さらば変人!   作:ローリング・ビートル

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第14話

「あーくん、おはよー!!」

「やめい。文章だけじゃわかりづらいんだから」

「てへっ!」

「うぜえ!」

「何だよ。テンション上げてやろうと、年下の幼馴染みを演じてやったのに」

「文字だけ見ればそう見えるが、俺からしたら、オッサンの猫なで声聞かされる苦痛な時間でしかないんだよ。てか、何でいちいち萌えに詳しいんだよ」

「さあな。生前はラノベ作家だったのかもしれん」

「どんな偏見だよ。ただのオタクじゃねーの?」

 

 何だかんだぺちゃくちゃ喋りながら歩いている自分が恨めしい。意外な適応能力に驚きを隠せません。案外このままでもいいんじゃなかろうか。いや、よくない。

 

「ママー。あのお兄ちゃん、今日も一人でたのしそうだよー」

「しっ。見ちゃダメって言ってるでしょ!」

 

 ……やっぱり早く除霊せねば。このままではご近所さんからの評判に関わる。

 そんな事を考えながら、角を曲がろうとしたら……

 

「きゃっ!」

「っ!」

 

 誰かが思いきりぶつかってきた。

 前も似たような事があったような……。

 慌てて前を向くと、そこには女子中学生がいた。何故中学生だとわかったかというと、その女子が来ている制服が、2年前に俺が通っていた中学校のものだからだ。

 まあ、ぶつかってきたのは向こうだが、倒れた女子を放っておけるほど、男を捨ててはいない。とりあえず声をかけることにした。

 

「いたた……何ですか?もう……」

「わ、悪い……?」

 

 つい語尾に疑問符がついてしまった。

 理由その一。その女子は口に咥えていたであろう食パンを、お腹の辺りに落としていた。

 理由その二。尻餅をついた女子の淡い緑色の下着が丸見えになっている。

 理由その三。そんな恋愛シミュレーションゲームの一場面をくり抜いたような出来事が起こった。

 

「お、お前……やるじゃねえか。こんなシチュエーション中々ねえぞ。おい」

 

 オッサンが心底羨ましそうに呟く。うん、心底どうでもいい。

 痛みが少しは治まったのか、少女は自分の態勢に気づくと、慌ててスカートで隠した。

 それと同時に、こちらをジト目で睨みつける。またテンプレ発動か。

 

「あの……一応、聞いておきますけど……み、見ました?」

「え?えーと、あ、安心してください。履いてましたよ?」

「当たり前ですっ!!てゆーか、見たんですね!?見たんですよね!?」

 

 少女の怒りの叫びが、朝の静かな街並みの空気をビリビリ揺らす……上手い切り返しだと思ったんだが。

 次なるトラブルの予感に、俺は内心で溜息を吐いた。

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