東方軍器伝   作:RYUやん

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対吸血鬼戦

 少年には何が起きたかが全く分からなかった。

 ただ、一瞬のうちに周囲が瓦礫だらけになったことだけが分かった。

「クソっ……!」

 確かに一瞬だけ意識は飛んだ。

 それは衝撃波によるものだと言うのもすぐに分かった、そしてそれがあの吸血鬼(・・・・・)の少女を中心にして放たれたというのもだ。

『おいおい。大丈夫か?』

「多分、大丈夫……だと思う」

 転がっていた仁は立ち上がりながら言った

『なら、銃を構えた方がいい。多分、アイツがフランだ』

 そう、仁が振り向いた先の約10メートル程離れた部屋の中心にはレミリアの妹のフランだと思われる人物? がいた。

 確かに、パチュリーに聞いた通りの赤い服に白いレミリアと同じドアノブのような帽子、そして木の枝に宝石がぶら下がっているようなおかしな羽のような物、と仁の知っている吸血鬼とは似ても似つかない幼女だった。

 しかし、その目の前にいる幼女にはパチュリーからは何も聞いてない事が何ヶ所かあった。

 それは全ての動作がぎこちなく、まるであやつり人形のような動きをしており。穴でも空いているんじゃないかと思うほど黒く染った眼球。そして背中には、壊れた電光掲示板のように点滅を繰り返している紅い魔法陣が横になって浮かんでいる。仁が幻想郷では初めてみる異様なほどの不気味さだ。

「なんなんだよ、一体……」

『分からねえ。だけど、倒さないとどうにもできなさそうだ』

「どういうことだ?」

『ほら、見ろよ。この部屋に通じる全部の入り口が瓦礫で閉じちまってる、それにアイツはほっとくと面倒通り越して更に酷いことになりそうだ。なに、安心しろ。俺が全力でサポートする』

「……分かった」

 そう言うと、仁は身体に掛けてあったG36を構え、銃口を前方の吸血鬼へと向けた。

「ごめんっ……!」

 と、仁はフランに向かってフルオート射撃をした。

 なるべく胴体を狙い、倒そうと(気絶させようと)した。

 だが、フルオートというのは軍人でさえも全弾を全て目標に当てるのは至難の業だ。そのため、仁が撃った弾幕は半分以上が命中しなかった。

 もちろんフルオートの為、弾幕の弾はすぐに無くなり、仁はG36の替えのマガジンをハーネスから取り出し、それを装填した。

 だが、

『ダメだ、効いてる気がしない』

 そう、仁が撃ってる弾幕は確かにフランに当たってる。

 しかし、少なくとも5発は当たったハズなのにも関わらず傷どころか、かすり傷さえ(・・・・・)ついていなかった。

「分かってる! けど、他に方法が見つからない」

 

 その時だ。

『ッ! 仁、避けろ!!』

「え?」

 

 

 

 そして、ドカアアアン! という爆音が仁の背後の壁から聞こえた。

「なんだ!?」

 間一髪の所で横に転がり、その突進してきた何か(・・)から避けた。

 仁は、何かが当たったと思われる背後の壁を見た。

 壁には|何かがぶつかってできたと思われる、大きな穴が空いていた。

 

「うっ……」

 その壁に空いた穴の向こうに、いた"ソレ"を見て仁は思わず、そこから全力で逃げたくなった。

 

 そこには相変わらずあやつり人形のような、ぎこちない動きをしている"フラン”がいた。

 だが、その顔には先程にはない、口が裂けるんじゃないかと思うほど歪んだ笑顔をしていた。

『今更だし、当たり前だけど、ありゃ正気じゃないな』

「もう、無理ッスよ、神さま。SAN値直葬モノですネ、ハイ」

『おいおい、こんな時にだけ神扱いかよ』

 と、色々とおかしくなった笑顔の仁君だった。

 

 だが、そんな彼にもフラン? は容赦ないようで、背中の魔法陣の周りに小さな魔法陣が作り出され、そこから弾幕もとい光弾を放ってきた。

「うおっ!!」

 幸いにも弾速は遅かったため、避けるのは簡単だった。

 だが、失速して地面に当たった弾幕は爆発した。

 それも結構な威力で。

『どうする? このまま、弾幕を撃ってもジリ貧にしかなんねえぞ』

「分かってる。けど、他に案が思いつかない……!」

 そんな中でもフランは弾幕を撃ち続けている。

 確かに、今のように弾幕から逃げ続けながら、効きもしない弾幕を撃ちまくるのはよろしくない。

(せめて、何か弱点でもあれば……)

