とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第10話 雷神降臨

 

スリュムとの戦闘開始から約20分が経過した。戦いはより一層熾烈を極め、ボス部屋には絶えることなく轟音が鳴り響いていたが、上条たちは未だに明確な勝利の糸口を掴めずにいた

 

 

「右足ストンプ!二秒前!」

 

「ミコト!!」

 

「言われなくてもっ!!!」

 

バチバチバチバチバチィッ!!!

 

「ぐおおおおおっ!!」

 

 

ユイの指示もさることながら、SAO時代からの旧友であるリズベットと美琴はALOでもそのコンビネーションを確固たるものにしていた。攻撃が来る直前で美琴はスリュムに強力な電撃を浴びせ、その攻撃を無力化させた

 

 

「お兄ちゃん!今ならスキルコネクトいけるんじゃない!?」

 

「ああっ!」

 

「あまり調子に乗るなよ小虫どもめが…!」

 

ヒョオオオオオオオ……!!

 

 

二本の剣を構えて走り出したキリトを見たスリュムは、その分厚い胸板がより一層膨らむほど息を吸い込み、部屋全体にヒヤリとした冷気が漂った

 

 

「ダメですパパ!氷ブレスが来ます!」

 

「ぶぅわあああああああ!!!!!」

 

ビュオオオオオォォォッッ!!!パキパキパキパキパキパキ!!!!

 

「ッ!?クソっ!」

 

 

耳をつんざくような雄叫びの直後にスリュムの口から氷ブレスが放たれた。周囲の床を凍らせるほどの冷気と嵐のような風がキリトに襲いかかる直前、キリトとスリュムの間に上条が割って入った

 

 

バッ!!!

 

「うおおおおおっ!!!」

 

パキィンッ!!

 

 

そして上条は極寒の冷気に向かって真っ直ぐに自分の右手を伸ばした。その瞬間、スリュムの氷ブレスは嘘のように勢いを失い、冷気は氷の結晶となって四方に散った

 

 

「うっひょー!なんとか打ち消し切れたけどこりゃ右手に滲みる!」

 

ピィンッ!

 

「お返しよ!その髭面燃やし尽くしてやるわ!!!」

 

ズドオオオオオオオオオオ!!!

 

「ぬがあああああああ!?!?」

 

 

轟音と共に、ユルド銀貨を弾丸にした美琴の超電磁砲がスリュムに直撃した。これまでの攻撃の積み重ねがついに実を結び、スリュムの一本目のHPゲージを削りきった

 

 

「ぬぅおおおおおおお!!!!!」

 

「攻撃パターン変わるぞ!注意!」

 

ヒュウウウウウウウウウ!!!

 

 

キリトの叫びの直後、スリュムは掃除機のように周りの空気を吸い込み始めた。その勢いに前衛の6人の体はスリュムの方へと吸い寄せられていった

 

 

「みんな!防御姿勢!ダメージをできるだけ減らすんだ!上やんは前方で…!」

 

「言われずとも!!!」

 

ブオワアアアアアアァァァッッ!!!

 

 

それは今までの氷ブレスとはケタ違いの範囲に広がるダイヤモンドダストだった。皆を守るべく青白く光る猛吹雪の前に躍り出た上条はその右手をダイヤモンドダストに差し向けたが……

 

 

パキパキパキパキパキッ!!!

 

(ッ!?殺し切れな…!?!?)

 

パキパキパキパキ…パキィンッ!!

 

 

その猛吹雪は幻想殺しが無効にできるスキルの許容範囲を上回っており、上条の右手が徐々に凍りつき始め、防ぎ切れずに漏れ出した冷気が6人に襲いかかり、その身体を氷でガチガチに固められてしまった

 

 

「ぬううううううんっ!!!」

 

ズゴゴゴゴゴゴゴ!!ガシャアアアアアァァァンッッ!!!

 

「「「うわああああああ!!!」」」

 

 

太い雄叫びの後、スリュムは全体重を右足に乗せ部屋全体を揺るがすほどのストンプを繰り出した。そのストンプの衝撃波は広範囲に波となって広がって上条達を覆った氷を砕き、全員のHPを一気に危険域まで減らした

 

 

「þú fylla heilaqr austr brott sudr bani!」

 

キュイイイイイン!!!

