バアアアアアァァァァンッッッ!!!
「ぎゃあああああぁぁぁっ!!!」
ドサッ…[Dead]
「・・・信じられないくらいに強いわね、彼…ペイルライダー」
「・・・ってかむしろアレにどう銃弾を当てろと…?」
その後ダインとペイルライダーの戦闘を観察していた2人が目の当たりにしたのは、ペイルライダーの見事なアクロバティック技術だった
「アンタの場合は当てるのは銃弾じゃなくて拳でしょう」
「ま、まぁそうとも言う…」
ダインはペイルライダーのアクロバティックスキルを前に為すすべ無く彼のショットガンで撃ち抜かれ、HPがゼロとなりBoB本選から敗退した
(でも…何か違う気がする…あのペイルライダーが例のボロマントの中身とは思えない…だとしたら…)
「・・・とりあえずあの青いヤツ、撃つわよ」
「・・・ああ、分かった」
・・・ドサッ…
「「!?!?」」
ダインを手早く討伐し、一息ついていたペイルライダーを狙撃しようとシノンがスコープを覗き込んだところ、ペイルライダーはいきなり誰かの銃弾を横から喰らい、その場に仰向けになって倒れた
「今の…シノンが狙撃したのか?」
「・・・そう思えるんならまずこの距離で銃声が聞こえなかった自分の耳をどうにかしなさい」
「え?それってつまり…」
「でも、裏を返せばそれは私にも言えること…私が…銃声を聞き逃したってこと…?」
「いや、間違いなく聞こえなかった…一体どういうことだ?」
「考えられるのは…作動音が小さなレーザーライフルか…実弾銃ならサイレンサー付きだったかになるけど…まだ死んでいないはずなのに、なんで動こうとしないのかしら…」
「近くの森の方から撃ったように見えたぞ?」
「ううん。もっと遠距離からの狙撃だと思う。さっき橋まで確認した時には、周囲1キロ内には誰もいなかったから」
「そうか……ん?あれは…」
「なに?どうかしたの?」
「いや、ペイルライダーの右肩に何か刺さってるなぁ…って」
「…右肩?」
上条にそう言われ、再びスコープを覗き込んで照準をズームさせると、確かに上条の言う通り仰向けに倒れたペイルライダーの右肩に何やらバチバチと静電気のようなものを纏った杭が刺さっていた
「あれは…スタンバレット!?道理で…動けないはずだわ…でもあんな高性能な銃弾を装填できるなんて一体どんなライフルを…」
「!?し、シノン!アイツ!橋の真ん中辺りの柱!」
上条が指差した先には、立橋の柱の影にゆらりと不気味に佇むボロボロのマントに身を包むプレイヤーがいた
「!?い、いつからあそこに…!」
「分からない…でも、まるで気配すらなかった…」
ガチャ…
「ッ!?あれは…『沈黙の暗殺者』!?」
ボロマントの姿を認識し、彼が肩に掛けているスナイパーライフルを見るなり、シノンは血相を変えて驚愕した
「サイレントアサシン?あのライフルの名前か?そんなにすげぇライフルなのか?」
「そう…サイレンサー標準装備の…高性能狙撃銃…GGOに存在するって噂は聞いてたけど…私も初めて見たわ。あんな銃を扱えるなんて…アイツ何者なの?」
ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…ガチャッ…
ボロマントのプレイヤーは、ゆっくりと歩きながら麻痺しているペイルライダーに近づいた。すると、おもむろにマントの中に右手を突っ込むと、一丁のハンドガンの銃口をペイルライダーに向けた
「!?」
「・・・?ハンドガンなんかでトドメを差すつもり…?」
スッ…スゥーッ…
そして右手のハンドガンをペイルライダーに向けたまま、ボロマントのプレイヤーは左手でその身体に仰々しく十字を切り始めると、それを見た上条の顔がどんどん色を失い始めた
「・・・シノン…撃て…」
「・・・え?どっt…?」
「あのボロマントの方だ!頼む!撃ってくれ!早く!アイツが撃つ前に!撃った後じゃ何もかも手遅れかもしれないんだ!!」
「ッ!!」
ドゥンッ!!!
上条の声と表情があまりにも焦ったように見えたシノンは、もはや只事ではないと感じ取り、彼に言われるがままヘカートの引き金を引いた。しかし…
ザッ!ドオオオオオオォォォンッ!
「!?か、かわした!?この距離でほとんど見てもないのにヘカートの弾を!?」
ユラリ…ギロッ…
そして弾丸を避けたボロマントは、ゆらりと弾丸を飛ばした方に向き直った。そしてフェイスマスクの赤い眼光がシノンのスコープの視点と重なった
「間違いない…アイツ私に気付いてたんだわ…」
「えっ!?嘘だろ!?一体どうやって…!」
「どこかで私を目視してシステムに認識させてたのよ…じゃないと私の弾丸をかわした説明がつかない…!」
「ッ!!」
ザッ…ガチャッ…
ボロマントのプレイヤーは弾丸が飛んできた方を数秒凝視していたが、まるで興味がないように目を逸らしペイルライダーの方に向き直ると、再度右手に握ったハンドガンを構え彼に照準を合わせた。そして…
バンッ!!
「「!!!!!」」
「う、撃ったわよ…?」
「ど、どうだ…?」
ピクッ…バッ!!
ハンドガンの銃弾はペイルライダーの心臓を捉えたが、結果的にはゲーム的にそのHPを減らしただけだった。すると、スタンバレットの麻痺時間が経過したのか、ペイルライダーは軽やかに飛び起きるとボロマントのプレイヤーの目の前にショットガンを構えた
「!!よしっ!!もらった!!」
・・・ガシャッ…ドサッ…
「・・・え?」
しかし次の瞬間、ペイルライダーはショットガンを地面に落とし、仰向けになって地面に倒れた。そして、まるで何かに苦しむように胸を抑えるとそのまま動かなくなり…
シュウウウウウゥゥゥゥゥン………
[DISCONNECTION]
彼の姿が電子の波となって薄れていき、その姿がやがて完全に消えて無くなった。後に残されたのは『通信切断』を意味する表示だけだった
「・・・何?今の…」
「!!!!!!」
上条当麻はその光景を目の当たりにするなり、目を丸くして驚愕していた。そしてその表情は次第に怒りに燃えたように眉間に皺が寄っていき、ギリギリと歯を食いしばっていた
「オレと、この銃の、真の名は」
「『死銃』」
「オレは、いつか貴様らの前にも現れる。そして、この銃で、本物の死をもたらす。オレには、その『力』がある」
「忘れるな、まだ、終わっていない。何も、終わっていない」
「『幻想殺し』」