YUMIYA~ある弓道部員の物語~   作:伊藤ネルソン

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私こと伊藤遥は学園で倒れてからうなされていた。しかし、その経験は私の心をより強くするものであった。また、なぜヴェルダンの英雄がここにいて、こんな学校が作られたのか、今明らかになる。
「どうもこんにちは作者です。」
「アシスタントの涼太です。」
「皆さん、大雨大丈夫ですか?」
「まさか、台風一つがこんな被害をもたらすとは、」
「私の親戚の家でも大雨で避難勧告が出されたらしいですし」
「最近の日本の気象は異常ですね。」
「確かに、台風はどうせ翌日にはやんでる物と思ってましたが、」
「とんでも無く長くなりましたね。」
「今私にできる事は皆さんのご家族の安全を祈ることぐらいしかできませんが」
「もし、余裕があったらこの小説も読んでください」
「では、第5話はじまります。」


夢とヴェルダンの英雄とヴィシーフランス

part1

 

私こと伊藤遥は今、頭を抱えている。

昨日、この学校に来てからすぐに倒れてしまったからだろう。

目が覚めたら、私の寮とは別の近くの建物の部屋に運び込まれていた。

全く、昨日からずっと何なんだろう…。

過去にタイムスリップしたと思ったら、フランス王家の養子になって、学校に通うことになったので登校してみると、世界大戦の偉人が学校の先生になっている。

そして、学校には時代的にありえない、近代的な機器や設備がある。

こんな状況、夢としか考えられないし、歴史が好きな人じゃなきゃ、耐えられないでしょうね。

まあ、私は歴史が好きだからまだ良いけど…。

ほんとに何なの!?

…学校でワイワイ騒いでた時が懐かしいわ…。

あの時みたいに、また友達とバカやりたいなぁ。

なんか疲れてきた…。

もう一回寝ちゃおうかな。

元の世界に帰りたいよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだよ、あなたはあなたのすべきことを成し遂げていないもの。」

 

――――――――――――――――

 

突然、目の前が真っ白になり、モヤモヤした雲の中から女性(?)が現れたと思ったら話しかけられた。

正直すごく驚いた…。

人って雲から出てこれるんだ…。

「いえ、普通は出てこないわよ?」

何でか心読まれてるし。

それに、この声どこかで聞き覚えが…。

そこで、ある人が思い浮かんだ私はとっさに叫んだ。

「あ!この前の人!」(注、第2話参照)

「そうそう、大正解ー。

ちなみに、何故あなたはブルボン家の人間になったの?」

それに対して私は昨日からの状況に対する疲れから、イライラしていたため、つい、

「なりたくて、なったんじゃ無いわよ…」

とつぶやいた。

その発言を聞いた彼女は、呆れと怒りの混じった表情で、

「あら、ならフランスは史実通り、このままギロチン国家になるのよ?」

それに対して私は自暴自棄に、

「それの何が悪いの?歴史を作る上での当然の犠牲じゃないの!」 

と答えた。

その言葉を聞いた彼女はついに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キレた。

 

「何を馬鹿な事言っているの!あなたがギロチンに送られる事は、あなたは微塵も辛く感じていないでしょうけれど、あなただけじゃなくて、お義母さんやお義父さん、そして革命に巻き込まれた市民までギロチン送りになるのよ!

それをわかって言ってるの!?」

彼女は鬼の形相で必死に訴えかけてきた。

その思いは、少なからず私の心に響いた。

「このまま終わるとは思わないことよ。

あなたの時代に遺してきた家族が、友人や後輩が悲しむことになるわよ。

少なくとも、何かすれば、今のあなたなら悲劇を遠ざける力をもっているのに、それを使わないなんて、傲慢に他ならないわ!」

その彼女の一言で、私の目の前を覆っていた負の雑念は消し飛んだ。

あたかも、矢が放たれて、的の中心に当たった時のように、なんともいえない、すっきりとした気持ちになった。

そして、私は我に返った。

なんのためにここに来たのか、それも大事な事だろう。

しかし、それ以上に、今、私にできる事をすべきではなかったのだろうか。

「あなたが前世でやってきたことを思い出して?」

 

――――――――――――――

 

「はい、相手ボール!」

「何でボーッと突っ立ってるの!?

