ダンジョンにSCP-710-JP-J伝承者がいるのは間違っているだろうか   作:猫屋敷の召使い

3 / 51
第三話

 巧は登録を終えて椿とともにギルドを出ると、その足で真っ直ぐダンジョンへと向かう。彼は鼻歌を歌いながら通りを歩いていく。その後ろを椿が歩いて追いかける。

 

「~~~♪」

「………随分と上機嫌だな」

「んー?だってさ、初めての土地!初めてのダンジョン!俺にとっては全くの未知!それに興奮しないなどあるか?いや、ない!」

 

 反語を使ってまで楽しみだと声高らかに言う巧。その場で小躍りまでしそうなテンションだ。

 そんな彼を見て少しだけ表情を暗くする椿。

 

「……そうか。無茶しなければ良いが………」

「無茶?なぜ?」

「素手でダンジョンに挑むなど無謀にもほどがあるからだ」

「無謀?なぜ?」

「なぜだと?そんなもの誰しもが理解している。だから皆、武器を―――」

 

 そこまで言って、言葉に詰まる椿。目の前の少年が首だけを後ろに向けて彼女のことを見ていたからだ。

 

「他人如きが俺のことを勝手に決めてんじゃねえよ。無謀かどうかを決めるのは俺だし、限界を決めるのも俺だ。断じて貴様じゃない」

「ッ!?」

 

 ゾッとした。

 首だけを後ろに向かせた巧の眼を見た瞬間、椿の背筋に寒気が走った。Lv.5冒険者の背筋に、だ。

 これは、恐怖だ。それも『死』の恐怖。滅多にモンスターにもそのような恐怖を感じたことのない自分が、目の前の駆け出し冒険者に、自分よりも小さな男に死を感じている。その事実が信じられなかった。彼女は自然と腰に佩いてある武器に手が伸びる。

 

「………」

「………」

 

 しばらく二人は睨み合い、緊張状態のまま動かないでいる。すると突然、

 

「なんてね♪」

「っ……」

 

 巧が先ほどの表情とはコロリと一変して満面の笑みへと変わる。そのまま彼はダンジョンに向かって走り始める。

 

「ほらほら早く!日が暮れる前に入りたいんだ!一層だけでもいいから見てみたいんだよ!だから早く!」

「……ああ。わかった」

 

 抑えきれない興奮のせいか、椿の前を小走りで先行してダンジョンへと向かう巧。椿はそれを見て、手の平に掻いた汗を袴で拭うと、足早に彼を追い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 ついにダンジョンの前まで来た巧と椿。

 少々そわそわした様子でダンジョンの入り口から奥を見つめる巧。

 

「こっからダンジョンの中?」

「そうだ」

「ふぅん?……あっ、ちょっと待って」

「……?どうしたのだ?」

 

 巧は椿の問い掛けを無視して、開いた左手に握った右手を合わせ、45度きっかりの礼を5秒間行う。

 

「『解放礼儀』」

 

 その動作が終わるとゆっくり顔を上げる巧。その表情は先ほどまでの楽しげなものは鳴りを潜め、引き締まった表情をしていた。

 

「……もうよいのか?」

「ああ。俺のペースで行っていいのか?」

「……よいぞ」

 

 椿がそう答えるとダンジョンの中に一歩踏み出す巧。その体験を噛み締めるように脳裏に刻むと、奥へと進み始めた。彼に追従するように椿も中へと踏み出す。

 それから少ししたとき。

 

「………一匹か」

 

 巧たちの目の前に一匹のゴブリンと呼ばれるモンスターが姿を見せた。椿もそれを確認した。

 

「そのようだの。先ずは様子を見るのが―――」

「『テレポ遠当て』」

 

 椿の声が巧の声で遮られる。椿は彼の方を見ると、前方に正拳突きを放っていた。

 一体何をしているのかと聞こうとした次の瞬間、ゴブリンの頭部が熟れた果実のように弾けた。

 その光景に椿は驚いた。そして何故か巧も驚いていた。

 

「………え?弱くね?」

「………お主、一体何を………?」

「いや、ちょっと詳細は言えないけど、俺が習った武術の奥義の一つを使っただけ………でも、まさか弾けるとは………」

 

