とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第11話 ボス戦

 

「ね、ねぇミコト。あの2人、ボク達を助けに来てくれたんだよね?だとしたらやっぱり2人で30人なんて…ごめん…ボク、ミコトにもミコトの仲間にも迷惑かけてばっかりで…」

 

「へっ?ああ、多分大丈夫よあの2人なら。逆に言えばあの2人だけは大丈夫。むしろアレを相手にする30人の方に同情するわ」

 

「え?そ、そんなに強いのあの2人?」

 

「そりゃもうね。でも、あの2人が勝つかどうかはこの際二の次よ。私たちはこのボス戦に勝つために来たんだから。みんな!HPとMP全快にしておいて!序盤は攻撃パターンも単純だからなるべく攻撃を食らわないように!隙ができたら一気に畳み掛けるわよ!」

 

「「「了解ッ!!」」」

 

 

相変わらず元気の良い返事をすると、スリーピング・ナイツのメンバーは持参してきた回復ポーションを一気に喉に流し込み、丁度全員のHPとMPが回復しきったところで、ボスの出現を意味する咆哮が響き渡った

 

 

「グオオオオオオオオッッッ!!!」

 

「みんな!ここが正念場だよ!気合い入れてこうっ!」

 

「「「おうっ!!!」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「グオオオオオオオオオッッ!!!」

 

ドズウウウウンッ!!!

 

「空振った!動き止まるわよ!」

 

「でやあああっ!!!」

 

「はああああっ!!!」

 

ズビシッ!シャキンッ!!

 

 

フロアボスである二つの頭と四本の腕を持つ巨人との戦いは熾烈を極めていた。7人のみでの戦闘、というのももちろん理由に含まれるだろうが、なにより大きいのが決定的な一打を与えられず、ボスへダメージを少しずつしか与えられず、HPバーはまだ半分ほど残っていた

 

 

「シウネー!回復は後どれくらい保つ!?」

 

「MP回復のポーションはもう3つだけ!余裕はあまりなさそうです!」

 

「あ〜!くっそ〜!せめて何か明確な弱点があれば…!」

 

 

ボスの攻撃を華麗な身のこなしでかわしながら声を張り上げるノリにシウネーが答える。そしてそのやり取りを聞いていたユウキが歯噛みしながらボスのHPバーを睨みつけた

 

 

(・・・おかしい。こっちの攻撃に対してあのボスのHPの減り方は明らかに少ない。きっとどこかに弱点があるはず…でも一体どこに…)

 

「ふんぬっ!!」

 

「グオオッ!」

 

ガキィンッ!!

 

「ぬうっ!相変わらずそのガードは固いですねぇ…!」

 

「!!!!!」

 

 

頭の中で今の戦況を分析する美琴の前方で、テッチがボスの胸元にメイスを振るった。しかし、その一撃は胸元を守るように腕をクロスさせるボスの防御行動によって阻まれた。そしてその行動を見た瞬間、美琴の脳裏で迸る電撃のように何かが閃いた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ガードも固かったですしねぇ…あの防御行動ってランダムなのでしょうか?』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・なるほど…そっか、そういうことだったのね!前衛のみんな一旦退いて!確かめたいことがあるの!」

 

「えっ!?お、おお、おうっ!」

 

「ゴガアアアアアッッ!!」

 

(ここだ!!)

 

ドズウウウウウンッッッ!!!

 

 

一際大きく咆哮しながらボスがハンマーを振り下ろすが、美琴はその一撃を完璧にかわし先の戦いで得た情報通り、ハンマーを床に打ち付けたことでボスの行動がほんの一瞬止まった

 

 

(普通ならあんな高いところ、弓や魔法みたいな遠隔攻撃でしか届かない。だけどあのボスは攻撃範囲が低い私たちの攻撃でも胸元に来る攻撃だけは執拗にガードしていた!つまるところそこにはきっと何かある!そして私はどんなに高いところだろうと『コレ』がある限り直接狙える!!)

 

「はあっ!!!」

 

バリバリバリバリィッッッ!!!

 

「グオッ!?グオオオオオオオオオオオオオオーーーーー!?!?!?」

 

「なっ!?」

 

キランッ!

