YUMIYA~ある弓道部員の物語~   作:伊藤ネルソン

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「皆さん、本当にお久しぶりです。作者です」
「同じく涼太です。」
「皆さん、コロナ渦の今どうお過ごしですか?」
「作者の道場でもついに感染者が出てしまったみたいです」
「わたしも、何だかんだ落ち着いたときには色々ハメを外してしまったので少々心配です」
「いや、少々どころじゃないでしょ、弓道合宿行ったり、車で毎週のように山岳ドライブしたり」
「ぎく、いや、その辺夏だったし」
「そんなことやってる暇があるんだったら弓の稽古するか、この小説書いてください」
「ぜ、善処いたします」
「さて、弓矢24話始まります」
「舞台は再び学校に戻ります」
「籠城戦を続けている学校、そろそろ余裕がなくなってきた今、どうゆう手を取るのか」
「そして、迫りくる英軍」
「弓道クラブの奮闘とくとご覧あれ」


フランスの一番長い日④ヴィシー包囲戦② 

 1786年 ヴィシー学園

 

 ヒュルヒュルヒュルヒュル〜、トンッ!バーン!

 

 「キャッ〜!」

 

 悲鳴と共に、近くの防壁が弾け飛ぶ

 

 初日の大攻勢以来、大規模な攻勢は無くなったが、散発的ながら弾は時たま飛んできている。

 

 最初見当違いな所にばっか当たっていた砲撃も、徐々に正確になってきている。

 

 さっきの砲撃で何人か吹き飛んだのであろう。血肉があたり一体に飛び散っている

 

 最初こそ、学校の被害はほぼ無かったが日数とともに被害も増えてきて、犠牲者も増えてきた。

 

 私は、チラとそちらの方を見つめてからすぐに視線を元に戻した。  

 

 ポケットより、乾パンを取り出し口に入れる。

 

 こんな状況でも食事が出来るほどには、この恐ろしい光景にも既に慣れつつある。

 

 「またかぁ」

 

 カリーネがため息を履きつつ、ぼやく。そう言う彼女の目に光は灯っていない。

 

 長きに渡った戦闘に皆疲れ切っている。当然私もカリーネもである。

 

 カリーネは、担架を抱え立ち上がった。

 

 私もそれに付き添い、向かい側を持ち、着弾地点の砲台へと向かう。

 

 砲台があった場所は跡形も無く消し飛び、

 

 「一人...二人...三人...あぁ、全員だわ」

 

 隊員は全員顔を背けたくなるような状態で、亡くなっていた。  

 

 直撃である。

 

 「担架よりも袋が欲しかったかしら」

 

 体はバラバラに飛び散っているため、担架で運ぶよりは袋の方が運びやすいものと思われた。

 

 「そうだね、彼女達運んだら先生からもらおっか」

 

 「了解」

 

 私達は、何でも無いように会話をする。最初こそ、視界に収める事も出来なかったこの作業も流れ作業の様にできるようになっていた。

 

 私達は、一通り運んで整地をした後、持ち場の砲台に戻り一息ついた。

 

 「ねね、ハルちゃん、この戦争、いつになったら終わると思う?」

 

 諦めがちな表情をしながらカリーネが質問する。

 

 「私にはもう何にも分からないや」

 

 私は、両手を広げ、参ったと言うような表情で答えた。

 

 包囲されてから1ヶ月、対した戦闘こそないものの、補給も連絡も無い我々は、士気も兵糧も減りつつあった。

 

 「そっかぁ、やっぱハルちゃんにも分からないかぁ」

 

 カリーネは最初っからその答えが分かっていたかのようにつぶやく。

 

 「ごめんね、私のせいなのにね」

 

 私は、自身の責任に俯く。

 

 「そんなことないよ!ハルちゃんは何も悪くないよ......」

 

 カリーネはフォローしようとするが、自信を持ってフォローできず最後がボソッとしたものとなる。自分ではわかっていても、辛いものは辛いのだ

 

 「......」

 

 場に沈黙が広がる。

 

 そこへ

 

 「何暗い顔してんのよ!」

 

 シレーヌがやってきた。

 

 「....」

 

 皆の暗い様子を見て、シレーヌはしょうがないなぁと言った表情をしながら話しかける。

 

 「いつ終わるかなんて、そんなのわかるわけないじゃない」

 

 「.....」

 

 「ちょっとでもはよ終わらすには行動するしかないでしょ」 

 

 「そりゃ、そうだけど....」

 

 弾が無い!それは言わずともわかることである。

 

 

 「大丈夫、弾に関してはなんとか備蓄量溜まったから」

 

