姉さんと一緒に家に帰った後は、自室でダラダラと過ごしていた。いつか胸に抱いていた淡い気持ちが、少し熱を取り戻したかのような感覚があり、顔を合わすのが辛くなりそうだった。
いや、一度も気持ちにケリをつけたことなどないのかもしれない……いや、考えるな。
「なあ」
「…………」
「なあ」
「…………」
「あ~た~ゆ~」
「だあぁっ!うるっせえな、おい!!」
「童貞が無視するからだろうが」
「やかましいわ!お前だって生前は大してモテてないんだろ!?」
「……絶対モテてたはず」
「自信ないんだな。うん、ごめん」
「おい、いきなり余裕じゃねえか、この野郎」
「そりゃそうだろ。俺、高校生。お前、悪霊」
「お、おう……」
「こっちは無限の可能性を秘めてんだよ」
「お前、たまにすげー馬鹿に見えるな」
「やかましいわ!」
「はいはい。じゃあ、俺は風呂に入ってくるわ」
「おう……って行かせねえよ!今、月乃が入ってんだよ!」
「だからこそ行くんだよ」
「あ、待て!」
オッサンは幽霊の身体を最大限に活用して、壁を通り抜けていった。しかし、いくら幽霊とはいえ、嫁入り前の可愛い妹の裸体を晒すわけにはいかない。
俺は急いで部屋を駆け出し、滑るように階段を降り、浴室へと向かった。てか、あのオッサン、朝からあんな事やってばっかじゃねーか。タダでラッキースケベ享受しやがって。リトさんを見習えってんだ。
「おい、その辺にしとけよ!?」
「はっ……!?」
そこには洗面台の鏡の前で、真っ平らな胸に手を当てている妹がいた。
何というか、全体的に細い。細くなくていい箇所まで細い。
マジか。
我が妹ながら残念すぎる。
かなり前に姉さんの裸をうっかり見たせいか、余計に悲しくな……
「死ねっ!!この変態!!!」
「ごふっ!」
思考を無理矢理中断させられる。月乃のボディブローが腹を思いきり抉っていた。まさか、こんな重いパンチ持ってるなんてな……。
「い、いきなり、何やってんのよ!つーか何で止めんのよ!」
「な、何の話でしょうか?」
「何って……!日課の豊胸マッサージしてたら、兄さんがいきなり!!」
月乃は顔を真っ赤にしながら、こちらを睨みつけてくる。少しは隠した方がいいような気がするのだが。それより豊胸マッサージって……そんなに悩んでたのか。もうちょっと自分の成長期を信じようぜ。
「弟君、何してるのかな?」
背後から冷たい声が届く。おかしいな。もう4月だというのに。
振り返ると、そこには仁王立ちした姉さんがいた。