【完結】無限泡影が飛んでこないこの世界で元気に生きてます 作:気力♪
矛盾が生まれたら?こっそり修正すりゃいいねん。
「いらっしゃい!今日はアバターアイテムのセールだよ!」
リンクヴレインズ下層、地価の安いそこをぶらつきながら動画のネタになるような事がないかを探す。
他の散歩部の人たちと辻斬りドッキリ企画やらないか?と誘われたのだが、企画段階の時点でぐだぐだ臭がしたのであえなく没にした。これでも散歩部内での権力はあるのだ。創設者が同じ中堅カリスマデュエリスト達による連合だったってだけなのだが。リンクヴレインズにやってくるノリの良いデュエリストなら辻斬りにはノリノリで乗ってくるだろうから、それはねぇよと言ったら目から鱗が落ちたかのようにそれもそうだ!とのたまった。
全く、ドッキリなど辻斬りの風上にも置けぬ奴らよ。
本気でやるから、リンクヴレインズ辻斬り部は面白いのだというのに。
まぁ、俺たちの行いが散歩部全体に悪い影響を与えていることは知っている。だが仕方なかろう、強いデュエリストは向こうから誘ってくるのだから。
「んー、良さげな相手も居ないし、どっかの区画の旅動画でも作るかねー」
そう言った時だった。「ふざけんな!こんなのデュエルじゃねぇ!」と言いながら落下していくデュエリストを見かけたのは。
いや、マリカ機能(命名ネット民)によりコースに戻ったので大事はないのだが。なんか面白そうなデュエルの匂いがしてきた。ちょっと行ってみよう。
「カモン、Dボード!」
指パッチン(めっちゃ練習した)と共にDボードを召喚し、スピードデュエルのコースに乗る。
憤っていた少年は意気消沈したかのように項垂れている。
ここまでの精神ダメージを与えるデッキとは、是非とも戦ってみたいものだ。とデュエリストとしての血が騒ぐ。
前方をキョロキョロしながら飛んでいる少女タイプのアバターに声をかける。中学生くらいのアバターとは珍しい。だいたい皆高校生くらいの年齢のアバターにするのだが。...性癖だろうか。
「そこのお前!」
「...何?」
「おいおい、デュエリストが声をかける理由なんて、一つしかないだろ?」
「...そうなの?」
「そこはノってくれって。なんか恥ずかしいじゃん」
「まぁいいや、デュエルだ!さっきの男を負かした腕前、見せてくれ!」
「構わない。ただし条件がある」
「なんだ?」
「...終わったら、道を教えてほしい。さっきのデュエルが楽しくて迷った」
「そいつは任せろ。なんたって、俺はリンクヴレインズ散歩部だからな」
「私は、ワンダーランド」
「Stargazerだ、いざ尋常に!」
「「
ワンダーランド LP4000
Stargazer LP4000
「私の先行、スキルを発動する」
「いきなりとは飛ばしてくるな!」
「手札二枚を墓地に送り、デッキから通常トラップを手札に加える。“ダブルコスト・トラップサーチ”。私が加えるのは、メタバース」
瞬間、脳裏に電撃が走る。先程の男の心を折ったデュエルタクティクス。その正体は間違いなくあのカードであると。
「私は永続魔法、波動キャノンを発動。カードを一枚セットして、ターンエンド」
「俺のターン、ドロー!、スタンバイ、メイン」
残念ながら、この
「俺は、
「攻撃力1900、じゃない。デメリット付きで2400になるアタッカー」
「あらま、しっかり効果読むタイプなのね」
「上達にはこれが一番ってネット記事で見た」
「へぇ、良い記事だな。あとでURL紹介してくれや」
「構わない」
「じゃあ行くぞ!召喚成功時にリゲルの効果発動!テラナイトの攻撃力を500ポイントアップさせる!」
「代わりに、エンドフェイズに破壊されるデメリットを持つ事になる、諸刃の剣?」
「この場に限っては最良の選択だと思うがね!カードを1枚セットして、バトル!リゲルでダイレクトアタック!...メタバースは発動するか?」
