ダンジョンにSCP-710-JP-J伝承者がいるのは間違っているだろうか   作:猫屋敷の召使い

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 あとがきにアンケート?っぽいものの案内がありますので、よろしければご協力ください。


第二一話

 翌日。まだヘスティアは帰って来ず、ベルと二人でホームを出る巧。西のメインストリートを並んで歩く。だが、今日は一段と人気が無く閑散としている印象があった。

 その光景を見て察した巧が尋ねる。

 

「お祭りは見て回らなくて本当にいいの?」

「はい。ただでさえタクミさんを僕に付き合わせて稼ぎが減ってるんですから、その代わりに稼がないと」

「あははは。到底届かないから別にいいのに」

「うぐっ……ぼ、僕の気分の問題ですから……さすがにおんぶにだっこはちょっと……」

「今は違うとでも?」

「………………………………………違わないです……」

 

 巧の口撃によってダンジョンに潜る前から意気消沈してしまうベル。

 

「じゃ、のんびり行こうよ。もう動きは大分いいから、未到達階層に行くとき以外は一人でも大丈夫だとは思うけどね」

「ほ、本当ですか!?」

「うん。でももう少し様子見ねー?欲を言えばサポーターが欲しいけど、優秀な人は囲い込みされたりしてるからなぁー。まあ、そこら辺も考えてはいるけど、まだ俺が付き添うからよろしくね?」

 

 にこにこしながら言った巧の言葉に、肩を落とすベル。そんな彼を見てさらに笑みを深くする。

 そんな二人に声をかけてくる人物がいた。

 

「おーいっ、待つニャそこの胃袋モンスターと白髪頭ー!」

「あー、この声は非常食ちゃんだー!」

「ニャー!?だからミャーは食べても美味しくニャいニャー!!」

「もぅー、いつもの冗談だよーアーニャさん!それで、俺らに何か用だった?」

「ニャ、ニャー……まずは、おはようございます、ニャ。いきなり呼び止めて悪かったニャ」

「おはよー!」

「お、おはようございます。えっと、それでなにか僕に?」

 

 頭を下げて挨拶をしてきたキャットピープルのアーニャに巧とベルも頭を下げて挨拶を返す。そしてベルがアーニャに用件を尋ねると、彼女も用件を切り出す。

 

「ちょっと面倒ニャこと頼みたいニャ。はい、コレ」

「へっ?」

「お財布?」

「白髪頭はシルのマブダチニャ。だからコレをあのおっちょこちょいに渡して欲しいニャ」

「えー、シルさん財布忘れていったのー?もう、妙なとこでドジだなぁ……。いや、これが計算づくだとしたら恐ろしいんだけどさ……」

「いや、話についていけてないんですけど……」

 

 二人の会話にすっかり置いてきぼりのベル。

 アーニャがベルに渡したのは地球で見るような『がま口財布』。此処では最近見かけるようになったばかりの物だ。

 しかし、ベルはそれを渡されてもどうすればいいか分からずに呆然と佇んでいる。

 そこにエルフの店員のリューが現れる。

 

「アーニャ。それでは説明不足です。クラネルさんも困っています」

「リューはアホニャー。店番サボって祭り見に行ったシルに、忘れていった財布を届けて欲しいニャんて、そんニャこと話さずともわかることニャ。ニャア、胃袋モンスター?」

「そうニャそうニャ。わかることニャ」

「真似するニャ!」

「あれ?」

 

 アーニャに同意を求められ、アーニャのような口調で頷く。

 それに対しアーニャは歯をむき出しにした形相で叫ぶ。巧は首を傾げながらも、頭を下げる。

 

「ごめん。気づいたらうつってたやー」

「謝ったから許してやるニャ」

「……というわけです。言葉足らずで申し訳ありませんでした」

「あ、いえ、よくわかりました。そういうことだったんですね」

 

 腕を組んでうんうん頷き、巧の謝罪を受け入れて彼を許すアーニャ。巧も頭を掻いて笑っている。

 そんな二人を無視してリューが話を進め、ベルに謝罪する。ベルも納得したのか頷いている。

 一瞬で蚊帳の外に置かれたアーニャは得意げに揺らしていた尻尾を垂らし、赤くなった顔を俯け、わなわなと震え出す。そんな彼女を見て巧はどこからか出したのか分からないが、釣竿を取り出して魚を餌としてつけると、彼女の顔の前に垂らした。アーニャはそれに気が付き、先ほどまでの雰囲気はどこへやら。魚を取ろうと手を伸ばすも巧の釣竿さばきによって阻止される。

 巧とアーニャの間にバチバチと電気が走り、次の瞬間。二人による激しい攻防が始まった。

 アーニャは魚を取ろうとフェイントを交えながら両手を高速で動かす。しかし、巧はフェイントに引っかかることは無く、確実に彼女の攻撃を華麗な釣竿さばきで躱す。

 