 肩を落として呆然とする巧。彼はダンジョン内のモンスターは地上のモンスターよりも強いと聞いていたため、落胆を隠せずにいる。

 

「魔法、ではないのか?」

「違う。科学的法則に基づいた代物だ。あんな摩訶不思議な代物と一緒にしないでくれ。だからといって行き過ぎた科学でもない。科学的根拠に基づいてるものだ」

 

 椿は巧がいまやったことを理解できなかった。もしや既に魔法を使えるのかと勘繰ったが、それは巧本人に否定される。

 たしかに『テレポ遠当て』は量子もつれ現象を用いて離れた場所にある物を破壊する奥義だ。これは『財団』によって科学的に証明されている。それゆえに『魔法』ではなく『科学』なのだ。彼らからすれば、科学的に証明さえできれば『魔法』ではなく『科学』。たとえできなくても証明できるまで追求する。そんな人間(変態)達の集団の中で育ってきたのだから。

 巧は理解の追い付いていない椿を放って、死んだゴブリンに近付いて魔石を取りだす。そして死体は灰となって消えていく。

 

「おぉー……本当に灰になるんだ。なんか感動……。………ねぇ、もう少しモンスターと戦っていい?」

「……ああ。手前は構わないが……」

「ありがとー」

 

 魔石を腰のポーチにしまうと、奥に歩き始める巧。そしてそれに追従する椿。

 今度は犬頭のモンスター、コボルトが姿を見せる。それを見て巧は頭を悩ませる。

 

「……技を使うべきか、使わないべきか。………いいや。下手に使って爆散するよりは」

 

 物は試しと考えて、一瞬で間合いを詰めて生きたまま貫手によって魔石を取りだす巧。コボルトは身体を貫かれたまま灰となって消える。

 巧は血塗れの手の中にある魔石を弄ぶ。

 

「あっ。これ楽だな。上層ならこれでいいかも。でも毎回手が汚れちゃうなぁ……。それに神拳じゃないのは趣味じゃないんだけど……でもコイツらに奥義使うのはそれはそれでもったいない気もする……」

「………」

 

 いま目の前で起こった出来事に驚きを隠せない椿。この少年は本当に先ほど神の恩恵(ファルナ)を授かったばかりなのか、と。どこかの上級冒険者が扮しているのでは、と勘繰ってしまいたくなる。

 だが確かに今日、授かったばかりなのだろう。冒険者登録を行い、初めてダンジョンに潜ったというのは、行動や言動が証明してくれている。実際に見てしまったからには信じずにはいられない。

 巧はそんな椿の内心を露知らず、魔石の欠片をポーチにしまって椿に向き直る。

 

「とりあえず今日はもういいや。明日からちょっと下に行ってもいい?」

「手前も付き合うことになるだろうからな。それぐらいは良いぞ」

「やった!」

 

 巧は戦闘を終えたからか、先ほどのピリピリとした雰囲気は完全に消え去って、ダンジョンに入る前のテンションに戻っていた。

 二人はダンジョンから帰還して、【ヘファイストス・ファミリア】のホームへと帰還した。

 

「ヘスティア様ー只今帰りましたよー」

「主神様よ、今帰った」

「お帰りー」

「お帰りなさい」

 

 一緒に帰ってきた二人に返答するそれぞれの主神。

 ヘスティアは巧に近寄ると、問い詰める。

 

「初めてのダンジョンは大丈夫だった?怪我はしてないかい?モンスターは怖くなかった?」

「ヘスティア様……さすがにそれは過保護すぎ。大丈夫でーすよ。今日は様子見で二匹しか倒してませんから!むしろ弱すぎて拍子抜けしたぐらいです!」

「本当かい?」

「神様なら嘘くらい見抜けるんですから、その聞き返しは無しですよ。それよりも【ステイタス】の更新、お願いできます?」

「任せてくれ!」

 

 大きな胸を張ると、巧の手を引っ張って奥の部屋へと消えていく二人。それを確認すると、ヘファイストスは椿に話を聞く。

 

「それで、彼はどうだったかしら?流石に素手では―――」

「素手だ」

「………嘘でしょう?」

「真実だ。主神様なら嘘かどうかぐらいわかるはずだ。先ほどあやつが言ったように」

 

