「同じく涼太です」
「私は若干早けなのですが無理矢理10数えてから話したら当たりが戻ってきました」
「むしろ今まで早けなのに数えてなかったんですか?」
「数える前に離してしまうのが大半で、数えるとビクビク震え出すんですよね」
「その調子だから高校時代苦労したんですね」
「恥ずかしながら...」
「早けを直せば道は開けると思うので頑張ってください」
「もし読者の中にも早けで苦労されている方がいたらお互い頑張りましょう」
「さて15話始まります」
「今回は前回のカリーネに続き、シレーヌの話になります。」
「ソバールや叔母さんもするのかって?」
「わかりません、今のところは未定です」
「さて、今回は弓を離れて剣の話となりますが、作者は剣道の経験が体育以外ありません」
「一応刀に関してはちょろっと研究しましたが、体育の授業では散々でした」
「そんな状態であるため、フェンシング等西洋剣術に関しては、そういった物があると言うことしか知りません」
「そのため、中途半端な表現が多発すると思いますが、どうかご容赦下さい(今後のためにもご指摘歓迎いたします)」
「それでもよろしいと言う方は」
「「よろしくお願いします」」
ヴィシー学園
キリキリー!.......トンッ! パンッ!
「相変わらず順調よね〜」
「いや、ちょっと自己流が出つつあるから直さないと...」
シレーヌは羨ましそうに見るが私は自分の手を見つめながら呟いた。
今までシレーヌ達の事をずっと教えてきたため、曖昧な所を自分なりに解釈してしまった所があった。そこが射に響いてきたのであろう。
「私にゃ、分からないけどなぁ...」
「シレーヌだってあるでしょう?剣振ってるときになんかしっくりこない感じ」
「まぁ確かにあるけど...あんまし深く考えすぎない方が良いわよ」
「うーん...困ったなぁ」
そうはいっても弓道はちょっとした甘えが早けやびく等の難癖につながるため、嫌でも気にしてしまう。
それを見るとシレーヌは呆れたように息を吐きながら
「ハァ...ちょっとこっち来て」
私の手を引っ張り射場を飛び出した。
「ちょっと!どこ行くの!?」
「すぐそこよ!」
シレーヌはあるクラブの扉を開け、中に入った。
フェンシングクラブ、シレーヌの所属するもう一つのクラブである。
「今日は休みで誰もいないから自由に使えるわ!」
「そうはいっても叔母さんの許可取れたの?」
私達はクラブ中に飛び出したのだ、優先すべきは弓道の方である。
「飛び出す瞬間に合図送ったら、楽しんでおいでだって」
「なら良いけど...何するの?」
「何って稽古以外に何があるの?」
シレーヌは何を聞いているのかと言った表情をしていた。
「あのね、シレーヌ、私フェンシング未経験何だけど...」
剣道は前の世界の体育の授業でちょろっとやったが、フェンシングに関しては完全に未経験である。
「何もクラブとしてやる訳じゃないからやり方ぐらい何でも良いわ!適当にかかってきなさい...とはいえ、安全対策に防具はキチンとつけてね」
シレーヌはポイッと防具と剣を渡してきた。
私はそれをそのまま道着の上から付けて準備をした。まるで剣道をするようなファッションになったが、するのは一応フェンシングである。
「一応ルールとしちゃフェンシングと同様としたいとこだろうけど、フェンシングやったこと無いと分からないと思うからハルちゃんの剣が私の体...まぁ、胴体ならどこでも良いよに当たったら終わりね。」
「終わり!?勝ちじゃなくて!?」
「多分、ハルちゃんじゃ私に勝つのは無理だろうで、当てられるまで終わりませーん、て事にしました」
シレーヌのようなベテランであれば確かにポイントで勝つのは無理であろう、しかし終わらないと言うのも先が全く見えない
「クラブの終了時間までに終われたらまた今度ご飯奢るわね!」
逆に言うとクラブの時間を超えてもするつもりなのであろう。
私はハァーとため息を吐いてから構えた。
それを見てシレーヌも構えた。
「準備は良い?」
「うん」
二人の間にはピリピリとした空気が流れる
私達はしばらく間合いを保っていたが、ピリピリとした雰囲気にやられた私は...
「ヤッー!!」
突きを出してしまった。明らかに早けである。
それをみたシレーヌはひょいと横を向いたと思うと、スルッと私の脇の下に剣を当ててきた。
何事でもないような顔をしたシレーヌは剣を離し、構え直した。
「焦ったね、ハルちゃん」
「ちょっと雰囲気に飲まれたわ」
私もすぐに剣を構えた。あまりにもあっさりやられたためちょっと拍子抜けたが、いい準備運動にはなった。
次こそは機を違えぬよう、深呼吸をする。
「それじゃ、始めるよ」
私は気持ちを落ち着かしてからまっすぐ前を見つめた。
次こそは確実にやる、そんな気持ちで小さく頷いた...と思ったら次の瞬間!!