 仁は一瞬だけ立ち止まりフランに向かって、今度はセミオートでフランに正確に当たるように撃った。

 しかし、やはり胴体に当たった筈なのにも関わらずフランはピクリとも動かずに弾幕を放ってきた。

 弾幕を全て避け、仁はお返しと言わんばかりの弾幕を撃つが……

「やっぱダメかよ……!」

 やはり、当たった全ての弾幕は微塵もフランには効いてるようには見えなかった。

 

 

 

 

 この状況の打開策がまるで思いつかないまま、仁はフランから逃げるようにちょうど仁の体を隠す大きさがある瓦礫を背にして座った。

「……クソッ。やっぱり実弾を使わなきゃダメか……」

 と、アサルトライフルを地面に下ろした仁が言った。

『いや、そこまでする必要は無さそうだ』

「? どういうことだ?」

『いや、さっきからあの吸血鬼の嬢ちゃんから変な感じがする』

「変な感じ? なんだそれ?」

『んー……なんというかどう言うか……。とりあえず、あの嬢ちゃんに似合わない変な力が嬢ちゃんから感じるってことだ』

「でも、それがどうしたんだ?」

『それがもしかしたら、あの嬢ちゃんの弱点もしくは、あの嬢ちゃんがああいう風に(・・・・・・)なった原因でもあるんじゃねえかな、ってよ』

「だけど、その弱点があったとしてもどこにあるんだ?」

『接近戦して、見つけるってのはどうよ?』

「俺に、死ねってか」

『いや、そうじゃなくて……いや、そうか』

「おいコラ」

『別に悪意はないんだってーの。ま、とにかく何を使う?』

「とりあえず、弱点を見つけたい」

『具体的には?』

「耐久戦して。走り回りながらどうにかしたい」

『と、すると長物は重くて疲れるし、邪魔になるな』

「それじゃあ、ハンドガンか?」

『そうなるな。俺としては、そいつ(M9)よりも……こいつ、だな』

 その時、仁の前に一丁の全体的に四角いフォルムのハンドガンが"創られた”。

「なんだこれ……? グロック?」

『そう、《GLOCK18C》。軍用のフルオートモデルだ』

 

「……ドットサイトに拡張マガジン。お前、このカスタムって……」

 と、仁はハンドガンを手に持ち、見回しながら言った。

『何も、言うな』

「あ、ハイ」

 

 

 

 

 

 

 そして仁は今いる、瓦礫の横からフランを隠れるように見た。

「ん? 気のせいか? あいつの動きが自然になってるような気がする……」

 そう、今のフランはさっきよりも"普通の動き”をしていた。オマケに先程は持ってなかったグネグネした黒い棒のようなものも持っていた。

『……嫌な予感がする。仁、なるべく早めに終わらせよう』

「了解」

 

「最悪の場合、近距離がダメなら、いっその事、白兵戦に持ち込んだ方が良いのかね……?」

最悪の場合(・・・・・)には、な。割と冗談抜きで』

「……了解」

 

 

 

(とは言っても、弱点って、見えるもの(・・・・・)なのか? それとも見えないもの(・・・・・・)かハッキリしてないと攻撃のしようが……)

 そう、弱点というのは大まかに分けて2つある。

 それは本人にとってのトラウマや自身にとって不十分な部分などを精神面としての弱点、即ち"見えない弱点”。

 もう1つは、そこを叩かれると歩けなくなる。または、動けなくなるような、物理面としての弱点、即ち見える"弱点”。

 後者ならともかく、対人戦での重要な要素の1つである相互の見えない弱点(・・・・・・)を突き合う精神戦は、今のような状態のフランには確実に効果は無い。

 

