YUMIYA~ある弓道部員の物語~   作:伊藤ネルソン

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 私伊藤遥はペタン元帥より話を聞き、この学園についての知識と良き支援者を得ることが出来た。そして、楽しき学園生活も始まるはずであったが、もう日はくれており、翌日に至る事になった。そして今日に至る。
 「皆さんこんにちは、司会役の涼太です。」
「こんにちは、作者です。」
「最近、弓道の審査があって受けてきたんですけど」
「どうでした?」
「........落ちました。」
「お疲れ様です。ちなみに何段ですか?」
「.......初段です。」
 「プッ...頑張ってください」
「今吹いた!?吹いたよね!?」
「だって、もう引退してだいぶたってますよね、なのにまだ初段だなんて、ププッ!!」
「不器用なんだから仕方ないじゃないか!!」
「ハハハ、冗談です。まぁ頑張ってください。」
「もう、それでは始まります。」
「ゆっくりしていってください。」


新たな生活の幕開け

フランス ブィシー学園 正殿客室

 

「んん〜」

 

 私こと伊藤遥は目を覚ました。前日、この部屋に運び込まれてから

 

まる一日がたっていた。

 

 昨日はペタン先生との会話で一日を終えてしまったため、本来昨日が

 

入学の予定であったが、一日ズレてしまった。

 

 しかし、私としてはこの国の現状やこの学校のことなど

 

とても興味深い事を聞けたため良き一日であったと言える。

 

しかし、いつまでも寝てるわけにはいかないため、私は今だに寝る事を

 

望んでいる体をベットから起こし、部屋の奥にある洗面所にいった。

 

 この時代には私達の知ってるようなプラスチックの歯ブラシが無かった為、

 

最初は苦労したが、何とかそれっぽい物を枝を使って

 

作る事に成功したため、それを使用している。

 

プラスチックの歯ブラシと比べると少々頼りない感じがするが、

 

私の口の口臭を防ぐにはこれしか無いため、辛抱している。

 

 それから私はサッと髪を整え、昨日同様この時代にしては

 

非常にシンプルであるが髪を後に束ねて下げておいた。

 

わかりやすい例でいうと平安鎌倉時代の貴族の女性のような髪型である。

 

 今までの生活では基本的にこのような髪型で過ごしてきたが、

 

フランスの宮廷に入ってからは後ろで束ねておだんごを作るような髪型が

 

中心となっていた。そのため、この髪型は久しぶりであるが、

 

鏡を見てこの髪型こそが私であると改めて認識した。

 

 それから私は寝間着から学校生活に適した服、すなわち制服に着替えた。

 

 私はこれから学校生活を始めるため、制服は当然であり、

 

この学校の指定の制服であるかと思われたが、そもそもこの学校には

 

制服と言うものがないのである。

 

しいて言うなら士官学校から転入してきた生徒が軍服を着ているぐらいで、

 

皆バラバラであった。それ故この制服はある意味無いはずのものなのである。

 

 

 

その制服の正体とは

 

 

「この服もきれいになったねぇ、高校で使ってたときとは大違いだよ。」

 

 

 そう、私が通っていた高校の忘れ形見でもある制服である。

 

 

 私がここに来たときにも着ていたが、トラックに轢かれた為か

 

だいぶボロボロであり、もう使えないかと思われた。

 

しかし、お義母さんが陛下を通して国中の仕立て屋を集め、

 

私の服を元通り、いや元以上にきれいになおしてくれた。

 

そのため今日着てみたときにもどこにもシワがなく、

 

前までついていたシミなどもキレイさっぱりなくなっていた。

 

彼ら仕立て屋には感謝の言葉しか思いつかない。

 

 しかし、この制服は現代(18世紀)には無いような構造の服であり、

 

スカートの丈もこの時代の足がすっぽり隠れるような物とは違った

 

膝あたりまでのスカートであったため、これを穿いてる時の周りの視線は

 

皆変なものでも見たかのような冷たい目であった。

 

また、ブレザー等の上着もこの時代の人からすると男の服であり、

 

キリスト教的にも微妙な代物であった。

 

 

しかし、この学校では比較的服装に関しては制限が無いため、

 

ある意味これからの生活における可能性を秘めた物でもあった。

 

そのため、私は少々恥ずかしながらこれを着ることにした。

 

 

 そして制服に着替えてからチラッと腕時計を見るとまだ朝食の時間には早く、

 

かといってすることも無かった為学園内を少し散歩することにした。

 

 

.............................