 

 

それを見たアスナはすぐさま6人のHPを回復するべく上位回復魔法を唱えた。しかしそれでも全快とはいかず、回復魔法の効かない上条に至っては未だに予断を許さぬ状況だった

 

 

「消え去れいっ!!」

 

「まずい!みんな逃げてっ!!!」

 

「やっ!!!」

 

ヒュンヒュンヒュンッ!ドウッ!ボウッ!ボゴウッ!!

 

「ぬああああああ!!!」

 

 

またしても絶妙なタイミングと正確無比な射撃でシノンの火矢がスリュムの顔面に炸裂した。その射撃の影響か、スリュムは窮地に陥っていた6人を見向きもせずにシノンへと標的を変更した

 

 

「悪いシノン!30秒頼む!」

 

「了解!」

 

 

上条の懇願とシノンの短い返事の後、上条達は一気に回復ポーションを口に流し込みHPを回復させた。そしてHPが8割以上回復したところで前線に戻ろうとしたところ、フレイヤがキリトと上条に声をかけた

 

 

「剣士様、このままではスリュムを倒すことは叶いません。勝利への臨みはただ一つ。この部屋のどこかに埋もれているはずの我が一族の秘宝だけです」

 

「えっと…わ、分かった。宝物って一体どんなのだ?」

 

「これくらいの『黄金の金槌』です」

 

「か、カナヅチ?」

 

 

キリトに尋ねられたフレイヤは両手を30センチほどの幅に広げてそう言い、金槌という美女には似つかわしくないワードに上条は首を傾げた

 

 

「つってもなぁ…この部屋ただでさえ黄金だらけだし…この山のように積み上げられた宝ん中から金槌なんて探しようが…」

 

「・・・あーーっ!!思い出した!!ミコトさん!部屋のお宝に手当たり次第に電撃浴びせて下さい!」

 

 

すると突然キリト達の会話を横聞きしていたリーファが大声をあげ、美琴に意味不明な指示を出した

 

 

「は、はぁ!?それってどういう…!?」

 

「いいから早く!!!」

 

「ええいもうっ!お望み通りにいいっ!!」

 

ビシャアアアアアアンッ!!!!!

 

 

美琴を中心にして部屋全体に雷撃が迸った。波紋となって広がった電撃は全ての財宝にあますことなく伝播していった。ガチガチと音を立て宝物同士が互いにぶつかり合う中、宝の山の中でまるで美琴の雷に共鳴するかのように何かがキラリと眩い光を放った

 

 

「そこかっ!?」

 

ガシャン!ガリガリ!!ガシャン!!

 

 

キリトは一筋の光を放った何かを探し当てるべく宝の山を乱雑に荒らし始めた。すると財宝の中から顔を出したのは、細い黄金の柄と白金の頭を持つ文字通りの金槌だった

 

 

「コレだよな!よっと…ッ!?お、重っ!?」

 

 

しかし、その金槌はパーティーで上条に次ぐ筋力を誇るキリトでさえも楽に持ち上げることの叶わない激重の金槌だった。全身に力を入れ直しやっとのことで金槌を持ち上げたキリトはそのまま金槌をフレイヤに投げ渡した

 

 

「ふ、フレイヤさん!コレを!!」

 

ブオンッ!!パシッ!

 

「・・・へ?」

 

 

すると驚くことに、キリトがやっとのことで持ち上げた金槌を、女性であり魔法使い型のステータスであるはずのフレイヤはいとも簡単に受け止めた

 

 

「・・・久々だなぁ、ちったぁ楽しませろよベイビー」

 

ビシャアアアアアアン!!!!!

 

「「のわあああああああ!?!?」」

 

 

フレイヤの音のない囁きの直後、彼女の頭上から一筋の雷光が降り注いだ。その眩しさと衝撃に思わずフレイヤの近くにいた上条とキリトは尻餅をついた。そして眩い光が晴れた先に立っていたのは、中性的な顔立ちにスラリと伸びた長い髪と黄色い服、黒いズボン、そして首元にストールを巻いた見覚えのある少年だった

 

 

「一先ずは…『雷神トール』…とでも自己紹介しておこうかね」

 

 




みなさんどうもこんにちは。作者の小仏トンネルです。

この度後書きに顔を出させていただいたのは、まぁ平たく言えば宣伝のためです。結論から言いますと、今やっているキャリバー編が終わった後、続編としてマザーズ・ロザリオを書こうと思っています。理由と致しましては先日再放送のSAO2期のアスナとユウキのデュエルを見たのがきっかけです。詳しいことはまた後日記載しますので、これからも何卒「とある魔術の仮想世界」をよろしくお願いいたします!
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