【ネタ】登校中にサッカーボール踏んだら、イナイレの世界にTS憑依した。   作:五十歩百歩

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勢いだけで書いたものは、振り返ると黒歴史。だからネタとして投稿します。


【ネタ】登校中にサッカーボール踏んだら、イナイレの世界にTS憑依した。

【ネタ】登校中にサッカーボール踏んだら、イナイレの世界にTS憑依した。

 

 

 

 冬休み。高校サッカー選手なら夢見る舞台がある。通称冬の高校サッカーまたの名を冬の国立。その夢の舞台まで後一歩まで迫った一戦は、俺たちの惨敗に終わった。

 学生時代の全てをサッカーに捧げ、青春を過ごしたかいもあり、1年の時からレギュラーで背番号は10。俺は、チーム一番の得点力をほこる、エースストライカーだ。

 だが、俺は当日インフルエンザにより、決勝のグラウンドに立つことができなかった。

 

「お前のせいじゃない」

「勝てなくてごめんな」

「すまん」

 

 チームの奮闘もかなわずPK負けだった。夢の舞台に行く希望は泡のように消えていった。

 チームメイトも監督も、優しい言葉を投げかけくれたが、俺は自分がピッチに立っていればと悔しさしかなかった。

 もし、自分がインフルエンザにならなければPKの心理的不安は少なかっただろう。そもそも、今のチームなら、俺はゴールを最低でも2本以上決める自信があった。

 生まれ変われるのなら、健康で丈夫な体にしてほしい。あわよくば、美人な幼馴染付きで。と冗談交じりで仲間に話したものだ。

 

 まぁどんな精神状態であれ、風邪が治れば学校に行かなければならない。

 

――冬休み前最終日ぐらい休んでもいいじゃねーか。

 

 はっきり言って悪夢だったのだ。あの試合は思い出すことすらしたくない。チームメイトを信じていた。けれどやはり、俺はあの舞台(冬の国立)に立ちたかった。

 そんなことをずっと考えていたからだろう。

 不用意に転がっていたサッカーボールを無意識に踏みこんだ。

 しかし、リフティングしようとしたサッカーボールは、俺の脚に吸い付くことなく、2つに分かれた。

 

 

「あれ?」

 

 

 何が起きているのか理解できない中、呆然と立っていると、サッカーボールはひとりでに進んでいく。

 サッカーボールは2つに分かれたまま、前方に進むと、1つのボールに戻り、

 

「ゴットハンド!!!」

 

 サッカーボールを蹴った音ではない音と、某アニメ超次元サッカー少年の声が聞こえた。

 その瞬間、俺は強烈な頭痛に襲われ、意識が暗転した。

 

 

 

 

「…い……おい!大丈夫かよ!」

 

 目を開くと、オレンジ色のバンダナをした少年の顔が目に入った。仰向けになっていた俺は、状況を理解し、慌てて起き上がろうとして、唇に何か温かい物が触れる感触が襲う。

 

 おげげ――。最悪じゃねーか。俺はBLの趣味なんてねーぞ。よりにもよってファーストキスが!!!

 

 小学生より前の円堂守と接吻していた。

俺は、小さくなった体を使い、ぎこちなく両手で払いのけると、転びそうになりながらも急いで駆け出していた。

 

「別に何でもねーよ!じゃあな」

 

 俺はこの黒歴史を忘れることにした。今の出来事は夢に違いない。早く目覚めないかなこの夢。

初めて見るはずの街並みをいつも見に来ていたかのような錯覚、いつの間にかあった雷門町で過ごしてきた記憶を頼りに帰途についた。

 

 夢だと願って床に就いた俺だったが、元の高校生の身体に戻ることなく。

 

 

幼女の体で目が覚めました。

 

 

――何でイナズマイレブン世界にいんだよ。彼女欲しいと願ったけど、女の子になりたいなんていってねーー!まじで、ふざけんじゃねーよぉぉ!!!!

 

 一人鏡の前で声にならない叫びをあげていると、下の部屋から物音がすることに気づいた。

そういえば、昨日帰ってきた時、誰もいなかったな。

記憶にある限りだと、俺はこの家のひとり娘のようだ。おそらく両親が帰ってきたのだろう。

 階段をゆっくりと降り、リビングの扉を開ける。すると、知らない顔の人が荷物の整理をしていた。

 

「おはよう……なあ、おっさん。母さんたちはどこにやったんだ?」

「っ!?あなたのご両親はこの前亡くなったのよ」

「これからは私たちがあなたの親だと思ってよ、由宇ちゃん」

 

 え?亡くなった?どうゆうこと?

