Fate/different world 聖杯戦争は異世界とともに   作:あおある

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アーチャー・サイド 1

 人のいなくなった県立高校は小高い丘の上に建てられ、校舎の裏側はすぐに山の麓になっている。四階立ての校舎、窓際からならばどこでも街の眺望を楽しめる。

 

 さて、その三階の一室。乱雑に、片付けたというより退けられた机は円を描き、その中心部には貴方ともう一人。まるで西洋人形のような少女が立っていた。

 

「アーチャーであります。司令官殿(マスター)

 

 貴方は、アーチャーの異様な姿に驚いた。

 

 オリーブカラーの軍服。見事に仕立てられた軍人の鎧を身にまとうのは身長は貴方の半分ほど。制帽を目深に被り、背中にライフルを下げる、幼女だったのだから。

 

 貴方は驚きから立ち直り、自己紹介を始めるが、アーチャーは「結構であります」と手を振った。

 

「そういったものは遠慮させていただきたい。私は貴方のサーヴァント。貴方は使う側、私は使われる側です。どうぞ私を使い潰すとよろしいでしょう。それゆえに必要以上の慣れ合いは不要であると愚考しますな」

 

 この金髪碧眼の少女から、貴方は得体の知れない違和感を感じた。

 

 ただ、せめて名前くらいはと貴方も食い下がる。するとアーチャーは一度目を瞑り、そして名乗った。

 

「ターニャ・フォン・デグレチャフであります。マスター」

 

 ターニャは貴方に向かって手を差し出した。それの意味を理解するのに数秒かかり、ようやく貴方はターニャの小さな手を握り返した。

 

「挨拶も済ませましたし、行動に移すとしましょう」

 

 ターニャには何かアテがあるのだろうか。貴方はターニャに尋ねる。

 

「アテが無いから調べに行くのです。情報は何にも勝る武器ですマスター。突発的な遭遇戦が起きやすい今のような状況では特に。敵を知り、己を知れば百戦危うからず、という奴ですよ」

 

 貴方はここで一つの確信を得た。薄々感じていたことだが、ターニャ・デグレチャフは戦争のプロフェッショナルだ。自分のような人間が月並みなことを言って全滅してしまうよりは任せてしまった方が得策かもしれない。貴方はそう考える。貴方の手の甲を逆の手で隠して、貴方はターニャの思うようにやってくれて構わないと伝えた。

 

「了解しました。では、少しばかり立ちくらみがするかもしれませんがご容赦ください」

 

 貴方は突然、目まいに襲われた。しかし、倒れそうになった貴方を固い何かが支えたおかげで無様を晒さずに済む。

 

 貴方は何事かと顔を上げると精悍な顔立ちの兵士がどこからともなく現れて、貴方を固い胸板で支えていたのだ。

 

 貴方を襲った目まいとは瞬間的な魔力欠乏によるもの。ターニャは宝具を使用したのだ。

 

 ターニャの下す号令は正しく堂に入っていた。

 

「大隊諸君、戦争の時間だ」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 【クラス】 …アーチャー

 

 【元ネタ】 …幼女戦記

 

 【性別】  …女性

 

 【真名】  …ターニャ・フォン・デグレチャフ

 

 【固有スキル】 …無辜の怪物C

           生前の行いから生まれたイメージによって、過去や在り方をねじ曲げられた。返り血に塗れた錆銀、または信心深き神の下僕、あるいは幼女の皮を被った化け物。

 

          軍略B

           一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 

 

          精神汚染D

           彼女の持つ魔術道具に由来する。普段は正常な精神状態を保つが、一定の条件を満たすと精神に異常が発生する。この精神状態の間は他の精神干渉系魔術をやや低い確率でシャットアウトするようになる。

 

 

 【宝具】  …大隊諸君、戦争の時間だ(バタリオン・フォー)

 

 彼女が指揮していた第二〇三大隊を召喚する。兵士一人一人が単独行動スキルを保有しており、彼女の指揮によって偵察から陣地構築までなんでもござれの帝国の懐刀。キャスターで召喚された場合には戦車と歩兵も付いてくる。

 

        …ラインの悪魔(ディ・タウフェル・フォン・ライン)

 

 彼女が生前、西部戦線に於いて成功させた斬首作戦の再現。人力誘導式噴進弾と呼ばれた、大量のブースターと燃料、爆薬を搭載した質量兵器。これが加速しながら敵陣にぶっ飛んでくる。

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