俺は義姉さんにより、リビングに正座させられていた。既に30分以上説教を受けているのだが、まだ終わる気配はない。既に月乃は自室に戻り、オッサンはどこかに隠れている……月乃の奴、ありゃあ、しばらく口聞いてくれないだろうな。
「弟君」
「はい」
「とりあえず聞いておくけど、どうしてあんな事したのかな?」
「いや、オッサンの幽霊が妹の風呂を覗こうとしていましたので……」
「……お、弟君……大丈夫?色々と……」
義姉さんが心配そうに顔を近づけてくる。
やはり信じてもらえないか。そりゃそうだろう。てか、あの野郎はどこへ行った。あいつが全ての元凶なのだが。
「弟君……どんな悩みかはわからないけど、そんなになるまで悩んでたんだね。し、仕方ないなあ、じゃ、じゃあ私が……」
姉さんが顔を赤らめながら、何やらブツブツ呟いている。どうかしたのだろうか。足が痺れてきたので、一刻も早く正座を崩したいのだが。
やがて、真剣な面持ちの姉さんが口を開いた。
「弟君……私とお風呂に入らない?」
「……………………はあぁぁあああああああ!?」
「だ、だから私と……」
「いやいやいやいやいや、ちょっとタンマ」
ちょっとタンマなんて言葉、久々に使ってしまった。
いや、それより……
「ど、どうしたんだよ、いきなり……そりゃあ嬉しいけど……今から町内一周してこの喜びを町中に伝えたいくらい嬉しいけど……」
「そ、そんなに……?ていうか、それは絶対に止めてね?」
「でも、そんないきなり、風呂でお互いに体の隅々まで洗いっこするとか……」
「そこまで言ってないよ!?」
「言ってないの!?」
「言ってないよ!当たり前だよ!」
「い、いや、冗談だし……?最初から期待してないし?いい年した姉弟が一緒に入浴とかあり得ないし……」
「冗談には聞こえなかったけど……しかも、凄い落ち込んでるような……」
「お、落ち込んでねーし!ほら、至って元気!」
「目がいやらしいよ。何て言うか……うん、言葉にできないよ」
「気のせい……ですよ?てゆーか、言葉にできないいやらしさってどんだけだよ」
「とにかく!もうあんな事やっちゃダメだよ!月乃ちゃんだって年頃なんだから!めっ!」
「……はい。いや待って。義姉さんのセクハラじみた月乃へのコミュニケーションは……」
「弟君?」
「はい……」
ようやくお説教から解放された俺は、姿を見せないオッサンは放っておいて、風呂に入って寝ることにした。
あ、もちろん風呂は一人で入ったよ。