YUMIYA~ある弓道部員の物語~   作:伊藤ネルソン

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「皆さん、こんばんは作者です」
「同じく涼太です」
「この前、市の道場使えるようになったので引いてみたらすごい上に飛びました」
「やはり巻藁だけだと射はきれいになっても中りはぶれますね」
「皆さんももし、道場が使えるようになったら慎重に引いてくださいね」
「作者みたいに幕内ぎりぎりになったりするかも知れないので.....」
「さて、弓矢20話始まります」
「今回は早いですね」
「まぁ、勢いで書いちゃいましたからね、歴史の針そろそろ進めないとって思って」
「明らかに弓道小説になってましたもんね」
「ただ今回からは流れが速くなりすぎて読者の皆さんがついて来れなくなるかもしれませんが」
「極力細く描くようにはするので」
「「よろしくお願いします」」


フィリップエガリテ立つ!?

 

 1786年

 

 「それは本当か!?」

 

 「はい、先程パリより連絡がありました。」

 

 「容態はどうじゃ?」

 

 「応急処置を施したため、命に別状は無いようです」

 

 「....してやられたわ、余ではなくラファイエット侯爵を狙うとは」

 

 私ルイ16世は、頭を抱えた。

 

 報告書には、ラファイエット侯爵パリにて狙撃さる、と書かれていた。 

 

 

 

 ことの始まりは半年前......

 

 

 

 

 「どういうことです!我々貴族の特権たる徴税権を没収するとは!」

 

 目の前に座る貴族の代表者は勅令が書かれた紙をクシャクシャにしながら見せつけた。

 

 「どうもこうも、その紙に書いた通り我が国の財政危機ゆえのこと、仕方の無いことではないか?だが、キチンと余の方から禄を与えてやると言っておろう?」

 

 「そういうことでは無いのです!我々が先祖代々受け継いできた権利を陛下は勝手に剥奪すると申されてるのですよ!?」

 

 「ならば、貴殿らのいう権利とやらは領民にもあるのではないか?労働の対価を等しく受ける権利というものが」

 

 「陛下は!...陛下は農民共の肩を持つと言うのですか!?」

 

 「なにも、農民に限った話ではない、貴殿ら貴族達だってキチンと領地運営を行い貴族としてすべきことを行っておれば、余だって支援するし、要職にもつかせてやる」

 

 「なら、私どもはちゃんと領地運営を行っておるはずですから免税特権を奪うことはないのでは無いでしょうか?」

 

 「本当にそうか?」

 

 私は、そばに控える者にある報告書を持ってこさせた。

 

 「ここには、貴殿からの国に渡された収入額について書かれている。だがな、独自に調査した貴殿の領地の収入はここに書かれている収入額より遥かに多く有るみたいだが....」

 

「それは...」

 

 貴族は顔を歪めながら、つぶやく

 

「何も今回の徴税権の没収は貴殿ら領地持ちの貴族に限った話ではない、皆同じ苦労をしておるのだ、余だって節約しておる。だから貴殿だってキチンとした運営を行えば禄を増やしてやることも考えよう!」

 

 「... そんなもの焼け石に水です、失礼します」

 

 貴族はそんな懐柔策には乗らぬと、最後に毒を吐き去っていった。

 

 「ふぅー、流石に疲れたのぉ」

 

 私は自室に帰ると椅子に体を沈めた

 

 「お疲れ様です」

 

 執事が紅茶を運んでくる。

 

 「今ので何人目だ?」

 

 「...10人目になります」

 

 「参ったの、ちょっとは覚悟していたとはいえこうも抵抗が激しいとは....」

 

 ペタン元帥率いるヴィシー派による改革は進み、財政も以前と比べてほぼ黒字と変わらないほどよい状態にまで改善したが、まだまだ完璧とは言えなかった。

 

 そこで虎穴とも言える貴族の特権に手を出すことにした。

 

 この王国内では貴族の領地で得られた税収は、全て貴族のものとすることができる。

 

 国としては赤字に苦しんでいても、貴族達は、裕福な暮らしをつづけており、ここから税を取れれば一気に財政を黒字にすることができると思われた。

 

 そこで、当初は課税のみを実施しようとしたが、ペタン元帥より

 

 「税は貴族に集めさせていてはいずれ戻されますし、管理もしていく事が出来ません、また中央集権化のためにも、ここは一気に徴税権を取られたほうが良いと思われます!」

 

 との提案が上がった。

 

 この案はヴィシー派でも意見が二分したが、最終的には収入に合わせ禄を与えることで補う事とした。

 

 しかし、実際の反発は激しく、収入監査を拒否するものまで現れた。

 

 

 「貴族たるもの国により叙されているのであれば、国の危機に協力すべきであるのに....」

 

 「流石に特権に手を出すのは早かったかのう...」

 

 しかし、これによって渋々ながらも指示にキチンと従うもの、逆らうものがはっきりと別れたため、後々、取締をしやすくなったのも事実である。

 

 ペタン元帥がつくりあげた軍はこの時に逆らうものを強制的に従わせるのにも使えるが.....

