東方軍器伝   作:RYUやん

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歓迎

 とある森の中、フードのように頭から布切れを被り、仮面を身に付けた⒌6人程の人間がそれぞれ何かを叫んでいた。

 1人は「クソっ!どうする!?このまんまだと収拾がつかないんだぞ!!」

 と、周りに怒鳴り散らす若い男。

 もう1人は「兎なんぞに当てやがって!!依姫様にどう説明するつもりだ!」と同じように怒鳴り散らし。

 そんな男に対し、また別の男が「仕方ないだろ!あの距離で地上人を撃てなんて、ましてや拳銃で狙うなんて無茶苦茶にも程がある!!」

 と、言い返す。

 そして、最後にリーダーらしき男が、

 「黙れ!!こうなった以上、ヤツは捕まえる。無論、生け捕りでだ。依姫様が何を考えているかは知らないが、穢れ(・・)は絶対に"月”に入れてはならん!我らが、月を守るためにだ、忘れるな!!」

 その男の言葉を最後に、彼らは言い争いを止めた。

 そう、彼らはウサ耳兵士、そして仁を襲撃したテロリストだ。

 彼らは、テロリストと言うよりは過激派と言った方が正しいだろう。月に住む彼ら━━月人はとある理由(・・・・・)により地上に住む人間を嫌悪に近い感情を抱いている。しかし、月に住む月人の殆どは地上に住む者に対しては嫌悪感は示すものの、それ以外の干渉はせずに"隔離”をするのみ。だが、そんな月人の中でも、少なからず、地上に住む生命に対する嫌悪感を超えた、憎悪を燃やす者らがいる。それが今仁らを襲撃した彼らだ。彼らの目的は仁を拉致し、適当な事件を"都”で自作自演し、そしてその罪を地上人である仁に着せ、そして"犯人”として晒すこと。それが成功してしまうと、仁は犯罪者のレッテルを貼られるだろう。そうなれば、自分達と同じような者が増えるだろう、と彼らは考えている。

 その為には丁度良い餌が必要だ。そして選ばれたのが神川 仁なのだ。

 だが、そんな彼らの計画も暗雲が立ち込め始めている。

 それは、仁の捜索の失敗から始まり、果ては仁に撃ち込むはずの弾幕を誤射し、玉兎に当ててしまっていたりしているのだ。

 「で、どうする?」

 と、隊長格の男の隣にいた男が聞いた。

 「一気に近付くつもりだ。今の反撃(・・)から、音沙汰なしだしな。詰めるなら今だ」

 隊長格の男はそう返すと、聞いた男は、

 「了解」

 とだけ返事をすると、他の仮面の月人に合図をした。

 合図を受けた月人達は、それぞれが持つ玉兎が持つライフルと同じライフルを構えながら、森の奥━━━仁らがいる、都の方向へと進んで行こうとした。

 

 

 その時

 

 

 

