とある魔術の仮想世界[3]   作:小仏トンネル

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第19話 最終決戦

 

ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!

 

「ふぅ…みんな、お待たせ」

 

 

美琴の強烈な一撃もあり、ノックバックしたボスの超能力や大樹は力を失い、自由になった上条達が水妖精に扮した美琴の元へ駆けつけると、美琴は清々しい笑顔でそう言った

 

 

「美琴!お前意識は…!」

 

「えぇ、ちゃんと現実の方で戻ってるわよ。そしたら白いユナちゃんが急に病室に来て『助けて!』って言われるがまま、すぐさま黒子を呼び寄せて寮に戻ってアミュスフィアでダイブしたのよ」

 

「ミコトさん、ごめんなさい…そのっ…全部私のせいなのに…」

 

「ううん、いいのよシリカさん。誰が悪いなんてないんだから。シリカさんの方こそ無事でいてくれて、本当に良かったわ」

 

「ミ、ミコトさん…!」

 

「よし、そんじゃあミコトも加勢に来てくれたことだし、アイツを何とかするとしますか!」

 

「何とかするって6人でか?正直ミコトが来てくれたのは心強いが、一人増えたところで多分そんなに戦況は変わんねーぞ?」

 

「ぐっ!せ、折角熱入ってきたところなのにいきなり冷やしてくれんじゃないわよエギル!」

 

「でもまぁやるしかねーだろ。俺たちがアイツを何とかしなきゃ、競技場にいる一万人は助けられねーんだ」

 

「・・・そうね。それじゃ行くわy…!」

 

ビュオオオオオオオッッッ!!!

 

「ッ!?これって…ALOの風魔法?ってことは…!」

 

『御坂さーん!みなさーん!お待たせしましたー!白井さんから報告を受けて皆さんをお呼びしてきましたー!』

 

「う、初春さん!?」

 

「皆さん…ってことはやっぱり今のは…!」

 

 

 

五人がボスに向き直り、走りかけた瞬間、背後から強烈な風が吹き付け、ボスを風の檻に閉じ込めその動きを封じた。そして紅玉宮に初春の音声が鳴り響き、その言葉に導かれるように背後へ振り返った先で待っていたのは…

 

 

「上やんくーん!お待たせー!」

 

「上やんにしては珍しく苦戦してるんじゃないのかー!」

 

「おっしゃー!VRじゃ無敵だぜー!」

 

「みんなー!助けに来たよー!」

 

「私もお手伝いします!」

 

「リーファ!キリト!クライン!アスナ!それにユイちゃんも!」

 

『それだけじゃありませんよー!』

 

「ふっ、楽しんでるな!」

 

「おっと、遊びじゃないぞ将軍」

 

「そーそー、たまには領主らしい実力派も見せないとネー」

 

「ミコトさーん!私たちもお手伝いしますー!」

 

「「「おおおおおーーーっ!!!」」」

 

「ユージーン将軍にサクヤさんやアリシャさん…それにスリーピング・ナイツのみんな!」

 

バババババッッ!!ドドドドドドドッッ!!

 

「俺たちも忘れてもらっちゃ困るぜ!」

 

「ダイン!それにGGOの…!」

 

 

初春が呼びよせた援軍は錚々たるメンツだった。VRの重鎮とも呼べる顔ぶれが世界を超えて紅玉宮に集結し、上条達は全員でボスに立ち向かうその光景に歓喜した

 

 

「時間がないぞ!」

 

「畳み掛けろっ!!」

 

「大丈夫です皆さん!これを使って下さい!」

 

ギュイイイイイイインッッッ!!!

 

 

ユイの可憐な声が響き渡ると、どこからともなく現れた光の粒子が上条達に覆いかぶさっていき、上条達の装いがみるみる内に変わっていった

 

 

「こ、これって…俺たちのSAO時代の装備じゃねぇか!」

 

「きゅる!」

 

「ピナ!」

 

「えっ!わ、私も!?」

 

「このSAOに残っていたデータサーバーから皆さんの分をロードしました!シノンさんの分はGGOからオマケで持ってきました!」

 

「・・・ははっ、そうだよなぁ…俺たちの始まりはここからだったんだよなぁ…それが今じゃ、こんなに多くの仲間が出来た。あぁ…負けるはずがねぇ!!!」

 

ダンッッッ!!!!!

 

「よしっ!みんな行くぞっ!!!」

 

「「「おおおおおおおおっっっ!!!」」」

 

 

上条の叫びに呼応するように、集まった全員の叫びが紅玉宮全体へと響き渡った。そしてそれを合図に、各々が武器を構え、ボスへと突撃していった

 

 

バァンッ!バアンッ!バァンッ!!