 

 「極力血は流さずにやりたいものだ」

 

 私は何か嫌な予感を感じ身震いをした。

 

 ........

 

 

 その夜

 

 とある貴族の馬車にて 

 

 「なーにが万人平等な課税だ!結局は我々の特権を勝手に剥奪してるにすぎん!」

 

 先程、王に問い詰めた貴族は愚痴を履きながら領地へと戻っていた。

 

 彼の領地はそれなりに広く、それ故税収も常に黒字で今まで金を思っきり使いたい放題使っていた。

 

 それが今回の徴税権没収で一気に使える量が減ってしまった。

 

 「禄も与えられるというがあんな量では何にも使えん!」

 

 彼はワナワナと震えながら紙を丸めて投げた。

 

 「あぁ、あの方なら、あの方ならこの難関打開してくださるだろう」

 

 彼の言うあの方とは、オルレアン公ルイ・フィリップ二世のことである。

 

 彼は、オルレアン公のすることに期待を込め、領地へと帰った。

 

 .....

 

 パレロワイヤル

 

 「ほお、課税をすっ飛ばして、徴税権を奪いおったか....」

 

 玉座に座るこの館の主、ルイ・フィリップはホホホっと笑いながら報告を聞いていた。

 

 彼は若い頃酒と女に溺れ、だらしない日々を送っていた。オルレアン公爵位を継いでからは多少マシになっていたが、彼の野心は衰えず、むしろより強くなっていた。

 

 彼は革命の際、第三身分を支持したり、フィリップエガリテと名乗ってジャコバン派に参加したりしたことから一見民衆派の貴族のように思われがちだが、実態としてはルイ16世に代わって自分が玉座に座ることを常に画策している。そのためたまたま革命の時は民衆に味方したが、貴族の側に味方する可能性もあり得た。

 

 こういった姿勢から彼は日和味主義者とも言われる。

 

 「まぁ、今は何もせず、指示に従うとしよう。あれと直接対決は避けたい。」

 

 彼の言うあれとはペタン元帥の軍隊である。ルイ16世が期待したとおり、抑止力としても機能していた。

 

 「だが、見ておれよ、貴様のその椅子は俺のものだ!」

 

  彼は密かに計画を練り始めた。

 

 .......

 

 

 2週間後

 

 ヴェルサイユ宮殿

 

 「うーん、ひとまず黒字には出来たようだな」

 

 この二週間で得られた税収を見て、安心した。

 

 約半数程の貴族からしか集められなかったが、それでも赤字であった財政を黒字に転換することができた。

 

 それだけ貴族達は、溜め込んでいたのである。

 

 「まぁ、まずはここからだな」

 

 私は紅茶を飲み一息ついていた。

 

 そこへ

 

 「陛下〜、大変ですわ!彼らまた碌でもない事考えているようですわ!」

 

 妻、アントワネットが血相を変えて飛び込んできた。

 

 「どうしたのだ?一度落ち着きなさい」

 

 「はい.....今朝方徴税反対派の貴族の方々がいらして私を担ぎこもうとしていたのですが、その時に言われたのが、陛下の幕僚....ヴィシー派の方々を陛下の巡幸の折に害し、陛下を退位させ、代わりにルイ・フィリップ殿を摂政としてプロヴァンス伯を国王に据えるというものでしたわ。」

  

 また、とんでもない事を考えたものだと思ったがそこでふと疑問が生じた。

 

 「あれ、だとすると何で彼らはアントワネットに相談したのだ?アントワネットはこちら側であろう?」 

 

 「それは恥ずかしながら、昔、ティルゴー殿を追放したことがあったでしょう?多分その時のように私を丸め込めると思ったのでしょう。」

 

 「あぁ、だとしたら彼らも大分目が落ちたな...今は昔と違ってアントワネットも賛成してくれているのに....」

 

 「全くですわ!私を何だと思ってるのでしょう?」

 

 「あぁ、たしかにな...ありがとう、アントワネットお前のおかげで助かったよ!」

 

 「いえいえ、そちらこそあまり無理をなされてはいけませんよ」

 

 「ははは、気をつけるね」

 

 「それじゃ失礼しますわ」

 

 アントワネットは去っていった。

 

 「ふぅー、さてどうする元帥?」

 

 私は傍らに座るペタン元帥に聞いた。

 

 「ひとまず、王妃様に接触していたものを捕らえ、洗いざらい関係を吐いてもらいましょう」

 