あんたに今ボール渡したでしょ!

なんであんな取りやすいボールも取れないの!?」

私は今、体育の授業でバスケットボールをしている。

私のチームは前半、バスケ部の子が中心になってボールをパスしあって、うまく相手が離れたタイミングでバスケ部の誰かがスリーポイントを決める作戦で、試合を有利に進めていた。

私もできる限り活躍しようと、味方の邪魔になるのを覚悟で必死にボールを取ろうとしていた。

文字通り、ボールしか見えていなかったけれど。

だから、相手のフェイントに振り回されてばかりで、なかなかボールが取れず、私がグイグイ行く事で、逆に味方の行動を制限してしまうこともあったのだ。

そして、後半始まってすぐ、私はバスケ部の子の近くで、相手をスクリーンしていた。

そこに、

「ハルカ、頼んだ!!」

別の相手にスクリーンされたバスケ部の子は、私に希望を託し、私が取りやすい位置に向かってボールを投げた。

しかし、相手をスクリーンするのに夢中になってた私は、ボールに反応するのが遅れ、その相手にボールを取られてしまった。

そして、素早い動きで私を抜いた後、一気にゴール下まで走り、そのままシュートを入れた。

相手のチームは奇跡のシュートに喜びあっていたが、私達のチームには今までに無い焦りが漂い始めた。

そして、それからのプレーは一方的だった。

前半での勢いはどこへやら、相手に次から次へとゴール下からシュートを決められ、

「Aチーム対Bチーム戦はBチームの勝ち」

圧倒的な差で私達のチームは完敗してしまった。

それから私達のチームでは陰口が絶えなかった。

それに対して私は反論ができなかった。

そう、長くなったが、私は中学は水泳部、高校は弓道部という運動部に入っていたが、運動が得意では無かった。

そして、入学した学校が工業高校であるため、機械工作が得意なように見えるけれど、

「あ、しまった!」

その時は旋盤実習の時であった。

担当の先生が私のことを心配して駆け付けて来てくれて、

「どうした!?」

と、訊ねてきた。

「ドリルを使って中心に穴を空けていたら、ドリルが材料に噛んで、ドリルごと回りだしました。」

その様子を見て先生は、

「ハハハ、また噛んだか、お疲れ様」

と、励ましながら旋盤を逆回転させて、噛んだ刃を抜いてくれた。

その様子に私は、

「いっつもすみません…」

と答えるしかなかった。

その先生は優しい先生であるため、

「気にすることは無いよ、よくあることだから。」

と、また励ましてくれた。

 

