【完結】無限泡影が飛んでこないこの世界で元気に生きてます 作:気力♪
デュエルは人を繋いでくれる。それは、前世で馬鹿をやってた頃にも、今世で阿呆をやってた頃にも感じた事である。
友人とデュエルして、デュエルしたから友人になって、そんなで輪が広がっていく。
それが2つの世界で変わらなかったからこそ、俺は狂わずにいられたのだと思う。
呪いのような前世の記憶、結城天頂ではなく◼️◼️◼️◼️として生きていたその価値観は、俺にこの世界からの異物感を与えた。
それは、話さずとも受け入れられているとわかっていても尚感じてしまう、郷愁の念に似た何か。
でも、デュエルは俺を救ってくれた。戦い広げた輪の中に、俺がいたのだ。
それが、デュエルをすればだいたい友達だっていう俺のあやふやな信念になったのだと思う。
「こりゃまた壮観で」
右を見る、青と赤の半分こ怪人が編隊を組んで飛んで来ている。
左を見る、青と赤の半分こ怪人が編隊を組んで飛んで来ている。
当然、正面と背後にも編隊は存在している。
「見た感じ、正面が一番薄いですね。罠なんで他を行きましょうか」
「判断早いわね。まぁ他を抜けられるかって話なんだけど」
「こちらの戦力は4人と...2人のイグニスは、戦える?」
「...すみません、私はリソースの不足でデッキの再構築ができていないのです」
ペコリと頭を下げるアクア。その横でディスクを操作するワンダーランドさん。
「ログアウトは妨害されてる。正直パニック寸前」
「すいませんワンダーランドさん、ここまで大事になるとは思わなくて。先に帰ってもらっても良かったかもしれませんね」
「その場合、私は友人を見捨てた外道?」
「いや、そこまで言いませんよ誰も」
「私が言う、だから、これでいい」
「5人じゃ包囲の厚い後ろの突破は難しいわね。どうする?ゴーストガール」
思案を続けるゴーストガール。正直、修羅場の経験値で言えば一番の彼女が取り仕切るのが一番だろう。
「...罠を食い破る作戦を思いついたわ」
「お願いします」
「まず、全員で抜けるのは罠のあるであろう正面よ。そうして突破したなら、目くらましするわ。そしたらイグニスをデュエルディスクに隠して散開、全速力で領域を抜けてログアウト。どう?」
「では、デュエル能力のない私はブルーガール、あなたのディスクに」
「私は...」
「近いやつで良いだろ、その辺は緩くしとこう。アースは突破の為にも暴れてもらうからな」
「じゃあ、包囲が収まる前に行くわよ!」
全員がボードの乗って正面突破を図る。
「その半分こ怪人はスキルを二度使ってきます!確認できたのはマーカーズポータル、攻撃力を倍にするリンクマジックです。気をつけて!」
「「「「「スピードデュエル!」」」」」
突破を図る。実力者であるブルーガール、ゴーストガールから離れないように、雑魚を切り抜けていく。
「デルタテロスとアルタイルでダイレクトアタック!」
それに、俺の手札の調子も良い。敵が召喚妨害用のトラップを使ってこないのもあるが、安定して手札誘発と展開札を引き込めている。
「波動キャノン発動!4000のダメージ!」
「オルターガイスト・ヘクスティアでダイレクトアタック!」
「トリックスター・マンジュシカでダイレクトアタック!」
着実に数は減らせている。行ける。
「邪魔だ、ダイナレスラー・キングTレッスルで攻撃」
そう思った時、前方から死がやってきた。
マントの内側に見えるガリガリに痩せ細ったその巨体。そして、その中でもギラギラと輝くその瞳。
変わり果てた、GO鬼塚がそこにいた。
「ゴーストガール!使ってください!」
「わかったわ、プログラム起動!」
輝きと共にゴーストガールに集まる。
そして一瞬の交錯の後に、作戦が起動した。
木製のアバターとボードはそのままに、アクアとアースの映像が流れるような細工の囮と、それから離れるように散らばる俺たち。
「じゃあなAI野郎!縁があったら披露宴には呼んでくれ!」
散らばって逃げる俺たち。だが、GO鬼塚は見えていたのだろう。
理屈は知らない。ただ、その囮はビットブート達には効果はあっても、彼には意味がなかった。
「あの、なんで俺を追っかけてくるんです?イメチェン失敗したGO鬼塚さん」
「単純計算だ。目くらましの前の位置関係なら土のイグニスはお前のディスクに逃げ込んだと考えられる」
