「これがアインクラッド第100層…『紅玉宮』」
「まさか二年も経って、ここに来る羽目になるとはな」
仮想世界へと意識を飛ばした上条達は、アインクラッド上空から球状のバリアに包まれながら、アインクラッド100層の内部へと到達していた
「いよいよだな。そんでここの…ボス………は…………」
・・・・・ゴゴッ………
「ひっ!?」
「ちょっ…!?」
・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
「・・・嘘でしょ…」
「・・・まさに100層に文句ねぇ面構えだな…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
「で、デカすぎるにも程があんだろ!?」
そしてそこで待ち受けていたのは、全長はゆうに50メートルは超えているのではないかと思うほどの巨大なモンスターだった。白くも禍々しい服を身に纏った身体の大半は、血のような赤で染め上げられ、悪魔のような赤い瞳、赤い宝石が光る白い鬣。そしてその巨躯に見合うだけの槍と剣が両手に握られていた。もはや目にしただけで威圧で押し潰されそうになっていた上条達に向けて、ボスモンスターは無言で槍で一閃した
ドッゴオオオオオオオオッッッ!!!!!
「ッ!?エギルッ!!」
ギリギリギリギリッッ!!
「こ、これが…!SAO本来のラスボスか!」
ボスの放った槍はエギルに直撃したかに思われたが、エギルは寸手のところで槍を斧で受け流し事なきを得ていた。そしてシノンか宮殿の上層部分に、上条達四人がフィールドに降り立ったところでボスの名前とHPバーが表示された
「『An Incarnate of The Radius』…」
「・・・具現化する…世界…」
「HPバーが合計10本…へっ、タフじゃねぇか。一本分けろって感じだぜ」
「・・・・・行くぞっ!!!!!」
「「「!!!!!」」」
ジャキィンッッッ!!ダンッッッ!!!
上条の叫びとともに、フィールドの四人は武器を抜き放ちボスの懐へと飛び込んでいった。ボスもそれを迎え撃つように鬣の宝石から歪曲する無数の光線を放った
ドドドドドドドドドドドドッッッ!!!
「早っ…!?」
ピキィンッ!!ズドォッ!ドドドドォッ!
「きゃあああああ!!!」
「うわあああああ!!!」
「ッ!?リズ!シリカ!」
「このっ!!」
バァンッ!バァンッ!
「!!!!!」
ブオオオオオオンッ!!ドドドドドド!!!
「きゃああああああ!!!」
襲いかかる七色の光線を上条はなんとか右手で無力化したが、リズとシリカは防ぐことが出来ず壁に打ち付けられた。お返しとばかりにシノンがボスを狙撃したが、ボスは平気な顔でその紅い眼を光らせ二本の極太のレーザーを発射し、上の階層ごとシノンを焼き払った
「この野郎っ!うおおおおおおおっっ!!」
ガアンッ!!!
(ッ!?なんだこれ…バリアか!?俺の右手じゃ無効化できn…!)
グオオオオオオオンッッ!!!
「どわあああああああ!?!?」
右手で拳を握り突撃した上条だったが、その拳はボスに届くほんの数センチ手前で透明な壁に阻まれた。そしてそのままボスに体ごと押し飛ばされ、勢いよく壁に叩きつけられた
「おらああああああああッッ!!!!!」
ガアンッ!!ギリギリギリッ!!!
「上やん!スイッチ!!!」
「おおおおおおおおおおおおっっっ!!!」
ビキビキビキビキッッッ!!!
「スイッチ!!!」
「「でぇりゃあああああああ!!!!!」」
ドッゴオオオオオオオオォォォッッッ!!!
続いてエギルが特攻し、ボスの槍を防いでる間に上条がもう一度拳を叩き込むと、ついにボスのバリアにヒビが入った。そしてダメ押しと言わんばかりにリズベットとシリカがスイッチで割って入り、ボスのシールドを破りダメージを与えた
「!!!!!」
メキメキメキッ!ポチャンッ!シュウウウ!
しかし、次に待っていたのは上条たちを絶望の底に突き落とす光景だった。ボスの紅い瞳が一際怪しく煌めいたかと思えば、地面を裂きながら巨大な樹木が出現した。そして、その葉先から滴った露がボスの鬣の宝石に落ちると、ボスのHPがみるみると回復していった
「んなっ!?」
「・・・え、HP全快の上にもう一本ゲージ追加かよ…少しは苦しい顔するか声ぐらい上げろってんだ…!」
「こんなの…倒せっこないわよ…」
「おい茅場…お前本当に俺たちにゲームクリアさせる気あったのかよ…!」
「!!!!!」
ベキベキベキベキッッッ!!!
「ッ!?みんな避けろっ!!!」
ドドドドドドドドドドドドッッッ!!!
「ぐっ!?くそっ!!
「シリカッ!!」
ドンッ!!
「きゃっ!?リズさん!!」
上条が目の前のボスを考案したSAOの創始者に向かって悪態を突いていると、巨大な樹木の根が意思を持っているかのように畝りながら上条達に襲いかかってきた。そして回避が遅れたエギルと、シリカを庇ったリズベットがその大木に身体を絡め取られてしまった
「このっ!二人を離しなさいっ!!!」
バァンッ!バァンッ!バァンッ!!!
「!!!!!」
ビイイイィィィッ!!ガラガラガラッ!!!
「うわああああっっっ!?」
体勢を立て直したシノンが再び狙撃を開始すると、ボスはもう一度瞳から紅い光線を発射し、上の階層を焼き払った。その結果、天井と壁が崩れ落ち、シノンは瓦礫の下敷きになり身動きが取れなくなった
「やめてっ!!」
「!!!!!」
グオンッ!ゴゴゴッ!!バァンッッ!!!
「ぁぐっ!?!?」
そして次にシリカがボスへと攻撃を仕掛けようとしたが、ボスが周囲に睨みを利かせただけでフィールドの瓦礫が念能力によって動き、シリカを板挟みにした
「シリカッッ!!!」
「!!!!!」
グオンッ!ドゴオオオオオォォォッッッ!!
「ぐはっ!?」
そして上条がシリカを救出しようとボスに攻撃仕掛けたが、ボスのカウンターを喰らい、剣を手放した豪腕で握り潰されながら壁に叩きつけられた
「上やん!!」
「シリカーッ!!」
「銃が…届かないっ…!」
ゴリゴリゴリゴリッッッ!!!
「いやああああああああ!!!!!」
ブオンッ!!!
「クソッ…!」
全員が身動きを封じられ、シリカを板挟みにしている岩盤の引き合う力がより一層強まり、堪らずシリカは悲鳴をあげた。そしてボスの視線からは紅い眼光が迸り、上条はなんとか右手だけでもボスの腕から出そうと試みたがどうにも身動き出来ず、もうダメかと諦めかけたその瞬間…
「吹っ飛べっ!!!」
ズドオオオオオオオオォォォンッッッ!!!
「アアアアアアアァァァァ!?!?!?」
雷光が閃いた。その最大出力たるや10億ボルトを自らの細剣に上乗せして放たれた一撃はボスの片目を抉り取り、その痛みにボスはたまらず甲高い悲鳴をあげた
「!?こ、この電撃…んでもって常盤台のお嬢様とは思えないこの野蛮な言動は…!!」
ジャキィンッ!!!
「誰が野蛮だコラァ!!!」
「「「美琴(さん)!!!」」」
ボスの顔面へ降り立ち、上条に反論しながらその眼から細剣を抜いたのは、かつてこのアインクラッドで『閃光』の名を轟かせた御坂美琴だった