 反撃はせず貯蓄に努めた成果が確かに出てきたのだ。

 

 

 「それはホント?」

 

 カリーネが怪訝な顔をしながら、シレーヌをみつめる。

 

 「もちろん、私もちゃんと見てきたよ」  

 

 隣にいる女生徒が答える。どうやら司令部も本気のようだ。

 

 「いよいよ反撃よ!各クラスより人員を募って奇襲攻撃を仕掛けるわ」

 

 

 「ハルちゃんどする?」

 

 シレーヌは私の方を見つめ質問する。

 

 「カリーネ.....」

 

 私は上を向き考える。空は先程の爆炎で曇っていた。

 

 「.....」

 

 「...よし行こう!」

 

 私は決断した。このまま何もせず、配置についていても戦局は良くならない。いづれ先程の砲台の様に吹き飛ばされるのが落ちだ。それぐらいならば...

 

 私とカリーネ達応募人員は、予備の待機要員に声をかけると装備一式を背負い、シレーヌについていった。

 

 「シレーヌ入りまーす」

 

 司令部の部屋の前についた私達はシレーヌの案内で入室した。

 

 そこは普段地下倉庫として使っている空間なのだが、吹きさらしの砲台と比べると幾分か安心できた。

 

 「おぉ、ハルちゃん、カリーネ君たちも来てくれたんだね」

 

 「はい、先生!」

 

 教頭先生が頭を撫でつつ言う。普段と比べて多少窶れた表情をした彼であったが孫が来たかのように喜んでくれた。

 

 「さて、作戦説明をいたします。」

 

 切りのついたタイミングでフランス軍将校の服装をした男性が話し始めた。

 

 だがそこで私はあることに気がついた。

 

 「あれ君、確か同じクラスの....」

 

 「ナポレオーネ、プオナパルテだ、よろしくな」

 

 「こちらこそよろしく、プオナパルテくん」

 

 ナポレオーネ・プオナパルテ、フランス語名ナポレオン・ポナパルト、フランス革命の頃に欧州を席巻したこの人物も士官学校卒業後、ここへ入学していた。

 

 クラスの後ろの方の席に座っていたため、関わりは無かったが、彼も私のクラスメイトである。

 

 「あっ」

 

 カリーネはその様子をただぼんやりと見ていたが、何かに気づいたかのように声を上げた。

 

 「どうしたのカリーネ?」

 「貴方、この前の授業の時、ずっとハルちゃんのこと見てたでしょ?」

 「あっ、それは遥殿下が歴史に興味津々だったのを見て、ちょっと話が合いそうだなって思っただけで.....」

 

 プオナパルテくんはバツが悪いように俯きつつぼやく。

 

 その様子を見て、シレーヌは悪戯を思いついたのか、ニヤけながらプオナパルテくんをつつく。

 

 「そんなこと言って、ハルちゃんのこと気になったんじゃないの?」

 

 「いやいや、そんなことは無いぞ!?」

 

 「実は....?」

 

 そう言ってシレーヌは顔を近づける。

 

 「実もない!!」

 

 そう言うと、プオナパルテくんは顔を隠すように明後日の方を向いた。 

 

 「まぁまぁ、シレーヌそのへんにしてあげて」

 

 「ちぇー」

 

 私はプオナパルテくんとシレーヌの間に割って入る。流石にプオナパルテくんが可愛そうであったためだ。

 

 「プオナパルテくんも、また戦が終わったらたくさん歴史のお話しようね」

 

 「あぁ!」

 

 彼はキラキラとした目で答える。

 

 彼はアレクサンダー大王やユリウスカエサル等歴史上の英雄に憧れ、後にエジプト遠征の際に、たくさんの宝物を保護した。(略奪したとも言えるが)

 故に私とは気が合うかもしれない。 

 

 「まぁ、それはいいとしてだ。では作戦の説明に入ります」

 

 彼は先生及び駐屯軍幕僚達の顔色を見た後、説明に入った。

 

 「まず、今回の作戦の目的は敵部隊に対し夜間の闇に紛れて遊撃し、敵の物資、司令部を襲撃し士気を削ぐことにあります。そこで」

 

 そう言うと彼は地図の丸がかかれた場所のうち2箇所を指した。

 

 「この丸で書かれた場所が気球偵察等で把握した敵の部隊の物資集積所であり、この二箇所を本日襲撃したいと思います。それから」

 

 次に彼は駒が置かれた場所を指した。

 

 「ここが、敵の総司令部と思しき場所であります。故に我々はここも襲撃し、混乱に拍車をかけるのを目的といたします」

 