「考えるだけ、無駄……か」

『ん? どうかしたか?』

「いや、何でもない」

『そうか……。あ、そうそうコイツを持ってけ』

 と、首元にいる神様が言うと、仁の横に一本の棒のようなものが壁に立てかけられるように創られた。

「これは……刀?」

『ああ、そうだ。どうせナイフだけじゃ物足りんだろ?』

「う……違くはないんだけど……なんか違うような」

『つべこべ言わずに、ほら、背中に掛けろ』

「ハイハイ……」

 と、仁は渋々刀を背中に掛けた。

 

「……あいっかわらず、不気味だな」

『確かにそうだ。あと何度も言うようで悪いが、アレは早く倒した方がいい』

「分かってる」

 そして、仁はハンドガンを構えると、1度大きな深呼吸をすると。

「よし……行こう」

 

 

 

 

 

 まず少年は、瓦礫の影から飛び出すとすぐ側まで来ていた、フランの頭に迷いなく3発、そしてフランの背後へと回り込もうとするが、すぐさまフランから弾幕が放たれて仁はフランから離れるようにして弾幕を避けた。

 オマケにその弾幕は、明らかに先程よりも早く放たれている。それは例えるならば、マシンガンの如き連射力に加え着弾すれば爆発する、という凶悪さだ。

 しかし、その弾幕は真っ直ぐ放たれている。

 フランが向いてる方向に弾幕は放たれるので避けるのは簡単だった。

(どこだ……どこにある……)

 仁はフランに目を凝らし、”弱点”を探すがそれらしい物は見つけられなかった。

「ああああああああぁぁぁ!!!!」

 と、急にフランが叫び出した。

「なんだ!?」

『クソっ!!』

 

 

 

 

 次の瞬間、仁の右脇で爆発が起きた。

 

 仁は声を上げることも許されないまま横に飛ばされた。

 だが、少年は見ていた。

 爆発が起きる直前、醜い笑顔を浮かべながらこちらに猛スピードで飛んできたフランを。

 

『おい仁、大丈夫か!?』

 と、心配した様子でバルは聞くが、少年からの返事は声ではなく、うめき声で返ってきた。

『起きろ、すぐそこまでヤツが来てるぞ……!』

「分かってる……」

 フラフラと立ち上がった仁は、爆心地の方を見ると、案の定地面にあのぐにゃぐにゃした鉄の棒を突き刺しているフランがいた。

(どう……する……?)

 少年には、今何をどうすれば良いか分からなかった。

「うおおおおぉ!!!!」

 ただ、がむしゃらに少年は手に持つ拳銃の弾を全て、フラン(化け物)に撃った。

 しかし、案の定弾幕は当たれども効き目はないように見える。

 と、思っていた。

「あ……え……?」

 仁が放った弾幕による攻撃は、確かにフランには効いていた。

 だが、その肌に傷はなかった。正確には、全て一瞬で治っていた。

 それは、目の前にいるのが人間ではなく人知を超えた怪物である"吸血鬼”だということを仁に思い知らせた。

「あ……あ……」

『おい、しっかりしろ!!』

 目が見開いたまま動かなくなった仁にバルが言った。

「ああ、もう! どうすりゃ良いんだよ!!」

 そして、仁は背中に掛けてある刀を取り、鞘から刀を抜いた。

「これは……もう最悪の事態……だよな……」

『この場合、仕方がない。今出来る事を全力でやれ』

 無言で仁は頷くと、刀を構えた。

「俺だって遊んでいた訳じゃないんだ。大丈夫だ」

 

 

 

 

 それだけ言うと仁は、ゆっくりと近づいてくるフランに向かって突撃した。

 捨て身とも受け取れるその戦法に、少年は全てを賭けた。

「喰らえええええ!!!!」

 そして、地面からグネグネした棒を抜いたフランに刀を左から右に振った。

「ハア……ハア……」

 仁はフランから5メートル程離れた所で止まった。

 正直、仁は勝つつもりなんて無かった。

 ただ、もし、霊夢達が今の状況を知ってくれればどうにかなるかもしれない、それまで自分は耐えてみせろ、と自分自身に仁はそう言い聞かせた。

 

 

 

 

 だが、現実は甘くなかった

 

 

 

 

 

「あ……え、何……で?」

 振り返った少年が見たのは痛みによって顔を歪めている幼女でも少しでも痛がっている様子を見せるフランでもなく。

 

 

 

 

 

