とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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ファントム・バレット編
第1話 新たな出会い


 

ダッ!ダッ!ダッ!

 

 

時は9月の初頭。『アインクラッド攻略記念パーティー』から約1ヶ月が経った。学園都市中の学校は夏休みが終わりを告げ、夏の残暑が残りつつも秋の前触れがここ学園都市にも訪れていた

 

 

「はっ…はっ…はっ…!」

 

 

そんな学園都市第七学区の街並みを走り抜ける大学生が1人。一定のリズムで息を切らしながら、トレードマークのツンツン頭を揺らす少年

 

 

「くそっ!間に合ってくれよ…!」

 

 

そう、上条当麻である。右腕にありとあらゆる異能を打ち消す「幻想殺し」という摩訶不思議な力を宿し、先に世間を騒がせたSAO事件の解決に尽力し、果ては別世界を股にかけALOで魔術の神をも討ち果たした。そんな彼が尋常でないほどの焦りを見せながら目指す場所はーーーーー

 

 

ピロリロピロリロピロリローン♪

 

「ありがとうございましたー!またお越しくださいませー!」

 

ガサッ…

 

「ふぃ〜…間に合ったー。やっぱタイムセールは一人暮らしの大学生と主婦の方々の頼れる味方だよなー♪」

 

 

先ほどまで学園都市を駆け抜けていた少年は、その両手に食材や日用品が大量に詰められたレジ袋をぶら下げ、満足気な顔をしてとあるスーパーの自動ドアから出て来ていた。そう、上条当麻が急いでいた理由はスーパーのタイムセール割引のためであった

 

 

「これでしばらくは生活にも困らないなー。いやー、でもそろそろ色々と落ち着いて来たし…大学生らしくバイトでも始めねーと…いつまでも親の仕送りでスネかじる訳にもいかねーしな…」

 

<おら、さっさと歩けよ

 

「あ?なんだ?」

 

 

レジ袋をぶら下げスーパーから寮への帰路に着こうとした上条の耳に誰かの声が聞こえて来た

 

 

「路地裏か?まさかとは思うけど…一応見てみるか…」

 

 

上条は不穏な声の出どころが路地裏だと察知すると、恐る恐る路地裏の奥へと入っていった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「悪ーりぃ、朝田。あたしらカラオケで歌いまくってたら帰りの電車代なくなっちゃってさー…明日返すからさ、『こんだけ』貸して」

 

 

その頃、学園都市のとある裏路地ではメガネをかけ、短めの髪のサイドを白いリボンで結んだ高校生くらいの少女…『朝田詩乃』がいた。しかし、その詩乃を彼女と同じ学校の制服を着た三人のガラの悪そうな女子高生が取り囲んでいた。そしてその三人の内のリーダーの一人が右手の人差し指を一本突き立て、暗に詩乃に「一万円を貸せ」と脅していた

 

 

「一万円…?そんなに持ってるわけない」

 

「んじゃ下ろして来てー」

 

「・・・嫌」

 

「あん?」

 

「嫌。遠藤さん、あなたにお金を貸す気はない」

 

 

しかし、詩乃は気丈にも遠藤なる不良の女子高生の要求を拒んだ

 

 

「テメェ朝田…舐めてんじゃねぇぞ…」

 

「もう行くからそこどいて…」

 

「・・・へぇ…」

 

スッ…

 

「ッ!?!?」

 

 

あくまでも金を渡さないという詩乃に対し、遠藤は自身の手の人差し指と親指を立て『拳銃』を模した。銃口に見立てたその人差し指を詩乃に向けると、詩乃はそれを見た瞬間に顔から血の気が引いていき、その足腰は生まれたての子鹿のように震え出した

 

 

「ぁっ…ぅぁ…!」

 

「ばーん☆」

 

「!!!・・・あ…あぁ…!」

 

「なぁ朝田〜?兄貴がさぁ、何個かモデルガン持っててさぁ。今度学校で見せてやろうか?お前好きだろー?」

 