「ま、ハズレなんですけどね。本命はゴーストガールさんの所です」
「嘘を吐いても無駄だ。俺は、感じ取っているからな」
またしても俺のディスクに対してデュエルアンカーが括りつけられる。本日二度目、しかも拘束力はかなりのものだ。ログアウトなど出来る訳はないだろう。
「どうする、バレているぞ」
「出てくんなよ、知らぬ存ぜぬで通せなくなったじゃねぇか」
「そんな事が通るとでも?」
「通ったら嬉しいなーとは思ってます、はい」
マントを脱ぎ捨てるGO鬼塚。見るに耐えない、貧弱な身体だ。
だが、その目のギラつきだけは止まらない。まるで人を殺すためだけのアーミーナイフだ。
「仕方ないですね...友達を逃がすために、貴方を倒します!」
「やってみろ!」
「「スピードデュエル!」」
「始まってしまったか!」
「フッ、Playmakerか。指をくわえて見ているが良い。水のイグニスの次はお前だ」
「あ、Playmakerさんどーもです」
「Stargazer、遊びじゃないんだぞ!」
「デュエルはデュエル、気合い入れても入れなくてもカード達は答えてくれる。というわけで俺の先行、スタンバイ、メイン!
「俺のターン、ドロー!まずはこいつからだ。ダイナレスラー・カポエラプトルを召喚。カードを1枚伏せ、バトル。カポエラプトルでウヌクを攻撃だ」
「攻撃力は同じ...相打ち狙いか?」
「カポエラプトルは攻撃表示の時、戦闘では破壊されない。よって破壊されるのはウヌクだけだ」
「...随分優しい攻撃ですね、舐めてます?」
「そう思うか?」
「ええ、割と。まぁ舐めてくれるなら万々歳なんですけどね」
「フッ、ターンエンドだ」
「おっと、まだ終わりませんよ!トラップ発動、リビングデッドの呼び声!墓地から
「フッ、破壊されたのは...やぶ蛇だ」
「ッ⁉︎」
「やぶ蛇の効果、相手によって破壊された事でエクストラデッキから任意のモンスターを特殊召喚できる。現れろレベル8!ダイナレスラー・キメラ・T・レッスル!」
「攻撃力3500か、強力なモンスターが召喚されてしまったな」
「...良かった、ベリアルとかクリスタルウィングとかじゃなくて、常識的なやつで本当に良かった!死んだかと思いましたけど、まだデュエルは続きそうですね」
「...攻撃力3500のモンスターを前にその反応か」
「キメラ・T・レッスルが融合モンスターという事は、GO鬼塚は融合召喚を扱えるという事。進化している、確実に!」
「えぇ〜⁉︎てことはあのガキンチョヤバいんじゃないの⁉︎」
外野がなかなかに騒いでいる。確かに強力なモンスターだが、それだけだ。コイツを出すなら異星の最終戦士でも出した方が良いのでは?と思うが、それはおそらくエクストラ5枚制限のおかげだろう。命拾いをした。
「大切なのは、自由に動けるって事!俺のターン、ドロー!スタンバイ、メイン。俺は、
「この瞬間、俺は手札のエフェクト・ヴェーラーの効果発動。トライヴェールの効果をエンドフェイズまで無効にする」
「速攻魔法、墓穴の指名者!貴方の墓地のヴェーラーを除外し、その同名カードの効果をエンドフェイズまで無効にする!」
「手札からの効果で除去効果を無効にしようとしたら、さらにそれを無効にしてきた⁉︎なんて空中戦だよ!」
「...問題はそこじゃない。本来攻撃的なプレイングをしてくるGO鬼塚が、デッキに合わない防御用のカードを使っている。デュエルスタイルを大きく変えている証拠だ。おそらく手本としたのはStargazerそのもの。彼のプレイングセンスは天性のものではない。研ぎ澄まされたデッキ構築とカードへの理解によるものだ」
「その通りだPlaymaker、だが手本としたのはコイツだけではない。リンクヴレインズにある全てのデュエルデータ、それを最適化して俺の頭脳に叩き込んだ、それが今の俺だ!AIの力を取り入れた事で、俺は次のステージへと進んだのだ!」
「次のステージとか言う割には、止められてますけどね」
「フッ、だが、そのおかげでお前の手札は未知の一枚とリビングデッドの呼び声の2枚、俺には次の展開が手に取るように見えるぞ?」
マジか⁉︎と言いたいが正直それAI使わなくてもできそうだ。テラナイトの動きは単純すぎだし。
そんな事を脇に考えていたら、アースが小声で話してきた。
「どうして君は墓穴の指名者を合わせることが出来たんだ?」
