東方軍器伝   作:RYUやん

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月旅行

 例の戦いから二週間後、世間ではもう冬の足音が近づいてきており吹いている風も段々とその冷たさも増しており、そろそろ秋の終わり、そして年の終りも目前に迫っている、ある土曜日の話である。

 

 先の戦い、とある吸血鬼との一方的な攻撃によって心身共に疲れ果てていたとある少年がいた。

 そんな少年は現在

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 椅子に縛り付けられていた

 

 

 

 

 

 そう、現在、仁はとても高そうな家具が並び、紅い壁紙が目立つ部屋にいる。

何者かによって昏倒させられ、恐らくその何者かによって椅子に縛り付けられたと思われるが、いまいち見当がついていない。

 「……………?」

 目が覚めると、この状況。

 「あれー?俺って、招待されたから来たんだよなあ…?」

  なんもしてないよなー?とハイライトのない目でブツブツつぶやく少年

 

 

 つまるところ、誰がどう見ても少年は監禁されていた

 

 

 

 

 

 

 

 〜前日〜

 

 

 

 「仮装…仮装…?」

  少年・仁は、自分の部屋にて落ち着かない様子でウロウロしていた。

 先日、パチュリーから渡された"手紙”、もとい"招待状”には独特なフォントで、簡潔に言えば〘仮装パーティーを開く〙と書かれていた。

 ということで、仁は仮装パーティーの為に仮装もといコスプレを何にするか考えていたからである。

 「……ダメだ…ろくなのが思いつかねえ…」

 思いつくのは、吸血鬼やゾンビに最近流行ったアメコミ映画の主人公。吸血鬼に関しては実物(・・)向こう(幻想郷)にいるため、下手なクオリティで挑めば、バカにしてんのかワレェ的な感じでサクッと殺られかねない。ゾンビに関しては仁は、少なくともこっち(外の世界)でも向こう(幻想郷)でも見ていないが、仁は確信している。

 

 

 幻想郷には絶対にいる、と。

 

 

 

 無論、アメコミの映画の主人公は却下である

 「んー……どうしたもんかなー…」

(珍しく)フル回転されている、少年の頭には色々な案が出てきた。

 しかし、それらは仁の脳内で、微妙、の一言で済まされていた。

 それに彼の脳内には余計な思考も入り交じっているせいで中々、結論が出なかった。

 インパクトに欠ける

 恥ずかしい

 そもそも、どうやって調達をするのか不明

 etc.....

 

 

 だが、ここで一つの結論に少年は至った。

 「そうだ、スーツだスーツ!!」

 物珍しさで目を引く事はあっても、それ程は目立たないのでは?程度の考えで思いついたのが、スーツという結論だった。

  「あー…でもどうやって調達するっかな…」

  結局はこれである。

  彼の家にスーツがあるという確信もないし、かと言って仮にあったとしても無断で使うのもマズイ。

  「……やるだけ、やってみるか」

 そう言うと、仁は両手を前に出して、頭の中でスーツを想像した。

 この前まで、使えた能力が使えるとは到底思えず。

 どうせ何も起きない、そう仁が思っていた。その時。

 

 

 

 

 

 

 「はっ?え、…はい!?」

 仁が両手を向けた先、ベッドの上には。

 

 社会人が着るような真っ黒のスーツが置かれていた。

 「何で、今更…?」

 今まで、銃も作れていなかった筈なのに、急に能力を使えたのだ。

 呆気に取られていたが、今は驚くしかなかった。

「ど、どういう…事だ?」

 仁は、ベッドに置かれていたスーツを手に取った。

 やはりと言うか、スーツは埃やシワ一つない、まるで今仕立てられたかのようだった。

「深くは考えない方が良い気がしてきたな…」

 しょうねんはかんがえることをやめた

 現状、恐らくは少年にどうこう出来る問題ではない。今は、素直に能力を使えた事を喜ぶのが一番だろう。

 

 

 

 

 そして、翌日

 

 彼は招待状に書かれていた日時に、紅魔舘へと向かって歩いていた。

 以前に、紅魔舘へと行った時には魔理沙の箒に乗せて貰っていた為、短時間で到着したが今回ばかりは徒歩で、そして一人で、という幻想入りしたての外来人にはちょっとばかしツラかろう。そして、彼は覚えていた事が一つある。

 それは、魔法の森の中(上)を通り抜ければ、紅魔館への近道になるということを。

 目の前には、怪しげな色をした霧がかかっており、明らかに入った瞬間どうなるか分かったもんじゃない、

「魔法の森…か。どうせ名前だけだろ」

 

 

 

 そう思ったのが、運の尽きだった。

 

 

 

 

 仁は魔法の森の中に入った瞬間……

 

 

 

 

 「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」

 

 そして、少年は今まで発したことのない悲鳴をあげて、森の奥へと消えていった

 

 

 

 後に彼は、魔法の森にそれはそれは大きなトラウマを持つこととなった。

 

 

 

 

 

 