 「ああああああああぁぁぁ!!」

 という絶叫が響いた。

 絶叫は、仮面月人の隊長格の男から1番遠くにいた月人から発せられていた。

 「どうした!」

 隊長格の男は絶叫した月人に言うが、

 「来るな!!来るなああぁ!!」

 と、隊長格の男の言葉が届いていないのか、止める事無く叫び続けている。そう、まるで耳が聞こえない(・・・・・・・)かのように。

 そして、叫び続けていた男は銃を乱射し始めた。それはまるで目が見えない(・・・・・・)かのような狙いをつけない滅茶苦茶な撃ち方だ、

 放たれた弾幕はたちまち、近くにいた3人ほどの月人を撃ち倒した。

 撃たれた3人は、もうピクリとも動かなくなった。彼らが持つ銃の特性上死ぬ事はないが、戦力が削られるのは大きな痛手だ。

 「何をしてる!?」

 隊長格の男がそう叫ぶが、やはり声は届いていないのか、男は叫ぶのを止めない。

 隊長格の男と、先程他の月人に合図を出していた隊長格の男の側近の男はそれぞれ、木の後ろに身を隠した。

 「どうしますか?」

 側近の男は、隣の木にいる隊長格の男に聞いた。

 「…まさか」

 「はい?」

 「い、いや何でもない。とり、りあえず、す、進もう」

 隊長格の男は唇を震わせて、うわずった声で答えた。

 「大丈夫ですか?」

 と、側近の男は聞く。

 「大丈夫だ!!」

 隊長格の男は、声を荒げて言った。その言葉には、先程の様な冷静さは最早残ってなどいなかった。

  「い、行くぞ。ほ、ほら早くしろ!!」

 「あ、待ってください!!」

 半ば狂乱に陥っている隊長格の男は側近の男を待たずに、一人、木陰から飛び出して行った。

 しかし、隊長格の男は6メートルほど進んだ後、

 「ひぃぃぃぃぃい!?」

 という体格に合わない情けない声を出して、頭を抱え体を丸めながら(うずく)ってしまった。

 側近の男は、木陰に隠れたまま、その声を聞いた。

 「クソっ!どうなってんだよ……」

 側近の男は悪態をつくと、もう一度隊長格の男の方を見ようとして、木陰から顔を出した。

 「なん…!?」

 男が見たのは、倒れた隊長格の男の頭に同じく隊長格の男から奪ったと思われる銃を突きつける、目が紅く光る眼をした、一匹の玉兎だった。

 

 

 

 

 

 

