とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第2話 オーディナル・スケール

 

「・・・っとここか…意外と近かったな」

 

 

時刻は既に夜の9時前。学園都市の街中は数多の電灯で光り輝き、頭上には月が望む夜の街へと様変わりしていた。そして上条当麻は夜に覆われた学園都市をアクロバイクで駆け抜け、放課後に話題となったオーディナル・スケールのイベントバトルの指定場所へとたどり着いていた

 

 

ザワザワザワザワザワザワ…

 

「しかしどこの会社が運営してるか知らねーけど手込んでるよなぁ…ちゃんと邪魔にならないように清掃ロボットが一区画ちゃんと交通規制敷いてくれんだからよ…」

 

シュンッ!!

 

「のわあっ!?」

 

 

上条は清掃ロボットが綺麗に整列し交通規制を敷く様子や、イベントのために集まって来た他の学生を含めたプレイヤーを興味深く見つめていた。すると急に目の前に上条のよく知る電撃姫とツインテールの高校生が現れた

 

 

「ふー、ありがと黒子」

 

「まったく…いくら流行りのこととは言えど程々にして下さいですの」

 

「分かってる分かってる」

 

「お、なんだ美琴達だったのか。ってか結局白井を足に使うのなお前…」

 

「あ、アンタもう来てたのね」

 

「なっ!?まぁたこの憎き類人猿ですの!?今日という今日こそはその脳天にこのお姉様と私の普遍の愛を象徴した鉄の矢をぶち込んでやりますのぉぉぉ!!!」

 

「やめんかコラァァァァァ!!!」

 

バッチコーーーーーン!!!

 

「ぶべっ!?」

 

 

いつもの調子で白井黒子が上条に飛びかかろうとしたのを見ると、美琴は自身の能力を上乗せした電撃の平手打ちを白井に見舞った

 

 

「まったく…今日は周りに清掃ロボットもいるからビンタで勘弁してやったけど、次はこうはいかないわよ」

 

「ぐ、ぐふっ…あんまりですの…ま、そういうことでしたら黒子はこの辺にて失礼致します」

 

「あれ?白井はやってかねーのか?」

 

「ご冗談を。あなたのような暇で暇でどうしようもない大学生とは違うんですのよ?それと、私にはまだ風紀委員の仕事が残っておりますの。オーグマーやオーディナル・スケールが流行してからというものの色々と交通規制などの面倒が付いて回りまして…こっちの身にもなってほしいですわ。妙な事件も頻発しているようですし…」

 

「妙な事件…?」

 

「あらあら、もうこんな時間でしたの。それでは、ごめんあそばせ」

 

シュンッ!!

 

 

最後にそう一言だけ断りを入れると白井は再び能力を使用し、その姿はあっという間にその場から消失した

 

 

「なんだ?妙な事件って…SAOのフロアボスが出現するようになったことについて言ってんのか?」

 

「お、なんだ?上の字とミコトも来てやがったのか?」

 

「あら、クラインさん」

 

「ん?おお、クライン。飲み以外で会うのは久しぶりだな」

 

「お?だったら今日もこの後飲んでくか?」

 

「断る!」

 

 

白井がいなくなったかと思えば、次に背後から二人に呼びかけた男はSAO時代からの仲間であるクラインだった。そして彼の後ろには、彼をリーダーに置き、中年層の男性を集めたアインクラッド攻略ギルド『風林火山』のギルドメンバーが集合していた

 

 

「んだよツレねーなぁ…ところでやっと上の字もオーグマーを手に入れたのか?」

 

「ああ。美琴のお古だけどな」

 

「かーっ!いいねいいねぇモテる男は!女子からのプレゼントなんてそんなの一つもねーよ!おおーしオメェらぁ!今日は上の字から愛しのみこっちゃんを奪還するぞぉ!!」

 

「「「うおおおおおおお!!!」」」

 

「いや何度も言うけど俺は別にモテてねーよ…モテてたらとっくに彼女ぐらい作ってるって言ってんだろが」

 

「・・・ミコト、お前さん頑張れよ」

 

「みなまで言わないでクラインさん。クラインさんに言われるとなぜか余計色んなものに対して腹が立ってくるわ」

 

「辛辣ぅ!?」

 

「???」

 

ザワザワザワザワザワザワ……

 

 

クラインと美琴の会話の訳が分からず頭をひねらせる上条だったが、街のビルに取り付けられた巨大な電子時計が9時丁度に近づくにつれ、周りのざわつきが大きくなり始めた

 

 

「っとそろそろね…起動の仕方とゲームの所作はさっき教えたから分かってるわよね?それと、さっき買って来たやつ忘れたとか言わないでよね?」

 

「まさか、流石の上条さんだってそんなミスはしねーよ。ほら」

 

 

そう言って上条はポケットから右手しかない真新しい手袋を取り出した。右手の甲の骨格に合わせて銀色のラインが引かれ、わざと指先が外に出る指抜きグローブと同じデザインを採用しているそれは『ARグローブ』なる代物であり、上条が放課後に美琴達のアドバイスで購入したオーディナル・スケールの為の専用グッズだった

 

 

「コイツを手に着けて…オーグマーを着けて…準備OKだな。これでどんな相手が来ても心配せずに殴れる」

 

「全く今さらながらアンタも物好きよねぇ…AR戦闘でも拳にこだわることないのに」

 

 

そう言いながら美琴が手の平で転がしている純白のペンライトのようなものは、オーディナル・スケールで『剣』などの役割を果たす専用のコントローラーだ

 

 

「そう言う美琴こそ、相変わらずの細剣じゃねぇか。お得意の能力と超電磁砲は使わなくていいのか?」

 

「アンタねぇ…分かり切ってること聞くんじゃないわよ。実体のないただの現実を拡張した映像に能力が効くわけないでしょうが」

 

「ははは、冗談だって」

 

キーン!コーン!キーン!

 

 

そんな軽口を叩きあっていると、街中のデパートに取り付けられたデジタル時計が9時になったことを知らせる電子音を響き渡らせた

 

 

「お、とか言ってるうちにもう9時か。そいじゃ、いってみますか」

 

「そうね」

 

 

そう言うと上条と美琴は一呼吸置き、目を閉じて深く息を吸うと、閉じた瞼を一気に開き、たった一言のフレーズで現実世界を前人未踏の異世界で塗りつぶした

 

 

「「オーディナル・スケール 起動!」」

 

 

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