 

 吹雪さんの話によると、母さんとは仲のいい従妹で東京に行った時は一緒に買い物したりしていたらしい。この前も東京で買い物をしたばかりで、この()の両親は、東京から帰って来る途中に交通事故に巻き込まれ、亡くなったようだ。

 そんな、右も左も分からない中、親戚の家に引き取られ、円堂に引き続きどこか見覚えのある双子が挨拶してきた。

 

「よお!俺はアツヤよろしくな!」

「僕は士郎」

「お、おう。俺は由宇ってんだ」

 

 何が起きたのか知らねーが、この体の精神と高校生だった時の精神が両方とも自分だという認識はできる。何となく元の世界が別の世界のように感じるし……仕方がねー。とりあえず、プロを目指してサッカーしますか!

 まずは士郎、目を合わせないと何も見えないぞ!

 アツヤ!シュートの勝負しようぜ!

 

 

 

 と、思っていた時期が俺にもありました。

 でも、思い出してください。

 どうして吹雪が円堂に会う時、彼は1人だったのでしょう。

 

 答え。吹雪夫妻とアツヤが雪崩に巻き込まれて亡くなるから。

 

 ええ。身内がいなくなった俺は、なんとか園に引き取られました。

 いや、だってさ。サッカー一筋で今まで生きてきたわけじゃん。いちいちアニメの内容なんて覚えてねーよ。

 サッカーの試合で疲れて爆睡していたら、病院だったよ。

 不幸体質で気味が悪いと引き取り先が見つからなかったよ。あれよあれよと流されていると、孤児になっていたよ。

 気がついた時には、その園にいる子供たちと一緒に温かいスープを飲んでいました。

 

 何でこんなこと言っているかだって?

 

 それは、園のみんなとサッカーしていたら、ある時から自分たちは宇宙人だとか言い始めたからです。

とりあえず周りに合わせていたけど、ダサい服に、黒いサッカーボールに、エイリア石。はい、どう見たってエイリア学園です。

 ありがとうございました。

 

 

 なんで気がつかなかったんだろうな。

 俺には分からん(すっとぼけ)。

 

 いや~。気がついてはいたんだけどさ。はっはっは。

14になったばかりのお子様を雇ってくれる場所も、保護者がいない場合育成所にも入れなかったし、居場所がここしかないからどうしようもできなかったんだよね。はー。

 

 俺はため息を尽きながら、待っていると、シャッターが開く。

 シャッターをくぐれば、瞳子監督が率いるイナズマイレブンがいた。

 

 円堂。フットボールフロンティア優勝おめでとう――(棒)。

 おい。こっち見んじゃねーよ。

 

 こんなことを思っている俺は、赤髪の男の子がキャプテンをするチームの一人。

 

 俺の名前は、伊豆野由宇(いずのゆう)

 前世では、キャラ名かぶりでいじられ、今はエイリア学園ジェネシスのFW――ウィーズを名乗っています。

 

 ん?ウィーズを知らない?

 原作だと確か、これがジェネシス最強の必殺技(笑)スペースペンギンをヒロトと一緒に蹴っていた水色髪の男の子です。

 まぁ。俺は、肩まで届く水色の髪をした女の子になっているけどな!

 

 

 

 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

「とうとう来たね。円堂君」

 

 緊張感が張りつめた空気を遮って、ヒロトが発した。

 俺たちは雷門に続いてグランドに整列する。

 ついにこの時が来たのか。勝ってしまうと戦争が始まるけど、わざと負けるのも嫌なんだよな。

 

「ああ。お前たちの目を覚まさせるためにな」

「俺はこの戦いで、ジェネシスが最強の戦士であることを証明する」

 

 もう目は覚めているので、早く始めてください。戦士なんてどうでもいいんだが、最強のサッカープレイヤーは誰にも譲らねー。

 

「……最強だけを求めたサッカーは、本当に楽しいのか」

「俺は……それが、父さんの望みなんだ」

 

 え?超次元サッカーですよ?かつての世界で培ったボールテクニックと、この世界で増えた謎エネルギーを使うサッカーは楽しいじゃん。絶対にゴールを割らせないと思わせるGKから、点を取った時の爽快感はいいものだぜ?