 「そうだな、だが、弟まで計画に参加していたとは....」

 

 いつも生意気な事ばかり言ってくる弟プロヴァンス伯だが、流石に王位につこうとしてるとは思っていなかった。

 

 「まぁ、多分どなたかに担ぎだされてるか、勝手に反対派が言ってるだけかも知れませんよ」

 

 「あの弱腰の弟だ、大方そんな感じだと思うがな....よし、じゃ捜査の方頼んだ」

 

 「はっ!」

 

 捜査の結果、今回の騒動は若手貴族達や金で爵位を買った法服貴族達が中心となって起こしたようで、反対派の中でもごく一部の勢力が動いたのみであった

 

 また私の想像通りプロヴァンス伯は寝耳に水であったらしく、反対派が勝手に計画していただけのようであった。    

 

 彼ら反対派グループはことごとく、財産没収の上、処刑あるいは流刑となった。 

 

 しかし、一番私が関係性を疑ったオルレアン公に関しては、動いた形跡もなく、処罰することが出来なかったが、普段より彼ら反対派グループに近寄っていた事でヴェルサイユ宮殿に登城禁止となった。(これが12話におけるオルレアン派の追放である)

 

 この後、しばらく改革に反対する勢力は鳴りを潜めることとなる。

 

 ...... 

 

 パレロワイヤル

 

 「ちっ、あいつら...動くの早すぎるわ、今動いても一掃されるだけなんて前からわかっていたことであろう」

 

 俺、ルイ・フィリップ二世は今日捕縛されていった貴族連中に苛立っていた。

 

 彼らにはあくまで'ヒント'を与えたに過ぎないのだが、血気に流行る彼らは、言われるなりさっそく行動を始めた。

 

 たが、それ以上に気に食わなかったのは彼らが王妃たるアントワネットを担ぎだそうとしていたことである。彼にとって彼女は政敵であり、また今の状況でなびくとは到底考えられなかったからだ。

 

 「その結果がこれかよ、全く笑わせるんじゃねえ!」

 

 彼によって蹴られた壺がガシャンっと音を立て割れる。

 

 破片によって血がにじみ出た靴を眺めながら彼は誓った。

 

 「待っていろ、オーギュスト!いずれ貴様を蹴落としてやる!我が国に光をもたらすのはこの俺様だ!」

 

 彼はその後自分の中で練っていた計画を実行に移した。

 

 それは後の日本での明治維新を彷彿とさせるものであった。

 

 

 ........

 

 

 そして、半年後の今

 

 私、ルイ16世は至急パリへと向かっていた。ラファイエット侯爵は腹に銃弾を受けたようだが

幸い急所は外れ肋骨を折るだけで済んだようである。

 

 「あれから化膿しておらねば良いが」

 

 即座に医療スタッフが派遣され処置が施されたため、大事には至らずに済んだが彼は我が王国にとって欠かせない存在である。ここで失う訳には行かない。

 

 私はソワソワした気分でパリへと向った。

 

 ....

 

 「おぉ、大丈夫か!ラファイエットよ!」

 

 私は病室に着くなりラファイエットの元に駆け寄った。

 

 急所を外したとはいえ、腹部を包帯に包まれたラファイエットは苦しそうであった。

 

 「私は、大丈夫です。それより、犯人は見つかりました?」

 

 ラファイエットは自分の怪我よりも犯人が誰なのかを気にしているようであった。

 

 「パリ市内に戒厳令を発し探っておるが、まだ見つかってはおらぬ。だが、狙撃の際に使われたと思われるライフルに関しては見つかってな。それがグラースに望遠レンズをつけた代物だったそうじゃ。」

 

 「.....グラースに望遠レンズですか」

 

 比較的配備の進んでいる紙薬莢を使うロワイヤルフィジ(ドライゼ銃)やジャスポーならまだ分かるが、グラースはまだまだ精鋭部隊にしか配備されていない金属薬莢を使うライフルである。

 

 「......となると犯人は身近な人物の可能性があるんでしょうか?」

 

 「余もそれを疑ったのだがな....よーくライフルを見比べてみると明らかに我が工廠で作られてるのと違うのじゃよ。」

 

 私は細部を移した写真とグラース銃の写真を見比べさせた。

 

 (こういった捜査の際、ペタン元帥が持ち込んだカメラは役に立つ。)

 

 「たしかに、紋章やら、細かなデザインが変ですね。」

 

 「故に恐らくは....我が改革に反対する者どもが独自に生産したのであろう、そこまでの事をできるのは....」

 

 「オルレアン公のみでしょう」

 

 「あぁ、彼ならその財力と広大な領地で誰にも感づかれず生産することも可能である。よって先程、憲兵隊にオルレアン公に詰問するように申し付けているが.....」

 