 確かに神には下界に降臨しても子供の嘘の真偽は手に取るようにわかる。それでも、信じられなかった。

 

「あやつが正拳突きを眼前に突き出したと思えば、10Mほど離れた場所にいたゴブリンの頭が潰れた。次のコボルトはただの貫手で生きてる状態から魔石を取りだした」

「………………」

 

 さらに椿が言った事を信じられなかったヘファイストス。もちろん嘘をついていないのは分かっている。それでも物語や作り話だと言われた方がまだ信じられる。

 しかし、まだ驚くべき話を椿は残していた。

 

「それと、恥ずかしい話だが、素手で挑むことを無謀だと言ったとき、あやつは怒りを顕わにした。その時の眼に、手前は恐怖を覚えたのだ」

「っ!?」

「自然と腰の剣に手が伸びておった。手の平は手汗で濡れに濡れていた。それほどまでにあやつを脅威と捉えたのだ。理性ではLv.1だと分かっていても、本能で危険だと感じたのだ」

「………………………」

「主神様よ。あやつは、強くなるぞ」

 

 椿の言葉を頭の奥でゆっくりと理解していくヘファイストス。少し、判断が早まったと感じていた認識を正した。

 彼になら自分の神友を任せても大丈夫かもしれないと。

 

「そこで主神様よ。一つ提案なのだが……」

「……?何かしら?」

「あやつにあの者を預けたいのだ」

「……本気で言ってるの?あの駆け出し君にあの子を?」

「うむ。武器を使わぬあやつならば、あの者を邪険に扱わぬだろう」

「……わかったわ。明日、会わせてみましょう」

「感謝するぞ。主神様よ」

 

 ちょうど二人の会話が終わると奥の部屋から巧とヘスティアが出てくる。

 

「ヘファイストス様。何処か体を動かせる場所ありませんか?ちょっと不完全燃焼気味で……」

「………裏手に空地があるからそこを使うと良いわ」

「あざっす!」

 

 ぴゅーん、とすごい勢いで裏手に向かって走り去る巧。その彼を見送るとヘファイストスは自身の神友に尋ねる。

 

「それで、彼とは仲良くやっていけそうかしら?」

「ああ!大丈夫だとも!」

「そう。それなら良かったわ」

 

 二人して笑顔を浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。いつも通り朝四時に起床した巧は裏手の空地で日課の修練を行っていた。辺りはまだ薄暗く、起きている人も少ない時間帯。

 そんな中、財団神拳(SCP-710-JP-J)の奥義・秘伝・秘奥を実際には使わずに型だけを確認する。

 

(本当は『仮想組手』をしたいけど、ただでさえ服が少ない状況で血で汚してダメにするのはなぁ……)

 

 強い『思い込み』で仮想敵からの攻撃が現実に反映する『仮想組手』。そのため、動きと実力を十分に理解している相手しか仮想敵として想定できない。なので、巧が仮想敵として用意できるのは自分の周りにいた財団神拳(SCP-710-JP-J)伝承者だけである。故に怪我が前提である。

 

(今は身体を動かすだけで我慢しよ)

 

 そう考えると奥義からの発展した動きの確認を始める。

 そして陽が昇り始め、街を明るく照らし始める。

 

『あれ!?タクミ君!?タクミくーん!?』

「あっ、ヘスティア様が起きちゃったか」

 

 自分の主神の声を聞き、急いで建物の中に戻る巧。部屋に入るとヘスティアに声をかける。

 

「ヘスティア様ー。どうかしましたかー?」

「あっ!タクミ君!まったく、何処に行っていたんだい!?」

「裏手で日課の修練をしてました」

「そ、そうなのかい?」

「はい。日課ですので」

 

 巧は5歳の頃から毎日修練を欠かしていなかった。『財団』の仕事を手伝い始めた12歳までは起床時間全てを修練に費やしていた。それ以降も毎日三時間の修練を欠かすことは無かった。

 巧の言葉を聞いたヘスティアは微笑を浮かべながら頷く。

 

「……わかったよ。でも今度からは一言言って欲しいな!」

「はーい。あっ、明日以降も朝からやるのであまり心配しないでくださいよ?」

 

