とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第4話 オリジナル・ソードスキル

 

「ねぇ、アンタだったら一体どんなの作る?オリジナル・ソードスキル」

 

 

オリジナル・ソードスキル実装初日、御坂美琴と上条当麻は新アインクラッド21層の迷宮区タワーを練り歩いてた。道を遮るモンスター達も今の彼女達からすれば片手間で倒せる雑魚ばかりで退屈した美琴が自分の後方を歩いていた上条に話題の新システムの話を持ちかけた

 

 

「お前それ俺がソードスキル使わないの分かってて言ってんだろ…」

 

「そりゃもちろん」

 

「少しは気遣えよ!?」

 

「でもアンタも一応SAOやってたんだし、最初の方は片手剣振り回してソードスキルも使ってたわけじゃない?なら自分が思い描く最高の技みたいなのもあるのかなー?って思ってさ」

 

「・・・まぁ、ないこたぁないけど」

 

 

美琴にそう言われた上条は顎に手を当てて少しだけ唸ると、何かを思うように右上に視線を泳がせて小さく呟いた

 

 

「へぇ〜あるんだ。ない前提で質問してたとこもあったのに」

 

「そりゃ俺だって憧れくらいは持つさ。普段から剣使わないならなおさらな」

 

「で?どういうやつがアンタの理想なの?」

 

「えっとだな『……………』」

 

 

美琴に聞かれた上条は、自分が胸の内で考えたオリジナル・ソードスキルを迷宮区を歩きながら美琴になるべく自分のイメージのまま分かりやすく伝えた

 

 

「とまぁ、俺ならそんなソードスキルを作るかな」

 

「・・・ふぅん、ちょっと意外ね」

 

「意外と申しますと?」

 

「男の人ってもっとこう、ド派手な演出とかそういう感じのが好きなんだとばかり思ってたわ」

 

「んー、まぁ美琴は持ってる能力も派手だからそう考えちまうのも納得だろうけど、俺も前までだったらそういうソードスキルを考えたと思うぜ」

 

「は?じゃあなんで?今は違うわけ?」

 

「いやほら、紆余曲折はあったけどなんだかんだで色んなVRゲームを経験してさ、分かったっつーか実感したんだよ。わざわざ相手倒すのに派手である必要はねーってな。GGOがいい例えさ、急所一発撃たれただけで即死だぜ?派手も何もあったもんじゃねーよ」

 

「そりゃそうかもしれないけど…でもGGOって元からそういうゲームなとこあるんじゃないの?なにもALOにまでそんな……」

 

「じゃあ例えば、疲れ切ってる美琴がある相手とデュエルするとしよう。でもそのデュエルを見てる人は誰もいない。デュエル形式は自分で決められる。この状況で美琴だったら初撃、半減、全損決着のどの形式でデュエルを受ける?」

 

「・・・そりゃ初撃よ。疲れてんならなおさらとっとと終わらせたいわ。てかデュエルなんて見ず知らずの相手とやる時に特に理由なんてなきゃ大半は初撃で受けるわよ」

 

「つまりそういうとこなんだよ。俺は別になにも戦闘狂じゃない。普段から殴りかかってばっかの俺が言っても説得力ねぇだろうけど、なんだったら無駄な戦いはしないに越したことはないと思う」

 

「・・・なるほどね。アンタが言いたいことはつまるところ『………………』ってことね」

 

「ま、具体的に言葉にするとそうだな」

 

「・・・確かに普通じゃ出来ないことだけど面白そうね。それに私の運動神経と日頃の演算で鍛えられた脳の伝達速度ならやってやれないことなさそうだし…いいわ、そのアイデア私が貰ってあげる」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

上条当麻は決して武術の達人ではない。もしも上条当麻が空手等の格闘技や武術の大会に出れば、さぞ笑い者になるだろう。しかし、そんな彼でも数多の戦場を乗り越えて武術の達人と同じ極致に至った。古来より武術、剣術、ありとあらゆる『技』において重要なのは、どれだけ派手であるかでも、どれだけ手数の多い連撃であるかでもない

 

 

『・・・なるほどね。アンタが言いたいことはつまるところ、『いかに最少限度の労力で相手を倒すか』ってことね』

 

 

それ即ち『一撃必殺』。それこそが多くの『技』の原点にして頂点。上条当麻はそれが分かっていた。派手で連撃数の多い剣術が是とされ、様々な銃火器が火を吹く仮想世界でも拳を握り続けた彼だからこそ、勝つために最も重要とされることは何であるかが理解出来ていたのだ

 

 

『えっとだな…『相手が避けられないぐらい早くて、確実に相手を一発で倒せる』……とまぁ、俺ならそんなソードスキルを作るかな』

 

(今なら嫌というほど分かるわよ!アンタの考えも、それがいかに正しいかってこともねぇ!!)