 ボサっ!!というボサ音を立ててスーツ姿の仁が森の中から飛び出してきた。

 「…ハア、ハア」

 森から飛び出ると、数歩ふらつくように歩き膝に手を置いた。

 荒い呼吸を整えると、仁は周りを見回した。

 目の前には湖があった。しかし、湖の周囲を覆う薄い霧のせいで大きさが分からなかった。

 「これが、"霧の湖”ってのか?」

 霧の湖とは、少年が目指す紅魔館の横にある湖の事だ。

 湖の名前については魔理沙から聞いたものだ。

 「あ、そうだスーツ…は、って、こりゃどうなってんだ…?」

 あんなことやこんなことがあったのにも関わらず、スーツには綻びどころか、汚れさえも着いていなかった。

 「……って、早くしねえと時間が!」

 と、言うと仁は紅魔館の方向、仁から見て右側の方へと走って行こうとした。その時

 「うおっ!?」

 彼の左足に変なモノを蹴った時のような、変な感触がした。石と言うには柔らかく、土の山を蹴ったにしては感覚が違いすぎたソレは。

 仁の目の前で回転していた。

 と、思ったら止まった。

 何だ何だ、と仁がその何か(・・)に近づいてみた。

 最初は霧でよく見えなかったが、近づいて見ると、ソレが長方形というのが分かる。

 そして、中身が透明だということにも気がついた。

 

 しかしだ、問題なのは。

 

 

 

 

 

 

 ソレの中にカエルがいる事だ

 

 

 

 

 

 

 触れば直ぐに分かったことだが、この長方形は氷だった。

 そう、カエルが凍らされていたのだ。

 何故かは分からないが、よく見ると湖の畔の道には冷凍カエルがゴロゴロと転がっていた。

 不思議というか不気味というか、何とも形容しがたい光景だった。

 オマケに、霧で見えない道の先から

 「うおおおおぉ!!カエルなんて、こうしてやるうう!ふう、やっぱりアタイったら最強ね(エッヘン」

 と、とてもとても元気()良さ()そうな女児の声と。

 「止めなよチルノちゃん!カエルが可哀想だよ…」

 その女児を(なだ)めるように話す大人しそうな、少女の声が霧の向こうから聞こえてきた。

 そして、少年の脳内にある警告が発令された。

 

 近づいたら絶対に面倒な事になるなと。

 

 そんな事を考えていたのもつかの間。

 「そこのおまええ!アタイと勝負しろ!!」

 「…………」

 無言のまま、少年は声が聞こえた方向から反対方向に体を向け、全力で走ろうとしたが、遅かった。

 

 「ふはははは!逃げようとしてもむだだ!!」

 そんな声がしたと思えば、仁の後ろから青いちっこいのが弾丸の如く突っ込んできた。

 気づけば、仁の前を青い髪に青い服、そして背中には六本の氷の棒の様なものが羽のように背中に浮いているという、完全に氷の妖精ですよと言わんばかりの小学生低学年ぐらいの少女が仁の前を通せんぼしていた。

 「…………見逃してくれないか?」

 仁が面倒くさそうに言うと、通せんぼしている少女が腕組みをしながら

 「ダーメ!!」

 と、恐らくは"チルノ”という名前の妖精が言い、続けざまに人差し指を仁に向けると言った。

 「おい、人間!アタイとしょうぶしろ!」

 「ご遠慮させていただくよ。俺、忙しいもんで……

 そう、仁が言った瞬間。

 問答無用で、弾幕が飛んできた。

 「何すんだおめえ!?」

 チルノは仁の言葉が耳に入っていないようで。

 「ふはははは!!どうだ人間、アタイは最強ね!!」

 「聞けってーの!!」

 幸いなことに、頭があまり良くないらしく、氷のような水色の弾幕は仁の左右に撒かれていて、仁がいる正面には全く飛んでこなかった。

 「クソっ…!」

 仁は悪態をつくと、弾幕の密度が薄い正面からチルノに突撃した。

 「え、あ?来るな来るなあ!!」

そして、間合いをつめてチルノの前に立つと思い切り右足を上げ、焦るチルノに容赦なく仁は、踵落としを食らわせた。

 この際、見た目が少女だからとか関係なかった。

 「成・敗…」

 何だかとてもとてもやりきったような清々しい顔で仁は、倒れて目を回しているチルノを無視して紅魔館の方向へと向かっていった。

 

 その途中、チルノと一緒にいたと思われる大人しそうな印象の緑髪の妖精が前から飛んできた。

 その妖精は、仁に気付くと止まり、「あわわわ!ご、ごめんなさい、チルノちゃんが迷惑掛けて…」

 ペコりと頭を下げて、その落ち着きがない妖精はそう言うと、倒れて目を回しているチルノに向かって飛んで行った。

 「はぁ……何だったんだ全く…」

 今日何回目になるだろうため息をつきながら多少の罪悪感と共に仁は紅魔舘へと走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく走ったら、直ぐに紅魔館へと到着した。

