とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第16話 超電磁砲VS幻想殺し

 

「「オラオラオラアアアッ!!!」」

 

ズドオオオッ!ピキィンッ!キィンッ!ガァンッ!バキィィィッッ!!!

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

『・・・Oh…』

 

 

フィールドではまるで二つの巨大な嵐がぶつかり合っているかのような激戦が繰り広げられていた。お互いの気迫のままぶつかり合う2人に、驚愕を通り越して観客はおろか実況すらも既に言葉を失っていた

 

 

「「うおおおおおおおおお!!!」」

 

ズドオオオッ!ピキィンッ!キィンッ!ガァンッ!バキィィィッッ!!!

 

 

戦況はまさに一進一退の攻防であった。美琴の電撃は上条の幻想殺しによって悉く打ち消され、レイピアの斬撃は鉄壁の盾によって防がれる。一方の上条も自分から仕掛けていけば美琴が距離を取り、右腕の攻撃範囲を確実に脱し、盾による投擲も電撃で跳ね返され、動き回りながらそれを拾う。試合制限時間の5分は既に1分しか残されていないにも関わらず、両者のHPは8割をキープしていた

 

 

(ったく相変わらず硬いわねぇコイツは!味方として戦ってくれてた時はこの防御に何度も救われたけど、敵にするとここまで厄介だとは思ってもみなかったわ!えぇいもう時間がほとんど残ってないじゃない!)

 

(あぁもうやり辛ぇったらねぇな!全ッ然攻撃の間合いに入れねぇじゃねぇかクソッ!流石に美琴のやつ俺の戦い方を熟知してるな…これじゃHP削りきるのは無理だ!時間切れの優勢判定で勝ちをもぎ取るしかねぇ!)

 

 

上条と美琴の両者共々、内心ではこの戦況に痺れを切らしていた。そして撃ち合う度に燃え上がっていく思考の中で理解していた、ここからは選択を先に誤った方が敗北を喫すると。そんな中、先に行動を起こしたのは上条の方だった

 

「ふんぬっ!」

 

シュルルルルル!!!!!

 

(また性懲りもなく盾の投擲ね。だけどこの局面で考えるアンタの戦略はおそらく…!)

 

ガキィンッ!!

 

(盾の投擲はブラフ!盾に気を引かせている間に私との間合いを詰め切ること!!)

 

キュイイイィィィンッ!!

 

「お見通しよ!食らいなさいっ!」

 

「やっば!?」

 

 

美琴は投げつけられた盾を頭上に弾き飛ばした直後、一つのソードスキルを発動させた。ユウキとのデュエルでも使用した四連撃の細剣ソードスキル『カドラプル・ペイン』。完全に自分の動きも読まれ自前の盾も宙を泳いでいる上条にこれを防ぐ術はなかった

 

 

ピタッ!

 

「なんてな」

 

フォンフォンフォンフォンッ!!!!

 

「なっ!?!?」

 

 

しかし、美琴のレイピアにはなんの手応えもなく、その刃は寂しく虚空を切り裂いただけであった。上条はこの先の一手を読み、敢えて全ての間合いを埋めず一定の間隔を空け、美琴のソードスキルを空振りさせたのだ

 

 

(やばいっ!完全に読み違えた!!これじゃスキル使用後の硬直のせいで防ぎようがないっ!!)

 

ダンッ!!

 

「おおおおおおおおおっっっ!!!」

 

バッキイイイイイイイッッッ!!!

 

「いぎぃっ!?!?」

 

 

上条は今度こそ美琴との間合いを埋めるために、これ以上ないほど地面を強く踏みしめた。そしてありったけの力を込めた右アッパーを美琴の下顎に見舞った。美琴のHPは3割ほどまで削られ、その視界が激しく揺さぶられながら身体は空中へと投げ出された

 

 

「こんなところで…負けてっ…たまるもんですかああああああ!!!!!」

 

バチィッ!ガァンッ!!

 

「いでぇ!?」

 

 

美琴は背中から翅を展開し、空中で体勢を立て直すと、先の攻防で弾き上げた盾を磁力で操り、そのまま上条の頭に叩きつけた。これには上条もたまらず仰け反り、その衝撃に顔を歪めた

 

 

「貰った!!!」

 

バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!!!!!