 それじゃ、もう少しやってきます!と告げて裏手に消えていく巧。

 そこに目を擦りながら姿を現すヘファイストス。

 

「朝から何を騒いでいるのよ……?」

「あ、ごめんごめん!朝起きてみたらタクミ君がいなかったから、昨日の出来事が全部夢かと思ってしまったんだ!実際は裏手で修練してただけだったけど!」

「そう……」

 

 巧の修練が終わったのはそれから約一時間後の午前七時頃だった。

 そして三人で朝食を食べ終えるとヘファイストスが巧に話をする。

 

「―――会わせたい人がいる?」

「ええ。私のところのLv.1冒険者なんだけれど、彼とパーティを組んでみてくれないかしら」

 

 どう?という風に首を軽く傾げながら聞いてくるヘファイストス。

 それを聞いた巧は、んー、と軽く唸ってから、いいよ!と元気に返事をする。ヘファイストスはその返答を聞くと、件の彼を連れてくるために部屋を出て行く。

 ヘファイストスがいなくなると、ヘスティアが巧に尋ねる。

 

「いいのかい?そんな簡単に決めて?」

「ヘファイストス様が連れてくるんだから大丈夫でしょ。自分の神友を信じてあげなさいな、ヘスティア様」

 

 巧の言葉にそれもそうだね、と頷いて静かに彼女が戻ってくるのを待つ二人。

 

「連れてきたわよ」

「……なあ、ヘファイストス様。俺に会わせたい奴ってのはそこのチビか?」

「―――チビって言うなぁ!!」

「ぶげぁ!?」

 

 出会い頭に男性の顎にアッパーをぶち込む巧。その出来事に驚き、動きを固めてしまう両主神。

 男性が後ろに倒れて行くのを確認しながら、綺麗に着地を決める巧。そして吼えた。

 

「こちとら18で成長期ももう終わって望みがほぼ皆無なんだぞ!?20歳まで伸びる可能性がある人もいるけど現状その例外に含まれてないんだぞ俺は!?それを正面切ってチビとか言うなぁ!!」

「わ、悪かった…………………………はっ?18!?」

「そうだよ!!悪いか!?この年齢で150ないんだよ!ちょっと身長寄越せよこの野郎!!」

 

 ああああっ!!と叫びながら床を叩く巧。そんな彼を哀れみや申し訳なさが混じった目で見つめる三人。

 

「ごめん、タクミ君…………………12歳ぐらいだと思っていたよ………………」

「ヘスティア様!?」

「私も……………………」

「ヘファイストス様も!?…………………ぐすっ。いいもんいいもん。どうせ俺なんて童顔のチビですよ…………………」

 

 二人にそんなことを言われて落ち込み、部屋の隅で床に『の』の字を書き始める巧。周囲の空間は負のオーラが支配していた。

 そんな彼を見て慌て始める三人。

 

「で、でもボクより大きいじゃないか!」

「ヘスティア様は女性でしょう………………男と女じゃ違うんです……………」

「か、可愛いと思うわよ?」

「18の男が可愛いって言われて喜ぶとでも…………………?」

「…………………………すまん。考えたが、なんて声かければいいか分かんねぇ」

「初対面だからね…………………」

 

 三人が何とか声をかけるが見事に撃沈。

 そんな中、巧は自力で復活を果たしてヘファイストスが連れてきた男性に声をかける。

 

「まあいいや。どうせ六年も前から分かってたことだし………………。それで、君の名前は?」

「あ、ああ。ヴェルフ・クロッゾだ」

「俺はタクミ・カトウ。昨日ヘスティア様から神の恩恵(ファルナ)を授かったばかりだよ。よろしくヴェルフ」

「………………お前は、俺の名前を聞いても何も思わないのか?」

「えっ?なに?なんか有名な名前なの?ごめん。外界と隔絶した場所にいたから情弱でね」

 

 首を傾げながらヴェルフに尋ねる巧。そんな彼にヴェルフは話しておくべきかと思ったのか、自身の事情を話す。

 

「……俺は、『魔剣』が打てる」

「……?そうなんだ。すごいね!そんなことよりも、パーティは組んでくれるの?」

「…………………………」

 

