とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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最終話 祝賀祭

 

「はい!というわけで!祝!『聖剣エクスキャリバー』とついでに!『雷槌ミョルニル』ゲットを祝しまして!かんぱーい!」

 

「「「かんぱーい!!!」」」

 

 

その後、無事にウルズからクエストクリアのお達しを受け、エクスキャリバーの所有権を得た上条達はその足並みのままALO内でエギルが経営する『ダイシーカフェ』で祝賀会を開いていた

 

 

「くーっ!まさか本当にゲットしてきちまうとはなー!おい上の字にキリの字!今度は俺の『霊刀カグツチ』取りに行くの手伝えよなー!」

 

「えーっ、あのダンジョンくそ暑いじゃんか…」

 

「おい上やん、使い道がないんだったら雷槌ミョルニルは俺が貰ってやってもいいんだぞ?」

 

「あー!ちょっとエギル!元から私がメイス使いなんだから譲渡の話なら私が最優先でしょうが!」

 

「へっ、商人としては担い手のない上級武具ほど良い商材はないんだよ」

 

「いや誰もあげるなんて一言も言ってねぇからなお前ら!?」

 

 

予定が合わずクエスト不参加だったエギルとクラインも各々の予定をクリアし、ALOにログインして皆と一緒に祝賀ムードを堪能していた

 

 

「それにしても、さ」

 

「ん?どうしたのシノのん?」

 

「どうして『エクスキャリバー』なの?」

 

「ど、どうしてと言いますと?」

 

 

シノンの質問の意味が分からず小首を傾げながら聞いたキリトに対し、シノンはケーキを食べ進めるフォークを器用にくるくると回しながら補足して質問し直した

 

 

「普通は…っていうか大抵のファンタジー小説とかマンガなら表記は『カリバー』でしょ。『エクスカリバー』」

 

「ん〜!がっ!mgmg…あぁ、それは俺も思ってた。俺もさしてそういう話に知識があるわけじゃないけどアーサー王伝説はやっぱ有名だからな」

 

「上やんさん!食べながら喋ると行儀が悪いです!」

 

「も、申し訳ねぇ…」

 

 

シノンの質問を追うようにして、骨つきフライドチキンに齧り付いた上条がその疑問に同意したが、その子どものような有様をユイがすかさず注意した

 

 

「へぇ〜、あたし達と上やん君達の世界は別々でもアーサー王伝説は共通してあるんだね。不思議な感じ」

 

「まぁ多少の差異はあると思うけどな。アレイスターのこととか」

 

「でもそれを言うなら今回のクエでやたらと絡んできた北欧神話もそうじゃない?ウルズさんといい、スリュムといい、フレイヤさんといい…まぁあの軽薄すぎるトールさんはゲーム的な別物と考えた方がいいんだろうけど…あたしたちの世界の北欧神話とほぼ全く同じだったよ?」

 

「や、まぁそれはなぁ…この新生ALOの売り文句はプレイヤーが北欧神話を自由に冒険することであってそこに差異があったら流石になぁ、うん」

 

「でもそしたらこの新生ALO運営してるのって一体どこの誰?ってかなんて企業?ALOだけと言えど別世界線の仮想世界繋げちゃうし、題材にしてる北欧神話だって二つの世界で語られてる北欧神話が同一の物だって分かってなきゃそもそも題材になんてできないよね?」

 

「それは私達の世界でも分からないんですよね。『レクト・プログレス』っていう会社が元あったALOのソフトウェアを配信したデータでアップデートして私達の世界の仮想世界をくっつけたみたいなんですけど、肝心の社長の須郷さんっていう人もそんな別世界に繋がってるすごい人にはとても見えませんでしたし…」

 

「きゅる」

 

(まぁそりゃ当然だよね!なんたってこのゲームを本当の意味で管理してるの北欧神話の最高神ご本人様だもんね!死んでも言えないけど!)