 歪んだ笑顔でさっきまで少年がいた場所を見つめる"吸血鬼”がそこにいた。

 

 

 

 

 

「どうして……? 確かに……確かに切った筈だ……ぞ?」

 遂に、訳の分からない不気味さに震えだしてきた少年は、本当は見間違いじゃないか? と確認の為、自分が刀で攻撃した箇所を見た、しかしそこには何も無かった。

 さっきの弾幕でさえ多少の出血をしていたのにも関わらず、今回は血も攻撃した痕跡も何も無かった。

 しかし、明らかな違和感があった。

 1つは、フランが抜いたばかりのあのグネグネした棒がこれでもかというほど、赤くなっていた。

 2つ目は、先程まで感じていたはずの、刀の重量が無くなっていた。

 正確に言うと、まるで刀の柄しか(・・・・・)持っていないような感覚……

「なっ……!?」

 

 だが、それは、何も間違っていなかった。

 

 確かに、さっきまであったはずの刃の部分が柄の先から無くなっていた。

 そして少年はまさかと思い、フランの足元を見た。

「……嘘だろ」

 嫌な予感は的中していた。

 刀の刃の部分はフランの足元に。

 その刃の部分の折れている所は真っ赤になって、まるで火にでも炙られたようだった。

『ダメだ、逃げろ。コイツは今のお前にどうこうなる相手じゃ無さそうだ!!』

「分かってる!! けど、どうやって逃げる!? 出入口は瓦礫で塞がってるぞ!」

『クソっ! じゃあ、グレネードでもC4でも何でも使って無理やりでも逃げ道を作れ! じゃなけりゃ死ぬぞ!!』

 チッ、と舌打ちをしながら仁は瓦礫で塞がれた正面の出口へと走った。

 だが、それがいけなかった。

 

 

 

 

 ドスッ!! と、そんな音が仁の腹部から聞こえた。

「な……に……が?」

 目の前はいつ移動したのか、フランがいた。

 仁の腹部に拳を当てながら。

「ゴハッ……!」

 フランは、吐血し膝を付いた仁に今度は回し蹴りをした

 そして、仁は人外の力で蹴られたおかげで凄い勢いで吹っ飛ばされた。

 大きな柱に衝突して、やっとその勢いは止まったがフランが折れた刀の刃の部分を片手に近づいてきた。

(あぁ……そういえばこんな状況、あったっけな……)

 と、幻想郷に初めて来た時の事を思い出している少年にバルは言った。

『……しょうがない。仁! ()を投げろ!!』

「な……んで?」

『つべこべ言わずに早くしろ!!』

 そして、仁は首のロケットを力無き腕で外すと自身から右側、約3メートル先へと投げた。

(もう知らん……俺はもうダメそうだ)

 ゆっくりと目を閉じた少年にフランは刀の刃の振りかざさしトドメを刺そうと刃を持っている右手を大きく振りかざさした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調子に乗んじゃ……ねえぞぉぉおおお!!!!」

 

 

 

 急に眩い閃光が焚かれたかと思ったら、フランの体が無くなっていた。

 いや、厳密には飛び蹴りを受けて、先程の仁のように吹き飛ばされていった。

 そして、フランの代わりに赤黒いフードを被った"何か”がいた。

 その"何か”は仁に近づくと。

「よし話は聞けるな。今から言うことをしっかり聞け」

 その"何か”は仁の頬を両手で挟み、無理やり目線を合わせた。

「お前は……お……れ……?」

 その時、フードの中が見えた。

 

 

 