 

「ッ!やっぱりあった!!!」

 

 

美琴が突き出した左手の掌から雷撃が放射され、それはボスの胸元にある『何か』に直撃した。するとボスは今までにないほどノックバックしHPが目に見て分かるほど減少したため、タルケンが驚愕の声をあげた。そしてその瞬間、ボスの胸元に埋め込まれた宝石のようなものがキラリと光った

 

 

「みんな今の見えてた!?ボスの胸元にある赤色の宝石!アレがボスの弱点よ!!」

 

「えっ!?アレが!?で、でもあんな高いところにあるのどうやって…!」

 

「ジュン!キツイとは思うけどボスのヘイトを稼いで!テッチ!私が合図したらユウキの足元に盾を投げて!同じようにユウキは合図したらテッチの盾に飛び乗って!」

 

「へっ!そんなのキツくもなんともねぇやい!」

 

「りょ、了解!」

 

「ボクはいつでもOKだよミコト!」

 

「タイミングは次にボスがハンマー振り下ろしを空振って動きが止まった瞬間よ!みんな後少しだけ頑張って!」

 

「「「上等ッ!!」」」

 

 

「グオオオオオオオオッ!!」

 

ジャラジャラジャラジャラッ!!

 

「左!鎖なぎはらい攻撃来ます!」

 

「タル!ジュンに防御バフを!!」

 

「Þeír fylla skína hugr hogg margr illt!」

 

 

ボスが四本腕の内の鎖を持つ腕を振りかぶったのをシウネーが見計らうと、それを聞いたノリがタルケンに指示を出した時には既に呪文の詠唱が終わっていた

 

 

「ナイスアシストだぜタルケン!」

 

ガリガリガリガリッ!!!

 

 

タルケンの防御支援魔法を受けたジュンは両手剣を縦に構えると、荒波のように襲い来る鎖を見事に受け流し切った

 

 

「グオオオオオオオオッ!!」

 

ブォンッ!!

 

「バトルアックスが来るぞ!!」

 

「させませんっ!Ek skýt fjórir ískaldur ör!!」

 

キンッ!パリィンッ!パキィ!カァンッ!

 

「ゴガアアアアアッ!?」

 

 

ジュンが叫んだ直後、シウネーがこれ以上ないほどの早さで氷属性の攻撃魔法を詠唱した。その呪文に導かれるように何もない空間に四つの氷の槍が現出し、ボスが振り下ろしかけたバトルアックスを迎撃した

 

 

「うっそぉ!?シウネー攻撃魔法も唱えられたの!?」

 

「ひゃーーーっ!!初めて攻撃魔法を唱えてしまいたしたぁーーーっ!!」

 

(は、初めての攻撃魔法であの命中精度!?さっきの完璧なコンビネーションと言い、本当にどうなってるのかしらこの人たちのゲームセンスは…!)

 

 

これまで支援魔法と回復魔法しか唱えたことのなかったシウネーが攻撃魔法を唱えたことに衝撃を隠せなかったユウキが叫ぶと、シウネーは1回目のボス戦に挑む前に初めて対人戦を経験した時のように、目を輝かせて飛び跳ねて喜んでいた

 

 

「グオオオオオオオオッ!!!」

 

「来たわよ!お待ちかねのハンマー攻撃!みんな絶対に避けて!ユウキ!テッチ!行くわよ!」

 

「「おうっ!!!」」

 

ズドゴオオオオオオッッッ!!!

 

「今よっ!!」

 

「せいっ!!」

 

ブォンブォンブォンブォンッ!!

 

「そいやっ!!」

 

カァンッ!!

 

 

美琴の合図にタイミングを合わせ、テッチは自前の盾をユウキの足元に滑り込ませるように放り投げると、ユウキもまた絶妙なタイミングでジャンプし、見事に盾の上に飛び乗った

 

 

「いっけえええぇぇぇっっっ!!!」

 

バチィッ!!バァンッ!!!

 

 

美琴が気合いの叫びと共に雷光を帯びた両手を地面に叩きつけると、その電撃は鋼鉄の地面を伝ってユウキの乗る盾まで伝播していき、美琴が能力の応用で磁場を発生させ盾を磁力で反発させると、ユウキごとボスの頭上へと打ち上げた

 

 

「思いっきりぶちかましてきなさい!ユウキッ!!」

 

「任せて姉ちゃんっ!!」

 

(・・・・姉ちゃん…?)

 

「やああああああああっ!!!」

 

 

美琴はユウキからの思いがけない呼ばれ方に戸惑いながらも、次の瞬間にはソードスキルの力を得て美しく光を放ったユウキの剣にその目も心も魅了されていた

 

 

ザンッ!ズバッ!ザクッ!ビシュッ!ドスッ!キィンッ!ズバンッ!ザンッ!ドシュッ!ドスッ!

 

「グオオオオオオオオッ!?!?」

 

「せぇやああああああっっっ!!!」

 

ドッバアアアアアアアンッ!!!!!

 

 

ボスの弱点の宝石にALOの絶対無敵の剣が誇る11連撃全てが吸い込まれていくように叩き込まれた。そのソードスキルはボスの残されたHPを根こそぎ掠め取り、ボスの肢体は爆発的なオブジェクト破砕音とともに飛び散った

 

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