Fate/different world 聖杯戦争は異世界とともに 作:あおある
「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」
「降り立つ風には壁を」
「四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
「告げる」
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
「誓いを此処に」
「我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」
開戦の宣言は高らかに。願いを叶えんとする七人の業は、魔法陣の中心に光の粒子となって出力された。
「我こそ、座より今世に召喚されしサーヴァント。これより、我が手に聖杯を掴むその瞬間まで、この身は我が召喚者に捧げよう」
異能、異形、異世界より召喚された、それぞれがセイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、アサシン、キャスター、バーサーカーの役を与えられし使い魔達。
彼らは各々が使役者に戦乱へ身を投げる覚悟を此処に問う。
「問おう。貴方が私のマスターか?」
問われた貴方は躊躇なく頷いた。
突如として出現した万能の願望器、聖杯の存在は、それが現れるその直前まで誰にも悟られることは無かった。
それは聖堂教会や魔術協会のような神秘の秘匿や管理を司る組織にとって寝耳に水と言えた。
後手に回らざるを得ない二大組織を嘲笑うように、謎の聖杯は、これまた謎の第一発見者によって持ち去られるという事態に陥った。
事態を重く見た魔術協会は聖杯が出現した日本の某地方都市に程近い場所に居を構える魔術師に調査を依頼し、その魔術師が持ち帰った情報から、なんと聖杯戦争と呼ばれる魔術儀式が行われている事実に直面したのだった。
しかも、某地方都市は何者かによって、異界化しており、人が外部から突入することが出来なくなっており、魔術協会と遅れて調査団を派遣した聖堂教会は某地方都市から周囲三キロの地点を包囲するだけで、対策と言った対策が行えないでいるのだった。
ただ、人は通れないが機械類や使い魔だけは異界境界線を突破出来るようで、両組織は異界と化した都市に於ける聖杯戦争の監視を継続するよう、現地部隊に通達する。
それぞれの陣営がそれぞれの媒体を用いて、異界都市を観測し続ける。
まるで、そこで指を咥えて見ていなよ、とでも言っているようだ。
使い魔のレンズの瞳は日の昇らない常夜の街を映し出す。それをギャラリーはただ見つめることしか許されていないのだ。