 そこには、仁と瓜二つの少年の顔があった。

 それによく考えると、"何かの”声も仁の声と同じだった。

「違う。俺だ、俺、ほらこれ見ろ」

 "何か”は仁の頬から両手を離すと、どこから出したのか手の中にあるロケットを見せてきた。

 それは紛れもなく仁の首に掛かっていた、"鍛治神ヘパイストス”が入っているはずのロケットだった。

「そういう事だ。悪いが素体(モデル)が思いつかなかったもんでよ、見た目借りてるぜ」

 そう言う"バル? ”はニッ、と笑った。

「で、本題だ。詳しい事は長くなるから止めるが、今から俺はアイツを足止めに行く。俺がアイツを止めている隙にお前はコイツをヤツにぶち込んで"拘束”してやってくれ」

 と、ペラペラ喋っている"バル? ”はその右手の中に一発の弾丸を持っていた。

 その弾丸は全体が銀のような素材で作られているように見え、全体に青色の網目模様のような彫刻が施されていた。

「お前がやれよ、って目をされても。俺はアイツを止めるので精一杯そうなんでね」

 その時、左の方向から爆発音が聞こえた。

「あーあ、もう起き上がったか……。悪い、後は任せる」

 とだけ言うとバルは、いつの間にか持っていた無駄に装飾が施された斧を片手に音の方向へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 程なくして始まった激闘は、如何に仁が"フラン? ”に弄ばれていたのかがよく分かった。

 まるで、戦闘の様子はドラゴンでボールな某アニメに出てくるスーパーなサイヤな民族同士の戦いを一般人が見たらこうなるのだろう、と思わせられるような感じだった。

 そして、仁はフラフラと柱に背中を預けながらフラフラと立ち上がった。

 右手にあの銀の弾薬を握りしめながら。

(弾丸貰ったって……本体がないってのは酷くねえか……)

 と、何時ものように手元に銃を作ろうとした。

 だが。

(クソっ、どういうことだ……? 何で武器が出ない……!?)

 確かに、何時もと同じようにやっているが、銃が作られるどころか光の粒子が出る事も無かった。

「ハアハア……どうすれば良いんだよ……?」

 少年はそれだけ言うと、目の前に広がる人外同士の戦闘を前に体を柱に預け俯いたしまった。

 だが、その時、さっきまで激痛によって忘れたいた腰の部分にある違和感を感じた。

「これ……」

 そう言って、違和感があった所に手を伸ばした。

 ズボンのポケットに入っていたその違和感の正体を少年は取り出した。

「……やっぱり、コイツか」

 左手に持っていたのはつい先程、古道具屋"香霖堂”にて譲り受けた、魔改造されたシングルアクションアーミー(SAA)だった。

「ん……まさか」

 と、仁は徐にSAAの弾倉を開き、中に例の一発の弾丸を装填し、弾倉を閉じた。

(マジで口径が合うなんて……)

 そして、ハンマー(撃鉄)を起こし、銃口を戦闘中のフランに向けたが、人外の戦闘はまず人の目には捉えられず、今は無理だと判断した。そこで仁はブラつく腕でバルがフランを止めるまでじっくりと待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、フランとバルは、文字通り火花を散らしていた。

 片方の青年は装飾が付いた大振りの斧をフランに向けて振り下ろし。それをフランは例のぐにゃぐにゃした棒で、その斧の攻撃を止めたり、時に弾いたりしていた。

 だが、フランも受けてばかりではなく、斧を振り下ろされた瞬間に横腹に蹴りを入れたりと、やっていたが。

 恐ろしいのが、これが人の目が追いつかない速度で行われている事だ。

「くっ……!」

 実は実際の所、バルは吸血鬼の力に押されていた。

(早くしねえと……俺の力が……!)

 その時、フランがバルの斧を持つ右手を掴んだ。そして、肘から先の関節を逆にねじ切るようにして引きちぎった。

「痛ってえぇぇ!? …………なーんちゃって」

 と、バルはニヤリと笑うと千切れた筈の右手を見せた。

 そこには人間なら赤い血が流れている筈の千切れた断面には、血の一滴もなく。代わりに青白い電気がバチバチとなり、筋肉の代わりにケーブル、そして骨の代わりに金属のフレームが見えた。

「悪いが、()()()()なんてとっくの昔に捨ててるもんでな」

 そう、バルが言った瞬間、フランが持っていたバルの腕が爆発した。

 少しだけふらついたフランに向かって、バルが隠し持っていたナイフを持って突っ込み、そしてバルはナイフをフランの肩に突き刺した。

「■■■■■■■!!!!」

 もはや、悲鳴かどうかさえ判別のつかなくなったその叫びはバル達がいる部屋を震えさえた。

「今だ! 仁、撃て!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バルのそんな叫びは仁の耳に入った瞬間、SAAを握り直し標準をフランに合わせ、撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銀の弾丸は射出され、フランの体の中心に命中した。

 

 

 

 

 

 

 

(やった……のか……?)