私は幼い時から工作が好きで、プラモデルを真似て、木材で同じものを作ってみたり、様々な物を木材で自作したりしていた。

そのため、工業高校なら活躍できると思い、胸を張って入学したのだが、自分の思っていた以上に工業高校の実習は、とてもレベルの高いものであった。

私は昔から上がり症で、立派な機械を前に、プラモデルを作るときの様な余裕は出せず、バスケのとき同様、目の前の作業をするだけで精一杯だった。

そのため、私は体育でも、実習でも活躍できず、いつしか自分自身の事を無能、私が生きてる事は罪であると考えるようになっていった。

しかし、そんな私でも唯一自信を持てる物がある。

それは、弓道と、歴史に関する事。

私は昔から歴史が好きだ。

だけど、年齢によって好きな時代は違い、今は近代のヨーロッパだけど、小学生の時は鎌倉、室町時代が好きだった。

だから、武士の文化にも興味を持っていて、当然武士道の一つの弓道にも興味があって、部活動は是非とも弓道部に入りたいと思っていた。

しかし、今まで続けて来た水泳もやめることはできず、中学は水泳、高校は弓道部に入る事にした。

私は、さっきも話した通り、運動が苦手だ。

けれど、嫌いでは無かった。

時々開催される、市のマラソン大会に参加するぐらいには運動が好きだった。

しかし、私は筋トレが嫌いなのだ。

そのため、本格的な選手と共に活動するとついていけず、それは私がやりたいと思って始めた弓道にも、少なくない影響を与えた。

筋力が無いから、重い弓が引けないのだ。

今年で17歳になったけど、引いてる弓の重さは一年生の子たちよりも軽い物。

しかし、私はこの軽い弓でも、全力で、楽しみつつ、弓を引いていた。

その結果、弓道は部活以上の、生活の一環とも言えるものとなっていった。

歴史に関してはさっきの理由で、(工業のテストが簡単だというのもあるが)毎回ほぼほぼ100点に近い点数が取れ、他の教科以上に得意であり、好きだった。

だけど、この得意な事は、工業高校ではあまり活かしきれていなかった。

しかし、それらは今までに無い楽しみを感じ、どんな辛いことでも忘れられた。

――――――――――――――

そしてある日、私は部活を終えて家に帰ろうとしていた。

今日も体育でろくな結果を残せず、モヤモヤした気分だった。

けれど、今日の部活を終えて、そんなことも吹っ切れていた。

それを表すように今日の夕焼けは、今までにないくらい綺麗な夕焼けだった。

そして、普段私は部長と共に帰るため、彼を待ってると不意に夕焼けの中から、人影が現れた。

その人が誰か気になって目を凝らしてみると、なんと、同じチームのボールを渡してくれた、バスケ部の子であった。  

彼女は私に気がつくと笑顔で手を振って近づいてきた。

私は、この前の事や、今日の事があり、逆にその笑顔が怖かったが、私も無理矢理、笑顔を作って返した。

私はそれから彼女の機嫌を伺いながら、部長が来るまで待っていた。

「ごめん、二人共待たせね。」

部長は看的場から頭を掻きながらやってきた。

私はその様子をみて、頬を膨らませて、

「遅いよー。」

と言った。

彼は苦笑しながら、

「すまんすまん、的紙を張り替えてたら、ちょっと時間かかった。」

「それは後輩の仕事でしょー。」

「だってー。

後輩に任せると、当たったときの音がショボいじゃんかさー。

こう、当たった気がしなくて、すっきりしないんだよー。」

「じゃあ、後輩を育てなさい!」

「えー。」

普段はボケ役である私も、この時ばかりはツッコミ役に回った。

その様子を見て、部長とバスケ部の子は笑っていた。

「よかったよー。

最近、遥ちゃん、クラスで笑ってなかったからさ。」

「え、そうかな。

まあ、この前、体育でみんなに迷惑かけたから、気まずくて…。」

「うん、そうだろうと思って、今日、ここに来てみたんだ。

遥ちゃんとお話ししたくて。」

そして私達は共に帰っていった。

最初は他愛もない会話だった。

そのうちに、バスケ部の子に対する壁が徐々に切り崩されていった。

そしてそれは彼女も望んでいた事であったが、流石に体育の話になると興奮は冷めて、逆に罪悪感が再びわき上がって来た。

しかし、そんな私と彼女の間にあったはずの壁はなくなり、徐々に口調は激しくなり、ついに私は、

「私は、私はどうすればいいのよ…」

と、泣き崩れてしまった。

しかし、彼女にとってはその時を待っていたようで、

「なら、あなたのできる事をやればいい。

今あなたにとってできる事。」

と、私に対してやさしく語りかけてくれた。

「何も、本番で活躍することが試合の目的じゃない、目的を達成することが目的なのよ。」

やや矛盾を含んだ表現であったが、私は彼女の言葉をなんとか理解できた。

「そっか、分かったよ!