 「はいっ、質問いい?」

 

 シレーヌが手を上げ、質問する。

 

 「どうぞ」

 

 「攻める場所はわかったけどさぁ、こんだけ厚い包囲網どうやって突破するの?」

 

 「今まで敵陣地の下へ向け何本か穴を掘ってきましたがそのうちの一つを利用いたします。ただ、直接陣地に通じる穴を使うと穴が発覚する恐れがあるため、少し距離のある場所より襲撃していただきます」

 

 「ふーん、おっけ」

 

 シレーヌが納得した様子を確認した彼は説明をつづける。

 

 「それでは説明を再開させていただきます。襲撃にあたり銃砲は音や閃光が目立つため、より状況を混乱したものとするためにも、使用は最小限とし、弓、剣を用いた攻撃を行ってもらいます。」

 

 「それで私達にもお呼びが掛かったのね」

 

 カリーネがそう言うが、一応我々弓道クラブ員はそう言う役目にピッタシと判断したのであろう。

 

 「そゆことです。そして、襲撃後はなるべく長居はせず、即座に撤退してください。連日に渡りくり返し襲撃いたしますので、我々の損害は最小限に抑えるためです。襲撃は明日午前1時より実施いたしますので、日が沈み次第、準備を整え移動しておいて下さい。説明は以上です。何か質問は?」

 

 「....」

 

 「大丈夫ですね、では解散!」

 

 その後、私達は部屋を後にし、準備に取り掛かった。

 

 ...

 

 

 夕刻 午後7時

 

 準備を整えた私達は校舎前に集まっていた。

 

 皆、自分の得意とする武器、武具を持参し担いでいるが、服装は作業着のままのため、少し不自然である。

 

 

 そう言う私も弓を弓手に、背中に矢筒と言った形でまるで、現代の高校弓士のようである。

 

 「正直、和弓使うんだったら、直垂来て参加したかったな」

 

 

 「いや、ハルちゃんのその格好似合ってるよ」

 

 

 そう言う、シレーヌは白コートに花のたくさんついた三角帽をかぶっている。

 

 まるで、一昔前のフランス王国陸軍 (史実では恐らくまだこのままだが)のようである。

 

 正直ちょっとシレーヌが輝いて見えた反面、ありゃいい的になるんじゃないかと感じた。

 

 

 「もう、二人ともコスプレ大会じゃないんだから、服装なんてどうでも良いのよ」

 

 

 カリーネは私達の様子を見て呆れたようにつぶやいた。

 

 彼女は概ね私と同じような姿だが、はちまきを頭に巻いている。

 

 ちょっと彼女も気合?が入っているかのように見えた。

 

 他の人達も皆、自分の私服で着ているようで、その様はまるで戦場では無く、コスプレ大会にでも迷い込んだかのようであった。

 

 

 

 「おっ、みんな似合ってるね」

 

 そう笑いながらやってきたプオナパルテくんはらさっきと同じフランス陸軍の軍服姿であった。

 

 「もう、皆浮かれすぎよ....」

 

 カリーネが再び溜息を突きながらつぶやく。

 

 「まぁいいじゃないか、嫌でもこれからは気が張るんだし、今ぐらい多めに見てやろうじゃないか」

 

 「......プオナパルテくんも甘いわね」

 

 「最近よく言われるよ...さて、それじゃ諸君!敵地に向かうとしよう」

 

 「「オッー!」」

 

 私達はプオナパルテくんの先導で手掘りのトンネルを抜け、密かに敵陣地の裏に忍び寄った。

 

 

 ......

 

 

 

 近くで話し声が聞こえてくる。

 

 恐らく見張りの兵たちの声であろう。

  

 「あれ、可笑しいなぁ」 

 

 さっきまでは何とも無かったのに、手がブルブルと震え出した。  

 

 話し声を実際に聞いたせいなのだろうか。

 

 自分の中の奥深くで既に忘れ去ったと思っていた感情が溢れ出した。

 

 怖いという感情。

 

 敵兵の姿はいつも見ている、銃弾は目の前を掠め、爆風に煽られかけた事も何度もあった。

 

 

 それなのに

 

 

 敵が怖い

 

 弓が重い

 

 息がキツイ

 

 私はどんどん深みへと堕ちていくかのような感覚におそわれた。

 

 

 スッ

 

 

 「カリーネ?」

 

  

 ふと、カリーネが震える私の手を覆った。

 

 「全く....だから遊びじゃないって言ったのに...」

 

 「すんません....色々抜けとりました」

 