 

 

それは絵空事のような、空想の域を出ない剣技かもしれない。そもそも、斬撃と刺突の単発技はほぼ全てのバリエーションが既存のソードスキルとして登録済みである。しかしOSSの登録システムには一つの抜け道が存在する。ソードスキルは元来、一度ソードスキルに設定された初動から技の出終わりまでシステムが最大速度でアシストしてくれるものである

 

 

(そこが分かれば後の話は簡単。初動から技の終わりの速度がシステムアシストの最速を超えればそれは新しい技として認定される!!絶剣のOSSが私のHPを減らし切るのが早いか!私のOSSが絶剣に届くのが早いか!それだけの勝負ッ!!!)

 

「やあああああああああああああああーーーーーーーーっっっ!!!!!」

 

 

その剣技の名は『閃光』。相手に向かってただ真っ直ぐに伸びていく光のような斬撃。かつてアインクラッドで美琴が冠した二つ名であり、その剣技の速さを言葉のままに表した

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッッッ!!!

 

「「「うわあああああああああああああああああああっっっ!?!?」」」

 

 

凄まじい爆風と轟音が辺り全体を包み込み、観客は誰一人漏らすことなく悲鳴を上げた。もはや最後の両者のソードスキルの交錯は誰の目にも見えていなかった。そして勝負の行く末を見届けるために、皆巻き上げられた砂煙が晴れるのを待った

 

 

ザワザワザワザワザワザワ………

 

「け、決着…ついたんですよね?」

 

「きゅ、きゅる〜?」

 

「う、うん…だと思う…」

 

「ど、どっちだ…?どっちが早かったリズ?」

 

「上やんに分かんないならあたしに分かるわけないでしょーが!」

 

「き、キリト君はどっちが早かったか分かった?」

 

「・・・流石に無理だ、分からない」

 

 

観客の騒めきの中で上条達も同じように騒めきの一端になりながら煙が晴れるのを待った。そして段々と時間が経ち、少しずつ去っていった砂煙の向こう側で待っていたのは………

 

 

「・・・っちゃー、流石にスピード補正に頼った一発じゃこんなモンよね…一撃必殺も形なしだわ…こりゃしばらくの目標は筋力底上げかしら…」

 

[WINNER! Yuuki!]

 

 

煙の先にあったのはHPが底をつき、敗北の後1ポイントだけHPを与えられた美琴と、HPゲージを4割ほど残しイエローゾーンで留めた絶剣の姿があった

 

 

「「「おおおおおおおお!!!」」」

 

パチパチパチパチパチパチ!!!

 

 

そしてその直後に観客の割れんばかりの拍手と喝采が二人に向けて送られた。美琴はそれを見て照れ臭そうに自分の頬を掻いたが、対戦を終えた絶剣は自分の剣を鞘に収めると足早に美琴の方へと駆け寄ってきた

 

 

「いやーーー!お姉さんすっごいよ!今まで戦った人の中で一番!最後のソードスキルなんてダメージ入るまで自分が切られたんだって分かんないぐらい早かった!!」

 

「う、ううん。すごいのはあなたの方よ。早さと威力だけじゃない、言葉にできないくらい綺麗な11連撃だったわ。アレだけの技を目の当たりに出来たこと、誇りに思うわ」

 

「うーん!いいねいいね!ずーっとピピッと来る人を探してたんだー!ぃよーっし!お姉さんに決ーめた!」

 

「・・・ふぇ?」

 

 

絶剣は納得したように何度も首を縦に振り、底なしの笑顔を向けると、美琴の肩の上に手をポンと置いて言った

 

 

「あ、今デュエルで貰った勝ち分お姉さんに全部返すね。ボクには必要ないものだし」

 

「え?え、ええ…ありがとう…」

 

「お姉さん、この後時間ある?」

 

「な、ないことはないけど…ど、どういうこと?私さっぱり理解が追いついてないんだけど…」

 

「じゃ!ボクにちょっと付き合ってよ!」

 

「・・・はい?」

 

フワッ!ビュンッ!

 

「うわっ!?ちょっ!?」

 

 

あまりにも突然すぎる誘いにレベル5の頭脳を持ってしても理解が追いつかず混乱している美琴を他所に、ユウキは美琴の手を取って背中から薄紫の翅を出して空へと浮き上がったため、美琴も慌てて自分の翅を出した

 

 

「ちょーっ!?ミコトー!?どこ行くのよー!?」

 

「え、えっと…あ、後で連絡するわリズー!」

 

 

地上から慌てて手を振る親友にそう告げると、手を引かれるままにユウキについていくと、島から少し離れた場所で急に立ち止まった

 

 

「えっと…改めまして、ボクはユウキです。お姉さんの名前は?」

 

「え?わ、私の名前はミコト…ってそんなのデュエルで名前見えてたんだから今さら名乗る必要なんて……」

 

「お願いしますミコトさん!僕たちに手を貸して下さい!!」

 

「・・・手を、貸す…?」

 

 

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