とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第22話 共同戦線

 

「・・・シノン、お前は逃げろ」

 

「えっ?あ、あんたはどうするのよ?」

 

「俺はアイツと戦う」

 

「はぁ!?ちょっ、本気!?」

 

「シノン、聞いたことあるか?『死銃』の噂を」

 

「デス・ガン?あの撃たれたプレイヤーは2度とGGOにはログインして来ないって妙な噂の…?」

 

「ああ。おそらくあのボロマント…アイツがその死銃だ」

 

「はぁ!?冗談でしょ!?」

 

「本当だ。アイツは『ある方法』を使って、現実のプレイヤーを本当に殺すことが出来る」

 

「ま、まさか!そんなの…」

 

「既に現実世界では2人死んでる」

 

「!?!?!?」

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

 

しかし、2人がそう話している内にボロマントのプレイヤーは橋の影へと消えていった

 

 

「ッ!?クソッ!逃すか!」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「シノン!俺はアイツの後を追う!お前は出来るだけあのプレイヤーとは接触するな!」

 

「はーー…もうアンタバカなの?わざわざ今すぐ足で追わなくても、サテライト・スキャンで一度アイツの名前を見てこれから行く先を確認しといた方が確実でしょ?」

 

「あ…それもそうだな」

 

「ちょっと待ってて」

 

ピコンッ!

 

 

そう言うとシノンは立ち上がってベルトポーチからサテライト・スキャンを取り出し、フィールドの立体映像を展開し、プレイヤーの輝点をクリックし始めた

 

 

「コレとコレがアンタと私だから…おそらくこの辺りに…えっ!?」

 

「?どうしたシノン?」

 

「消えてる…コレはそこで死んでるダインのポイント…さっきのボロマントのポイントがどこにもない…!」

 

「なっ!?そんなバカな…!」

 

「・・・多分アイツ、あのまま川の中に入ったんだわ。だからサテライト・スキャンの衛星監視に引っかからなかったんだと思う」

 

「なるほど…よし、そういうことならあの川を辿ればいいんだな。ありがとうシノン、俺はこれで…」

 

ガシッ!

 

「・・・おう?」

 

「バカね。そんなことしなくても、川に武装しながら飛び込んだらあっという間に沈むわよ。だからきっと今あいつは武装を全解除してるはず。だから逆に隙だらけなのよ。川から上がってきたところを私が狙い撃つ」

 

「でも…ハンドガン一丁ぐらいなら装備出来るんじゃないか?」

 

「別にそれぐらいなら余裕で押しきれ…」

 

「ダメだ!!!」

 

「ッ!?」

 

 

シノンが考察を語り続けていたところに、上条が大きな声で彼女を怒鳴りつけた。そのあまりもの気迫にシノンは思わず口を閉じた

 

 

「お前も見ただろ?アイツの撃った銃弾が、本当にペイルライダーを殺したんだ。一発でも撃たれたら、それで本当に死ぬかもしれないんだぞ!?」

 

「・・・そんなの…私は認めない。PKじゃなくて…本当に現実の人を殺すプレイヤーがいるなんて…」

 

「それでもやったんだ。アイツは撃たれたプレイヤーが本当に死ぬと分かっている上で引き金を引いたんだ。アイツは危険すぎる」

 

「・・・本当に…そんなヤツが…GGOに…」

 

 

そしてシノンの脳裏に蘇ったのは、『ある記憶』だった。そして、その光景が脳裏によぎる頃には、彼女の表情はどんどん色を失っていった

 

 

「・・・ぁ…ぁぅ…」

 

「シノン!シノン!」

 

「はっ!?」

 

「・・・大丈夫か?お前、今一瞬で顔が真っ青になったぞ?」

 

「・・・大丈夫。ちょっと驚いただけ」

 

 

そう言うと彼女はいつものクールさを取り戻し、自分を心配して肩に手をかけた上条の手を戻させた

 

 

「正直、アンタの話はにわかには信じ難い。でも、全部が嘘や作り話だとは思わない」

 

「ああ、ありがとう。それで十分だ」

 

「とにかく、私たちもここからすぐに動かないと…私たちが戦闘中だと思ったプレイヤーが漁夫の利を狙って近づいてくる」

 

「分かった。じゃあここで別れよう。俺は死銃を追う。シノンは極力ヤツに近づかn…」

 

「ちょっと、移動するとは言ったけど別れるとは一言も言ってないわよ?」

 

「・・・はい?」

 

「忘れたとは言わせないわよ?私との約束。もしアンタが死銃に負けたら、その約束守れないじゃない。アイツは危険なんでしょ?だったら一時的に共同戦線を結ぶ。2人であのボロマントをこの大会から叩き出す。どう?」

 

「いやどうって…本当に危険なんだぞ?やっぱりシノンは…」

 

「死銃がどこに行ったか分からないんだから、一緒にいようがいまいが危険度は同じでしょ?それに、アンタにこのゲームをレクチャーしたのはどこの誰だったかしら?」

 

「・・・はあ〜〜〜…なんで上やんさんの周りにはこう…頑固すぎる子が多いんですかね…」

 

「決まりね。じゃあ一先ずよろしk…」

 

「シノン!退がれ!」

 

ドンッ!