 カリーネはやれやれと言ったような口調でぼやく。

 

 「ハルちゃん、私が言うのも何だけど、いくらこんな地獄のような日々がつづいてるからって、気を抜いてたら今みたいな時、大変だよ」

 

 「ごもっともです」

 

 「まぁ、気を抜くのは悪くはないんだけどさ、気を抜いてて、突然怖くなってそれを隠そうとすると余計辛いだけだからさ、任務には全力で挑んで、怖くなったときには私に頼ってね」

 

 「うん、ごめんね」

 

 ちょっとカリーネと話をしたら気が楽になった気がした。

 

 これなら多少は任務に集中できるだろうか

 

 「分かればよろしい」

 

 私が謝ると、カリーネは誇らしげに胸を張った。

 

 

 

 「さーて、皆準備は出来たね」

 

 

 プオナパルテくんが時計をみつつ、皆に質問する。

 

 まもなく時間だ。

 

 私は、(カリーネに一時的に返してもらった)ゆがけにぎり粉代わりの松脂をのせ、擦った。

 

 ギリギリー

 

 (せめて、諸手がけとかあったら剣も振りやすいんだけどなぁ...)

 

 そんな事を想像しながら確認も行い、万端の状態になったのを確かめた上で矢を番え、プオナパルテくんの方に合図を送った。

 

 それを確認した彼は、剣を抜き、天高く振り上げる。打ち起こしせよとの指示だ。

 

 私達は皆一斉にそっと弓を打ち起こし、引き分け会で待機した。

 

 皆が一斉に打ち起こす様は圧巻である。(まぁ暗闇で見えないが)

  

 恐らく一度放てば、もういちいち高々と打ち起こしなんてしている余裕は無いだろう。

 

 そう考え私はなおいっそ丁寧に行った。

 

 ギリギリとかけの先で、ぎり粉がこすれる音のみが響く。

 

 ザッ

 

 トン、ズバッ

 

 剣が振り下ろされると共に、皆一斉に矢を発す。

 

 一拍の間をおいて、役150メートルの距離を飛翔した矢は次々と敵陣地に到達した。

 

 曲射で放たれた矢は何処に到達したのか正直分からないが、陣地より呻き声や悲鳴が聞こえてきた。

 

 ヒュー  

 

 私達の後ろより流れ星が空を翔けた。その光はスゥーっと敵陣地に吸い込まれてゆき、ボッと

一気に火の手が上がった。

 

 私達の後ろのクロスボウ部隊(第二派)の攻撃だ。

 

 彼らは、私達以上の射程を有するゆえに火矢を用いて、第二派として攻撃することとなっている。

 

 「プオナパルテくん、そろそろじゃないかしら?」

 

 燃え盛る敵陣地を見ながらシレーヌがプオナパルテくんに提案する。

 

 

 「そうだな、斬込み隊、抜剣、我に続け〜!」

 

 プオナパルテくんは頷くと、ギラリと輝く剣を空に掲げ、一気に飛び出した。

 

 シレーヌ以下、斬込み隊は我先にと次から次へと敵陣へと飛び込む。

 

 突然の襲撃のためか、敵陣地からの発砲音はあまり聞こえず、代わりにグサッといった何かが刺さる音や断末魔に苦しむ叫び声がたくさん聞こえてきた。

 

 恐らく、あそこは今地獄絵図なのであろう。

 

 心底斬り込み隊なんかにならなくてよかったと胸を撫でおろした。

 

 しばらくして、敵陣地より、ぞろぞろと人影が何人か飛び出してきた。

 

 恐らく、この惨状を脱しようと逃げてきた敵兵であろう、我々も弓を構えるが、哀れかな後ろより、斬りかかってきた斬り込み隊の面々に無残にも切り捨てられていた。

 

 「流石にちょっと見てらんないわね」

 

 「はるちゃん、これが戦争だよ」

 

 「まぁね、そうだけど...」

 

 私は一旦は引いた吐き気がまた、出てきかけた。

 

 だが、本格化する前に

 

 「撤収!」

 

 ぞろぞろと陣地の襲撃に行っていた人達が戻ってきた。

 

 敵方の混乱が落ち着きつつあり、このまま続けても損害が増えるだけと判断したのであろう。まぁ、今回の目的はあくまで敵を眠らせないことにあるから、これで充分である。

 

 ふと、戻ってきた人達の中の一人が私達の方によってきた。

 

 血だらけで、足も結構フラフラしてて、遠目では誰か分からない。

 

 「うぅ、ようやくついた」

 

 「シレーヌ?!」

 