「死ななきゃ安いって記事にあった。発動はしない」
「じゃあ食らっとけ!」
ワンダーランド LP 4000 → 1600
「これで終わり?」
「メタバースを発動してくれたら終わりにしたんだがな。そうじゃないならまだ攻めるさ!リゲルを対象に速攻魔法、
「...ない」
「じゃあいくぜ!デッキからテラナイトを特殊召喚し、その後リゲルをデッキに戻す。俺は、
「...ッ⁉︎」
「気づいたようだが遅いな!発動してしまえばあのカードで効果は止められない!」
「それでも、致命傷は避ける!トラップ発動、メタバース!デッキからフィールド魔法を展開する!私が展開するのは、あなたの読み通りのこのカード!」
「正直、二度と見たくはなかったがな!」
「「
「逆順処理だ、メタバースの効果によりフィールド魔法
「
「だが、シャムの効果の発動は
ワンダーランド LP1600 → 600
「だけど、ここで終わり。
「...ターンエンドだ」
状況は一見俺が有利に見えるかもしれない。しかし、
あと600が、遠い。
「私のターン。カードを一枚セット、ターンエンド。...スタンバイフェイズを一度通過した事で 波動キャノンには1000の火力が溜まる。残りは、3ターン」
「その前にケリをつけるさ!俺のターン、ドロー!スタンバイ、メイン」
「俺は手札から増援を発動!
「
「そりゃ、
「...」
「だったら、更なる展開の為にモンスターは出すだけ出すさ。俺のデッキには魔法罠を破壊するカードも存在するからな」
「...スピードデュエル用のデッキのサイクロン系カード採用率は23%、そのほとんどが一枚入れているだけのいわゆるピン刺し」
「統計サイトも見てるのかよ、有望だな。その通り、俺のデッキに入ってる破壊系カードはツインツイスター一枚のみ。だが、そういうカードって必要な時に来てくれるもんだぜ?」
「...そう、だからさっき増援を使ったの。デッキ枚数を一枚でも減らして必要カードを引き込む確率を高めるために」
「ロジカル思考で結構。最近リンクヴレインズに来たにしてはかなりやり手だな。俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド」
「ドロー、カードを一枚伏せてターンエンド。スタンバイフェイズを経過した事で波動キャノンには今2000ポイントの火力が溜まってる。あと、2ターン」
「フルセットか...俺のターン、ドロー!...スタンバイ、メイン!来たぜ、手札一枚をコストに、速攻魔法ツインツイスターを発動!
「引き当てて来た⁉︎...でも、まだ終わらない!カウンタートラップ、神の宣告。ライフを半分支払い、ツインツイスターを無効にし破壊する!」
ワンダーランド LP 600 → 300
「奇遇だな、俺もさ!ライフを半分支払い、カウンタートラップ、神の宣告を発動!お前の神の宣告を無効にし破壊する!」
Stargazer LP4000 → 2000
「まだ終わらない!カウンタートラップ、ギャクタンを発動!トラップの発動を無効にしてデッキに戻す!神の宣告を無効化!これで、通さない!」
こちらのツインツイスターを巡る激しい攻防。どうやら、勝負は決まったようだ。
「あなた、勝負を焦ったわね。ライフポイントは波動キャノンの火力圏内に入った。私の、勝ち!」
「それはどうかな?」
「何を⁉︎」
「俺には、2体のモンスターがいる!」
「リンク召喚したところで、何も変わらない!どんなリンクモンスターの効果でも、プレイヤーを対象にする
「...一つ訂正してやるよ。俺の次の召喚はリンク召喚じゃない、古めかしいエクシーズさ!召喚条件はテラナイトモンスター2体!ウヌク、シャムの2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、ランク4!
