Fate/different world 聖杯戦争は異世界とともに 作:あおある
貴方は眼下の、倒壊したビルを感慨深げに眺めていた。
これで貴方は無職になってしまったが、どこか心の中には爽快感がある。ざまあみろ、と貴方は零す。
風の無い夜だ。巻き上がった砂埃はどこに流されるでなく辺りに漂い、ゆっくりと落下していく。
貴方は巨大な手の平の上にいた。
「大丈夫でしたかマスター?」
子供の声に貴方は顔を上げた。少女のような、美しい声につられて。
しかし、視線の先には巨大な鬼神の如き威容が貴方を見つめていた。
「無事そうで良かったです。召喚されて即リタイアなんて格好つきませんからね」
「いま降ろしますからー」と鬼神が言っているとは思えない呑気な口調で、貴方はコンクリートの地面の上に降ろされる。
「このままだと色々と目立ってしまいますし、僕も」
そう言うやいなや、青き鬼神から一人の子供が現れると、十数メートルの距離を軽やかに飛び降りた。
その子供が離れると青き鬼神は光の粒となって消えていった。
「改めまして、初めましてマスター。ライダー、エルネスティ・エチェバルリアと申します。以後よろしくお願いします」
目の前の子供は柔らかそうな紫がかった銀髪と青色の瞳、整った容姿で浮世離れした美しさがあった。しかし、姿だけでは男の子か女の子か判別が付かなかった。
貴方も営業活動の中で育まれたコミュニケーション能力を駆使してライダー、エルネスティに挨拶をする。
「そんなに畏まらなくても構いませんよ」
エルネスティは慇懃な態度を見せる。どうにも子供の姿と精神年齢の差が開き過ぎているようだ。貴方はそれに苦笑いをしてしまう。
「気軽にエルネスティ、を縮めてエルと呼んでください」
貴方はそれを了承すると、エルに気になっていた質問をぶつけた。
「僕の性別ですか? れっきとした男ですよ。まあ、背も周りと比べると小柄でしたしね」
お互いの「あはは」という乾いた笑いが市街地戦の後みたいな廃墟区画に響いていた。
「それはそうとマスター。今は西暦何年なのでしょうか」
貴方は二〇一八年と答えると、エルは「そうですよね……」と呟いた。
「僕がこっちからあっちに行ったのが確か××××年だから……」
エルは急にぶつくさ言い始めたが、唐突に顔をこちらに向き上げた。
「聖杯という莫大な魔力リソースがあれば、
貴方はエルが気炎を噴き上げた理由がいまいち分からなかったが、エルにやる気があることだけでも分かったので良しとした。
「マスター! 勝ちましょうね!」
エルは満面の笑みだ。これから殺し合いだというのに、なんとも可笑しな少年だろう。貴方は力強く頷いた。
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【クラス】 …ライダー
【元ネタ】 …ナイツ&マジック
【性別】 …男性
【真名】 …エルネスティ・エチェバルリア
【固有スキル】 …道具作成A
魔力を帯びた器具を作成できる。また、専用の設備があれば新たに
騎乗A
幻獣、神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。しかし、彼は獣に乗る事は無いので持て余し気味。
紅顔の美少年
少年期の姿で召喚されたため。人を惹き付ける美少年としての性質。男女を問わず魅了する。魔術的効果として働くが、抵抗の意思があれば軽減出来る。
一意専心A
一つの物事に没頭し、超人的な集中力を見せる。スキルというかサガ。
【宝具】 …
彼が駆った専用機の一つ。当時先進的な技術が盛り込まれていた。
彼が持つロボットに対する貪欲さが宝具として昇華したもの。彼が騎士団長を務めていた銀鳳騎士団の、数々の幻晶騎士を生み出した業績を一瞬に凝縮させ、この世に存在しないロボットを誕生させる。この宝具を使用した場合、マスターは令呪を使用しなければ、全身の魔力を彼に吸い上げられて死に至る。