 

「父さん?」

「俺たちは父さんたちのために最強になる。最強でなければいけないんだ」

「誰のためなんか関係ない。ヒロト、ユウ。お前たち自身はどうなんだ」

 

 おい。いきなりこっちに話を振るなよ。本名を忘れている設定なんだからさ。こういう時は………無視しとくか。

 

「……円堂君。お互いの真意のために全力で戦おう。君たちの相手は、エイリア学園最強にして最後のチーム『ザジェネシス』だ」

 

 コイントスの結果、ジェネシスがボール、イナズマイレブンがフィールドを選んだ。

 

 あ!あの笛は、練習の時に仕掛けた笛だ!どこに行ったのか分からなくて探していたのに!?

 

 ピィーー!!!ヒョロヒョロ

 

 目を見開いて審判を見ていたら、審判の人はすぐに笛を吹き、試合開始のホイッスルが鳴る。

 雷門イレブンたちの足が止まっている間に、俺がボールを蹴り、試合が始まった。

 

 おっしゃ行くぜ!!!……キックオフだからとりあえず、パスしとこ。

 

 俺はゆっくりとした足取りで、駆け上がる。マークについたのは円堂だ。

 俺は緩急を付けた足取りで、円堂の態勢を崩し、その場でジャンプする。するとウルビダからパスされたボールが、胸の位置にくる。

 空中でトラップした俺は、そのまま姿勢を整え、空中でも素早く簡単に放てる必殺シュートを蹴った。

 

「『シングルショット』!」

「止めろ!立向!」

「『ムゲン』――グワァァ」

 

 俺のシュートは、シュートブロックもキーパー技も間に合うことなく、立向ごとゴールに吸い込まれていった。

 

 

 1-0

 

 

 え?まじ!?

 

 俺は簡単に決まったことに驚愕し、この後どうしようか考えていた。

 シングルショット程度であれば、誰かがシュートブロックまたは、立向が止めてくれるだろうと思っており、少し強い流星ブレードが止められるようになるまで待っているつもりであったのだ。

 本当にどうしよう。

 

 その後、俺はシュートを打つふりをしてヒロトにパスを回し、時にはノーマルシュートを蹴った。

 雷門は果敢に攻めるが、ネロが守るゴールが破れず、グランが流星ブレードを決めたことで2点差がつく。

 士郎もフィールドに立ち、雷門は必死にゴールを守っていた。

 

 

 

 

 

 

(僕は誓ったんだアツヤともに完璧になろうって。由宇にワンマンプレーをさせないためにもっと強くなろうって。完璧になれないから、僕は必要ない?由宇は確かにジェネシスのみんなとプレーしているけど、全然楽しそうじゃない。どこかセーブしているような気がする。由宇は僕は、本当のサッカーをしているのだろうか。そもそも本当のサッカーってなんなんだ!!!)

 

 3人がかりの新必殺技パーフェクトタワーや円堂のメガトンヘッド、立向のムゲンザハンドによって、どうにかゴールは守られている状態だ。

 吹雪はただみんなのプレーを目で追うことしかできないでいた。

 

「吹雪!」

 

 円堂からダイレクトパスが吹雪に渡る。その瞬間、吹雪は先程の言葉を思い出していた。

 

『最強だけを求めたサッカーは、本当に楽しいのか』

 

(そういうことなんだね、父さん。完璧になることは僕がアツヤになることではない。仲間と一緒に戦うこと、サッカーは楽しみ続けるってことなんだ。だから僕はアツヤと、由宇の隣で一緒にサッカーがしたかったから強くなろうとしたんだ!!!)

 

 吹雪はボールを受け取ると、豪炎寺と共に駆け上がる。

 ジェネシスのディフェンスは彼らのワンツーでかわされ、必殺シュートがゴールを襲った。

 

「『ウルフレジェンド』――!!!」

「『プロキオンネット』――ギヤー」

 

 ネロの必殺技は破られ、サッカーボールがゴールネットを揺らした。

 

 2-1

 

 

 

 

 やっとか。

 チームメイトが失点に喪失する中、俺は早く本気で戦いたい気持ちを抱いて点数板を見る。

 

「ジェネシスが1点を失うなんて」

「これ以上父さんに恥をかかせるわけにはいかない。いいな」

 

 ヒロトはみんなに活を入れ、1人でゴールに迫る。

 活を入れた直後のシュートは、点を取りに行くも立向に止められてしまった。

 

――言っていることとしていることが違うじゃねーか。

 

「「グラン」」

「たかが!シュート1本を止められただけだ!」

 

 俺はウルビダと共に、グランをジド目で睨んだ。

 シュートを止めた雷門は、自分が止めたかのように喜びあっている。雷門の攻撃に勢いがついてきた。

 

「『ウルフレジェンド』」

「『時空の壁』」

 

