転生したら何故か親友がTSヤンデレ勇者に生まれ変わって求婚してくるんですけど!? 作:エスト瓶
「…………」
今私は物凄い憂鬱だ。その原因は二つある。1つはお父様から見合いの話を持ち掛けられた事、もう1つは数日前に私の大切で何よりも愛している弟が彼女を作ったからだ、それも二人も。一人は弟が入隊時からずっと一緒だったアリアちゃん、この子は私も気に入っていたし、イクスと付き合うなら認める程に親しかったので気にしなかったけどもう一人が私をこんな気持ちに追い込んだ悪の元凶の勇者アーシャだった
初対面のイクスにいきなり恋人でも無いのにキスをしたり、ベタベタと体を触ったり、挙げ句の果てには恋人になっているのだから正直言って憂鬱を通り越して死にたくなった
別に弟のイクスが誰を彼女にしようと私に関係無いし…………やめよう、今の台詞で私に対して物凄いダメージを受けて余計死にたくなった。やっぱりイクスにはまだ恋愛は早いと思うな。せめて私が殿方と結ばれてからじゃないと心配で心配で(作るとは言っていない)
そもそも何故私とイクスは姉弟なのか?姉弟じゃなければ今頃は結婚して1、2歳の子供が居ても可笑しくない年齢なのに……この際後先の事を考えずに既成事実を作ってあげようかしら?それが1番まともに思えてきたわ
確か今日はイクスは非番だったわね。この憂鬱な気分を晴らす為にもイクスには頑張ってもらわなくちゃ
「弟君居る?」コンコン
「何?姉さん」
扉を数回叩くとすぐに出てきたイクスに私は挨拶と言わんばかりに抱き締める。既にこの光景は見慣れているので周りからは何も言われないし気にされない
「ちょっと弟君に用があってね。部屋に入っても?」
「そうなの?別に良いよ」
部屋に入ると仕事机に大量の紙の束が置いてあることに気が付いた私はイクスの方に視線を向けるとイクスも私の視線に気が付いたのか苦笑を浮かべていた
「うちの隊長がサボり過ぎたせいで間に合わないから隊長補佐の俺も手伝ってるんだよ」
そう言うけど明らかに手伝うレベルでは無いのだけど……1番上に置いてある書類に目を通して見る
そこには魔物調査での判明した事や各町で起きている事情、その他色々な物がぎっしりと書かれていた
「それで?姉さんの用事って?」
「えっと、座って話さないかしら?」
二人してベットに座る。何だか物凄いドキドキしてきた……
「最近どう?最近はお姉ちゃんも弟君も忙しかったから騎士団の方でも顔を会わせられなかったから」
「特に変わった事はないかな?相変わらず隊長が抜け出して俺とアリアで残った書類を処理してる事が日課かな」
「はあ、今度弟君の所に行って直談判でもしてあげましょうか」
「ハハ、多分姉さんの姿見たら窓から飛び降りる勢いで逃げ出すと思うよ、あの隊長は」
「全く、逃げ出すなら最初から仕事をやれば良いのに……」
確かにイクスが居る部隊にはたまに顔を見せるがそれでもあの男は私が訪ねる日は見計らったかの様に何時も留守にしている
「それでね」
そこからはお互いの起きた事の話をしていると時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまった。そろそろ夕食の時間になり、イクスが立ち上がり扉の方に向かう背中姿は何処か遠く感じてしまった。そしてその背中姿を見て不安が押し寄せる
「弟君!」
「姉さん?」
思わずイクスに抱き着いてしまったがそれでもこの不安は消せなかった。もう私が知っている弟君は何処にも居ない。此所に居るのは姉を必要としない立派になった弟なのだから
「姉さん何かあったの?」
「……弟君はお姉ちゃんの事をどう思う?」
「それってどう言う意味?」
「お姉ちゃんを異性として見れる?」
「……姉を異性として見たら色々と不味いんだけど」
知ってる。姉弟でそんな恋をしてはいけにい。どんなに相手を好きになっても相手が弟だとその恋は決して実ってはいけない……でも私は
「…………」
「フル姉さん?」
分かっていてもこの気持ちは押さえられないだろう。だからこの気持ちを諦める為にこの言葉を言う。イクスは絶対に答えてくれない言葉で
「お姉ちゃんは、いや、私はイクス・クラウンの事を愛しています。だから私と生涯を共にしてくれませんか?」
「!?」
私の告白に目を見開くイクスに心の中で少し微笑んだ。どんなに格好良くなってもイクスはイクスなんだなって
「……ごめん。姉さんの告白は嬉しいけど俺達は姉弟なんだよ。だから……」
「…………」
分かりきっていた答えなのに何でこんなにも心がズキズキと痛むんだろう。これが失恋なんだろうか?