 

「今よ!アスナ!キリト!上やん!」

 

「はぁっ!!!」

 

「おおおおおおおっ!!!」

 

「オラアアアアアアァァァッッッ!!!」

 

ズバァンッ!ガリガリガリッ!ズバンッ!ドゴオオオオオオオオオオオォォォ!!

 

「ァァァァァァァァ!?!?」

 

 

シノンがGGOの装備であるへカートIIを連発し、ボスの注意を引いている間に、アスナ、キリト、上条の三人が攻撃を仕掛けた。三人の攻撃をモロに受けたボスのHPはガリガリと削れていき、ボスの表情も苦痛で歪み始めた

 

 

「喰らえ!俺様のオリジナル・ソードスキル!『ヴォルカニック・ブレイザー』!!」

 

「うおおおおお!俺だって!!」

 

「アアアアアアァァァァッッッ!!!」

 

ガアンッ!!ドガァンッッッ!!!

 

「ぬぅおっ!?」

 

「ぎゃあああああああ!?!?」

 

「!!!!!」

 

グオンッ!ドゥンッ!ドドドドドドド!!!

 

「「「うわああああああああ!?!?」」」

 

 

三人に続いてサラマンダーであるユージーンとクラインが突撃したが、体勢を立て直したボスの斬撃と槍の薙ぎ払いより吹き飛ばされた。続いて遠距離で銃撃を続けていたGGOプレイヤーも、足場を念動力で崩され身動きが取れないところを光線で焼き払われた。やはり数で勝ろうとも相手はSAOのラスボスということか、一筋縄ではいかなかった

 

 

「みんな気をつけて!手数はこっちの方が多いけど相手は攻撃の範囲が広い上に一発のダメージが大きい!気を抜かないd…!」

 

ブオンッッッ!!!

 

「ミコトっ!危ないっ!!」

 

「ッ!?やばっ!?」

 

(クソッ!俺の右手じゃ間に合わn…!!)

 

ビシャァンッッッ!!!

 

 

周りに指示を出す美琴に狙いを定めたボスが、鬣の宝石から彩色のビームを発射した。いち早くリズベットが声をかけたが、もはや回避できるタイミングではなく、上条の右手によるフォローも間に合わないと思った瞬間、ボスの光線はまるで力の向きを変えられたように、見当違いの場所へ飛んでいった

 

 

「ったく、オマエは俺がいねェと満足に反射も出来ねェのかよ」

 

「一方通行!?」

 

「ッ!ったく一方通行のヤツ…毎度のことながらカッコつけやがって…!」

 

「あたしたちもさっきのお返しに行くわよシリカ!」

 

「はい!リズさんっ!!」

 

「「でやああああああっっっ!!!」」

 

ドガアアアァァァンッッ!!!

 

「アアアアァァァァ!?!?」

 

「おっし!俺もいくzッ…!」

 

「『雷神の鎚』!!!」

 

ドゴオオオオオオオォォォォォッッッ!!!

 

 

シリカとリズベットが一糸乱れぬ完璧なコンビネーション攻撃を決めるとボスにノックバックが発生し、その隙にかこつけたエギルが渾身の一撃を叩き込もうとした瞬間、神話の武具の名を叫びながら雷撃を落とす誰かの姿があった

 

 

「おいおい上条ちゃん、水臭ぇじゃねぇか。こんな楽しいケンカになんで俺を呼ばねぇんだよ」

 

「トール!」

 

「いや俺の活躍は!?」

 

「!!!!!」

 

メキメキメキメキッッッ!!!

 

 

トールの雷撃を喰らい、ついにそのHPが半分以下に差し掛かったところで、ボスはもう一度地面から大樹を生やし、回復行動に移ろうとしていた

 

 

「アレを防いでっ!!」

 

「飛ばすぞ三下ァ!」

 

「おう!…は?と、飛ばすって…!?」

 

「ウルァァァァァァァァ!!!!!」

 

ギィンッ!ドゥンッッッ!!!

 

「どわああああああああああ!?!?!?」

 

 

アスナが張りのある声で指示を出すと、いち早く反応した一方通行が上条に指示を出した。そして呆けてる彼を他所に地面を踏みつけると、力の向きが変換され上条の足場がまるでバネのように反発し、大樹から零れ落ちかけている雫に飛んでいった

 

 

ピキィンッ!!!