 先程1点返したウルフレジェンドをネロはより強いゴール技で止め、跳ね返した。

 跳ね返ったボールは俺の方へ飛んでくる。

 ここで雷門に勢いが傾くのはまずい。エイリア石を解放したらドーピングトレーニングと一緒なため、一瞬のパフォーマンスに対して、身体に相当な負担がかかる。

 俺はグランとウルビダにアイコンタクトをした。

 そしてウルビダにパスをし、グランに向かって走る。

 

「これがジェネシスの力!「『スペース』」

「「『ペンギン』」」

 

 俺はグランと共に、ウルビダによって生み出されたペンギンたちのエネルギーを加算させるようにボールを蹴った。

 スペースペンギン。

 練習当初はスペースペンギン(笑)と思っていたがスーパーノバより断然使いやすい。

 スーパーノバは使いにくいし、3人合わせて打たないとあらぬ方向に飛んでゆくし、お蔵入りとなった。うん。謎エネルギーの調整は不得意なんだ。

 

「『ムゲンザハンド』――!グワァァ」

 

 雷門ゴールにジェネシスのシュートが襲う。

 

 3-1

 

 そこからは、ただひたすらに雷門が一丸となってゴールを死守し、前半が終了した。

 

 

 

 

 ハーフタイムを挟んだ後半戦。

 早々に、雷門がデスゾーン2を決め、点数差は1点となる。

 俺は正直、本気で打ったシュートだったら、立向に止めることはまずできないと思ってしまっていた。

 

「あれをするぞ。グラン、ウルビダ」

「ああ」

「分かっている」

 

 俺は、後半戦が始まる直前に、とある案を持ちかけるためにグランとウルビダに声をかけていた。

 俺はキックオフしたボールをグランに渡し、駆け上がる。

スペースペンギンより強いあれを使おう。

 

 

 

 

 

――『ビックバン』!!!

 

 原作ではイナズマジャパンが使った鬼道、ヒロト、吹雪による必殺技。

 俺が鬼道の役割をすればいけるんじゃね?そう思って試してみたらできてしまった。エイリア学園最強の必殺技である。

 放たれた直後、エネルギーが収縮し、爆発した。

 

 4-2

 

「これがジェネシス最強の必殺技だ!」

 

 いや、ヒロトさん?一々言わなくてもいいと思うんだが?

 

 

 

 

 

 円堂は、試合が始まってからずっとジド目でいる由宇のことを見ていた。

 

(由宇。それがお前の答えなのか。)

 

 円堂は悩んでいた。今のシュートは由宇の本気だったのだろうかと。

 立向が手首を痛めたため、GKにポジションチェンジをしたのだが、円堂は、今の由宇のシュートは魂が籠っていない。サッカーを楽しんでいない。そう感じていた。

 9年前、初めて(・・・)ゴットハンドを使った日。由宇は本当に楽しそうにサッカーをしていた。

 共にボールを蹴り、共に汗を流し、共に必殺技が完成した(・・・・・)あの日。

 

 ゴットハンドと言えば、円堂の代名詞。

 だったら由宇は?初めて完成したあのシュートを使わないはずがない。

 

(目を覚まさせてやる!)

 

「いくぞ!」

 

 円堂の声が、雷門の人達の目にやる気を灯させる。

 後半戦が始まったばかりということもあり、雷門の動きはどんどん良くなっていく。

 

「『爆熱ストーム』――!」

「『クロスファイヤ』――!!」

 

 ネロは防ぎきることができず、雷門の速攻によって、同点に追いつかれた。

そして、エイリア石を解放した状態で、ビックバンを放つも、

 

「『ゴットハンド』――!!!」

 

 神の手によってゴールを奪えないでいた。

 

――これだ。これだよ。どんなシュートを止めてしまうかもしれない。そう思わせるGKから、俺は、ゴールを()ぎ取りたい!!

 

 

 

 ニヤっ

 

 

 

 俺は無意識のうちに頬が上がっていた。

 キックオフ早々、俺はウルビダにパスを回すとオフサイドにならないギリギリまで駆け上がった。

 

「俺によこせぇぇ!!!」

「ウィーズ!」

 

 ウルビダがサイドからセンタリングを上げ、俺はそのボールを勢いよく踏みつける。

 するとボールは2つに分かれ上昇していく。

 左は青、右は赤。前世は男、今世は女。この不安定な俺だったからこそできた必殺技。

 俺は頂点に達した2つのボールをオーバーヘッドキックの要領で蹴り下ろした。

 

「『ダブルショット』ォォ――!!!!」

 