 

 

.............

 

 

 昨日は雨が夜降っていたようで植物の葉の雫が登ったばかりの

 

朝日に照らされ光り輝いていた。

 

その幻想的な風景の中、私はのんびりと石畳の上を歩いていた。

 

 この学園の庭はとても広く、近くにはアリエ川が流れる眺めも良い場所である。

 

もともとこの学園のあった場所は温泉の近くの林であり、

 

今も学園内に林の一部が残っているが、その林の木々もキレイに整えられており、

 

ヴェルサイユ宮殿にも引けを取らない豪華さである。

 

 しかもパリ以上に衛生面には気を使い、

 

噴水や花壇から臭い糞尿の匂いがしない様にオルガ川に直接流れる構造の

 

下水道が掘られ、きちんとした水洗トイレまで設置されている。

 

 

 未来から来た人にとっては糞尿の匂いはとてもじゃないが耐えられるものではなく、

 

コレラ等の伝染病のもとになるため、ペタン先生が中心となって整備したのだという。

 

私にとっては正直とてもありがたい話である。

 

 しばらく庭を眺めながら歩いていると東屋らしき建物についた。

 

そこで私は一息つくことにした。天井裏には鳥の巣があるらしく

 

時々鳴き声が聞こえてくる。その東屋からは近くに学生の寮と思われる建物が見え、

 

朝のランニングをするのか比較的薄着の生徒が何人か出てきて道に従って走っていった。

 

 その様子をぼんやりと眺めていると

 

 「おはよう!!....おや?あまり見慣れない顔ね!?」

 

 突然後ろから私とおんなじ位の女の子が声をかけてきた。

 

私は突然の事に少し驚いたがなんとか返事をした。

 

 「昨日この学園に転入した、伊藤遥と申します。

 

今日から共に授業を受けさせていただけます」

 

 その様子に彼女も一瞬目を丸くしたが先程のような明るい笑顔で自己紹介をした。

 

「そっか、あなたが噂の陛下の新たなお嬢様ね、私の名前は、マリー・カリーネ、

 

ダンケルクから来たわ。わざわざ敬語じゃなくてもいいわよ、

 

この学園へようこそ、そしてよろしく。」

 

「そっかぁなら改めてよろしくカリーネ!!」

 

 私も負けない位の笑顔で返した。それから私達はその東屋で宮廷での生活、

 

この学園での生活等、日常生活の話題に花を咲かせた。それはしばしば時間

 

の存在を忘れさせた。

 

 そして一時間ほど経った時

 

「あら、もうこんな時間!?」

 

 彼女は時計塔を見て呟いた。私も自身の腕時計を見て時間を確かめた。

 

確かにもうすぐ朝食の時間であった。

 

正直もう少し話したかったが続きは教室ですることにした。

 

 「それじゃ御機嫌よう、教室で待ってるわ」

 

 「今日こそは来るからね。それじゃ」

 

 最後にお互い笑顔で約束をして、元来た道を戻っていった。

 

 これが彼女との長く不思議な関係の始まりであった。

 

...................................

 

 

..................

 

 

 朝食後、私は身の回りの荷物のうち、これからの授業に必要なものだけ持って、

 

生徒のクラスのある棟に向かった。

 

残った着替えなどの荷物は後から別の先生が私の寮の部屋に持っていってくれた。

 

 

   そして今、

 

 

 「それじゃ、これから朝のショートホームルーム始めるぞ。まず......」

 

 私はクラスの前の廊下に立っている。

 

先に入ったペタン先生がショートホームルームを始め、今日の予定等を話始めた。

 

今私の心臓はとても大きく拍動している。今までに無いくらいの勢い

 

で脳に血液を送っているのが分かるが、

 

