YUMIYA~ある弓道部員の物語~   作:伊藤ネルソン

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 「皆さんこんにちは涼太です」
 「同じく作者です」
 「最近寒くなってきましたねぇ」
 「私も部屋の窓開けっ放しにして寝てたら寒くて夜起きちゃいましたよ」
 「それは自業自得です」
 「相変わらず手厳しいね」
 「別に普通ですよ?まぁみなさんも気をつけてくださいね」
 「さて、13話始まります、今回は学園の話です」
 「宮廷とヴィシー学園行ったり来たりで混乱しませんか?」
 「両立させようとするとどうしてもそうなってしまうんですよねぇ」
 「まぁなるべく読者のみなさんの立場に立って作るようにしてくださいね」
 「気をつけてます」
 「それでは13話」
 「「よろしくお願いします!」」

 

 
 


テスト

 

 1786年 ヴィシー学園

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 「ふぅ....今日も終わった〜」

 

 私、伊藤遥はチャイムと同時に息を吐き出した。

  

 「お疲れ様〜ハルちゃん大丈夫?」

 

 「何とか.....」

 

 

 隣に座るカリーネが苦笑いをしながら聞いてきた。

 

 今日はたまたま数学が2時間授業があった。

 

 そのため、数学嫌いの私にとっては地獄であり、ノートに数式写すだけで精一杯であった。

 

 それに対してカリーネはなんとも涼しそうな表情である。

 

 「....その頭脳少し分けてください」

 

 「なんか言った?」

 

 「...いや何でもない」

 

 私はカリーネを恨めしそうに見ながら教科書をかばんに突っ込んだ。

 

  学園では昨日まで中間考査があった。私は得意な歴史等の科目については満点が取れたが逆に苦手な数学では欠点+10点程のギリギリの点数をとってしまった。

 

 そのため、昨日の放課後数学のテストで100点取れるまで居残りになっていたのだ。

 

 当然、テスト期間中はクラブも停止である。

 

 「あっ!!そういえばハルちゃん先生!!今日の活動は何ですか?」

 

 カリーネは帰り支度をしながら聞いてきた。

 

 私が射法八節を教えてから1月程経ったが皆みるみる腕を上げていき、まだ紐を使った練習とは言え、十分キレイに引けるようにはなっていた。

 

 「うーんとね、そろそろテストに移ろうと思うの」

 

 「テスト....自分が情けなかったからって八つ当たりは駄目だよ。」

 

 「いやいや、そっちのテストじゃないから!!ていうか、貴女も私と合計じゃ変わらなかったでしょ!!」

 

 「たはは〜♪バレたw」

 

 「ぅんも〜!!バカにしないでよ」

 

 実は彼女は数学で満点を取った代わりに歴史が欠点ギリギリだったのだ、お互いさまである。

 

 「まぁ冗談はこの辺にしておいて....テストって紐の?」

 

 「なによ、わかってるじゃない!」

 

 「ちょっと試しただけよ♪さぁ行きましょう!?」

 

 彼女は私の肩を引っ張って駆け出した。

 

 「もう!!下手くそだったら承知しないからね!!」

 

 私は教科書を鞄にしまいつつついて行った。

 

 ...........

 

 弓道クラブ

 

 「さて、紐のテストだけど....」

 

 私は準備を済ませた後審査員席に座りノートを広げていた。

 

 「そのノートは....?」

 

 ソバールが不安そうに震えながら聞いてきた。

 

 「ううん、そう大したものじゃないから安心して、単なるメモ帳だから.....それよりも今日のテストについて説明するね。」

 

 私はそう言うと黒板にテキトーに手順を書いて示した。

 

 「正直、私が審査でやっていたように体配に則って入場退場からきちんとやりたいとこだけど.....まだ教えてないからその代わりに、受験者はそっちの控室から一人づつ出てきてもらって」

 

 私はそう言うと射位と書かれた札をおいた。

 

 「この札のとこまで歩いてきて自分の良いと思ったタイミングで引き始めて、終わったらクラブの出口から出て廊下で待っててね。」

 

 「ハルちゃん先生!!質問です。」

 

 「何ですか?」

 

 シレーヌが手を上げた。フェンシングクラブが休みの為今日はシレーヌも参加する。

 

 「制限時間とかはあるんですか?」

 

 それを聞かれて、私は少し考えた後答えた。

 

 「うーん....欲しい?」

 

 「遠慮します。」

 

 「だよね。まぁゆっくりのびのびと引いてもらって良いよ、焦らんで良いから。」

 

 それを聞いて安心したのか皆胸を撫でおろしている。 

 

 「一応順番はくじで決めるからね!!」

  

 私はそう言うと番号が書かれた棒を番号を見えないようにして示した。

 

 「それじゃアルファベット順に引いてってね。」

 

 各自棒に書かれた数字を見て様々な表情をしている。

 

 私は皆の順番を黒板に書いた。

 

 「それじゃ、カリーネ、シレーヌ、ソバール、叔母さんの順で入ってきてね。」

 

 私はそう言うと、審査員席に座り直し、彼女達に控室へ行くよう促した。

 

 ..........