「エクシーズ召喚ッ⁉︎...でも、あなたのモンスターは減った所で私のモンスターはゼロ!ヴァトライムスの強力な効果は発動されない!」
「狙いはそこじゃない!俺は、エンドフェイズに移行する!」
「なら、私の勝ち!」
「スピードデュエルの面白さを一つ教えてやるよ、ワンダーランド」
「...何、負け惜しみ?」
「絶対的優位状況が、カード一枚も使わずにひっくり返ることもあるって事さ!スキル発動!“スターブレイカー”!」
「ここでスキル⁉︎」
「エンドフェイズにのみ発動可能なこのスキルの効果は単純!俺のフィールドのモンスターを全て破壊する!吹き飛べ、ヴァトライムス!勝利の道を作るために!」
流星の落ちたかのような爆発ののちに、ヴァトライムスは崩れて落ちた。
「自分のモンスターだけを、破壊するスキル...ッ⁉︎」
「そう、そして今はエンドフェイズだ。強制効果の
「お互いのモンスターが同数、ゼロとなった事で
「それにより、俺のモンスターを縛る効果は消え去った!速攻魔法エクシーズ・ダブル・バック!エクシーズモンスターが破壊されたターンに発動できる。墓地のエクシーズモンスターとその攻撃力以下のモンスターを特殊召喚する!俺は、ヴァトライムスとシャムを特殊召喚!シャムの特殊召喚成功時に
「...まさか、この局面を思い浮かべていたからモンスターを召喚し続けて来たッ⁉︎」
「そうだ。
「俺はハナから、
「...完敗。でも、楽しかった」
「こっちこそありがとう、楽しいデュエルだった」
その言葉とともに、シャムの光の矢がワンダーランドの胸を貫いた。
デュエルを終わらせる、終幕の一撃だった。
ワンダーランド LP 300 → -700
「じゃあ案内お願い、Stargazer」
「おうよ。ついでだしワンダーランドさんにこの辺りの良いデュエルスポット案内するよ。下層から上層に登るルートは空飛んでるッ!って感じがして気持ちがいいんだ」
「へぇ、楽しみ」
データストームの波にのる。やはり、風が気持ちいい。新しいデュエリストとの出会いもあったことだし、今日は良い日だ。
「そうだワンダーランドさん。俺実は動画上げてるんだけど、さっきのデュエル動画にしちゃって良い?」
「...それは、ちょっと恥ずかしいわね」
「どうせワンダーランドさんならすぐに有名になるんだし、気にしない気にしない」
「どうして?」
「デュエリストが、強いデュエリストを放っておくと思うか?」
「成る程、道理。ただ、一つだけ条件があるのだけど」
「なんだ?」
「また私と、デュエルしてくれる?」
「勿論!」
「...ありがとう」
その言葉を返した時のワンダーランドさんの顔は、少し赤かった。
まぁ、
だから、伝えよう。リンクヴレインズはどんなデュエリストでも受け入れる、デュエリストの遊び場なのだと。
「じゃあ改めて。ようこそ、リンクヴレインズへ!」
「これからよろしくね、Stargazer」
セントラルエリアにて、握手と共に別れる。
他の中堅カリスマデュエリストの皆同様、長い付き合いになりそうだ。
そんなことを考えると、ふと思う。今は遊戯王VRAINSの1期と2期の間であり安全だ。
しかし、2期最終デュエルにおいて、このリンクヴレインズにいる人々は2期のボス、ボーマンのニューロンリンクにより脳を奪われてしまうのだ。それを防ぐ手段は、今の自分にはない。
自分はただの、小学生でしかないのだから。
「...下手に情報をばら撒けば、イグニスの目に留まり精神を抜き取られる。事件の時だけ動いても、プログラムスキルが年相応の俺じゃあ何も戦力にはなれない。去年とはえらい難易度の違いだな」
だが、出来ることはあるだろう。このリンクヴレインズを隅から隅まで探せば、敵の本拠地ミラーリンクヴレインズに繋がるような情報を得られるかもしれない。そうなれば、敵の準備が整う前にPlaymakerたちがなんとかしてくれるかもしれない。
かもしれないだらけの暗中模索だが、ただのモブとして消費されるよりも頑張るモブとして抗いたい。そんな思いが、胸の中を燻っていた。
抗うモブが好きなんです。
ただ、正直2期の話はガチ目に頑張ったとしても原作の本筋に絡めないので、一期の時よりも話数は少なくなる(予定)です。ご了承下さいな
5/19 ご指摘を受けて魔鍾洞関係の処理を修正しました。エンドフェイズの強制効果は任意効果が全て終わった後にスタートするのだそうです。コンマイ語って難しい。