「目線ですよ。鬼塚さんはカードの発動のたびに手札とフィールドを見回していました。それは、手札に有効な防御カードがある時特有の仕草ですから。AIによって思考やプレイングが完璧になったらしいですけど、デュエルをやってるのはGO鬼塚さんです。見えるものはあるんですよ」
「なるほど、それがこちらの勝機か」
「です。あと、ざっとダイナレスラーデッキの特徴は掴みました。問題は未知のリンク4かシンクロや融合が飛んでこないかくらいです」
「エクシーズは考えなくて良いのか?」
「テーマのコンセプトがリンク寄りなので、エクシーズはないでしょう。レベルバラバラっぽいですし」
アースとのちょっとした作戦会議をしたのち、一度深呼吸。
大丈夫だ、まだこちらの優勢で進んでいる。
「再開しましょう!トライヴェールの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、相手の手札をランダムに墓地に送る!」
「俺の手札から、カポエラプトルが墓地に送られる。残念だったな」
「外れですか...まぁそこは運ですね。バトル!トライヴェールでダイレクトアタック!トライ・ブレード!」
「この程度なら受けてやる」
GO鬼塚 LP 4000 → 1900
「ターンエンドだ」
「では俺のターン、ドロー。相手フィールド上のモンスターが自分フィールドのモンスターより多いとき、このカードは特殊召喚できる。現れろ、ダイナレスラー・パンクラトプス」
「...出やがったか」
「知っているのか?」
「効果は、フリーチェーンでの除去。正直そんじょそこらのリンクモンスターより強いですよ」
「さらに、俺はダイナレスラー・エスクリマメンチを召喚。このカードはダイナレスラーがいる時リリース無しで召喚できる」
「攻撃力は2600と2200、どちらもトライヴェールを上回っているぞ!」
「ただ、向こうの手札はあと一枚。まだこっち優勢ですよ」
「バトルだ、パンクラトプスでトライヴェールを攻撃!」
「やってくれるッ!」
Stargazer LP 4000 → 3500
「ですが、トライヴェールの効果発動!オーバーレイユニットを持ったこのカードがフィールドから墓地に送られた時、墓地のテラナイトを特殊召喚する!俺はベガを特殊召喚!ベガの効果、手札のアルタイルを特殊召喚!アルタイルの効果、墓地のデネブを特殊召喚、デネブの効果!2体目のアルタイルを手札に加える!」
「おぉ!一気に壁モンスターが3体並んだぜ!」
「だが、これはGO鬼塚も想定していた筈だ。何が狙いだ?」
「エスクリマメンチでアルタイルを攻撃。ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!スタンバイ、メイン。...俺は
「特殊召喚時に1000ダメージを与える効果か。つまりあと2度効果を食らわせればお前の勝ち、そんな目論見か?」
「さて、どうでしょう。行くぞ、俺はモンスター3体、ウヌク、デネブ、ベガでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろランク4、
「デルタテロスにはオーバーレイユニットのある時、召喚に対しての効果の発動を封じる効果がある」
「そう言う事!だから、パンクラトプスに妨害されずに効果は使う事ができる!デルタテロスのオーバーレイユニットを1つ使い、フィールドのカードを一枚破壊する。俺が破壊するのは、当然パンクラトプス!」
「パンクラトプスの効果発動!自身をリリースしデルタテロスを破壊する」
「デルタテロスの効果発動!フィールドのこのカードが墓地に送られた時、デッキからテラナイトを特殊召喚できる。現れろベガ!そしてベガの効果で手札のアルタイルを特殊召喚!アルタイルの効果!墓地のデネブを特殊召喚!デネブの効果、3枚目のアルタイルを手札に加える!行くぞ!俺はテラナイトモンスター、ベガとデネブでオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろランク4、
その言葉と共に、フッとGO鬼塚は笑みを浮かべた。
「手札のダイナレスラー・マーシャルアンガの効果発動。このカードを墓地に送りダイナレスラーの戦闘破壊を無効にする」
「だが、ダメージは通るぞ!」
GO鬼塚 LP 1900 → 1500