それがまるで意味の無いことの様に今私の頭は緊張と不安が入り混じり、混乱していた。

 

 どうにか穴があるなら入りたいという思いが溢れてきたが、

 

無情にも時間は過ぎてゆく、

 

まさしくそれはいい加減覚悟を決めよと言われているように感じた。

 

 そして、そうこうしているうちに

 

 「諸連絡のある人はいるか?無いなら最後に.....」

 

 その声を聞いた途端私の心臓は今までに無いくらいの音を立てて拍動した。

 

ついに、緊張の、その瞬間がやってくる。

 

 「噂には聞いてるだろうが、新たにこのクラスに転入してきた子を紹介するぞ、はいれ。」

 

 よし、やるっきゃない

 

 私は今までのモヤモヤとした気持ちをかき消すべく、

 

いつもの審査の時の様に深呼吸をし、

 

無理矢理にでも固まったその顔を笑顔につくりかえて、扉を開けた。

 

 「失礼します。」

 

 私は面接の時のように静かに扉を開け、クラスにはいり、生徒に向かい礼をした。

 

それに対して、生徒達も困惑しながら礼を返した。

 

 それから私は静かに教台の横まで歩き、ある程度落ち着いた口調で、

 

 「ベルサイユより参りました、伊藤遥と申します。よろしくお願いします。」

 

 自己紹介をした。先程の緊張とは打って変わった落ち着いた気持ちに

 

内心自分も驚きながら話した。

 

 ただ、生徒の反応はというと、先程の礼に今だに困惑しているものもいれば、

 

何やら私のスカートを不思議そうに見ているものもおり、反応はまちまちであった。

 

 しかし、冷ややかな目線を送ってくるものはおらず、

 

自己紹介の場面にしては比較的上出来だったと思う。

 

 「彼女はベルサイユからこのビィシーに来たばかりであり、

 

まだ右も左も分からない状態だから彼女の面倒をきちんと見てあげるように。」

 

 「まだまだ分からない事だらけですがよろしくお願いします。」

 

 私は再び挨拶をしてから礼をした。その様子を見た生徒達からなぜか拍手が上がった。

 

正直少し恥ずかしかったが、悪くは無い気分であった。

 

 「よし、それじゃお前はあの席に座りなさい。」

 

 「はい、今までありがとうございました。」

 

 「よし、これでショートホームルームは終了、解散!!」

 

 私は、先生に一言お礼を言ってから、先生が指す方を向いた。

 

 そこを見て私と、その隣の席の人はお互いに驚いた。なぜなら

 

 そこには先程話した女の子、カリーネが座っていたからである。

 

 彼女もその事実に少し驚いた様子だったが、

 

再び先程のような明るい笑顔を向けてきた。

 

 私もその笑顔につられ、無理矢理作ってた笑顔を本物の笑顔に変えられた。

 

 そして、自分の席のとこに行き

 

 「これからもよろしく!!」

 「こちらこそ、よろしく!!」

 

 再び朝のような挨拶を交わし、二人の一日が始まった。

 




「そうですかぁ、まだ初段なんですねぇ。」
「今までの審査が危険物等の資格試験や学校行事と被っていて、なかなか受ける機会が作れなかったのも要因ですが、」
「ですが?」
「何より、私自身の技量不足な点が一番大きいのでもっと練習時間を増やし、内容を工夫して、ちゃんとした体配、射形を手に入れられるよう努力していきたいです。」
「もう引退したというのによくやりますね」
「私にとっての引退は死ぬときですから、八段目指して努力していきたいです!!」
「次の審査はどうします?」
「危険物と被っていますが、当然受けます。次こそは取りたいので。」
「そうですか........(ハハハ、後輩が可愛そうだなぁ(^_^;))」
「まだまだ弓道について語るような資格のないものですが、少しでもその資格を得られるよう頑張ります。」
「頑張ってください。」
「はい!!それでは皆さん、」
「「さようなら」」
無事学校生活を友と共にスタートすることが出来た私は新たな友と新たな授業を受けていく。
次回、学校生活(学園の一日)!?
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