「―――やるニャ」

「―――そっちこそ」

 

 シュババババッ!!と、ついにはベルが目で追えないほどの攻防へと発展する。

 だが、やっていることは釣竿に下げてある魚を取ろうとしているだけである。

 二人を傍目にリューはベルに話の続きをし始める。

 

「二人は気にしないでください。それで、どうか頼まれてもらえないでしょうか?私やアーニャ、他のスタッフ達も店の準備で手が離せないのです。これからダンジョンに向かう貴方には悪いとは思うのですが……」

「別に構いませんけど……シルさんがお店をさぼっちゃったって、本当なんですか?」

「さぼる、と言い方には語弊があります。ここに住まわせてもらっている私達とシルとでは、環境が違うので」

 

 ベルが疑問に思ったことをリューに尋ねる。すると彼女は事情を説明する。

 住み込みで働いているリュー達とは違い、シルは毎日酒場で働いているわけではなく、それにミアからの許可も取っているうえでのことだと話す。自宅通いであるために、例外的な非番が許されているのだ。

 彼女の言葉でベルは理解したようだった。

 

「じゃあ、怪物祭(モンスターフィリア)に行ったんですか?」

「はい。シルは今日開かれるあの催しを見に行きました」

「―――やっぱり気になってるんじゃーん!ならお小遣いも上げるから行ってくると良いよ!」

「―――隙ありニャ!」

「―――この程度隙にもならんわぁ!」

「―――くっ、ニャ!」

 

 バックパックから一万ヴァリス程度が入った財布を渡した瞬間、鋭い貫手が釣竿につけられた魚を狙って突かれるが、巧はそれを釣竿を瞬時に操って躱す。

 

「闘技場に繋がる東のメインストリートは既に混雑している筈ですから、まずはそこに向かってください。人波についていけば現地には労せず辿り着けます」

「わかりました」

「―――バックパックは預かるよー!」

「あ、はーい」

 

 ベルは巧にバックパックを預けると、シルの財布を持って東のメインストリートへ向けて出発した。

 それを見送ったリューは未だに謎の攻防を繰り広げている二人に目を向ける。

 

「―――そこニャ!」

「―――甘い!」

「いい加減にしなさい」

「ニャッ!?」

「あぶなッ!?」

 

 リューによって二人は頭を叩いて闘争を止められる。が間一髪、巧だけはその攻撃を避ける。そんな彼を見たアーニャが食い掛かる。

 

「何でお前だけ避けてるニャ!」

「俺、Lv.1だから!せめてそれだけは理解して!?」

 

 ()()()()Lv.を告げながら、アーニャの抗議に反論する巧。しかし、それでも食い下がらずに、今にも噛みついてきそうな勢いで彼に詰め寄ろうとする。

 

「絶対嘘にゃ!【ロキ・ファミリア】との騒動の時に神ロキがLv.2だって―――」

「詮索はやめなさい」

「ニャッ!?」

 

 しかし、再びリューに頭を叩かれて止められる。その間に釣竿と魚をしまう巧。

 

「タクミさんも申し訳ありません。これからダンジョンだったでしょうに……」

「いいよいいよ!ベルに合わせてたらどうせ大した稼ぎにはならないし!」

 

 あははは!と笑い声を上げる巧。それをジト目で見つめるアーニャ。

 

「コイツ、意外と腹黒ニャ……」

「否定はしないよー。それじゃ、俺もそろそろ行くねー?荷物置かなきゃいけないしー」

「またお越しください」

「また来てたくさん金を払うニャー」

「その時は食材たくさん買っといてねー!ばいばーい!」

 

 二人の声を背中に受けながらホームへと逆戻りする巧。建物の屋根をピョンピョン跳んで、ホームに着くと急いで荷物を置く巧。

 そして走ってホームを出ると、地下深くの気配を探りながら、地上と地下の直線距離で一番近い場所に移動し始めた。

 

 




今日の巧メモ
・人として:お祭りだー!
・武人として:アーニャとの決着はいずれつけねばならんな……。
・研究者として:マタタビ……。

 少し皆さんに尋ねたいんですけど……ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、私が参考にしている「INTRODUCTION OF 財団神拳」に関しまして、合作-jpのために剪定作業が入りました。
 それにより改定案として出されたものが適用され、奥義部分が大きく変化しました。
 それで聞きたいのが、今までの投稿部分を編集すべきかどうかです。詳しい内容は活動報告の方へと掲載しますが、端的に言えば、修正すべきか、今後の投稿文だけそれに沿った内容にすればいいかです。
 よろしければご協力ください。

以下クレジット

INTRODUCTION OF 財団神拳
by sakagami他
http://ja.scp-wiki.net/sakagami006-portal-of-foundation-shinken
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