「ピ・ス・ト・ル♪」

 

「ッ!オエッ…!」

 

 

遠藤が陰湿な声で迫ると、詩乃は急に両手で自分の口元を抑えてフラフラとよろめいて壁に手をついた

 

 

「おいおいこんなとこでゲロるなよ朝田ー」

 

「アンタが教室でゲロ吐いて倒れた時、すっげー大変だったんだぞ?」

 

 

詩乃を脅す遠藤に便乗して、取り巻きの女子高生二人も揃って詩乃を罵り始めた

 

 

「とりあえず、今持ってるだけで許してやるよ。朝田、具合悪いみたいだしさ…」

 

「ぁ…うぁ…」

 

 

吐き気のあまり壁に手をついて動けない詩乃を見ると、遠藤は彼女の財布を取り出そうとカバンに手をかけようとしたその瞬間ーーー

 

 

「おいっ!!お前らそんなとこで何してんだ!?」

 

「・・・ぇ?」

 

「あぁ?何だぁ?」

 

 

突如として路地裏に怒声が響き渡った。その声の主は、先ほどスーパーのタイムセールで買い物を終えた上条当麻だった

 

 

「何事かと思って見に来てみれば…よってたかって弱い者いじめかよ!?覚悟出来てんだろうなお前ら!」

 

「だ、ダメ…!逃げてください!」

 

「チッ…面倒だな…アンタら、ちょっと焼いてやんな」

 

「あいよ…!」

 

「久々だねぇ…!」

 

ゴウッ!ボウッ!

 

 

遠藤が二人の不良にそう指示すると、二人の女子高生の広げた掌にメラメラと燃える炎が渦を巻き始めた

 

 

「あのさぁ…私らこれでも一応レベル3の『発火能力者』なんだわ?」

 

「火傷したくなかったらさー、ここでのことは見なかったことにして大人しく帰ってくんない?」

 

「悪いが断る」

 

「あっそぉ…じゃあ死ね!」

 

「オラァ!!」

 

ゴオオオオオォォォォォッッッ!!!

 

「!!!ダメッ…!」

 

「ふっ!!!」

 

パキィィィンッ!!!

 

「・・・・・え?」

 

「「「・・・はぁ?」」」

 

 

二人の女子高生の掌の炎が唸りを上げて上条に襲いかかった。しかし、上条の右手がその炎に触れた瞬間、炎の渦は呆気なく消え去り、詩乃やその場の女子高生三人は素っ頓狂な声を上げた

 

 

「言っとくけど、いくらやってもその炎は俺に火傷一つつけられねぇよ」

 

「う、嘘だろ!?」

 

「ど、どうする遠藤!?」

 

「チッ!ずらかるぞ!覚えとけ!」

 

ダダダダダダダダダッッッ!!!

 

 

上条の力とオーラに圧倒されたのか、ガラの悪い女子高生三人は路地裏の奥へと逃げ走っていった

 

 

「ったく…折角買った野菜が燃えるとこだったじゃねぇか…君、大丈夫だったか?怪我か何k…」

 

「ッ!!!」

 

ガバッ!ダダダッ!!!

 

 

上条が詩乃に手を伸ばした瞬間、詩乃は素早く自分のカバンを手に取り、上条の懐をすり抜けて路地裏から大通りまで走り去って行った

 

 

「あ!ちょっと!…まぁいいか。あんだけ走れるってことは大丈夫だったんだろ…これ以上何か起こる前に気を取り直して帰りますか」

 

「でも…今の女の子とガラの悪そうなヤツラが着てたの…俺が通ってた高校の制服だよな…なんにもなきゃいいけど…」

 

 

そう言って上条はスーパーのレジ袋を持ち直すと、路地裏から出て寮へと帰るために歩き始めた。今自分が偶然救った少女との出会いが、これからの自分の運命を大きく変えてしまうことを知らずにーーー

 

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