 

「どわあああああああ!?!?!?」

 

 

当然その隙を美琴が見逃すはずもなく、上条の土手っ腹に投擲された雷撃の槍が突き刺さった。しかしそれでも決定打にはならず、上条のHPは5割ほどを残して停止した

 

 

(浅かった!でもまだ終わったわけじゃない!この状況で私が取るべき選択は、回避不可かつ防御不可の一撃!でも私のOSSのネタはアイツに割れてるから最悪カウンターを食らう!だったらもう私には…っ!)

 

「これしかないっ!!!!!」

 

バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!!!!!

 

 

再び美琴の身体の周りを鮮烈な紫電が覆った。勝負の土壇場で極限にまで研ぎ澄まされた思考の末、美琴は自分のレイピアを逆手に持ち、槍投げのように振りかぶった

 

 

「いっけえええええええええ!!!」

 

ズドオオオオオオォォォッッッ!!!

 

 

美琴の腕からレイピアを弾丸にした渾身の超電磁砲が放たれた。思考の末に条件に上げたガード不能の要素はそのレイピアにこそある。普段の美琴が弾にしている銀貨では上条の右手によって電撃を消されてしまえばダメージは通らない。しかし、その弾丸がレイピアならば電撃がかき消された後でもその刃が対象を貫く。まさに美琴にとっては最良の選択であった

 

 

(勝っt……!?!?!?)

 

バオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!

 

「「「うわあああああ!?!?」」」

 

 

そして突如、上条と美琴のいるフィールドを中心に、コロシアムを莫大な衝撃と爆風が覆った。観客は1人も余すことなく悲鳴をあげてひっくり返った

 

 

ザワザワザワザワザワザワ……

 

「な、なんか…あたしの記憶が正しければミコトとユウキの時もこんな感じだったわよね?」

 

「は、はい…でも少しあの時とは違います。あの時の2人は『どっちが早かったか分からなかった』だけですが、今回は『最後に何が起こったか』すら分かりませんでした」

 

「私もミコトが超電磁砲を撃ったところまでは見えてたけど…その先は分からなかった」

 

「俺もだ。だけどあまりにも衝撃がデカすぎなかったか?観客が全員吹っ飛ばされるなんてミコトの超電磁砲だけじゃ無理だ。ミコトの超電磁砲と同等かそれ以上の何かをぶつけ合わねぇと正直ここまでの爆風と衝撃は…」

 

「ま、まさか上の字の野郎がそれをやったっつーのか?でも右手しか取り柄のねぇアイツにそんな芸当できっかぁエギル?」

 

 

この展開には2人の知人であるリズベット達にも驚きを隠せず戦慄していた。その光景を目の当たりにしてなお自分たちの目を、耳を疑い、背筋は凍りつき額からは冷や汗が止まらなかった

 

 

「・・・ねぇ、キリト君」

 

「ああ、多分俺も今アスナと同じことを考えてた。今のは十中八九、上やんの『アレ』だ」

 

「じゃあ今のはやっぱり…お兄ちゃんとのデュエルの最後と世界樹攻略の時に見せた…」

 

 

そしてかつてALOで上条と旅を共にした3人は、それが何であるかおおよそ理解していた。それは『見えざる何か』であること、そしてそれは他でもない上条当麻の力であるということを

 

 

「はぁ…やっぱ癖ってのはよくねーな…ついつい右手で受けたせいで『出ちまった』」

 

「あ、アンタ本当なんなのよ…レイピアが右手に刺さって手首から先ごと切り飛ばしたと思ったら…次の瞬間には訳の分かんない力で私の身体ごと吹っ飛ばされて…もしかしてSAOで一方通行と闘った時に出たのと同じカラクリなわけ?」

 

「ま、まぁ企業秘密だ」

 

「ったく…いい?次やる時は自分からその訳わかんないのを使わせてやるから覚悟しときなさい」

 

「・・・今のでも十分ビビったのに肝が冷えるぜ本当に…」

 

[WINNER!Kamiyan!]

 

 

そして晴れていく煙の先で待ち受けていたのは、底をついた美琴のHPゲージと、かろうじて1割ほど残った上条のHPゲージ。そして激戦の勝者を高らかに宣言する豪快なサウンドとテロップだった

 

 

『き、決まったぁーーー!!まさに大接戦!大混戦!超激戦!白熱の準決勝第二試合!その右手で勝利をもぎ取ったのは上やん選手だーー!!』

 

ワアアアアアアアアアアア!!!!!

 

 

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