「そして、マーシャルアンガの効果でバトルフェイズは終了する」
「まぁ、強制されなくても終了するしかなかったですけどね」
「そして、マーシャルアンガのさらなる効果。効果を使ったターンのエンドフェイズに相手モンスターの数が多いとき、墓地のこのカードを特殊召喚できる。お前のフィールドのモンスターは2体、よって条件は成立している」
「...嫌な予感しかしないな畜生」
「フッ、俺のターン。俺は、ダイナレスラー・コエロフィシラットを召喚。行くぞ、俺はレベル6のエスクリマメンチにレベル2のコエロフィシラットをチューニング!屈強なる太古の王者よ!すべての敵を蹴散らせ!シンクロ召喚!現れろレベル8。ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット!」
「...これはきついな」
「わかっているようで何よりだ。ギガ・スピノサバットの効果発動!フィールドのモンスターを破壊する!消えろ、ヴァトライムス!」
「まずいな、まだこんな手を残していたのか」
「安心しろ、まだ首の皮一枚残るよ。それは向こうもわかってる」
「リビングデッドの呼び声で壁モンスターを増やせば延命はできる。だが、それだけだ」
言葉を返せない。ギガ・スピノサバットを倒しながらあと1500のライフを削り取るのは至難の技だ。だから、この可能性は除外していい。狙うべきは、シャムによるバーンキル。
エクストラデッキにモンスターを戻す手段は俺のデッキにはない。だから、ギガ・スピノサバットを倒す手段は無いに等しいのだ。
そして気付く。この状況こそがGO鬼塚の狙いだったのだと。
「狙いはこっちのリソース切れだったのかッ⁉︎」
「今更気付いたか。だがもう遅い。お前のエクストラデッキは透けている。残りは、ヴァトライムスとセイクリッドダイヤ。攻撃力3000のギガ・スピノサバットを倒す事はできない。それが、お前の限界だ」
「...どうする、Stargazer」
「...逃げる準備しとけ、アース。俺のディスクにはお前を縛るプログラムなんてものはないはずだ。このアンカーに仕込まれてたとしても、やれないことはないだろ?」
「...友人とはそう言うものなのか?」
「ほら、友達の前ではカッコつけたいじゃん?『俺に任せて先に行け』とかさ」
「...シミュレーションは終わった。ここで私だけ逃げたとしても、逃げ切れる可能性はゼロだ」
「...そっか」
「そして、逃げたいと思う気持ちも無い。君に賭けよう、友人よ」
「じゃあ、気合い入れてやりますか!」
「話は済んだようだな。なら、マーシャルアンガを攻撃表示に変更して、バトルだ。ギガ・スピノサバットでアルタイルを攻撃!ギガサバットストライク!」
Stargazer LP 3500 → 2200
「さぁ、足掻いてみせろ!」
「当然に!トラップ発動、リビングデッドの呼び声で墓地のアルタイルを特殊召喚!効果発動!墓地のシャムを特殊召喚!シャムの効果!1000のダメージを与える!」
GO鬼塚 LP 1500 → 500
「...攻撃力1700と守備力1800か、マーシャルアンガでは倒せない。このターンは防いだな」
「これでマーシャルアンガを殴って俺の勝ち!とはならないのが悲しいところですね。ギガ・スピノサバットの攻撃抑制能力で、俺はそいつ以外を攻撃できない」
「ならばどうする?」
「逆転の目はある、どうする?」
「決まってる、ドローしてから考えるさ!俺のターン、ドロー!」
「スタンバイ、メイン、魔法カード、一時休戦を発動!互いのプレイヤーはカードを一枚ドローする。そして、次の俺のターンまで全てのダメージは発生しなくなる。ドロー!...俺は、シャムを攻撃表示に変更し、バトル!シャムで、ギガ・スピノサバットを攻撃!」
「当然ギガスピノサバットによりシャムは破壊される」
「これで、まだ希望は繋がる。次のターンで俺のアルタイルの効果が通れば俺の勝ちだ!」
「俺のターン、ドロー。ダイナレスラー・カポエラプトルを召喚。ギガ・スピノサバットの効果発動、消えろ、アルタイル」
「攻撃をしてもダメージは通らない。俺はこれでターンエンドだ」
「俺のターン...ドロー!」
そこに見えたのは、俺のデッキの裏エース。チャンスは、まだある。
「まずは一手目!アルタイルを通常召喚!効果発動!墓地のシャムを特殊召喚する」
