「どーも涼太です。皆さんこんにちは。」
「作者の西井西坂の守です。」
「いやー前回は驚きましたね。マリーアントワネットを出したと思ったらその養子にしてしまうなんて。」
「私もいくつか候補はあったんですよ。」
「具体的には」
「たとえばイギリスのビクトリア女王の子供になってドイツとイギリスの仲を取り合い第一次世界大戦を防ぐとか
、大坂夏の陣の真っ只中にタイムスリップして、徳川を倒すとか、ピザンツ帝国をオスマンから守り、現代につなげるとかね。」
「結構色々な案が思いついてたのになんでフランス革命を題材にしたんですか?」
「いくつか要因はあるけど一番は歴史漫画の影響だね。」
「歴史漫画?」
「案を決めた時にたまたま近くにあったのがフランス革命の本だったんだ」
「そんな簡単に決めたんですか!?」
「これでも結構悩んでたよ!?」
「これだから作者はどんな歴史上の敗者より優柔不断って言われるんです。」
「テヘヘ、すいません」
「全く…さて、第4話始まります。」
「それでは本編へどうぞ」
翌日、私はお母さんから美しい衣装を渡され、それを着てヴェルサイユ宮殿にいらっしゃる国王陛下の元に参内した。
そもそもこのプチトリアノン自体ベルサイユ宮殿の中にあるのだが、国王陛下は別の建物に暮らしており、宮殿内は広大で歩きだと
時間がかかるため昨日は行かなかったようだ。
私は母から立派なドレスを頂き、短い髪を再び結なおしてから向かった。
ベルサイユ宮殿には馬車に乗って向かった。
初めて乗る馬車は電車のように石畳を踏むごとにカコン、カコンと音をたて、とても気持ちの良い揺れがあった。
「そんなに気持ち良いかしら?」
お義母さんが私の気の抜けた表情をみて、クススと笑いながら聞いてきた。
だけど、本当に気持ちが良いのだ。普段乗ってた車と違って周期的に伝わってくる振動は電車に乗ってる時の様な感覚になる。
しばらくぼんやりと緑豊かな庭を見ていると遠くに立派な建物が見えてきた。あれが国王ルイ16世陛下が暮らしてらっしゃる宮殿だ。
宮殿の前の広い通りの面している所に着いた時に馬車はガタンと音を立てながら止まった。
「どうも着いたようね?」
お義母さんは私に微笑みながら伝えた。
「カシラ〜中!!」
通りにズラッと並んだ近衛兵の儀仗隊が指揮官の合図と共に顔を私達の方に向け各兵なりの敬礼(兵は捧げ筒、士官は投げ刀)をしてきた。
私はそれに対して挙手の敬礼で返した。
私は昔から歴史が好きで、良く西洋の軍隊について調べたりしていたが、
その中で儀仗隊による栄誉礼は一生に一度でも良いから見てみたいと思っていた。
だが、まさか自分がそれを特等席で見ることが出来るとは思っていなかった。
今私は周りからみたら落ち着いているが正直今にも顔が崩れそうでハラハラしていた。
そんな私をみてお義母さんはまたクスリと笑った。
私達は大通りを時々すれ違う貴族達に挨拶をしながら宮殿へと向かった。
ベルサイユ宮殿は良く漫画であるような立派なお屋敷のように部屋がいくつもあり、
とてもじゃないが国王陛下の部屋に向かうルートを覚える事はできなかった。
しかしお義母さんは道を間違える素振りを見せる事なくまっすぐ陛下の部屋へと向かった。
何度も通ってるうちになれたのだろう、変な素振りを見せることなくノックした。
「陛下、入りますよ。」
そう一言申して中から返事があったのを確認し、ドアを開けた。
私は緊張でいっぱいであった。
思えば昨日トラックに轢かれたと思ったら何処とも知らない場所にいて、
私を介抱してくれた人が歴史の教科書に乗ってる憧れの人で、
この世界の事を実感する間もなく、今日ここに来た。
この扉の向こうには教科書に乗ってた国王、ルイ16世陛下が待っていらっしゃる。
今まで余り実感の湧かなかった歴史の重みが一気に私の両肩にのしかかってきた。
私は緊張で凝り固まった両手を無理やり動かし、先程の儀仗隊のように一糸乱れぬ動きで国王陛下の元に参内した。
その様子をみて、国王陛下は顔の表情を緩めて、
「そう固まらなくても良いぞ、君は朕の娘なんだから」
国王陛下の声を聞いた途端に私を縛っていた糸の様な物が解けた。
私は歴史という重みに自身が潰されかけていたが、国王陛下のお声掛けはその糸をも解いて下さった。
やはりロイヤルタッチというのは実在するのかも知れない。
私は国王陛下に促されて、近くの椅子に座った。
この一連の様子をみてたテレーズちゃんは
「ハルちゃん、お人形さんみたい」
椅子に座って女中の用意してくれたお茶を飲みながら笑っていた。
「ハハハ、まぁ言ってやるなテレーズ。さて君が我が家の養女になったハルカ君かね?」
国王陛下は私の固まった表情をみて優しくテレーズちゃんに忠告してから私に聞いてきた。
「はい、昨日お義母さまに拾っていただいた伊藤遥です。」
私は立ち上がり陛下に礼をした。
「そうか、私の名はルイ フェルディナン ド フランス 、 ルイ16世である、よろしく頼む。さて、」
陛下は改めて自己紹介をしてから昨日お義母さんに話した事をお聞きになられた。
フランス国王であり、私のお父さんでもある、ルイ16世陛下は最初私の事を聞いて驚いた様子だったが、話してるうちにとても仲良くなれた。
