天華百剣 斬 短編集まとめ byわたち教徒   作:給料シーフ

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牛王隊長の呑み回です。
今回は公式のあの人がちょっとだけ出演します。



牛王隊長の優雅なる生活(居酒屋Ver)

 

 やぁ、久しぶりだね。京都支部隊長代理の牛王吉光だよ。

 仕事が早く終わったので今日は城和泉と桑名江を連れて珍しく居酒屋にきているんだ。

 意外かもしれないけど二人ともお酒は何だかんだ好きらしくてね。普段は甘味処なんだけれど、たまにこうやって3人で居酒屋に行くこともあるんだ。

 

 

「ーーその抱き枕の抱き心地がすごく良くって最近はぐっすり眠れてますね」

 

「あー、あの家具屋の枕ね。そんなに良く眠れるのなら私も買おうかな。桑名江のお墨付きなら買って損はなさそうだしね」

 

「城和泉さんもきっとやみつきになりますよ。すごくグッスリ眠れちゃいますから」

 

「それはとても楽しみね。‥‥ちなみに牛王は寝るときにそういうの使ったりしないの?」

 

「最近はだれかしら一緒に同衾してるから抱き枕とかは必要ないかな」

 

城和泉がお酒を吹き出した。

 

「ちょっと同衾って....!!?」

 

「ああ、そういえばこのあいだ大倶利伽羅さんが言っていましたよ。すごく良かったって」

 

「ちょっ、桑名江それお酒の席とはいえ暴露していい内容じゃないでしょうっ」

 

「え、いけなかったですか?」

 

「当然よ!大倶利伽羅だって桑名江のこと信用して喋ったんだろうし」

 

「でも大倶利伽羅さん結構色んな人に自慢していましたよ?」

 

「大倶利伽羅ぁぁああ!」

 

「話を戻すよ? まぁ、結構寝相が激しい子や絵本を読むようにせがんできてなかなか寝かせてくれない子も多くてね、ここ最近は寝不足気味かな」

 

「えっ、絵本....?」

 

「うん、意外と読んでほしいって子は多いよ、乱藤四郎とか九字兼定とかね。‥‥おや、顔が真っ赤な城和泉は一体どんな勘違いをしたのかな....?」

 

「ううううるさい!別になんも勘違いなんてしていないわよっ」

 

 お酒を呑みながら城和泉をからかう。

相変わらず城和泉はこの手の話には弱いね。

 まぁ、色恋沙汰に弱いのは私もきっと同じなんだろうけど。多分恋愛に関して一番前向きになれるのはこの中だと桑名江だろう。

 そんな桑名江は先ほどから城和泉がなぜ顔を赤くしているのかが分からないみたいで頭にハテナを浮かべていたが、やっと城和泉がどんな勘違いをしていたのか理解したらしく顔を赤くしていた。

 

「‥‥あの、城和泉さん。あまりえっちなのはいけないと思います」

 

「安心して城和泉、女の子なら誰しもこの手の話(色恋沙汰)に興味を持つのはしょうがないさ」

 

「うぅ....」

 

 恥ずかしさからか机に突っ伏す城和泉。私が意図していない勘違いとはいえ、少しからかいすぎたかな?

 

「そう言えば牛王さんと一緒に寝るととてもいい夢を見れるって一部の巫剣たちに有名なんですよ」

 

「そうなのかい?」

 

「ええ、抱きしめられるととても安心して眠れるとも聞きますね」

 

 ‥‥そう言えば九字兼定も前に『主の抱擁(ほうよう)は正義だな‥‥』なんて言っていたね。

 というか、あの子にとって正義とは一体なんなのだろう。前にもきわどい兎の衣装を正義の正装だなんて言っていたし、少なくとも世間一般に言われている正義とは少し違うのかもしれない。

 

「そう言えば、牛王ってば前に津田越前守助廣にお母ちゃんって言い間違えられてたわよね」

 

「その話はよそうか」

 

 ソボロ助廣に見られてしまい、何故か落ち込んでしまったソボロ助廣を慰めるために数日ほど連続で一緒にお酒に付き合ったのは苦い思い出だ。

 

「でも確かに最近の牛王さんは、お母さんって呼んでしまう気持ちも分かる気がします」

 