 

「!?!?!?」

 

「ざァンねェン!今日の天気は雨のち三下ってなァ!ミスミス回復させっと思ってンのかラスボスさンよォ!」

 

「これ着地はぁぁぁ!?!?」

 

ゴロゴロゴロ!!!ゴチィンッ!!

 

 

一方通行によって飛ばされた上条の右手が雫に触れ、生命の起源となる雫は跡形もなく崩れさった。そして一方通行は目に見えて動揺したボスを嘲笑っていたが、弾丸となった上条はそのまま制御を失い壁に激突した

 

 

「いででで…おい一方通行!俺の扱い雑すぎだろ!?」

 

「アァ!?結果オーライだろォが!」

 

「ったく…行くぞ美琴!」

 

「言われなくても行くわよ!!」

 

「アアアアアァァァァァッッッ!!!」

 

バキバキバキバキメキメキメキメキ!!!

 

 

ついに怒りの琴線に触れたのか、ボスは甲高い咆哮と共に槍を地面に叩きつけ、その衝撃で砕けた地面から巨木が発現し、立ち向かう上条と美琴へと襲いかかった

 

 

「þeir slíta fimm grǿnn vindr!」

 

「ッ!!!」

 

ビュオオオオオオッ!!!バァンッッ!!

 

 

それを見たリーファとシノンが援護に回り、リーファが唱えた風魔法の風刃が大樹を切り裂き、シノンのへカートから放たれた弾丸が大樹を撃ち落とした。しかし、大樹の勢いはそれだけでは止まらず、残された一本の大樹が上条と美琴を薙ぎ払うべく襲いかかった

 

 

「ッ!逃したっ!!」

 

「こんぐらい避けられるよな美琴!」

 

「アンタの方こそ!ビビって盾で弾こうとして押し負けるなんてお粗末なことすんじゃないわよ!」

 

「上等ッ!!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

「アアアアアアアァァァァァッッッ!!!」

 

ギィンッ!ガリガリガリガリッッッ!!!

 

「二人とも!スイッチ!!!」

 

「流石だぜキリト!」

 

 

みるみる内にボスへと肉迫する上条と美琴に向けて、ボスは槍による迎撃を試みたが、その一撃はキリトが持つ二本の剣によって防がれ、ついに上条と美琴はボスの前へとたどり着いた

 

 

(お願いユウキ!もう一度だけ私に力を貸して!!)

 

キュイイイイイイインッ!!!

 

 

美琴はSAO時代の愛刀『ランベントライト』を強く握りしめ、今は亡き最愛の親友へと思いを馳せた。その瞬間、美琴のランベントライトは色鮮やかな紫の閃光を放った。そして彼女の面影には、ALOに降り立った最強の剣士の面影がピッタリと重なって見えていた

 

 

ズバババババババババッッッ!!!

 

「はああああああああああっっ!!!!」

 

ズドオオオオオオォォォォォッッッ!!!

 

「アアアアアアアアァァァァァ!?!?」

 

 

前人未到の11連撃ソードスキル『マザーズ・ロザリオ』がボスの巨躯へと刻み込まれた。ボスのHPはガリガリと削れていき、間髪入れず今度は上条がボスの前に躍り出た

 

 

シャキィンッ!!!

 

「・・・おい見てるか茅場。今度こそ終わりにしてやるよ…これで正真正銘!アインクラッド完全攻略だ!!!」

 

ビキビキビキビキッ!!パリィンッ!!

 

 

上条が右手で背中の鞘から抜いたのは、かつてリズベットが彼の為を思って鍛った片手剣『ダークリパルサー』。彼の手に取られたその剣はいくつものヒビが入っていき、その内側から黄金に輝く神話の剣が顔を見せた。

 

 

「これがSAOの…いや、この世界全ての仮想世界に夢と願いを抱いた俺たちの力だあああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

曰く、その剣の名は『天叢雲剣』。『神浄の討魔』と謳われた『素戔嗚尊』の生まれ変わりである上条当麻にのみ握ることを許された、人々の願いが集結し一つの形を成した剣

 

 

「「「いっけええええぇぇぇぇ!!!」」」

 

バオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!!!

 

「アアアアアアアアァァァァァ!?!?」

 

ドッパアアアアアァァァァァンッッッ!!!

 

 

上条がみんなの叫びを背に受けながら黄金の剣を振るうと、極太の光の柱がボスに向かって真っ直ぐに伸びていき、ボスの全身を灼き尽くした。そしてついに、底なしかと思われたHPが0になり、その四肢が無数の光の粒となって砕け散った

 

 

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