さらば変人!   作:ローリング・ビートル

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第2話

「おい、どうした?まだ気のせいとか思ってんのか?」

「…………」

 

 俺は身体の震えを抑え、しっかりと気を引き締め、まずはドアをゆっくりと閉めた。

 そして、ベッドから転げ落ちた際に一緒に床へと転げ落ちた枕を手に取り、深呼吸して、思いきり投げた。

 すると、枕はおっさんを通り抜け、ぼすっと壁にぶつかり、ベッドに落ちる。

 そして、おっさんはやたらとムカつくドヤ顔になり、大きく胸と腹を張って、偉そうにほざきだしやがった。

 

「へへっ、そんなもん効かねーよ。この身体を見ろよ!」

「…………」

 

 オッサンの体はうっすらと透けていて、向こう側に見慣れた壁が見えていた。

 こ、これってもしかして……!

 

「さすがに驚いてやがるな。まあ、安心しろ。別にお前に危害を加えようってわけじゃねえ。何でかはわからんが、こうやって出てきちまったんだ」

「…………」

「おい、どうした?つーか、さっきからリアクション薄くね?ほら、ボウズ。幽霊だよ?幽霊さんだよ?」

「……けんな」

「お?なんだって?」

「ふざけんなぁぁぁーーーーーーーー!!!!」

 

 与は激怒した。

 

「お、弟君?今度はどうしたの?何で怒ってるの?」

「あ、義姉さん、ごめん。今電話中だから、心配しないで」

「そう、わかった……」

 

 義姉さんの足音が遠ざかると、オッサンが口を開いた。今度はさっきまでの偉そうな態度ではなく、少しだけオロオロとしていた。

 

「な、なあ、俺何で怒られたの?」

 

 こいつ、どうやら何もわかっていないようだ。

 仕方ない。一から説明してやるしかないのか。

 

「まず、何で美少女じゃないんだよ!」

「……は?」

「こういう時は、死んだ幼なじみの幽霊が取り憑いたり、何故か実体化して甘酸っぱい恋愛をするパターンだろ!お前みたいなオッサンは夜の墓場で運動会でもやってろ!」

「いや、あれは妖怪……」

「言い訳は聞きたくない!」

「うわぁ、なんか理不尽……」

「理不尽な目にあってるのは俺の方だ!」

「いや、待てクソガキ。大体お前、死んだ美少女幼なじみとかいるのかよ」

「いねーよ!」

「いねーのかよ!」

「それに、髭面のオッサンが来るにしたって、某虎&兎に出てくるような格好いいオッサンじゃなくて、なんで中年太りの髭面のおっさんが来るんだよ!」

「失礼だな、お前!そっちだって童貞臭漂うパッとしない、しょぼくれたツラしてんじゃねーか!」

「こっちは磨けば光るダイヤの原石なんだよ!」

「自分で言うなクソガキ!頭おかしいんじゃねーのか!?燃え尽きて炭になっちまえ!」

「ハア……ハア……」

「ハア……ハア……」

 

 クソッ。朝から無駄にカロリーを使い、えらく疲れてしまった。

 時計に目をやると、時間が結構やばいことに気づく。早起きで得した三文をこんなオッサンに使う羽目になるとは……いや、こんなことではいかんな。気持ちを落ち着けよう。

 窓の外に目を向けると、既に暖かな春の陽気に満ち溢れ、新学期初日を祝福しているかのようだ。気のせいなんかじゃないはず。うん、なんか幽霊のオッサンなんかと言い争ってるのが馬鹿馬鹿しくなってきた。

 

「とりあえず話はもう終わりだ。後は好きにしてくれ。つーか、どっか行け。俺に取り憑こうとするな。視界に入るな。じゃあな」

「ああ、言われなくても何処へでも行ってやるよ!あばよ!」

 

 オッサンと永遠の別れを告げた俺は部屋を出て、階段を降りた。

 すると、オッサンもふわふわとついて来た。

 

「…………何だよ」

「…………いや、なんつーか」

 

 オッサンは言いにくそうに指をもじもじさせて言った。もちろん可愛くない。ただただイラッとくるだけだ。鬱陶しいことこの上ない。

 そして、オッサンは気まずそうに口を開いた。

 

「お前に引っぱられてるというか……なんか離れられないんだけど」

「…………は?」

 

 

 

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