 巧の返答に唖然とするヴェルフ。

 『魔剣』が打てる。そういったことを聞けば打って欲しいと思うのが世の常だった。魔法を覚えてなくとも魔法を放てるのだから。だが、『魔剣』は一定回数使用すると壊れてしまうし、冒険者が扱うような魔法とは威力が低い。

 だがヴェルフが打てるのは『クロッゾの魔剣』だ。普通の『魔剣』とは物が違う。彼が打つ『魔剣』はこのオラリオ一の代物だ。誰もが欲しがるような代物だ。

 だが今はこの目の前の男は賞賛だけで、要求をしてこない。ヴェルフはそんな彼の様子に戸惑いを隠せないでいた。

 そんな彼を見て巧は首を傾げる。

 

「今のを聞いて何も思わないのか?」

「……?すごいとは思ったけど?」

「じゃなくてだな!?打って欲しいとかだよ!」

「……?俺の武器はこの拳。武器は使わないし、持つ気もない。鍛冶師としては気に入らないかもしれないけどさ」

「ッ!?」

「それにさ。『魔剣』が強いってのは分かるよ?見たことも使ったこともないけど、それを使えばモンスターを簡単に倒せるんだろうね」

「ならっ!」

「でもさ」

 

 ヴェルフの言葉を遮って巧が発言を続ける。

 

「そんな()()()()()に何の意味があるんだ?どういう理由かは分からないけど、君自身『魔剣』を打つのを嫌ってそうだし」

「っ……」

「それに俺が素手なのは武器に頼った強さじゃなくて、自分の努力の成果。つまり技術や観察眼、判断能力。自分の力だけで勝って、強くなりたいからだ。それなのに『魔剣』とかいうチートに頼る?ありえないな。ナンセンスだね。俺から言わせれば『魔剣』を欲しがる奴は自分に自信のない雑魚だ。もしかしてそんな周囲の奴らの言葉を鵜呑みにしているのか?だとしたら君は馬鹿だねー」

「はっ……!?」

「なんで気にするの?他人の嫉妬や評価なんか気にしてちゃ、やること全部に身が入らないよ?どうせなら主神の言葉でも捻じ曲がらないような信念やら心持ちやらでいようよ。一度、こうだ!って決めたならそれを貫き通そうぜ?」

「…………………………」

 

 巧の言葉に鋭い目つきへと変貌するヴェルフ。

 それを見た巧は少し頭を抱えた。

 

「………………ごめん?変なこと言っちゃったかな?」

「いや、お前の言うとおりだ。つまらない事を聞いた」

「そう。ならいいよ。おかげで君の目がいい目になったし。あっ、最後に一個だけ」

 

 指を一本だけ立ててヴェルフに話しかける。

 

「いつか心の底から『魔剣』を打ってあげたいって思える人と出会えるといいね?」

「………………ああ」

「俺には期待しないでよ?もし勝手に打ってくるようなら君の目の前で叩き折るから」

「絶対打たねぇ」

「あれ?さっきの感じだと『魔剣』は嫌いじゃないの?」

「だとしても自分の打った剣が目の前で叩き折られんのは嫌だわ!」

「アハハ!それもそうだね!でもまあ、それでこそいい鍛冶師だよね!それでさ―――」

 

 ―――俺とパーティを組んでくれるのかな?

 巧は笑いながら聞く。ヴェルフもその問いに口角を上げ、笑みを浮かべながら答える。

 

「ああ。よろしく頼む」

 

 この時、異なる【ファミリア】の二人が握手を交わして、新しく一つのパーティが結成された。

 

 

 




・ただの貫手
 実は超音波レベルの周波数で振動していて刺しやすくしている。

・仮想組手
 強い思い込みで実際に相手はいないのに仮想敵からの攻撃が現実に反映する。プラシーボ効果を突き詰めた結果の代物。一人でも組手が出来るようようにと天野博士が考案した。

以下クレジット。

「解放礼儀」は”aisurakuto”作「INTRODUCTION OF 財団神拳」の「新たな奥義」欄に基づきます。
http://ja.scp-wiki.net/sakagami006-portal-of-foundation-shinken

「テレポ遠当て」は”Kwana”作「SCP-710-JP-J」に基づきます。
http://ja.scp-wiki.net/scp-710-jp-j


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。