 

 ソバールside

 

 私は今すごく緊張していまず。今日のためにテスト期間中寮でシレーヌと一緒にやってきたけど不安でいっぱいだよぉ

 

 シーン

 

 あぁ、シレーヌ終わっちゃった。次私の番だよぉ〜

 

 心臓すごいドクドクしてるよ〜

 

  「次どうぞー」

 

  「ひゃっ!!ひゃい!!」

 

 ザッザッ

 

 足踏みはこれくらいで良いかなぁ

 

 弓構え大丈夫かな、肘貼ってるかな

 

 顔向け良いかな〜?偏ってないかなぁ

 

 パッ

 

 よし、終わったぁ〜....あれ?ノートになんか書かれてる

 

 なんだろう.....

 

 .......

 

 遥side

 

 スッスッスッ

 

 「......」

 

 叔母さんがクラブの外へと退場していった。

 

 以上で試験は終わりである。私はハッーと息を吐いてから皆を中に入れた。

 

 「みんな〜、入ってきていいよ」

 

 皆がゾロゾロと入ってきた。皆、やり切った表情と不安な表情が入り混じった複雑な顔をしている。

 

 私はそれを見るとニカッと笑い

 

 「ハハハッ、もう終わったで力抜いてもらっていいよ。結果はまだ言わないけど... 」 

 

 当然皆の表情は変わらない。

 

 ちょっと意地悪だが結果後回しにしないと皆、結果に夢中になって注意点について聞けなくなってしまうから仕方ない。

 

 「まぁひとまず、お疲れ様〜みんな最初の時と比べてすごい上手くなったね。」

 

 「正直緊張で肩凝っちゃったわ」

 

 「まぁ、この後、ゆっくりしてもらうとして、まず一人ひとりの評価を話すね。まずはカリーネ!」

 

 「どうだった。」

 

 「やっぱりカリーネらしいというかすごく滑らかに引けていたよ。緊張してる中でもそこまできれいに引ければ多分どんな場面でも上手くできるよ。ただちょっとフラフラしてるとこがあったからそこだけ気をつけてね。次にシレーヌ!」

 

 「どう?私の射は?」

 

 「やっぱりフェンシングやってるからなのかすごく力強く引けてる感じがしたね。射にキレがあるというか....離れもキレイだったよ。ただ、ちょっと全体的に雑になってきてる感じがあるから一本一本丁寧に引いてね。次にソバール」

 

 「はい!」

 

 「まず良く頑張ったね。シレーヌから聞いたよ。いつも帰ってからやってたんだって?テストもあったのに良く頑張ったよ。射としては全体的にキレイに引けてたで良かったけど、ちょっと肩に力が入ってたから首の後ろ伸ばしてみて!肩がストンと落ちるからね。最後に叔母さん」

 

 「どうかしら?」

 

 「叔母さん....皆の中で一番キレイでした。どこかで習いました?」

 

 「ちょっとオランダから輸入した本を見ただけよ」

 

 「それでも読んだ情報を簡単に体現できるあたり流石です。」

 

 「ありがとう」

 

 「さて、これで全員の評価が終わったけど、結果は全員合格ね!!」

 

 皆、不意打ちだったためかポカンとした表情をしていたがそれは徐々に喜びへと変わっていった。

 

 「おめでとう、よく頑張っよ。ただ、これが終わりじゃなくて始まりだからね。」

 

 私はそう言うと人数分の弓を持ってきて、各自に渡した。

 

 「早速、今日から弓を引かせてあげるけど.....」

 

 私は弓を壁に当て、張ってみせた。

 

 「弓はこんな感じに壁にある溝に弓を当てて張るんだけどできそう?」

 

 皆、言われた通りにやろうとするが上手く力が伝わらず弓が張れない。

 

 「あっ、シレーヌ一旦待って!!」

 

 シバールあたりは無理やり曲げようとしているが、そのうち弓が唸りそうだったため止めた。

 

 「ごめん、説明が足りんかったね。まず弓は皆が思ってる向きと反対向きに弦を張るからその面を上にして溝に当てて.....」

 

 皆が向きを揃えたのを見てから説明を再開する。

 

 「姿勢を低くして弓を太ももの上に乗せ、弓の握りを押しつつ弦輪をかけるって感じ」

 

 見るとシレーヌあたりはうまくできているが、ソバールは後ちょっとのとこでかけられないようだ。

 

 「まぁ無理やりはめようとせず、もう少し腰を落としてみるといいよ。」

 

 「うーん!!.....出来た!!」

 

 ようやくはまったようだ。

 