この前の試合はごめんね、だけど見てて、今度の試合は、なんとか頑張ってみるから!」

「うん、私もごめんね、ついあんな暴言吐いて…。

期待してるよ!」

「うん!」

私と彼女は、お互いに謝り、そして笑顔で約束した。

その様子を見てた部長は、ほっとした顔になり、

「よし、お前ら今日は俺の奢りでラーメンだ!」

と、突然叫び、近くの店に私たち二人を連れこんだ。

そして、私達は夜遅くまでラーメン屋で喋ってから解散した。

翌日から、私は目の前を覆っていた雲が晴れた様な気分で過ごす事が出来た。

そしてバスケの時、私は裏方に回り、今できるリバウンドを取ることなどに専念しているうちに、チームの成績も良くなり、陰口も無くなっていった。 

そしてその時は突然訪れた。

前、失敗した時と同じ状況が訪れたのだ。

今度の私はボールだけでなく、味方の動きにも注目していたため、なんとかボールを取ることが出来た。

そして、私はバスケットの遥かに遠い位置からシュートした。

そのボールはさながら迫撃砲の砲弾のように綺麗な放物線を描き、何と、リングに触れずに、そのままゴールに入った。

その様子を信じられずに突っ立ってた私は周りの空気を把握するのに遅れていた。

そして気づいたときには胴上げが始まっていた。

私はその時になって、ようやく状況を理解した。

そして、この時の経験から私は、今できる事をやる大切さを学んだ。

――――――――――――――――

そうだ、いろんな事があって忘れかけていたけど、やれる事をやる。

これが一番大切な事だったのに、なんで気づかなかったのだろう。

バスケ部の友達、部長が気づかせてくれた事がなんで出来なかったのだろう。

私は急に色んな事がこみ上げてきて泣きそうになった。

そして神は告げた。

「フランスを救うんじゃなかったの?

お義母さんを助けるんじゃなかったの?

飢えに苦しむ国民を救うんじゃなかったの?」

そんな言葉を残して彼女は消えたが、私の中にある何かに火がついた。

そうだ、絶対に忘れちゃいけないことを忘れてた。

私は死ぬわけには行かない、ヘタばるわけには行かない。

輝しきフランスの光を見るまでは。

そして、胸を張ってやりきったと言えるときまでは。

 

 

「ハッ…!?」

 

私は目を覚ました。

気づけば、元いた立派な個室のベットで寝ていたのだ。

近くには、先程見たベルの電話と共に、私の荷物が置かれていた。

私はこの高校に入学するにあたって、この高校の寮に入ることになったため、着替えや、元いた世界から持ってきた弓矢等が、所狭しと置かれていた。

私が体を起こして、周りを見渡すと、

「おっ、起きたか。」

倒れる前に出会った先生(?)であるペタン元帥が入ってきた。

手には何冊か本を持っている。

どんな内容なのか気になるところだけど、それもすぐに分かることだろう。

「すいません、あんな所で倒れてしまって…。」

私は感謝の思いも込めて謝罪した。

私が倒れた場所は入口で、部屋の窓から見ても、大分離れた場所だったから。

しかし彼は、さも当然と言うように、

「いや、謝ることじゃないよ。

私も事前に宮殿に参上して、説明しとくべきだったしね。」

私のフォローをすると共に自らの誤りを話した。

やはり彼は評判通り(もちろん歴史上)の立派な人であった。

「そんなことより、調子は大丈夫かね?」

彼は私に心配そうに声をかけた。

「おかげで助かりました。」

この世界に来たとき同様、少し頭はクラクラするがそれ以外に気になる点はなく、むしろぐっすり眠れたことにより、スッキリしていた。

「そうか、なら良かった。

さてそれじゃ本題に入ろうか。」

「はい、お願いします。」

「それじゃあまずは、私の事について話そう。」

彼はフランスのユー島で亡くなってから今日までの事を話した。

 

 




「思った以上に長くなりましたね。」
「..........」
「どうしました?」
「あっ、すいません、少々訳のわからない表現があったので翻訳してました。」
「ハハハ(グサリッ)すいませんねぇ」
「全くもう、長い文章でおんなじ事のくりかえし、遠回しすぎる表現.......読者に迷惑だと思いません?」
「ごもっともです。」
「次回以降気をつけてくださいね」
「はい。」

元帥との長い長い会話を終えて、翌日になった転入、不安と期待に胸を膨らませながら久しぶりの学校生活が始まる   
        次回(こそ) 学校生活

 12月21日 追記

 友達に修整分割を含めた大規模な校閲をやってもらいました。
 これで、少しは見やすくなったかな?
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