「……姉さん」
「ごめんね!変な事言っちゃって、もう戻るね!それと彼女さん達を幸せにするんだよ?」
イクスから離れ、出来る限りの笑顔を向けて足早に部屋から出ていく。部屋を出る時にイクスが何かを言い描けていたが私は止まらなかった。自室に戻った私はベットに倒れ混む
「ハハ、初めての失恋が実の弟なんて笑えるよね……」
涙が溢れてくる事を我慢せずに私は泣いた。こんなにも辛いなんて誰も教えてくれなかった!こんなにも辛いなら初めから恋なんてしなければ良かった!
どれくらい泣いたのだろう……外はすっかりと暗くなり、部屋の中も真っ暗だった
「そうだ。私あのまま泣き疲れたんだ」
泣きすぎたせいで頭がふらふらするけど今は大分マシになったかな?
「姉さん」
「え?何で弟君がここに居るの!?」
「姉さんが心配だったからね……」
「…………」
お互いに無言になり、先程の告白もあり視線を会わせずらくお互いに見ないようになってしまった
「……さっきの姉さんの告白は正直言って嬉しかった、でもどんな理由があっても姉弟で結婚は出来ないと思うんだ。それに父さん達も許してくれないし」
「……ねえ弟君はお姉ちゃんと姉弟じゃなかったら告白を受けてくれたの?」
「うーん、どうだろね?俺にそれ程の価値があるか分からないし」
「弟君の価値は十分にあるよ。だってお父様とお母様の息子で私の弟だもん」
「アハハ、嬉しいな、姉さんにそんな事を言われるなんて……」
苦笑を浮かべるイクスに私は先程まで落ち込んでいた気持ちを持ち直す為に優しくイクスを抱き締める
「やっぱり弟君の事を諦めるのは無理そうかな……ごめんね?こんな駄目なお姉ちゃんで……」
「良いよ。もし、父さん達がOKを出してくれたら改めて考えよう。それと姉さんは駄目なお姉ちゃんじゃないよ」
「うん。ありがとう」
暗い室内でお互いに微笑み合いながら先程までの雰囲気が嘘の様に消えていった。後でお父様とお母様にこの事を話そう。どんな結果が待っていても私はやっぱり弟君の事を諦めるのは出来ないのだから
食事後
「ん?イクスと婚約?別に構わないぞ」
「え?」
「お前達の関係なんて10年前から知っていたからな。それにこれは遺伝だしな」
「遺伝?」
「ああ、母さんも俺の実妹だからな。因みに親父もそうだし、その前も同じだ。だからお前達がそう言う関係になっても特にとやかく言う事は無い」
「「えええええええええええ!!」」
「何だ?母さんから聞いてなかったのか?」
「そんなの聞いてないよ!」
「可笑しいな、母さんなら事前に教えてると思ってたんだが……」
「じゃ、じゃあ私と弟君が結婚しても?」
「ああ、別に何の問題も無い。寧ろ我が家の血筋を濃くする為ならイクスを襲っても問題ない」
「……お父様、すみませんが今日は早く寝ますね。行こ、弟君」
「待って姉さん!これから起こる事が凄く嫌な予感がするんだけど!?」
「大丈夫。弟君は天井を見てれば良いだけだから」
「ちゃんと孕めよ~」
「ちょっと父さん!止めてよ!」
「さて、今日は母さんと寝る日だったな」
「聞けや!このクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
その後イクスの言葉は誰にも届く事は無く、フルの部屋に引きずり込まれてしまった。彼の為に言っておくが何とか守りきれたらしい。流石は鉄壁のイクスである
イクス君が男を見せてくれる事を期待しましょう。そしてこの家系はかなり歪んでますね