 「あのー、もしもし…?」

 現在、仁は紅魔館前の、もっと言えば紅魔館の敷地内へと入る為の門の前にいた。

 そして、仁の目の前には、恐らくは門番だろう女性が門の横にいた。

 しかし、女性の格好が緑のチャイナドレスに、同じく緑のベレー帽のような帽子を赤い髪の上に被っていて、印象としては中華風な格好で、西洋風の館である紅魔館に合わないような格好だった。

 オマケに、その中華風な女性は壁に背中をあずけ、口から涎を垂らしながら寝ていた。

 そんな女性を見て仁は、本当に紅魔館の門番なのか?という疑問が浮かび始めてきていた。

 招待されたとしても、無断で敷地内に入るのもアレなので、何とかして起こそうとしていた。

 そして少年は肩でも叩けば起きるんじゃないかと思い、その中華風な女性に近付こうとした、その時。

 女性は急に目を見開き、仁の方向に体を向けるとまるでカンフーの構えのような格好をとった。

 そして女性は今の今まで寝ていたと思えないハキハキとした声で

 「貴方は?」

 と、警戒しながら睨むような目でその中華風な女性は少年に聞いた。

 それに対し少年は。

 「あ、これを」

 と、言いながら仁はポケットに入れていたパチュリーから渡された奇跡的にしわくちゃになっていない招待状を見せた。

 「これ…ということは貴方が、神川 仁さんですか?」

 「そうですよ」

 と、仁が頷くと中華風の女性は警戒を解いたようで、構えを解いた。

 「それなら、どうぞ」

 そう言うと、中華風の女性は門を開けて少年に中に入るように促した。

 「どうも」

 と、少年は女性に言ったが、その時、少年の気のせいかもしれないが女性が哀れみの目で見てきているような気がした。

 

 その後、直ぐだった。

 一瞬、首の後ろから痛みが走ったと思うと視界がブラックアウトしたのは。

 

 

 

 

 

 

 〜現在〜

 

 

 「クソっ!!(ほど)けよ!!」

 と、椅子に縛り付けられた仁は、体を使って椅子をガタンガタンと揺らして縄を解こうとしていたが、当たり前だが縄は解けていない。

 そして、仁が息を切らしていると。

 カタッ、という音と共に仁の前に、天井から階段が降りてきた。

 仁が呆気にとられていると。

 「今晩は」

 階段からレミリアが降りてきた。そして、レミリアの後ろには紅魔館のメイドの咲夜がいた。

 咲夜の方は、まだ怪我が治り切ってないのか、腕などの数箇所に包帯を巻いていて、仁とは違い一週間経っても治らない程の怪我を負った事が分かる。

 「この間の事、感謝するわ」

 そう、レミリアが仁の前に立つと言った。

 「そりゃ、どうも…じゃなくて!!」

 そう言うと仁は再び、椅子に縛り付けられたまま暴れ始めた。

 「何だよ、これ!?オレは招待されたから、来たはずだ!!」

 「仕方ないじゃない。こうでもしないと、貴方来ないでしょう?」

 「は!?」

 少年は混乱していた、何せ、「こうでもしないと来ないでしょう」というのは招待されていたパーティーの事かと思っていたにも関わらず縛り付けられているのか、と思っているのだから。

 「まだ、分からないの?」

 「当たり前だ!」

 「なら、言い換えるわ」

 そして、レミリアは仁に告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こうでもしないと、貴方、月旅行に来ないでしょう?」

 この時、少年の頭の中にはこんな言葉が浮かんでいた。

 「謀ったな…お前……!」

 「ふん、何とでも言うといいわ。まあ、今更何を言おうとておくれだけど」

 そう、レミリアが言った瞬間。

 ゴゴゴゴゴ!!という地鳴りが鳴り響いてきた、そして仁らがいる床も揺れ始めた。

 すると、レミリアの隣にいた咲夜が

 「お嬢様、そろそろ上がった方が宜しいかと」

 と、中腰になりながら、レミリアの耳元で言った。

 「そうね。では、神川 仁、月旅行を存分に楽しみなさい」

 レミリアがニタリと笑いながら言うと、二人は再び階段を上がっていった。

 

 こうして、一人残された仁は…

 「やめろおおおおお!!オレは…オレはまだ…まだ……」

 それはそれは弱々しい声で仁は俯きながら言った。

 ゴゴゴゴゴ!という音と共に、仁が居る部屋はエレベーター内に居る時の浮遊感の様な感覚が生じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「死にたくなあああああああああああぁぁ……

 

 ロケットは少年の悲痛な叫びと共に空に打ち上がって行った。

 

 

 

 




ドーモ、ドクシャ=サン、ヒッシャデス。
いやー最近小説に対するモチベが物凄く上がっていて。
このシリーズだけでなく、SCPモノの小説(SCP-2217関係のロマンしかないようなお話)とか、友人と共に東方の二次創作小説も進めているので公開したら、そっちの方もよろしければ読んでみて下さい(._.)_
それでは、自分はこれで……
誤字や脱字におかしな文があったらご報告していただくと幸いです。
では、こんな小説を読んでいただきありがとうございました!
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