリストと照合しようぜ。この映像に映っている乗組員全てを。そのリストは何処にも出してないんだろ。なら、作り物であるなら、一致しないよな!」

 その発言に、アメリカ代表は平然としていた表情を崩す。何故なら、アメリカ代表は、リストに目を通していたため、照合しなくとも、見覚えのある顔が、数人混じっていることに気がついていた。

「だ……だが……」

「まだ、認めず、言いがかりをつけるか?」

 刹那の顔が変化し、冷酷な一面を覗かせる。

「お前達は、俺を望むか?俺のような、壊れたやつを欲しがるのか?でもな、俺は自由だ。お前達に自由を奪われる気はない」

「だが、貴様は……、貴様は船の乗組員を――」

「黙れ。あの海域で雨島は絶対だ。それに、通信記録を全て精査してもいいんだぞ。うちの生徒会長は優秀だからな。電子データの確認くらい、すぐに終わる。それで、お前達の言いがかりの証拠を突きつけて欲しいのか?」

 そんなこと出来るわけがない。アメリカ代表はそう考えている。いや、今までであれば、そう考えたはずだ。だが、アメリカでも電気属性の喪失者(ロスト)による、電子データやネット回線への介入は、確認している。圧倒的な実力を持つ雨島の生徒会長であれば、膨大なデータを精査することは容易いはずだ。その考えが頭の中を埋め尽くす。

「これ以上言いがかりを続けるのか?それはつまり……」

 刹那は、そういうと、声から感情を消し、さらに冷たさを際立たせる。

殺しあいたいのか(やりたいのか)?俺達ユニオンと、お前達で」

 その一言で、アメリカ代表や、護衛の喪失者(ロスト)達に緊張が走る。

 だが、刹那は喪失者(ロスト)と一括りにせず、ユニオンという単位で告げた。それは、雨島学園の喪失者(ロスト)を巻き込みたくない。そんな思いが、微かだが篭められている。

「それは、日本からの宣戦布告と取っていいのか?」

 アメリカ代表は、声を震わせながら言い返す。今ここで敵対を明言すれば、その瞬間に戦争が始まる。それを感じ取っていた。

「勘違いするな。言っただろ。俺達ユニオンとお前達でだ。別に虐殺がしたいわけじゃない。ただ、白黒つけたいだけだ。喪失者(ロスト)の存在を認めるか、否か。ただ、それだけだ」

「我々は、ロストの存在を認めてないわけではない」

「お前達は、一つの命としてじゃない。ただのモルモットとして存在を認めてるんだろ。そもそも、何故俺達がここにいると思う?この国はな、認めたんだよ、俺達の存在を。雨島諸島、そこが俺達の居場所だ。だから、俺達は、俺達の居場所がある場所に協力する、そこの住人としてな。でもな、それを邪魔するのであれば、一切の容赦はしない」

 そして、刹那は一言付け加える。

「だから、俺達が敵になるんじゃない。お前達が、敵にするんだ」

 雨島は、自ら敵になることを望まない。それは、かねてより雨島が言い続けていることだ。そして、それを裏付けるように、バースト対応においても、予測を公表し、依頼のあった地域へと向かっている。なにより、表向きには、どこかに加担することは、一切しない。

 戦力として見た場合、ユニオンは、結果を左右する兵器といっても過言ではない。その力が、引きこむことを失敗した場合のリスクを考え、どこの組織も、表向きの不可侵を貫いていた。

 けれども、アメリカ代表は、今、自身にその矛が向けられようとしている。そして、その決定権は、自身が握っている。だからこそ、不用意に発言することが出来ない。

「さて、アメリカ代表は、長考か。なぁ、後ろのあんた達、今、満足してるか?」

 アメリカ代表の護衛としてきた喪失者(ロスト)達、彼等は、一度ユニオンの実力を目の当たりにしている。けれども、空宮あやめが見せた力は、ごく一部にしか過ぎないことも理解していた。だからこそ、目の前にいる喪失者(ロスト)が、計り知れない力を持っていると予測していた。だからこそ、その存在に萎縮している。

