「よっ!」
「チッ!」
最悪な目覚め、2回目。
どうやら悪夢はまだ続いているようだ。
「おい!いきなり舌打ちかよ。可愛くねーガキだなぁ」
「やかましい。お前とそんな和気藹々としたコミュニケーションは望んでない」
「……確かに」
「てか、昨日の夜いなくなってたから、消えたと思ったんだが」
「いや、風呂で俺とお前が会話するとか、誰得だよ」
「……確かに。お互いに損するだけだな」
朝一の不毛な会話を交わしながら、体をベッドから起こし、大きく伸びをする。この悪霊が憑いている割には、体には何の変化もない。いいことだ。それ以外はよくないけど。
昨夜の姉さんの説教の後、このオッサンは出てこなかった。よっしゃ!なんか知らんけど消えた!なんて考えていたが、現実はそう甘くはないらしい。
……なんて達観できるほど、俺は物分かりはよくない。
*******
「シケたツラすんなよ。美少女幽霊に取り憑いて欲しけりゃゆらぎ荘にでも行けよ」
「ああ、確かに……って、そもそも幽霊に取り憑かれたくないんだよ!」
「またまた~」
「え、何?そのクソみたいなテンション。マジで成仏させてやりてえんだけど」
とりあえず、昨日話の途中で帰った……何とかさんに声をかけよう。このオッサンが見えてるみたいだし。てか、何でいきなり帰ったんだよ。
まあ、過ぎたことはもういい。
今日中に何としてでも、俺はこのオッサンから解放されたい!
そう意気込んで、学校へ行く仕度を始めた。
「なあ、今日は学校サボってゲーセン行かねえ?」
「行かねえよ!何だ、その悪友ノリ!だいたいお前ゲームできねえだろ!」
「それもそうか。幽霊って不便だな」
「そもそもお前、死んでるんだからな。パンツ見れるだけで十分ラッキーだろ」
「……ああ」
「いや、何急に渋い表情作ってんだよ。言っとくけど、全然かっこよくないからな」
くっ、何だよこの不毛な会話!
朝から無駄に体力削られてやがる。
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「あ、おはよ。弟君♪」
「おはよう、義姉さん」
リビングのドアを開けると、いつも通りに義姉さんがキッチンに立っていて、いつも通りに月乃は既に学校に行っていた。
いつもと違うのは、何だか義姉さんの機嫌がいい。いつもほんわかしているんだけど、今日はさらに癒しオーラが溢れている。
多分、昨日のことは許してくれているはずだ。
「義姉さ「弟君♪」
義姉さんはにこやかな表情を向けてきた。
「女の子を暗がりに引きずり込んじゃダメだよ?もしアレだったら私に言ってね?」
「…………」
アレって何だよ。