 

「まぁその話は一旦置いといて。シノンさんってその手の小説よく読んだりするの?」

 

「ちゅ、中学の時は図書室のヌシだったから。アーサー王伝説の本も大体は制覇したかなぁ…」

 

ダイシーカフェ名物である『やたらと辛いジンジャエール』の注がれたグラスを弄びながら美琴がそう聞くと、シノンは恥ずかしげに頬を掻きながらそう答えた

 

 

「それに、『キャリバー』って聞くと私には別の意味に聞こえちゃうし」

 

「別の意味と言いますと?」

 

「銃の口径のことを英語でキャリバーって言うのよ。例えば私のヘカートIIは50口径だから『フィフティ・キャリバー』。まぁ英字の綴りとかは違うだろうけどね」

 

「へぇ〜…50口径ってのは大きさ的にはそれなりに大きいの?」

 

「まぁな。一般的な拳銃の口径の大半は38ミリ口径だからヘカートは中々デカイ方だぞ。その分威力も折り紙付きだ」

 

「ほげー、やっぱGGO組はその辺の知識がちげーなおい。俺にはさっぱり分かんねーわ」

 

 

シノンの説明を聞いたアスナの疑問に対し、GGOを始めた頃からは想像できないような丁寧な説明で上条が答えると、クラインがあんぐりと口を開けて言った

 

 

「まぁ上やんさんはシノンさんに既に次のBoBで再戦を申し込まれてますからね…手を抜けばどうなるか分かったもんじゃない以上そこらへんとこも本気出して臨まねば…」

 

「後はそこから転じて『人の器』って意味もあるの。『a man of high caliber』で『器の大きい人』なんて言ったりもする。まぁ元のエクスカリバーを持ってたアーサー王も器の大きい人だったから、エクスキャリバーでもあながち間違いじゃないのかもね」

 

「へぇ〜、覚えておこっと」

 

「多分テストには出ないかな」

 

 

シノンの説明に唸るほど興味を引かれたリーファは感心しながら言ったが、シノンはそんなリーファを見て笑いながらそう言った

 

 

「ってーことはつまり?エクスキャリバーの持ち主はデッカイ器がないとダメってことよね。そりゃーそんだけの人なら極寒の大地を歩いて超極悪難易度のクエストをやってのけたあたし達に労いの意味もこめてご飯の一回や二回奢ってくれるわよね〜?」

 

「ウッ………」

 

「「「じーーーーー………」」」

 

 

テーブルの端の方に座るリズが悪戯っぽく笑いながら言うと、キリトに今回のパーティーのお代を期待するような視線が向けられ、キリトは数秒視線をあちこちに泳がせた後に口を開いた

 

 

「いや、実際のところ今のエクスキャリバーの所有者は上やんだし。奢るなら上やんが奢るべきだよな」

 

「はぁーーーっ!?ちょっ、おま、それは卑怯だろキリト!?第一俺だってクエスト手伝った側だぞ!?」

 

「はっはっは!聞いてなかったのか上やん!?手伝ったか手伝われたのかは今は問題じゃないのさ!リズはエクスキャリバーの『持ち主』って言ったんだ!そこんとこはき違えるなよ!」

 

「モノは言いようだな!?」

 

「言っとくがこの人数でこの食い物の量だ、そんなに安くねぇぞ。現実の俺のカフェと違って予めシステムの数字で決められた値段である以上マケることもできねぇからな」

 

「・・・まぁここは一つ雷槌ミョルニルで手を打とうぜエギル。なに、双方にとって悪い話じゃないだろ。どっかのプレイヤーに高額で売りつけてその儲けを半分に分けてそっから今回の飯代引いても上やんさん的にはお釣りが来ると言いますか…」

 

「結局売るのかよ!?しかもその発想人間としての器極小だぞ!?」

 

「人に責任転嫁させたキリトに器の大きさについてだけは言われたくねぇ!!」

 

「「「あははははははは!!!」」」

 




どうも、作者の小仏トンネルです。

今回をもちまして「とある魔術の仮想世界 キャリバー編」は終了になります。これまでご覧になって下さった読者の皆様、ご読了ならびに応援まことにありがとうございました。

つきましては次回より、とある魔術の仮想世界[3]は「マザーズ・ロザリオ編」に突入いたします。予定になにも変更がなければ早速明日にでも第1話を投稿していきたいと思います。少しでも興味があれば是非お読みになって下さい。これからも「とある魔術の仮想世界」シリーズをよろしくお願い致します!
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