「今はただの雑談の時間だ。気軽に話そうぜ」

 けれども、口を開くことを躊躇う。

 気軽にと言われても、目の前には組織の代表がいる。そんな状態で、気軽に話せという方が無理がある。

 誰も口を開かない。そんな様子を見かねて、護衛のリーダーと見受けられる、大柄の黒人男性が、口を開く。

「リトルボーイ、君にはわからないだろうが、俺達には、俺達なりの理由があってここにいる。満足かどうかなんて、関係ない」

 刹那は、ようやく来た返答に対し、小さく笑いながら、答えた。

「そっか。まぁ、そこにいる理由があるならそれでいい。理由もなく、無理やりじゃないんならな。だけど、その選択肢しかなかったんなら、諦めるなよ。まぁ、ガキの戯言だ。気にするな」

「まったく、お前達は、わけのわからないことばかり言うな。前のリトルガールもそうだった」

「だが、実際に失敗したんだろ。なら、敵対するんじゃなく、同盟とは言わない。協力くらいならいいんじゃないか?別に、利用しあうのもありなんだからな」

 刹那は、視線をアメリカ代表へと向け、告げる。

「協定だってもう時期終わる。自力で出来ないんなら、その後を見据えるべきだろ。ただし、独りよがりじゃ、無理だろうがな」

 そして、アメリカ代表がその思い口を開く。

「確か、八神刹那だったな。君達を敵に回すデメリットが大きすぎる。けれど、今までの侵入者については、証拠もないので、関与を否定する。そして、君達とは、これからを見据えた関係を築きたい」

「いいんじゃねーの?俺達を害さないっていうなら、拒否しないし、詮索もしない。ただし、俺達には、俺達の目的がある。だから、俺達と直接じゃなくて、そこにいる峰地さん経由にしてくれ。同じロスト関連機関同士の方がいいだろ」

「こうして、最初の件は有耶無耶になるわけだ。相変わらずだね、八神君」

 峰地の発言に、刹那は小さく笑い誤魔化す。

「Mr.峰地、決して有耶無耶にしたわけではない。これからのことを考えただけだ」

「そうですか。まぁ、僕としては、僕の周りが安泰なら、それでいいんですけどね」

「じゃあ、俺はもう行くから、後は任せますよ」

 刹那は一人立ち去る。

 護衛の喪失者(ロスト)達は、その力が振るわれなかったことに、安堵している。

 刹那が立ち去った会議室では、峰地とアメリカ代表による会議が行われた。

 

 

 

 

 刹那は、雨島へと戻ると、細かい報告をするために、生徒会室へ立ち寄った。

「紫苑、報告に来たぞ」

「まだ峰地さんから連絡が無いのですが、暴れすぎましたか?」

 紫苑は、刹那の性格を考え、当然のように聞く。けれど、その予想は外れていた。

「人を何だと思ってんだよ。暴れたけど、もみ消す必要があることはしてねーよ。とりあえず、今後の侵入者に関しては、アメリカは関与しないはずになった。その変わりに、今までの侵入者に関しては、追求しないことになったけどな」

「侵入者に関しては、証拠を残していませんから、問題ないでしょう。何より、これからの安全が保証されたことが、重要です」

「まぁ、厄介事が一つ減ったからな。それに、十分に育った奴らもいるしな」

 刹那が、簡単な報告を終え、立ち去ろうとするが、紫苑がそれを引き止める。

「一つ、私から話があります」

 刹那が振り向くのを確認し、続けた。

「最近Linkageを中心として、一般生徒が何かしているようです。ネットワークから切り離された端末や、紙媒体を使っているようで、詳細は不明です。もっとも、電源から『ヴォルト』を侵入させることも出来ますが、氷華と相談した限りでは、放置しています。何か危険な匂いを感じたら、動いてください」

「面白そうだな」

 刹那は、そう言って笑いながら立ち去った。

 基本的に一般生徒に関しては、紫苑と氷華に任せきっている。二人が放置している限り、積極的に動くことはない。だからこそ、刹那自身が関わる必要が出てくる可能性は、限りなく低い。

 しかし、ユニオンに内緒で何かをしようとしている。そのことに、純然たる興味を感じ取っていた。




こんにちは

今回はいつも以上に時間がかかってしまいました。
続きを書くたびに、ちゃんと風呂敷を畳めているか心配になります。
気付かずに広げた分は、しょうが無いにしろ、意図的に広げた分は、ちゃんと畳みたいものです。
そんなこんなで、またユニオンメインの回だったりするわけです。

それでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
これからも、お付き合いいただけると、幸いです。
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