「フッ、DDクロウの効果発動。墓地のシャムを除外する」
通るとは思ってなかったが、やはり強い。
だが、これで向こうの手札は尽きた。ヴェーラーが飛んでくることはない。
「俺は、墓地の闇属性モンスターヴァトライムスと光属性モンスターウヌクを除外する!現れろレベル8!カオス・ソルジャー -
「ほう?」
「開闢の効果発動!戦闘を放棄する代わりに相手モンスター一体を除外する!カオスティック・フォース!」
「ギガ・スピノサバットを処理してきたか...」
「バトル!アルタイルでマーシャルアンガを攻撃!」
GO鬼塚 LP 500 → 400
「これで奴の手は破りきったぞ!次のターンで、私たちの勝利だ!」
「おめでたいな、イグニス」
「何⁉︎」
「Stargazerは気づいているようだぞ?俺が次にドローするカードの事を」
「本当なのか⁉︎」
「...次のドローで俺が負ける可能性は俺の知る限り一つ。恐竜デッキ最強のモンスター。お前が手段を選んでないのなら入っていない訳が無い」
「だが、次のドローカードなどわかるものか!」
「わかるさ!それが人とAIの融合という事だ!」
「Stargazer、私のスキルを使うぞ!私のスキルなら、次にドローさせる前にトドメを刺す事ができる!」
「...いいや、お前は逃げろ。奴にはそんな甘い手は通じない」
「友を見捨てて逃げた先に、私の在りたい姿は無い!スキル発動!ライト・フォー・ユー!私達のモンスターが戦闘で破壊したモンスターのレベル×100ポイントのダメージを与える!マーシャルアンガのレベルは5!500ポイントのダメージだッ!」
「GO鬼塚のライフは400!アース達の勝ちだ!」
「やめろアース!罠だ!」
「...機能拡張!ブレイン・ハック第2段階!スキル発動!アンチスキル!スキルを無効化する!」
「「「何ッ⁉︎」」」
「...止められなかったッ!」
「デュエル中に一度、スキルの発動を無効化し2枚ドローする。浅はかなAIのお陰で、俺にアドバンテージがやってきた。最も、デッキトップはお前と俺の読み通りだったがな」
「...すまない、Stargazer。私が焦ったばかりに」
「こっちこそ悪かった。お前をアクアと幸せに暮らさせてやりたかったけど、俺じゃ力不足だった。それだけなんだから」
「だが、一つわかった事がある。パートナーと共にやるデュエルというのは不思議と心が躍った。こんな危機だというのに、私は楽しんでいた」
「...それは、こっちもだよ。ああ、畜生」
「楽しいデュエルだったなぁ」
アースと目が合った。不思議と笑みが浮かぶ。別れを感じさせる笑みだった。
「俺のターン、ドロー。
「攻撃力3500の全体攻撃モンスターか、防ぐ手段はない。負けだな」
「ああ、負けだ」
「バトルだ。究極伝導恐獣で開闢の使者とアルタイルを攻撃!」
Stargazer LP 2200 → 1700 → -100
「Stargazer、約束をしよう。私は必ずもう一度君と出会う」
「その時は、友として私を案内してくれ」
ふと、涙が流れ出た。それは、これからアースの辿る運命を知っているからで、この約束が果たされる事はないとわかっているからで
それでも、死出の旅路に赴く事になってしまった友人に勇気を与えるために、夢の話だけをした。
「その時は、星を見に行こう。Den City の空は明るいけれど、それでも明るく輝く星はそこにあるんだ。生で見たら、きっと感動するぜ」
「ああ、それは、楽しみだ」
その言葉を最後に、アンカーを通じてアースのデータは吸い尽くされた。もう、俺のディスクには痕跡すら残っていない。
「ぁあああああああああああああああ!!!!!」
叫びは、自然と出てきてしまった。
「チッ、邪魔が入ったか。勝負は預けておくぞ、Playmaker」
「GO鬼塚...」
ログアウトしていくGO鬼塚。未練がましくその背中に手を伸ばして、当然届かずに空を切った。
「...アクアを、助けに行かないと」
「おい!そんなフラフラで何ができるってんだよ!」
「アースの残した通信用プログラムのお陰で、アクアとブルーガールの位置は分かります。案内するのでついてきて下さい、Playmaker」
「...ああ、わかった」
「ご主人⁉︎」
「ありがとうございます」
そうしてブルーガールの元に赴いて、ダンジョン化されていた階層を抜けて辿り着いた先には無事なアクアの姿があった。