私の剣は空を飛んでいた。
シレーヌの剣もぴったり体に触れている。
何が起こったのか分からず唖然とする私にシレーヌはこう言い放った。
「私がハルちゃんの考えてることわからないと思った?残念丸わかりでした〜」
そもそもかんがえる前に速攻を決められたのだが
「本来の私はこういった速攻が得意だから今日はもうしないけど、次対決することになったら注意してね!」
今のは彼女にとって宣伝のつもりだったのか。
私はそこまで余裕のあるシレーヌが羨ましく思えた。
「まぁ、せめて普通のスピードには付いてけるようになってもらわないとね」
シレーヌはそういって剣を再び構える。
前クラブ見学をしたときにシレーヌの剣捌きを見たが、今日はその時以上にキレが入っているように感じた。
私はそこまで考えたらところでふと疑問が湧いてきた。
「そういえばシレーヌって剣こんなに巧いのになんで弓道もしようと思ったの?」
普通に考えてここまでフェンシングに力を入れていれば弓道までする余裕は無いはずだ。
それを聞くとシレーヌは少し考えた素振りを見せた後に答えた。
「まぁ純粋にハルちゃん達の影響っていうのもあるのかも知れないけど、それ以上になんかしっくりくるんだ」
「うん?しっくり来るってどゆこと?」
「ちょっと長くなるけど...ハルちゃん達がクラブ見に来てくれた時あるでしょう?」
「うん」
「その時ね、勝ちはしてたんだけどなんか自分の中でスッキリしない感じだったんだ。」
シレーヌは天井を見つめながら話した。
「で、ある日を境にめっきり勝てなくなっちゃってね」
たはは、と苦笑いをするシレーヌからはなんか寂しさを感じた。
「スランプみたいな感じ?」
「多分そうだと思う。ただモヤモヤっとしたものは相変わらず残っててね。もう困っちゃったよ」
「大変だったんだね」
「こんな経験久しぶりだったからね。もうがむしゃらになってやってたけど、ある時ふと鏡を見たらね、もう酷い顔だったわ。普段は自分でも憎たらしいほど自身ありげな顔してるのにね」
彼女は笑いながら側の鏡を見た。
私は今日の彼女は普通に落ち着いた表情であると思った。
「その時よ、貴女達が弓道やってるって聞いてね!」
あぁ、ソバールが道場建設を漏らしたときの事であろう。
「最初は単なる興味に引かれた気分転換のつもりだったのよ」
にしてはグイグイ来ていたようなきがする。
「だけどね、ハルちゃんの射を見てるとね、不思議な事に落ち着いてね。実際自分がゴム弓引いてみたときもなんかザワザワっとしたものが収まった感じがしたんだよね」
「そうだったんだ。」
確かに弓道は立ち禅と言われるように精神の安定を常に求めるものである。ゴム弓でそれを出来たこともすごいが、そのことに早くも気付けた事はすごい。
おそらくフェンシングで身につけた武人の勘と云うものであろう。
「それでね、この時の気持ちでフェンシングをしたらね、妙に落ち着いてね、しっくり来たんだよね。それで練習を重ねたら...」
「あんだけ早く動けるようになったんだね」
「そそ。友達も驚いてたよ、だけどそれ以上に私自信弓道の秘める力に驚いてね。すっかり虜になっちゃった。」
「そうだったんだね...だけど両立出来てる?」
私はちょっと心配になり聞いたが、シレーヌはごく当然のように答えた。
「出来てなかったら、こんな速く剣を振れないよ」
シレーヌは剣をくるくると振ってみせた。簡単に凄い事をするから羨ましい。
「なら良いけど...」
「さあ、話はこの辺にしといて再開しよか?」
「うん」
私とシレーヌは再び剣を構えた。
心なしか私の気分も落ち着いているように感じた。
私は一度目を閉じて剣を握り直した後、適当な場所に突きを行った。
当然それは回避され私の腹に剣が近づくのだが、私はさらに手を繰り出し、シレーヌの背中をとった。それにより、シレーヌの剣は回避することが出来たが、すぐにシレーヌも体を翻し、剣で防いだ。
お互い一進一退の鍔迫り合いとなった。
シレーヌはさっき同様落ち着いているが、若干表情に焦りがみえる。
ギリギリとお互い押し合いながら心に余裕が出来たシレーヌは私に話しかけた。
「ちょっと腕を磨いたね。」
「そりゃどうも」
これなら行けるかも、と油断したその時!