 その時、憲兵隊長が汗を掻きながら入ってきた。

 

 「申し上げます!先程パレロワイヤルに突入するも、中には浮浪者しかおらず、オルレアン公はおろか、扇動家達の姿は一切見当たりませんでした!」

 

 「何!それは本当か?!」

 

 私とラファイエット侯爵は顔を見合わせた。

 

 「はい!既に書類等も焼き払われておりました!」

 

 「そうかぁ、報告ご苦労」

 

 「はいっ、失礼します!」

 

 憲兵隊長は廊下に出るとすぐさま指示を飛ばしながら駆けていった。

 

 「してやられましたな....」

 

 「.......ああ、せめて内通者を残しておくべきであった」

 

 私は窓の外を眺めながらつぶやく。

 

 街は普段の賑わいは失せ、代わりに物々しい雰囲気が漂っていた。

 

 「まぁ、今後悔しても仕方無いです。対策を考えましょう?」

 

 「そうだな、ひとまずオルレアン公を.....!!」

 

 そこまで言った所で私の背中に悪寒が走った。

 

 (うん?彼らの狙いはホントにラファイエット侯爵だけなのか?もしや......)

 

 「ペタン元帥が危ない!おい!!憲兵隊長!」

 

 私は、廊下に出て先程報告に来ていた憲兵隊長を呼び出した。

 

 

 「どうされたんですか、そんなに慌てて?」

 

 ラファイエット侯爵が怪訝な顔をして質問する。

 

 「半年前の計画、誰が対象だったか分かるか?」

 

 「えーと、たしか私達ヴィシー派の幕僚たちでしたが....」

 

 「あぁ、そして今ペタン元帥とダントン氏はヴェルサイユから授業のためヴィシーへと向かっている、護衛なしの列車でだ!」

 

 「!!」

 

 ラファイエット侯爵もようやく気づいたようだ。

 

 「憲兵隊長、急ぎ鉄道路線沿いに兵を派遣してくれ!そして一刻でも早くペタン元帥達の様子を伝えてくれ!」

 

 「分かりました!」

 

 憲兵隊長は先程と同じく、だが血相を変えて指示を飛ばしながら出ていった。

 

 

 しかし

 

 程なくして、真っ青な顔をした憲兵隊長が帰ってきた。

 

 「ヴェルサイユ鉄道局より連絡があり、ヴィシー、パリの中間地点ムーランを過ぎた当たりで鉄道爆破事件があり、ペタン元帥の列車は巻き込まれた模様、ペタン、ダントン両氏の生死は不明です!」

 

 「遅かったか....」

 

 

 ラファイエット氏が頭を抱える。

 

 そこへさらに、追加の通信を憲兵が持ってきた。それを見るなりさらに憲兵隊長の血の気が失せた。 

 

 「申し上げます、何者かによりパリより外へ通ずる道が全て塞がれ、またセーヌ川にかかる橋が落とされました!」

 

 「何!それは本当か!?」

 

 私は憲兵隊長の肩を揺さぶった。

 

 この情報の意味することは、パリより動けない、いや、我々がパリに閉じ込められたということだ。

 

 「はい、私も先程報告を受けたため真意の程はわかりませぬが.....」

 

 そう言って、彼は窓の外を指差した。

 

 たしかに、セーヌ川に掛かる橋が全て落とされているのが伺えた。

 

 衝撃の大きさにしばらく固まってしまったが

 

 いつまでもこうしちゃいられない。

 

 「...陛下」

 

 「あぁ、すぐに市内にいる幕僚を呼んでくれ、ここを臨時の大本営とする!」

 

 「ハハッ」

 

 再度憲兵隊長は駆けていった。

 

 できることは限られる、でも最大限もがいてみせよう!

 

 私はこの小さな病室でそう決心した。

 

 オルレアン公以下、反対派貴族挙兵の知らせが入ったのはこのあとすぐであった。

 




「皆さんお疲れ様です」
「今回だいぶ詰め込みましたね」
「正直今回の話はもっと経緯を丁寧に書きたかったのですが、書くと埒があかないのでまとめちゃいました」
「まぁ、作者にとって、こっから先が目的みたいな感じでしたからね」
「単なるミリオタですからね、どうしても戦闘シーンに力が入っちゃいまして....」
「だけどこれと弓道、学園をどう絡めていくのですか?」
「それはこれからのお楽しみってことで」
「まぁ期待せずに待っております」
「ははは、さてコロナの危機が去ってまた一難。第二波がせまりつつあります」
「空襲も第一波より第2波が激しいといいます」
「皆さんも健康にはいっそうお気をつけてお過ごしください」
「それでは」
「「御機嫌よう!!」」

 次回 未定!?(学園攻防戦?)
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