転生したら何故か親友がTSヤンデレ勇者に生まれ変わって求婚してくるんですけど!?   作:エスト瓶

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今回は長めです。時間が守れなかったけど自分が書きたい展開が書けて満足してます


最強の切り札

それは突然だった。アーレスとのお茶会を終えて一息ついている時だった

 

「アーケスト様!緊急事態です!」

 

バンッ!と言う音を鳴らして入ってきたのは鎧を身に纏った兵士の姿だった。兵士は急いでアーレスの近くまで寄り、一礼してから耳打ちをした

 

「!?それは本当ですか?」

 

「はい。既に偵察隊からの連絡も途絶えています」

 

「分かりました。私も玉座にすぐに行きます」

 

先程までののほほんとした時間は無くなり、場には緊張した空気が流れ始めた。アーレスは何かを考え込む様にして、数秒が過ぎた。そして何かを決意したのかアーシャの方に視線を向ける

 

「勇者アーシャ様にお願いがあります」

 

「……何?」

 

「昔、貴女に借りがありましたよね?その借りを今ここで返してはもらえませんか?」

 

「…………理由を聞いても?」

 

「現在我が国は私を支援する平和派と魔族至上主義派が存在すると説明しましたよね?」

 

「まあね。平和派は他の種族と手を取り合って次世代を育てることを良しとする派で魔族至上主義派は他の種族を奴隷として自分達の種族こそが一番だと掲げる派でしょ?」

 

「はい、その通りです。そして現在その魔族至上主義派が数を揃えて城壁の外で構えているらしいです」

 

「ふーん、様は私にそいつ等の説得をしてほしいと?」

 

「いえ、既に彼等はこの国を脅かす害虫に過ぎません。ですから一人残らず殲滅してください」

 

アーレスの決意した瞳にアーシャも少し目を見開き見詰めていたがすぐにアーレスに優しい笑みを浮かべる

 

「うん、良いよ。親友の頼みだもんね?」

 

過去の二人に何があったのかは分からないが『あの』アーシャがアーレスの事を親友とまで言うのだから余程の関係なのだろう。そしてアーシャの視線がアーレスから俺に変わるのが分かった

 

「【春人】お願い、【僕】に力を貸して欲しい。勿論タダとは言わないよ、君が欲する物ならどんな物でも揃えて見せる。だから僕に力を貸して欲しい」

 

俺の事を【春人】と呼び生前の口調が出る程にアーシャは真剣なのだろう。フッ、【奏】は本当に馬鹿だな。俺がお前の願いを断った事あったか?

 

「任せろ。外はお前が戦い、中は俺が守ろう。それとそうだな、王国に帰ったらお前の特製のフルーツタルトでも作ってくれれば良いよ」

 

「……分かった。ありがとう春人」

 

何て言うかお互いがお互いに死亡フラグを建ててるが俺なら兎も角アーシャに至っては大丈夫だろう。例え神が相手でも今のアーシャなら倒せるからな

 

「私達の存在を無視するのはどうかと思いますよ?」

 

「そうだよ!折角新しく出来たお友達の為だもん、私達も協力するからね!」

 

「……任せる」

 

「はは、頼もしい人達だな」

 

それからすぐに戦いの準備の為に自身の装備を確認して、アーシャと姉さんは敵を討つ為に外に向かっていった。残った俺、マリア、アリア、アーレスは玉座の所に向かった

 

「アーストさん、ここがこの国の中心で合ってますか?」

 

「はい、この城を中心に街が出来たのでここがこの国の中心です」

 

「そうですか、分かりました」

 

チェンジ・シールドで手に持っていた盾を今必要な盾と交換する。現れたのは神聖な光を放つ自身と同じ程の大きさの盾

 

「これは…!」

 

「聖剣よりも神々しいです」

 

(この盾はあまり人に見せたくないんだがな)

 

「【スキル・守護神】!」

 

【守護神】とは国1つを包み込む程の大きさの光の壁に守られる。この世に存在する全ての物から範囲内の者達を守ってくれる。それが例え病や迫り来る死であろうが

それらを全て無に返す。自身の生命力と精神力を消費し続ける事によりこのスキルは維持する事が可能だが現在のイクスでは5分を過ぎれば死に至る

 

「っ!此方は何とかしているからアーシャ達も早くしてくれよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イクス……」

 

城壁の外に出ると同時に城を中心に光の壁が現れ、国1つを丸々と覆った。アーシャにとってこのスキルがどの様な効果は分からないが見ているだけで心の底から早く終わらせないと後悔してしまう事にアーシャは直感的に分かった

 

「アーシャ、悪いけど私は最初から本気で行くね?何だかここで無駄に時間を使っているときっと後悔しそうだから」

 

「私もそう思う」

 

お互いに小さく笑い合いながらアーシャは戦乙女の力を解放する。フルの方も奥の手であるスキルを使用したのか今までに無い程の魔力が彼女の周りに溢れだしていた

 

「貴様等があの女の手の者か?」

 

「そうだけど?」

 

首が無い馬に乗った中身が存在しない鎧の悪魔が一番前に出てきた

 

「そうか、ならば死ね!」

 

放たれた槍の一突きをアーシャは避ける事無く右手で掴み取り、鎧の悪魔をそのまま無理矢理引きずり下ろし、核である場所を正確に踏み抜き殺した

 

「生憎と雑魚に掛けている時間は無いの。だから一撃で死ねる事を有り難く思いなさい」

 

「貴様等二人で何が!」

 

他の魔族の者達が何かを言い切る前に彼等は燃えカスとなりこの世から消え去った。何をしたのかなど簡単の事だ。無駄口を叩いている魔族達にフルが一切の容赦も無く、無詠唱で最上級魔法にスキルを上乗せして禁忌レベルの魔法を放ったのだ

 

「言った筈よ?私達には時間がないの。だから静かに死になさい」

 

そこからは戦いでは無く、一方的な虐殺だった。魔族達が何かを使用とすればフルが全てを焼き殺し、戦意を失い逃げる者達をアーシャが何の躊躇いも無く後ろからバッサリと切り捨てたのだ。そして虐殺が終わる頃にはアーシャとフルを除く他の者達は誰も立っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったか……」

 

「イクス様!」

 

「これは危険」

 

「ツクヨミ!急いで治療室に」

 

「ハッ!」

 

戦いが終わった事を聞き、イクスはスキルを解除すると同時に倒れ込んでしまった。灰色だった髪は完全に色が抜け真っ白になり、瞳も赤く染まっていた。明らかにスキルの影響だった。既にイクスの命は風前の灯火だったがそれでもイクスは笑っていた。自分の力で守ることが出来た嬉しさもあるが一番は誰も失わずに済んだ事への安心感だった

 

(……ああ、やっぱり俺ってヒーローとかに一切向いてないや)

 

そんな事を考えながらイクスは遠くから聞こえるアースト達の声を聞きながら意識を手放した




イクス君は自分をヒーローとは思いませんが人々から見て彼は既に英雄として見られてるのかもしれませんね
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