 そう、仁は思いながらフランの方を見ていた。

 

 

 だが、フランには何の変化も無かった。

 それどころかフランは肩に刺さったナイフを自身の身が引き裂かれるのにも関わらず、勢いよく引き抜いた。

 傷口からはまるで噴水のように血が吹き出したが、やはり傷口は直ぐに塞がったが噴水の如く吹き出した血はそのままで、フランの体、そして周囲は赤黒く染まってしまった。

 そして、フランは自身の血が滴るナイフを片手にバルの方を向いた。

(まさか不発か……クソっ1度くらいどっかで試しときゃ良かった……)

 フランは視線を1度、柱の方で突っ立っている仁に移し、またバルの方に戻した。

「……まさか、おい!! 止めろ!!」

 バルが飛びかかろうとしたが、フランは仁の方に体を向け、ナイフを持った手を思い切り振り、ナイフを仁に投げつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 痛い

 

 

 

 

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 

 

 少年の頭の中には、それしか無かった。

 その、腹部に刺さったナイフは少年に、今までに1度も無い痛みを与えた。

「あ……あ……あぁ」

 悲鳴さえも上げられぬまま仁は目を見開いたまま、仁は後ろの柱に背中を向けながらへ垂れ込んだ。

 

「うあああああああああああぁぁぁ!!!!」

 バルは叫びながらにフランに突進する。

 フランはサッと避けた、そして1秒も経たないうちにバルの周りを鉄格子のように集まった弾幕が取り囲んだ。

「クソっ……

 ドドド!! と連続した一方的な暴力がバルを襲った。

 そして、攻撃が止むとそこには元は人型の"何か”だったろう部品が散らばっていた。

 散らばった部品には目もくれずに、フランは仁の側へと歩いていく。

 仁にはまだ息も意識もあり、手は腹部のナイフに伸びていた。

「ハア……ハァ……」

 まだ分からないが、腹部のナイフは臓器には傷を付けていないんだろう。そうでもなければ、今頃なら少年の命はとっくに消えている。

 そして、フランは手を仁に伸ばそうとした時。

 ガラガラガラ!! という金属音が聞こえた。

 その音がしたのと同時に、まるで月明かりのような青色の光がフランの足元から出てきた。そして、次の瞬間、その光の中からさっきの弾丸と同じ青色の網目が彫られた、銀の鎖が何本も飛び出し、フランの体に巻き付き"拘束”した。

(な……んだ?)

 仁は腹部にナイフが刺さったまま、フラフラと立ち上がりフランに近づいて行った。

 鎖で巻かれたフランは鎖を引きちぎろうとしているが、鎖は千切れるどころか、逆に鎖の締め付ける力が強くなっているような感じもする。

 その時、どこからともなく声が聞こえてきた。

『じ……背……だ! う……ろに……れ!!』

 この途切れ途切れになっている声の主はバルだろう。

 途切れているのは恐らく、仁の意識がしっかり保ててないからだろう。

(まさか……背中に何かあんのか?)

 そして、仁はその危なっかしい歩きでフランの背中へと回って行った。

 

 

 

 

 

 

(これ……は……?)

 回り込んだ先、フランの背中にあったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この場に不釣り合いな、黒い字で書かれたフランの背中に()を張った"札”だった。

 根は赤く、まるで血管のようなものだった。

 仁は背中に手を伸ばして、札に触った。見た目にそぐわず、札は力を入れなくても直ぐに剥がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして聞こえたのは、体中の骨が折れていくバキバキと言う音と手元から聞こえたドオン! という爆発音だった。

 

 

 

 

 

 




どうも、最近になってアーマード・コアの魅力に取り憑かれた人です。
すいません、遅れました(・_・、)
理由は、まあ、はい、ゲー(殴
冗談はさておき、10、11月で部活動として短編を書いてたりしてなかなか書く時間がありませんでした…。
とにかく、来月には確実に投稿するのでよろしくお願いします!!
(ちなみに、短編は投稿するかどうか悩み中です)
それでは、今回はこれで終わりにします。
誤字や脱字、おかしな文があったらご報告して頂けると幸いです!
では、こんな小説を読んでいただきありがどうございました!!
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