 登校中にサッカーボール踏んだら、ベータの技を使っていた。

 今の円堂なら止められない。

 俺は自分のこの技に自信があり、円堂の正面に撃っていた。

 

「『ゴットハンド』――――!!!グぅ――」

 

 

 

 エネルギーの衝突の末、虚空のエネルギーは

 

 

 

 円堂の神の手に収まった。

 

「「「「「ウィーズのシュートが止められただと!?」」」」」

「反撃だーー!」

 

 

 終盤戦。

 ジェネシスの守りが固くなったことで、4-4のまま点数は動かなくなっていた。

 ジェネシスのみんなはエイリア石の反動で動きが鈍くなる一方、雷門の動きは徐々に良くなってきている。

 

(何がエースストライカーだ!!!)

 

 俺は、自分の慢心を後悔していた。この試合ゴールを奪ったのは立向からのみで、雷門の守護神からは1点も取ることができていない状況。

 次こそ決める。最後の力まで振り絞って!絶対に取る。

 

「守ぅ――!!」

 

 白熱した試合の中、無意識のうちに昔呼んでいた名前を叫ぶと、誰しもが目をくぎ付けになっていた。

 

 

――虚空の女神アテナ

 

 

 どういうわけか。由宇が使えていた化身。虚を象徴とする魔人。

 

「アームド!!『ダブルショット』――――!!!」

 

 誰しもが見たことのないエネルギー。

 木山の後ろに控えていた男は思わぬ出来事に立ちあがり、歓喜で震えていた。

 

 大人でも、子供でも、世界で初めての光景に目を奪われ、動けないでいたが、この男だけは違った。

 

「このシュートは絶対に止める!魔人グレイト……『グレイトザハンド』ォォォ!!!」

 

「「「「なにぃ――!!!」」」」

 

円堂の化身は、由宇のシュートをゴールポストに弾いた。

 

 

 

 

((渾身の一撃だった))

 円堂も由宇も共に同じ事を思っていた。しかし直後の行動は同じではなかった。円堂は立ち上がり、由宇は膝をついたまま立ち上がらない。

 

 

 流石は円堂守だ。

 俺はボールを守りに行く円堂を、膝をついてみることしかできなかった。ボールを取れと誰かが叫んでいる。俺が一番近くにいるのに、動かない。鉛を担いでいるかのように全身が重い。

 

 ゴールポストに跳ね返されボールは、鬼道に渡った。

 

 4-5

 

 化身を使った円堂は膝を着くことなく、全員サッカーをした雷門が、『ジアース』によって5点目を取った。それと同時に、雷門に勝利を知らせる試合終了のホイッスルが、甲高く鳴った。

 

 

 

 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

 

『2点以上とる』

 

 

 試合に出ていれば、決める自信があった。

どんなに強い選手でも、体調を崩すこともあれば、怪我に悩まされることがある。俺のスタイルは、後半のことを考えない全力プレー。だから俺は、チームメイトのパフォーマンスの発揮できる力を把握していなかった。

 

 冬の国立に進むための決勝戦。

 俺は周りの選手がスタミナ切れを起こしていることにも気がついていなかった。俺がいない中、みんなは少しでも勝てるようにと全力プレーした結果、いつもより早く動きが悪くなっていたにもかかわらず。いや、気がついていても止められなかったのかもしれない。

 ただ、あの時、立っていたかったと思う気持ちと、チームメイトが無理をして消耗していく姿を見ていたくないという気持ちがあったのだ。

 

 

 

 だからだろう。

 俺は、雷門戦、最後の最後にシングルショットを打つチャンスが残っていたのだが、身体は動かなかった。いや、動かせなかった。結局、円堂から点数を取ることができなかった。

 エースストライカーとしてなら失格だろう。

 けれど、終盤最後のチャンスを決めたとしても1点。円堂守なら、必ず反応し、止めきったに違いない。

 それに、俺にとって、園のみんなが無事の方が重要だ。

 

「由宇、早くいくぞ」

「わかった!」

 

 俺は、怜奈の言葉に慌てて、リフティングしていた足を動かす。

 

「おっと」

 

 俺は脚から零れたボールを無意識に踏み込むと、ボールは分かれることなく、道路に転がった。

 まるでボールの方に意識があるかのように、不規則に跳ね返ると、再び由宇の周りをリズミカルに動いていた。

 

 

 

FIN~登校中にサッカーボール踏んだら、TS憑依した~

 

 

 




短編完結


読み返してみても恥ずかしい。

でもこれなら、消さなくてもいいかな。
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