Linkage   作:enz

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双子島編
変化したセカイ


 4月1日、雨島学園の高等部が、開校する。そして、活動の場を双子島へと移す。このことは、生徒の更なる危険と引き換えに、特殊鉱石(ロスタイト)の供給増大を意味している。

「皆さん、入学おめでとうございます。高等部でも、引き続き、生徒会長を勤めさせていただく、黒月紫苑です。本日より、皆さんは、高等部の生徒となりました。そして、全員に双子島の、封鎖領域の立ち入り許可が与えられます。双子島の喪失獣(ロストビースト)は、雨島の喪失獣(ロストビースト)よりも、大きく、強いので、十分気をつけてください」

 こうして、入学式が、つつがなく進んでいく。

 

 

 

 

 真新しい教室へ足を踏み入れると、担任の先生が来るまで、皆が、談笑を始める。

 聞こえてくる会話が、『制服が変わらない』・『施設が、校舎と研究所しかない』といった不満で占められている。

 中等部では、封鎖領域への立ち入りが、認められるのは、2年生からであり、1年生までは、研究課題しか受けることができない。しかし、高等部では、1年生から双子島の封鎖領域へ立ち入ることができる。そのことに、期待を膨らませる生徒も、存在した。

「ハイ、みなさ~ん、席についてくださいね」

 そういいながら、担任の先生が教室へと入ってくる。だが、中には、新しい担任を知っている生徒もいる。

「ハイ、何人かの人は、お久しぶりです。今年から、高等部の先生になった、秋萌夕です。よろしくお願いしますね!」

 そう、中等部の教師の何人かは、高等部へと移動していた。

「今日は、双子島の封鎖領域における、簡単な注意をしたら、実習の時間になるので、手早く終わらせちゃいましょう」

 そう言って、話を始める。

「双子島の封鎖領域には、無人の観測施設が、数多く存在します。課題(ミッション)の中には、これらの点検といったものもあるので、雨島よりも、多種多様な課題(ミッション)が皆さんを待ち受けているので、覚悟してくださいね」

 様々な話をし、チャイムと同時に授業を終わらせる。

「それでは、皆さん、今日も一日元気に乗り切りましょう」

 そう言い、教室を去っていく。

 ほのか達は、今日の課題(ミッション)を相談する為に、集まる。

「施設の点検なんて、今まで無かったのに……」

「俺達に与えられたのは、あくまでも、立ち入り許可で、高等部の課題(ミッション)が、解禁されたわけじゃないってことか」

 今まで、双子島での課題(ミッション)は、封鎖領域に入れ。という課題(ミッション)しか表示されなかったため、ほのか達のアドバンテージは、地形を体感しているということだけだった。

 ちなみに、チーム新聞部に、双子島での課題(ミッション)について、何度も聞かれたが、一つしか表示されないと、説明しても、信じてもらえず、何度もPDAを見せ、説明した経験ならある。

「山に近づくにつれて、喪失獣(ロストビースト)が強くなっていったから、麓までは行けなかったよね」

「麓に近づくあたりから、中型の数が増えていったからな」

 把握している地形や、喪失獣(ロストビースト)の分布などは、チーム新聞部を通して、公表しているため、無闇に奥へ行こうとするチームはいないと信じたい。

 ほのか達ですら、苦戦する領域なのだ。

「麓の前の川が分岐するあたりが、楽に行けるギリギリのラインなのよね」

 詩歌は、そういいながら、そのあたりが範囲に含まれる課題(ミッション)を探す。

「施設の、現状確認、加点、低い」

「加点は低いけど、重要度も低いんだろ。確認して、記録とれば、あとは自由行動なんだから、楽ではあるな」

 匠は、空のつぶやきに反応した。

「まぁ、緊急度の高い課題(ミッション)なんて、そうそうないし、施設の維持管理系が、どんなのかわからないから、その系統で、川の分岐付近の受けようか」

 ほのかの提案に、皆が納得し、課題(ミッション)を受ける。

 

 

 

 

 封鎖領域では、特殊鉱石(ロスタイト)を回収しつつ、目的の施設を目指す。

「弱い中型なら、簡単に倒せるようになったよね。」

「ギアの消耗が心配だけどな」

 ギアから力を引き出すにも、効率よく引き出さなければ、あっと言う間に使い切ってしまう。しかし、Laboが、銃型ギアのために作ったトレーニングギアで、精密な操作感覚を鍛えることができ、ギアから、効率よく力を引き出すことが、出来るようになっていた。

「それでも、雨島で戦ったときと比べれると、すごい成長だよね。」

「あの時は、空が、半分以上を力に変換しても、倒せなかったのに、今じゃ見た目上は、変わらない量で倒せるしな」

 匠も、自分達の成長に驚いていた。

「私達も、トレーニング、ギア、使って、よかった」

 そう、冬休み中から、全員がトレーニングギアを使っていた。

「やっぱり、私の考えは、間違ってなかったのだよ!目標額まで、きっちり稼ぐよ!」

「私の為に、皆に節約させちゃって、ごめんねー」

 ほのか達は、Laboに、詩歌の為の風属性と火属性の混合ギアの製作を依頼している。

 ギアの特注。それは、かなりの資金がいるが、3学期に、双子島に篭る事で、かなりの貯蓄を作っている。

「ギアの特注なんて、夢なんだから、気にするなよ」

「そうだぜ。それに、詩歌の火力が上がると、チームが、更に強くなれるんだから」

 属性の混合ギア自体、前例がないので、研究テーマとしても、いい題材になると、Laboも喜んで引き受けていた。

 

 

 

 