「まあ....、たしかに。なんというか母性が滲み出てるって感じするもの。私には相変わらず悪戯ばかりするけど」

 

 母性うんぬんは誰かさんのせいなんだけど、口には出さないでおく。きっとここぞとばかりにからかってくるだろうから。

 

「城和泉がかまって欲しそうな顔をするからね。つい、からかってしまうんだ」

 

「私がいつそんな顔をしたのよ」

 

 あきれ顔でお酒に口をつける城和泉。少し飲み過ぎたのか頬に赤みがさしている。

 

「そういえばこの前も城和泉さん、部屋に牛王さんがいないと部屋が広く感じるってぼやいてましたね」

 

「ちょっ!?桑名江それは言わないでって言ったじゃない!!」

 

「あっ...すみませんっ」

 

「ふぅん、城和泉もなんだかんだ寂しがってくれてたんだね」

 

「う、うるさいわね。ただ部屋が広く感じるなぁって、....ただそれだけよ!」

 

「そうなのかい?わたしは城和泉とこうやって話す時間が減って少し寂しいと思っているんだけどね‥‥」

 

「....牛王、そういう台詞はそのニヤニヤ顔を止めてから言いなさいよ。からかう気なのが丸分かりよ」

 

「おっと、わたしとしたことが失敗してしまったね」

 

 城和泉がオツマミを箸でつまみながらじと目を向けてくる。どうやらお酒のせいで表情筋が緩んでいたみたいだ。

 

 

「あ、ごしゅじんさまだ~っ」

 

 突然後ろから誰かに抱きしめられる。誰かと言うか、この声はーー

 

「ちょ、亀割刀!? いかんだろ、いきなり抱き付いたりしては! すまない、この娘には私からしっかり言っておくから赦してはもらえないか」

 

 ‥‥やっぱり亀割刀だったか。抱きつくのは遺憾ながら最近慣れてしまったけど、逆に抱きつかれるのはなかなか慣れないものだね。

 そんなことを考えてる内に亀割刀は抱きついたままわたしの頬に頬擦りしている。

 

「慣れてるから大丈夫だよ、きみも一緒にどうかな?」

 

「いいのか?」

 

「構わないよ、亀割刀もその気だっただろうしね」

 

「わ~いっ、ごしゅじんさまといっしょにのみます~」

 

「呑む為にもまずは席に座らないとね? ほら、亀割刀も空いている席に座ろうか」

 

「もちょっとこのままで~。はわあ‥‥ごしゅじんさまのせなかあったかいですぅ‥‥」

 

 亀割刀が離れてくれるまでもう少しかかりそうかな。わたしとしてはさすがに少し気恥ずかしいから早めに離して欲しいんだけど。二人に目線で助けを求めてみる。

 桑名江はなんか恋愛小説を見ているときのような目でこっちを見ている。‥‥そういうのとは違うはずだからそんな目で見ないでくれないかな?

 ーー城和泉はなんか、またかって感じの目でこちらを見ている。最近城和泉はじと目でわたしを見ていることが多い気がする。なんか納得いかない。

 そんなことを思っていると亀割刀と一緒にいた女性が机の反対側に座った。

 あれ、この人ってたしかーー

 

「失礼する。ふむ、ここはビールがあるのか。店主、ビールを二人前たのむ」

 

 ーーうん、亀割刀に当てられた観察方の人だね。亀割刀と一緒にいるということは多分、今も巫剣観察のお仕事中なはずだけれど、すでに顔が赤い。

 大丈夫なのだろうか。いや、それを言ったら観察対象に接触してしまっている時点で大丈夫ではないはずなのだけれども。

 そんなことを考えていると観察方の人の前に二杯のビールが置かれる。

 

「お、ビールがきたか。ほら亀割刀、ビールが来たぞ。飲まないなら私が二杯とも呑んでしまうぞ?」

 

「あ~っ、だめです、そのしゅわしゅわはわたしのですよっ」

 

 言うやいなや亀割刀は私を解放して観察方の人の隣に座りビールを呑ん‥‥ペース早すぎないかな?

