「ああ、見たよ!見ましたよ!?何か問題でも!?」
「まさかの開き直り!?とんでもない変態ですね!!」
ぱっちりと大きな目でこちらを睨みつけながら、その美少女はこちらに詰め寄ってくる。だが、こちらも怯むわけにはいかない。何だ、このテンション。
「いや、むしろ変態はそっちだ」
「まさかの切り返し!どういう意味ですか!?」
「いいか、俺はわざと見たわけじゃない。つまり、お前が見せてるんだ」
「た、確かに……いやちょっと待ってください」
「いいや、待たない。つまりお前は痴女だ!!」
「な、何ですとーーーーーーー!!?わ、私は痴女だったのですか!?」
「こいつら、頭おかしいんじゃねえの?」
「「やかましい!!」」
二人同時にツッコむ。……ちょっと待て。
「お前、今……」
「何ですか?何も見えていませんよ?」
「でも、今……」
「見えてませーん」
「いや、でも……」
「み、見ましたね!?この変態!」
「振り出しに戻しただと!?くっ……形勢逆転……させると思ったか!?」
「な、何をするつもりですか?」
美少女が警戒をさらに強め、こちらに向ける敵意も倍増する。朝から何やってんだろうか、俺は。
しかし、男としてはここで引き下がるわけにはいかない。
何より、美少女とテンポよく会話できているなら、できるだけ引き延ばしたいと願うのが、男の性である。
「お前が叫ぶより速く、俺が叫ぶぞ。痴女がいるってな」
「な、なんて卑怯な……さ、させませんっ!」
「え?ち、ちょっと待っ……」
いきなり飛びかかってきた美少女が飛びかかってきた。
しまった、ふざけすぎた。なんて考えている内に、背中に鈍い痛みを感じた。
「……っつぅ~……」
「はっ……私は何を……」
「こ、これで、名実共に痴女に……」
「言わせませんっ!」
「んがぐぐっ!!?」
両手で口を押さえられる。てか、痛い!背中痛い!
「さっきから別の意味でイタいけどな」
やかましいわ!
心の中を読んでるんじゃねえよ。
いや、それよりこの女、意外と力強ぇ。
どうしたものか。
A.叫ぶ
口を塞がれているから無理。
B.無理矢理どかす
力負けしてるから無理。
C.胸を触る
くっ、これしかないのか。
「新しい自己正当化のやり方だな」
自分だって散々覗きやってた癖に!
いや、幽霊に構ってる場合じゃない。
気は進まない。
しかし、これもお互いの為だ。
このままだと人も通るからな。
彼女もいらん恥をかきたくはないだろう。
よし、3、2、1……
「弟くん、何をやってるのかな?」
唐突に聞き慣れた声が耳に降ってくる。
あれ?こんなベタなオチ……?