 「案外、出来るようになると簡単でしょ?....さて次は素引きだけど....最初皆に素引きさせた時の注意点覚えてる?」

 

 「うーんと、確か...離したら駄目だったんだよね?」

 

 「そうそう、下手に離すと弓壊れるし怪我もするから絶対に素引きで離したらいけないよ、後、取り掛けの時の形で引かずにグーで引くようにね。」

 

 「こんな感じ?」

 

 カリーネが引いてみせた。弓に若干負けてはいるが十分である。

 

 「そうそう、そんな感じ♪だけどカリーネ.....弓最初と比べてどう?」

 

 カリーネは弓を戻してから頭を傾げた後答えた。

 

 「だいぶ軽く引ける気がするわ」

 

 「だよね、これは皆がキチンと筋トレを続けてきたこともあるけど、今までの紐を使った正直つまらないと思う練習にも腐らず続けてきた結果だからね。自身を持って誇ってもらっていいよ。さぁー他の皆も引いてみて。」

 

 各自渡された弓を、思い思いに引き感動していた。

 

 私はその様子を一通り眺めてから

 

 「さて、下準備はこんくらいにして本題に移ろうか?」

 

 私は手招きをして皆を巻藁の前まで連れてきた。

 

 「それじゃ今日のメイン、巻藁稽古について教えるね。」 

 

 私は弓と矢を持ち巻藁の前に立った。

 

 「今までは弓だけに注意すれば良かったけど、今日からは矢も使うから執弓の姿勢がすごく大切になるの。」

 

 巻藁のそばにおいた鏡を見ながら自らの姿勢を確認しつつ説明する。

 

 「まず、弓と矢の延長線が体の真ん中のラインのとこで交わり、なおかつ床から10センチ離した高さを保つことね。この時正面からは二等辺三角形、横からは弓と矢が平行に見えるように注意してね。あっ、シレーヌ腕張ってね」

 

 

 皆言われるままにやろうとするが上手くいかない人がほとんどである。新たに覚えた事をしようとするあまり、出来ていた事が出来なくなっているようである。

 

 「まぁ、なかなか直ぐには出来ないだろうけど、基本の形やで、出来るようになっても疎かにしないようにね。次に巻藁するときの注意点について話すね。まず、

 

 隣が打ち起こし入ったら矢を取らないこと

 矢は取れなかったら3回に分けて抜くこと

 巻藁と射手の距離は弓を左手で水平に引き上げ、末弭が丁度巻藁にあたるくらいの距離

 

 まぁこの3つは特に気をつけてね。後、絶対に巻藁の裏側に回らないようにね、射られたらまずいからね。それじゃ一人づつ巻藁のやり方についてつきっきりで教えるからちょっと並んで。」

 

 私は巻藁の前に皆を並ばせた。最初はカリーネである。

 

 「まぁ、基本は紐の時と同じだからね」

 「ok〜♪」

 

 カリーネは会までは比較的スムーズに出来たが、離れの段階になって

 

 「駄目よ!!離せない!?」

 

 カリーネはそう言うと弓を戻してしまった。

 

 私も最初は離すのが怖くて頭を避けてしまったから無理はない。

 

 私はカリーネの肩を支えると引くのを手伝った。

 

 会の段にいたり震えだしたが、先程と比べても表情は落ち着いている

 

 トンッ

 

 カリーネは震えが収まるとともに離れ残心をとり、行射を終えた。

 

 「ハルちゃん先生ありがとう。助かったわ」

 

 「どういたしまして。離れてみてどう?」

 

 「最初怖くてたまらなかったけど、いざ離してみるとすごいスッキリしたわ。巻藁でこれなら的前が楽しみね。」

 

 「それは良かった。ガンバ」 

 

 以降、私は弓懸の使い方も同様に教えてから一人ひとりつきっきりで指導した。

 

 「まぁ、基本はこんな感じだから頑張って練習してね。」

 

 一通り見終わった後に私は久しぶりに的前に立ち練習した。

 

 彼らの指導やテストのため練習出来なかった分今日思いっきり引いた。

 

 まだまだ道は遠いかもしれないが、今は彼らの努力に期待するとしよう。

  

 

 

 

 




「さて13話も終わりました。」
「ちょっと今回は短めでしたね」
「まぁ、いつも長くなりがちなのでできる限り短くしました。」
「内容はいつも通り微妙ですけどね」
「ハハッ....」
「.....まぁいいです。ひとまず巻藁まで行きましたが、学園の方はこれから先どうしていくんですか?」
「どうしていくとは?」
「今は設定上1786年となっていますが、この感じだと卒業してすぐに革命の時代が来ると思いますが?」
「まぁそこが見どころみたいなとこですのでご理解ください。」
「まぁどうなるのか分かりませんが、期待せずに待っております。」
「そこは期待してほしかったです。」

 次回 学園の日常?
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