 

「ぷはあ、しゅわっと~、のどごし~、さわやか~っ。おかわり!」

 

「凄い呑みっぷりですね‥‥」

 

 桑名江がひどく驚いている。たしかにわたしたちは普段一気なんてしないからびっくりしてしまうよね。わたしもびっくりした。

 

「いやあ、相変わらずいい呑みっぷりだ! さあ、もっともっとおかわりDA!」

 

 観察方、相変わらずって普段から一緒に呑んでいるんだね‥‥。それたしか減給案件だったはずだけれど。

 というか大分出来上がってるみたいだけど、ここで何軒目なのだろうか。

 

「いえーい、ぐびぐび、ふはあ!おかわり!」

 

「もう4杯目って、‥‥亀割刀は相変わらずよく呑むね」

 

「きょうはごしゅじんさまもいますからね!いつもよりもおさけがすすみます!」

 

「それは良いけど、お金は大丈夫なのかい?」

 

「だいじょうぶです、ともだちのおごりですから!ここくるまえのみせもともだちのつけになってます!」

 

「えっ」

 

 さっきまで真っ赤だった観察方の人の顔が真っ青になっている。人って一瞬でここまで顔色を変えられるものなのだね。今でも医者として回診しているけど、そのわたしでも初めて見たよ。

 

「あ、あのな亀割刀。私今月も減給くらってるからそんなに手持ちない‥‥ああ、まったまった、待て亀割刀、呑むな呑むなぁぁああ! ってさっきまでの店も私のツケになってるのか!?」

 

「ああ....もうまどろっこしいですねえ。むそうさんげぇっ」

 

 

「あっ‥‥」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ‥‥賭け事で全財産溶かした人ってきっとあんな顔をするのだろうね。亀割刀が寝てしまった後のあの観察方の人の顔をわたしは生涯忘れないだろう。

 

 

「ごしゅじんさまぁ、おふとんはまだですか~?かめわりとう、もうねむいですよう」

 

「部屋までもう少しだから頑張ってね」

 

 飲み会が解散した後、亀割刀を起こして今は明治館に帰ってきたところだ。

肩を貸してあげたけど、亀割刀とわたしの身長が違うからうしろからわたしにしがみつく形になっていた。

 そうこうしている内に亀割刀の部屋の前に着いた。

 

「ほら、着いたよ?」

 

「ううん? ごしゅじんさま、ここじゃないですよ‥‥?」

 

 そう耳元でささやきながら、亀割刀はゆっくりとわたしの部屋を指差した。

 

 

「かめわりとう、きょうはあっちでねたいきぶんです‥‥」

 

「亀割刀?」

 

「さいきんあまりあえていなかったから。ねえ、ごしゅじんさま。かめわりとうのわがまま‥‥きいていただけないでしょうか‥‥」

 

 耳元でささやかれる少し不安そうな声に、ふと何かがこみあげてくる。

 

「‥‥まったく、しょうがないね。今日だけだよ?」

 

「あ‥‥。ありがとうごさいます、ごしゅじんさま....」

 

 耳元でささやく声に安堵と喜びの色が混ざる。表情は、見えていないけどきっと、笑っているのだろうね。

 泣いた烏がなんとやら。でも、悪くない気分だ。

 

「ふふ、甘えん坊な亀割刀には絵本でも読み聞かせてあげようかな?」

 

「あは、それもいいですね‥‥。いっぱい、いっぱいあまえさせてください....」

 

 

 

 

 亀割刀を布団に入れてあげたら眠るまでの少しの時間だけど、精一杯甘えさせてあげよう。

 こみあげた母性にわたしはそう思ったのであった、‥‥なんてね。

 

 

 

 

 





牛王がなぜか母性全開な扱いになっている。コレガワカラナイ。

あ、ガールズラブは保険だから勘違いしてはいけないよ?(牛王並感)

はい、公式のあの人とは観察方の人でした。
個人的にはなんだかんだ好きなキャラです。
普段対象への接触時は敬語、酔っぱらうと素のかっこいい口調になっていたので、今回は最初から酔っぱらっていて素が出ている感じです。

亀割刀の方は雰囲気出てたか怪しい。
もし違和感を感じた亀割刀が愛刀の人がいたら申し訳ない()
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