 「大丈夫?」

 

 倒れ込むように、私達の元へやってきたのはシレーヌであった。

 

 正直、この格好だからどこか怪我しているのかと思ったが、外見から見当たらない。

 

 「大丈夫!、怪我は無いから。だけど流石に実際に人斬るのは疲れるね。」

 

 筋肉的な疲れもあるだろうが、やっぱり、精神的な負担は相当なものであろう。

 

 ぐったりとしたまま、彼女は私の胸の中で眠ってしまった。

 

 「シレーヌ!」

 

 「やめとこ...今は寝かせたげて」

 

 「まぁ、それもそだね」

 

 これから学校まで行かないといけないため、起こそうとしたが

 

 ソバールにいわれて、そのまま、背負って学校まで帰ることとした。

 

 「敵砲台発砲」

 

 「遅いわ」

 

 皆学校に撤収完了した頃、ようやく敵が私達のいた場所に砲撃し始めた。恐らく、混乱の中、私達の残していった藁人気を見つけ、それを頼りに砲撃したのであろう。

 

 だが、そこはもぬけの殻である。

 

 この無駄な砲撃は翌朝日が昇り、ことが発覚するまで続いた。

 

 勿論、朝日と共に彼らの頭に血が登ったのは言うまでもない。

 

 

 ......

 

 

 この後も、周期をバラバラに時間も変えて、襲撃を行った。

 

 最初こそ、我らの斬り込みに恐れをなして、襲撃するときに逃げていたが、何度か繰り返すたびに彼らも学習し、常に万全の体制で警戒するようになった。

 

 そのため、斬り込み戦術は必ずしも有効とは言えなくなってしまったが、これこそが真の目的である。

 

 24時間臨戦体制で警戒させることにより、敵方の体力を消耗させ、またいつ襲ってくるか分からないと疑心暗鬼にさせる事で、学校に向いていた砲撃を何もない、窪地等に向けさせることに成功したのだ。

 

 これにより、いくら学校より戦力が大きいとはいっても、徐々に余裕が無くなっていった。

 

 しかし、その状況も長くは続かなかった。

 

 「教頭、あっ、あれは!?」

 

 教師が覗く、双眼鏡の先には明らかに数の増えた敵陣地があった。

 

 「ユニオンジャックに、レッドコート...そうか、英軍までやってきたのか...」

 

 余裕が無くなったぶんを埋め戻すかのように、英国の部隊が展開していた。

 

 恐らく、これからは斬り込みが出来ないどころか、もりもり息を吹き替えしてくるであろう。

 

 「知らぬ間に....全く、海軍の連中は何をやっとるか」

 

 

 陸軍の代表がぼやくが、正直打開策がない。チェックメイトだ。

 

 最早、降伏止むなしとの考えが多数を占めてきたその時、

 

 「あっ、待ってください!敵陣地のさらに奥、鉄道線沿いにこちらに向かってくる部隊がおります!」

 

 英陣地のさらに奥、鉄道線にそって、砂埃がゾーッとこちらに向かってきているのが確認でき、よーく見ると人の顔も見える。

 

 「うむ、敵の増援かそれとも.....」

 

 「いや、あれは.....恐らく味方です!英部隊と交戦中の模様!」

 

 砂埃の立つところでは激しく発砲炎が上がり、また英陣地側からの反撃も確認された。

 

 よーく見ると、砂埃の中の人達に、白地にゆりの旗が翻っているのが確認できた。  

 

 その後ろには英軍を上回る数の大軍が続いている。

 

 「教頭、では」

 

 「あぁ、私達の持てうる限りの力で彼らの進路を開きましょう。」

 

 「分かりました。急ぎ配置転換、英陣地方面に火力集中せよ」

 

 陸軍の指揮官のもと、急ぎ配置転換が行われ、文字通り備蓄の限りを尽くす勢いで砲撃が開始された。

 

 だが、砂埃が迫るにあたり、それよりも遥かに効率的な方法で彼の軍勢は道を切り開いていた。その光景に敵も味方も皆開いた口が開かなかった。

 

 その方法とは

 

 ズハババ〜

 

 「汚物は消毒ダー!ヒャッハー!」

 

 




「皆さん、お疲れ様でした」
「結局夜襲の所で長い時間使ってしまって、援軍との合流は次回に持ち越しになってしまいましたね」
「ホントは今回で合流までするつもりだったんですけどね、何分投稿が遅れてるので、次回に回させていただきました」
「彼らの軍勢の正体は何か」
「次回お楽しみ下さい。」

 次回 電撃戦もどき?と経緯
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