「よかった、無事で」
「ええ。ブラッドシェパードが追いかけてきたんだけど、ゴーストガールがダンジョンを作ってくれたおかげでなんとか隠れられてる所よ」
「...アースの気配を感じません、何かあったのですか⁉︎」
「ああ、俺は負けたんだ。完膚なきまでに」
「...そうですか」
「Stargazerに落ち度はない」
「はい、分かっています。Stargazer、あなたの心は悲しみで満ちています。短い期間だというのにそれだけアースの事を大切に思ってくれた事、同じイグニスとして感謝しかありません」
「俺が負けなければ、アースは生きていられたとしてもですか!」
「...あなたは、優しいのですね」
その言葉が突き刺さる。
「ですが、責めてなんかあげません。あなたは頑張ったのです。それは、絶対の絶対ですから」
「アクアさん...」
「ブラッドシェパードとゴーストガールのデュエルが終わったようです。ログアウトしましょう。私は、ブルーガールと共にいます。...是非、あなたとアースの話を聞かせてください」
「...はい」
責めてすら貰えない、それはどれだけ苦しい事なのだろうか。
でも、前を向かないと。だって俺は、アースの友人なのだから。
「話は軽く聞いたわ。...よく頑張ったわね、少年」
「...エマさん、お願いがあります」
「...何かしら?」
「SOLがイグニスの解析に入るのにそう時間はかけないでしょう。だから助けてくれなんて言いません。でも、見逃したくないんですアースの最期を」
「...分かったわ、私の拠点に案内してあげる。SOLにはパイプがあるから、映像を見るくらいはできるはずよ」
「ありがとうございます」
そうして案内されたそこには、高校の制服を着た少女がいた。
「エマさん、彼は?」
「結城天頂、Stargazerよ」
「はじめまして、ブルーガールさんですか?」
「ええ、そうよ。葵で構わないわ」
「そして、さっきぶりですね天頂」
「じゃあ葵さん、アクアさん、すいませんが少し同席させてもらいます」
「...晃からの連絡が来たわ。多分少年には辛いものになる。今からでも遅くないの、見るのを止める?」
「いいえ、俺は見ないといけません。じゃないと、アースの友人を名乗れない」
そうして、俺たちは映像を見る事となった
オフラインの空間に貼り付けにされた私は、生き残る術を探していた。イグニスとしての力は封じられている。八方塞がりだ。
「ここで見ている者たちよ!私は情報の開示を躊躇しない!君達の不利益になるような行動は決して取らないと約束する!だから、私に自由をくれ!私はまだ生きていたいのだ!守りたい人がいるのだ!守りたい約束があるのだ!命じるなら靴だって舐めてみせよう!だから、私を...ッ⁉︎」
瞬間、痛みもなく右腕が解体されたのを感じる。
これは、不可逆のものだ。
「私は君達に協力する!だから、私を殺さないでくれ!私が死ねば、泣いてしまう奴がいるのだ!だから、だから!」
その声は届く事なく、解体は進んでいく。
右足が解体され、左腕が解体され、胴が解体され、右半身が解体される。それと同時に、大切なはずの記憶が零れ落ちていく。もう、恋をしたあの子の名前すら思い出せない。もう、私を友人と呼んだ彼の記憶も消え失せている。
それでも、ああ...
「星を、見たかったな...」
その言葉と共に、土のイグニスである自分は、ただのソースコードになった。
「アース...」
「どうして!イグニスにだって意思があるのにどうしてそんなひどい事を!」
「...ありがとうございました、エマさん」
「泣かないの?」
「泣いてアースが返ってくるならそうします。けど、現実はそうじゃない。だから俺は、俺のできるやり方で対抗させて貰います。それが手向けになるとは思いませんけれど、それでもやると決めたんです」
「天頂...」
「アクアさんをよろしくお願いします」
そうして、アジトを出て行く。行き先は、Cafe Nagi 。
この戦いで得た全てを、彼に伝えなくてはならない。これからアースをインプットされる最強のデュエリスト、今のGO鬼塚というデュエリストについて。
Playmaker、藤木遊作へ。
ちょっとイベント前倒しになったりしてますが、概ね原作通りです。GO鬼塚の強化以外は。ダイナレスラー縛りなんてなかったのです。