「でも甘い!!」
シレーヌは突然剣を引くと、前によろけかけた私の背中を叩こうと、剣を振り上げた。
私はとっさの事に対応できず、ただ剣を上に上げる事しかできなかった。
パチンッと腹に衝撃が走った。
あとちょっとであっただけ悔しい。
シレーヌは剣を戻すと胸を張って自慢げに話した。
「ハルちゃん、奇襲は良かったけどそっから先の建て直しができないと私には通じないよ!」
「ちょっと悔しいけど仕方ないわ...うん、次こそは勝つわ!」
「良し!そのいきよ!ハルちゃん」
私は剣を構えた。何度も剣を振ってきたため、疲労も溜まってきたが、興奮しているためか、逆に力が湧いてきた。
シレーヌもゆっくりと剣を構え直す。
「準備は良い?」
「良いわ」
私は答え、お互いに間合いをとった。
私はさっき同様突く素振りを見せたが、すぐに手元に引いた。それでシレーヌが突っかかるのを狙ったが、それは無いようだ。
それからまたお互い間合いを取り、ジリジリと相手の様子を探りあった。
お互い動かない。
「ハルちゃん、突っ込んできても良いんだよ」
「いや、その策には乗らないよ」
「そっかぁ...なら!」
そう言うとシレーヌは剣を体の中心に持ってきて、体ごと突っ込んできた。
私はそれを躱すがシレーヌは待ってましたとばかりに振り向きざまにもう一度突く。
私はそれをギリギリのとこで剣で防いだ。
「スキも減ったわね」
「お陰様で!」
そう言うと私は剣を払い、間合いをとった後、一気に詰め寄りつつ、妨害しようと剣を近づけたシレーヌを無視し通り抜けた。そして助走をつけ、ジャンプし、着地すると同時に胴目掛けて剣を振った。
これで決まるかと思ったが、シレーヌはギリギリのところで回避し、逆に私の背中目掛けて剣を振り下ろした。
私はなんとか回避することが出来たが、汗がダラダラと出てきている。
おそらく次あたりが最後の打突となるであろう。
見るとシレーヌも汗を掻いているようである。
「次でラストにするよ」
「それはどうかな?」
「いざ勝負!」
私は呼吸を落ち着けてからシレーヌと距離をとり、離れた場所から一気に突っ込んだ。
シレーヌも同様である。
私は剣に渾身の力を込めて振り上げた。
そして、剣と剣が交差した後、僅かながら切っ先がシレーヌの体に触れる感覚がした。
お互い元居た位置の反対側の位置でピタッと止まる。
「...」
部屋に静かな空気が流れた。
しばらくお互い静止した状態を保った後、シレーヌが参ったように手を上げた。
「ハハハ、お疲れ様、今の一打は確かに私に触れてたわ」
「ホントッ!?良かった!!」
「やっぱりこういう一騎打ちはハルちゃん強いね」
「ここぞという精神は弓道が教えてくれたので...」
「今度やるときは本気出しちゃおっかな」
「えっ!?今の本気じゃなかったの!?」
私はその言葉に驚いた。
「だって、速攻今日一回しか使わなかったし、第一わざわざ一騎打ちなんてことしたんだもんだいぶハルちゃんにハンデはあったよ?」
確かに勝つのが目的であればわざわざ一騎打ちなんてせずに、一気に速攻で決めればよいのである。私はちょっと落胆した。
「まぁそれでも私に当てれたのは事実だし、良くがんばったわね」
「ありがとう」
「ハルちゃん今日は楽しめた?」
「うん!ちょっと疲れたけど、楽しかったわよ」
心なしかクラブのときのモヤモヤとした気持ちも飛んでいったような気がした。
「なら、良かった。」
キーンコーンカーンコーン
ちょうどクラブ終わりのチャイムが鳴った。
「よし、お互い汗も掻いたし、シャワー浴びて帰ろっか」
シレーヌは道具をしまいながら話した。
私もビショビショになった道着を洗濯袋に入れて帰り支度を進めていたが、ここで何かを忘れているような感覚を覚えた。
「シレーヌ、何か忘れてない?」
「なんのこと?」
「何か重要な...あっ!そうだ!ご飯!」
「げっ!そうだった、忘れてた...」
試合前に時間内に終わったらご飯奢る事を約束していたのである。
シレーヌ残念、あと少し思い出すのが遅れていたらチャラになったのに
私達はこの後街に繰り出し、温泉街の露天を回った。当然シレーヌの財布である。
シレーヌは私の想像以上の食べっぷりに頭を抱えていたが、キチンと払ってくれた。
そんなシレーヌを見て、流石にちょっとやりすぎたと思ったたむ、どこかの機会にお返ししよう思った。
......
翌日
キリキリー!.......トンッ! パンッ!
「調子はどう?」
「お陰様で!」
私はシレーヌの方を向き答えた。
昨日感じた違和感はどこへ消えたのかスッキリとした気持ちで引くことが出来ていた。
「昨日はありがとう」
「楽しめたのなら良かったわ、さて私も巻藁引こ」
弓と剣、どこか通じるところがあるのかもしれない。
そう実感した出来事であった。
「さて15話終わりました」
「そういえば僕たちいっこうに登場する機会が訪れないのですが、いつ再登板できるのですか?」
「一応決めてはいるのですが、もう少し後になります」
「良かった。一応生きてはいるんですね」
「勝手に殺しはしませんよ」
「ちょっと信用出来ないので(エター作見せながら)」
「(ギクッ!)まぁ...努力します」
「まぁ出るって言葉が聞けただけ良しとしましょう」
「最初だけのモブにはしないつもりですのでご期待下さい」
「待ってますよ〜」
次回 巻藁、的前、私の明日はどっち?巻藁テスト