最初に感じた陛下の印象はとても親切で、周りから優柔不断と言われるのもわかるくらい優しかったが、
私達と話してる時にも、大臣達の相談に乗り、常に国の事、国民の事を考え続けてる印象があった。
彼と会うまでのイメージはフランス革命のかわいそうな犠牲者であり、
国民の意見をうまく反映しきれなかった人と言うイメージだったが、実際は常に国民の事を考え、
いかに貴族とのバランスをとるかに苦心された方みたいだった。
その様子を見て、私に出来る事は少ないにしろ支えて行きたいと思った。
最後に私は、まだ学生だと言うことを伝えると、ある学校に行って勉強をしてきて欲しいといわれた。
てっきり私は王族と言うことで家庭教師でも雇うのかと思っていたが、違った。
やはり、学校という場所で勉強するだけでなくこの国の国民とも親しい関係を築いてほしいと思ったのだろう。
そしてこの話を最後に私達は再びプチトリアノンへと帰った。
しばらく後に私は近くの教会で洗礼を受け新たな名前をもらった。
ハルカ ルイ ヨゼフ イトウ
これが新たな私の洗礼名だ。普段は伊藤遥を使うが公式の場ではこの名前が私の本名となる。また、今回の洗礼を経て私は
正式にブルボン家の娘となった。私は新たな名前と新たな家族と共に暮らす生活に希望を見出していた。
そして数日後ー
「ここが国王陛下のおっしゃられた学校かぁ。」
私は学校の校門前に立っていた。
フランス王国にはパリ大学などの古くからある大学や陸、海軍の士官学校、幼年学校等様々な学校があり、とても教育に熱心ではあったが、貴族から庶民
まで自由に入れる場所は陸海軍関係の学校ぐらいで、他はほとんどが貴族が占めており、庶民の識字率はやや低かった。
このことも少なからず革命の要因の一つとなった。
「だけど、本来私の記憶では無かった筈の学校なんだけどなぁ」
この頃のフランスは借金でいっぱいでとてもじゃないが新たに学校を作る余裕なんてなく、
本格的に学制が発展したのはナポレオンの天下になってからだった。
「まぁ、良いや多分そのうち分かるさ。」
私は一瞬頭をよぎった疑問を振り払い校門の警備員に生徒証を見せた。
この学校は陛下の話によると、服装は自由で貴族であろうと平民であろうと関係なく誰でも入れる所らしい。
故に私は高校時代の制服を直して貰って来ていた。
警備員の人は私の服装と髪型を見て少し驚いていたが、私が生徒証を見せたら
「あっ、転入生の方でしたか、ようこそ本学園へ」
温かい笑顔とともに門を開いてくれた。
「ありがとうございまーす。」
警備員の人に感謝を述べてから学校に入った。
一目見た学校の印象はこの時代特有のロココ様式の建物を中心に校舎らしい石造りの建物が何棟も並んでいるような雰囲気だった。
まだ、皆登校してきていない朝早い時間(6時頃)に登校したためまだ誰もいなかったが、先生方はもう教務室にいるようだった。
私は私のいた世界の忘れ形見である自動巻きの腕時計をチラッと見てから真ん中の大きな建物に入った。
「わぁ!ここもすごいなぁ!!」
私が学校の中に入って気づいた事はベルサイユ宮殿同様至るところに装飾が施されており、
まず豪華さだけなら日本のどこの私立高校にも退けを取らない雰囲気であった。
ただその中でまずこの時代に無いような物があった。
「あれ?なんで電話機があるんだろう?しかもベルが発明したやつ見たい....」
そう電話機である。電話機は本来1876年にグラハムベルによって発明されるはずのものであったが、
何故か装飾が施された立派な机の上に置かれていた。
よーく周りを見渡してみると電話機だけでなく、白熱電球がシャンデリアにロウソクの代わりに付けられていた。
このシュールな光景に私は呆然と立ち尽くすまでだった。
そんなとき、
「おや、来たようだね。」
後ろからひげを生やした初老にさしかった雰囲気のおじさんが声をかけてきた。
「君がハルカ王女かね?」
「はい、本日こちらの学校に転入致しました。伊藤遥と申します。」
急に声をかけられ少しびっくりしたがなんとか気持ちを落ち着けて、お義母さんに習った方法でお辞儀をした。
「この学校の校長をしている者で、フィリップペタンと申します。よろしく。」
私の挨拶を見て、彼も紳士的に自己紹介をしてきた。
フィリップペタンって言う名前らしい。
綺麗に整えられた髭にピッタリの良いフランス人らしい名前だと思った。
彼が先生なら私も楽しい学校生活を送れるだろうと思った。
うん?
フィリップペタン?
ペタン?
ペタン元帥!?!?
私は昨日トラックに轢かれた時の痛みが体をよぎり再びその場に倒れた。
「第4話終わりました。」
「さて、ついにごく普通の高校生君は正式にブルボン朝の娘になりましたね」
「それと同時に昨日までの暮らしが再び訪れます。」
「一気に進みましたね。」
「今回は悩みましたからね、家庭教師にするか、高卒にしちゃうか、学校に送るか。」
「通りでこの頃ボーとしてたんですかねぇ?」
「分かりません☆」
「コラwさて第5話どんな感じになるか想像を膨らます様な状態で今回は終わりにします。」
「今までお読みいただきありがとうございました。」
国王陛下の提案で再び学校生活を始めた私は、その学校で驚きの事実を知るのであった。
次回、学校生活(予定)