転生したら何故か親友がTSヤンデレ勇者に生まれ変わって求婚してくるんですけど!? 作:エスト瓶
私の人生は既に産まれながらに決まっていた。国の為に好きでもない相手と政略結婚して好きでも無い男の子を産み、好きでもない子を育て、好きでもない者達に看取られながら死んで行くのが私の決められた人生。私には最初から自由が無かった、国の道具として育てられた私は周囲から人形だと言われていた。私にとって人形になった方がどんなにマシだったか……
私は呪われていた。神がしたのか、それとも悪魔がしたのかは定かではないが私は呪われていた。体の至る所に黒い痣の様な物が幾つもあった。それだけならまだ良かったがたまにその黒い痣から目玉の様な物が現れ、見た物を無数の目が凝視する
お父様も私をどう扱って良いのか困惑していた。普通に他の兄弟姉妹の様に接して良いのか、それとも客人の様に接するのが良いのかで悩んでいた。私にとってお父様の考えは余りにも低レベルの悩みであり、そんなことを考えていることに私は頭を痛めた。本当にこんな男が私の父なのかと?本当に色々と考えさせられた、父だけではなく産みの親の母や兄弟姉妹も余りにも考えが幼稚すぎる。兄達は自分が次期国王になる為に色々と貴族達を抱え込もうとしたり姉妹達は恋愛の話や男について語り合っていた。本当にこんな者達が私の血を分けた存在なのだろうか?
そんな下らない日々を過ごしている中でたまたま騎士達が訓練している所を目にした。普段なら気にも止め居ないのだけど今日だけは何故か騎士達が訓練の様子が気になってしまった。そこで私はある存在に気が付いた、3人掛かりで一人の子供と訓練していた。最初は虐めかと思っていたがお互いの顔には真剣の文字が書かれているのかと錯覚する程に真面目だった
3人組の方はそれなりに任務をこなしてきたベテラン騎士に対して子供は恐らくは入隊したての子だろうか?何故ベテランの彼等が子供の彼を相手に攻めきれてないの気になり、タクティカルスコープを発動して彼のステータスを見た
彼のステータスは既にレベルが30を越えており、ステータスも王国でも貴重なAランク持ち、更にはスキルもありと興味を引いた
(イクス・クラウン……)
彼の名前を心の中で呟きながら私はある事を思い付いた。すぐにメイドに準備させて私は彼が居る訓練場に向かった
「お疲れ様です。喉が乾いておりませんか?」
「あ、有難う御座います」
私から受け取った水を一気に飲み干した彼はお礼を言い、立ち上がった
「えっと、君は?」
「私ですか?私はこの城で使用人をさせてもらっています。名はローズ、ローズ・マリアです」
「あ、自分はイクスです」
「イクス様ですね?」
「イクスで良いですよ。様付けとか自分には似合わないので」
「まあ♪ではイクスさんと呼ばせてもらいますね?」
「よろしく、ローズさん」
「私の事もマリアとお呼びください」
「えっと、ならマリアさんで」
「ふふふ♪」
ああ、何と言うことでしょう。彼と話しているとまるで心の中にある闇が消えていく感じがします。この人なら私が抱えている闇も狂気も受け入れてくれるのでしょうか?私の狂気を見ても壊れないでしょうか?試したい、この人に自身が持ちうる限りの狂気を当てたい
そんな衝動に刈られ私はある1つの賭けをして彼の手を掴み人が来ない場所まで連れてきて彼を壁際に追い込む
「な、何!?」
「イクスさんに少し見て欲しい物があるので」
そのままメイド服を脱ぎ始める私に顔を真っ赤にするイクスさんに少しの嬉しさとこれからの展開で彼の表情が変わる事に心苦しさがあった。メイド服を脱ぎ終えた私はイクスさんの表情を確認する。先程までの真っ赤な顔から何処か真剣な表情に変わっていた彼の表情に私は少しドキッとした
「それは痣?誰かにやられた?」
「いいえ、これは生まれ付きです。そしてこれも……」
私の言葉と共に痣の部分から一斉に目玉が現れ、イクスを凝視する。普通の人間なら顔を真っ青にして逃げ出すだろう
「……これを俺に見せたかったのか?」
「…はい。これを見て私をどう思いますか?」
気持ち悪い、化け物、歪み子、疫病神と数々の言葉が頭の中で流れては消えていく、それはかつて実際に言われた言葉が今でも頭の中に残っていた
「別に?綺麗な身体と思うよ俺は」
「は?」
思わずそんな言葉が出てしまった私は悪くないだろう。この男はこの様な醜い身体を見て綺麗だと言うのか?
「私が綺麗ですか?嘘を言わないで下さい!本当は心の中では醜いと思ってますよね!?こんな醜い身体を見て何処が綺麗なんですか!?」
「いや、マリアの身体は綺麗だろ?何処が醜いんだ?その痣か?それとも目玉か?そんな物を気にしてる奴は結局は外見だけしか見てないんだろ。俺にとってはその身体は綺麗だし美しいと思うぞ?」
「っ!?」
彼の言葉に思わず言葉が詰まってしまった。今まで誰にも誉められた事が無かった私にとっては大きすぎる衝撃だった。結局は私も誰かに認められたかったのだろう、だからイクスが言った言葉に私はここまで動揺してしまった。そこからは私は目から溢れる涙が止まるまで彼に抱き付いて泣いていた
それから数分間泣いた後には私の心は晴れていた。こんなにも晴れ晴れな思いになった事は1度も無かった。彼が私を認めてくれた、他でも無い彼に私は惚れてしまった。彼が欲しい、彼を手に入れたい、彼が手に入るのなら私は喜んで民を見捨てよう、彼が手に入るのなら悪魔に魂を捧げられる
「私、貴方が好きよ」
「自分にはまだ早いと思うんだよ」
「ええ、だから貴方が大人になったら返事を聞かせてくれるかしら?」
「う、うん」
例え貴方が私を選ばなかったら私は貴方を捕まえに行くわ。首に鎖を巻き付けて私の部屋に閉じ込めて一緒に暮らすの♪だからそんな飼い殺しになりたくなかったら良い返事を待ってるわ。私の勇者様♪
「あの、そろそろ服を着てくれないかな?」
「あら、私の身体は綺麗じゃないのかしら?」
「いや、目のやり場に困るって言うか……」
「ふふ、何なら下着も外しましょうか?」
「それだけは勘弁してください!社会的に死んでしまいます」
「ふふ、冗談よ♪」
意外と長かったです
次回の更新から深夜帯に更新していきます