「見えてきたよ。施設の点検って中はいるんだよね」

 学生証自体が、かなりの容量を持つ非接触式の媒体となっており、いろいろと便利に使われている。今回は、それを使いメンテナンスモードを起動することで、課題(ミッション)が完了する。

 ほのかがPDAを見て、手順通りの操作をする。

 つつがなく作業が終わる。

「終わったら、川の分岐点まで、行ってみるか?」

 司は、自分達の限界に挑むための、提案をする。それについて、異論はでず、分岐点まで行くこととなる。

 

 

 

 

「司、匠、そっちは任せたよ。」

 1体の中型喪失獣(ロストビースト)を二人に任せ、残りの3人で、もう1体の相手をする。

「時間は稼ぐから、空、動きを止める準備。詩歌は、状況を見て動いて」

 火属性の中型喪失獣(ロストビースト)は、口から、炎を吐き、襲ってくる。

 ほのかは、動き回り、他の二人から目を逸らさせる。自身の異能では、相性が悪く、決定打を与えられない。しかし、陽動として、気を引くくらいであれば、ギアを使う必要もない。空気は、どこにでもあるからだ。

 詩歌も、ギアから力を引き出す場合、物質型(マテリアルタイプ)と比べると、変換効率はかなり劣る。しかし、貯蓄型(チャージタイプ)の特性を生かし、保持している運動エネルギーを足元の小石へと与え、発射する。

「そろそろ、いいよ」

 空の合図で、二人が離れる。それを確認し、雷撃を打ち込む。雷鳴が轟き、眩い光につつまれる。

 その場にのこったものは、核となる特殊鉱石(ロスタイト)と、雷撃の名残だけだった。

「空の一撃は、すごいわね」

 中型喪失獣(ロストビースト)がいた場所を見つめ、その破壊力の驚く。

「流石に、特殊鉱石(ロスタイト)を拾うのは、ちょっと待ちたいね」

 もう一方からも、声が聞こえる。

「そっちも、終わったのか」

 司が、ほのかに向かって特殊鉱石(ロスタイト)を投げながら、終わったことを確認した。

「司が、焼き散らすから、回収するのに時間かかったぜ」

 もう一方も、同じ状況だと、判明した。

 そして、ほのかが、一段落したあとに、全員に確認する。

「ここは、もう麓って思っていいよね。よし、写真とってPaladinに自慢だ!」

 Paladinとは、二つの山の、それぞれの頂上を目指し、どちらが先に登りきるかを、競っていた。

 そして、今日の目標は、川の分岐点であり、そこを越えたといういうことは、目標を超え、大きく成長したということだ。

 ほのかは、全員のギアの消耗を確認し、提案する。

「目標は、超えたけど、ギアも結構つかっちゃたね」

「中型の数が多かったから、しょうがないな」

「ここまでこれたんだから、プラスにはなってると思うわよ」

「ここから、更に強くなるから、戻るべきだと思うぜ」

 皆、消耗を理解しているのか、強引に進もうという意見はなかった。

 だが、ほのかは、異変を感じた。

「ねぇ、今双子山の間で、何か光らなかった?」

「いや、見てなかった」

 皆、違う方を見ていたため、確認が取れない。

「ほら、双子山の間のずっと向こう。海の上かもしれない」

「向こうって、何かあるか?方角的に、太平洋だぜ」

「確か、5の島とか、向こう」

 その方角には、雨島諸島が続いている。しかし、それ以上は、わかりようがない。

「そのへんの喪失獣(ロストビースト)が、暴れてるのかな?」

「まぁ、確かめようがないな」

 そういい、これ以上続けても、確認できないため、5人は、撤収を開始する。

 

 

 

 

 5人は、雨島へ戻り、食堂で、反省会を開始する。

「双子島への橋の近くに、高等部用の寮が、出来ててよかったね」

「今までの寮は、橋からは遠いからな」

「皆、ルームメイトは変わってないらしいわね」

「ただ、場所が、変わった、だけ」

 中等部の寮と比べると、多少であるが、豪華になっていた。だが、もう一つ、大きく異なる点がある。

「前は、食堂の両側に、食堂があったけど、建物1個増えてない?」

 高等部の食堂を囲むように、丸い道路があり、そこに、三つの建物が建っている。二つは、男子寮と女子寮であるが、もう一つは、謎に包まれている。

「先生の家って別にあるし、入り口には、IDでの承認が必要みたいだから、入れないしな」

 話がずれている為、ほのかは、軌道修正をする。

「私から、話題ふったけど、戻すよー」

 そう、そもそも、話をずらしたのは、ほのかだった。

「ハイ、今日の課題(ミッション)では、山の麓まで行けました。制御能力の面でも、成長が見られましたね」

 ギアの消耗も、日に日に少なくなっており、5人は、自分達の成長を実感していた。

「分散した状態での組み合わせも、ほとんどためしたよな」

 複数の喪失獣(ロストビースト)と遭遇した時の為に、分散した状態での戦闘し、その組み合わせも、一通り、試していた。

「あとは、相手の属性次第だけど、そればっかりは、どうにもならないから、とりあえずは、ここまでだね。あと何かある?」

 皆、首を横に振る。今の所は、何もないということだ。

「じゃあ、今日はここまで。また明日も、頑張るよ!」




こんばんは。

新章の高等部編です。

前回、甘酸っぱい話が書けないといいました。ですが、戦闘シーンの方が、数が多いはずなのに、まともにかけている気がしません。

毎回、今度こそはと思いながら書いているのですが、難しいです。

いろいろ、考えていこうと思います。

これからも、お付き合いいただけると幸いです。
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