 

「えっ!?きゃあっ!?」

 

ブォンッ!!

 

 

シノンが握手を求めようと右手を差し出しかけたが、上条はその手を取らずにシノンの肩を突き飛ばした。そして、シノンが呆気に取られる中、上条は左腰につけたビームシールドの取っ手を掴みレーザーの盾を展開した。すると次の瞬間、何本もの弾道予測線が2人に向かって襲いかかった

 

 

ダダダダダダダダダダダダダッ!!!

 

カンカンカンカンカンッ!!カンカンカンカンカンッ!!

 

「ふっ!やっ!はっ!だっ!らっ!でやっ!ぜあっ!おらっ!」

 

カァンッ!!!

 

「ウッソォ!?」

 

 

しかし、上条は弾道予測線が示した道を辿るようにビームシールドを振り回すと、火花を散らしながら自分達に襲いかかる弾丸の悉くを叩き落とした

 

 

「はー…まぁ防ぎきれたとはいえ心臓に悪りぃなこれマジで…ともかく、まずはアイツからだな、シノン」

 

「え?え、えぇ…」

 

「それじゃ、俺がシノンを守る。シノンは前だけを見てアイツを狙撃してくれ」

 

「ッ!!/////」

 

(こ、こいつ…!無自覚で言ってんだったら…!///)

 

「・・・シノン?」

 

ドサッ!ガチャンッ!

 

「ふんっ!了解!」

 

 

シノンは少し不機嫌そうに上条の指示に同意すると、地面に腹這いになりヘカートの銃口を敵に向け直し、スコープを覗き込み照準を定めた

 

 

「くっ!!!」

 

ダダダダダダダダダダダダダッ!!!

 

カンカンカンカンカンッ!!カンカンカンカンカンッ!!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

敵がマガジンを装填し終わると間髪入れずに第ニ射が上条とシノンに襲いかかる。しかし、またしても上条は弾道予測線をなぞるように光の盾を導くと、高熱のレーザーで一弾も余すことなく弾丸を弾き続けた

 

 

「今だ!撃てシノン!」

 

「ッ!!」

 

ドゥンッッッ!!!

 

「・・・うっそぉ…」

 

[Dead]

 

 

上条がそう叫んだ瞬間、シノンはほとんど反射的にヘカートの引き金を引き絞っていた。弾丸は見事に敵の腹部を貫き、驚愕の声とともに真っ二つになった死体が地面に転がり落ちた

 

 

「はぁ…なんとかなったわね…」

 

「よっ。ナイスアシスト」

 

「そっちこそ、よく気づいたわね」

 

「んー…なんでだろうな?前やってたゲームじゃ索敵スキル上げてたから…身体に染み付いちまったのかな?」

 

「ま、なんでもいいけど行きましょ。今の戦闘音で他の誰かが気付いてこっちに来るかもしれないわ」

 

「了解。じゃあ一先ず死銃のヤツを追って水面を注視しながら川沿いを歩いて行こう。と言っても上流に行くか下降に行くかなんだが…シノン、お前の意見が聞きたい」

 

「え?ど、どうして私に?」

 

「どうしても何も、シノンの方が圧倒的にベテランだし、何より死銃と同じスナイパーだ。アイツの行動を先読みするならシノンに間違いはない」

 

「・・・そうね、いくら妙な力があると言っても、死銃は基本的には狙撃手だわ。遮蔽物の少ないオープンスペースは苦手のはずよ。でも、ここから北に行くと、川の向こうの森もすぐに途切れる。その先は島中央の都市廃墟まで、ずっと見通しのいい野原よ」

 

「なるほど…じゃあヤツが次に目指す場所はその島中央にある廃墟エリアに間違いないと?」

 

「ええ」

 

「よし、じゃあ俺たちもそこを目指そう。川岸を走れば左右からは見えないはずだ」

 

「わかった」

 

 

そう言ってシノンは上条に少し頷くと、2人は川岸に降りて走り出した

 

 

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