 「……ッ!!」

 どうやら、側近の男の出現は予想していなかったのか、その玉兎は側近の男の姿を見るやいなや驚いた様子で見てきた。

 「その人から離れろ!!」

 と、側近の男は叫ぶ。

 側近の男の言う通りに、玉兎は男から離れたが。

 その代わりに、側近の男の方へと猛スピードで近付いてきた。

 「クソッタレがぁあ!!」

 側近の男は悪態をつくと、銃を猛スピードで近付いてくる玉兎に向けた。

 しかし、指がトリガーを引く直前に、玉兎は側近の男の銃の銃身を掴むと、そのまま側近の男の腕から引き抜いた。

 側近の男は、銃が取られたのを認知するやいなや、距離にして1メートルも離れていない玉兎に、拳をその顔向けて振った。

 だが、その玉兎はヒョイと身を屈めてパンチを回避すると、元々手にしていた銃を捨て、玉兎は側近の男の腹へ回し蹴りをした。

 「ガっ…!?」

 側近の男は、回し蹴りによる攻撃により後退ると。

 次に、玉兎は殴った銃を側近の男の顔に向けると言った。

 「動けば、撃つ」

 そして、その玉兎は側近の男に、

 「他に仲間は?」

 と、聞いた。

 「(とぼ)けんな、お前がやったんだろ?アイツがおかしくなったのもお前のせいだろ?」

 そう言う、側近の男が言う言葉には、静かな怒りがこもっているように思える。

 「だから何だ?もう一度言う、お前の仲間と同じ目に会いたくなければ、答えろ」

 「殺傷力が無い銃で脅されても、全く怖くは無いんだが?」

 と、側近の男は言うと。

 「お前は勘違いしてるよ」

 そう、玉兎は笑いながら言った。

 「何だって?」

 「考えてみろ。私が、お前達に向けて一回でも撃ったか?私は別に、こいつ()をお前に撃つなんて一言も言ってないんだが?」

 そう、その玉兎はまだ一度も発砲していない。仮面の月人達は、一人が急におかしく(・・・・)━━━

 「まさか……!」

 「吐く気になったか?」

 「いいや、ちょっと聞いたことがあるもんでな。玉兎の中に、珍しく"兵士”として真っ当な性格を持つ玉兎がいたって話」

  「…………」

 「そいつらは二人居るらしいな。そんで…ああ、 そう言えば」

 側近の男は、まるで挑発するかのような口調で話す。

 「………」

 玉兎は、その言葉を聞くと男を睨めつけた。

 男は気付いてないのか、それとも単純に肝が据わってるだけなのかは分からないが、変わらぬ口調で、

 「片方は、昔、地上人共が攻めてくると勘違いして、逃げだしたらしいな!!」

 わざとらしく、側近の男は笑いだす。

 「だから、なんだと言うの?」

 「いや…やっぱりお前、あの裏切り者(・・・・)の相棒だったとかいう兎なんだr…」

 そう何かを側近の男は言いかけたが、玉兎が男の顔を思い切り銃で殴ったせいで、男の言葉は途絶えた。

 その玉兎は、力無く震える両手で男を殴った銃を持ちながら。

 「ハァ…ハァ……あの娘の…あの娘の話は止めて…」

 と、玉兎は、気を失って動かなくなった側近の男を見下ろしながら呟く。

 「…思い出して……また、寂しくなっちゃうじゃない」

 そして、その玉兎━━━隊長格のウサ耳兵士はそう、どこか懐かしげに言うと。再び、他の玉兎や、この月にやって来た一人の人間の元へ戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、やっと戻って来た」

 と、玉兎達と、地上人の少年の元へと帰ってきた隊長格のウサ耳を見て、仁はそう言った。

 そして、仁は木を背にして座らせられている一匹の玉兎を手当てをしている。

 「うっ……隊長、すみません…」

 よく見れば、手当てされているのは先程、仮面の月人達の銃弾(非殺傷)を受けて気絶し、倒れていた玉兎だった。

 「問題ない。それよりも大丈夫か?」

 と、どこか疲れている様子の隊長格のウサ耳が聞くと。

 「脇腹が少し痛むだけで、大丈夫です」

 そう、その玉兎は傷んでいるであろう脇腹を片手で抑えながら言った。

 「隊長こそ、お怪我は?」

 「無い。奇襲が上手くいった、反撃される前に全滅させた」

 「本当に、何者だよオマエ……」

 と、仁は次に腕を負傷していた玉兎に包帯を巻いていた。

 「何で仁さんは、その…そんな量の薬や包帯を?」

 不意に手当中の玉兎が聞いてきた。

 「…………」

 聞かれた仁は、何故か俯き、手当てしている手を止めた。

 そして、少年の脳裏に浮かんできたのは、スタジオジ○リの映画に出てきそうな大きな狼との命懸けの鬼ごっこ、そしてガチな神と戦りあい気絶したこと、暴走状態の吸血鬼との初戦闘。そして、最後には必ず見る見知らぬ天井と、包帯でぐるぐるに巻かれたミイラ状態の自分の姿。

 そんな碌でもない、記憶。

 「色々…あったんだよ」

 ゆっくりと顔を上げて言う仁の目には、光は宿っていない。

 「な、なるほどです」

 手当てを終え、玉兎達+地上の少年は再び"都”へと足を向かわせた。

 

 

 

 その道中のこと。

 「ところで、俺達を襲ってきたヤツらは放って置いて良いのか?」

 と、仁が横を歩く隊長ウサ耳に聞いた。

 現在、彼らは先程の様な緊張感、というよりは警戒心を解いている様に思える。先程は、慌ただしく走っていたのが、今ではのんびりと歩いているのがその証拠だ。

 「他の部隊が向かってる。次に奴らの目が覚める時には、鉄格子の部屋の中だろう」

 「そうか」

 仁らはもう、既に"月の都”と呼ばれてた中華風の巨大な都市の城門らしき門の近くまで来ていた。

 赤い巨大な門には門番の様な人物は居らず、ただ仁らが近付くとゆっくりと、その門は開いた。

 門が開くと、中の"都”の様子が見える。外から見えていた様に、赤を基調とした中華風の建築、そして老若男女、年齢も性別もバラバラのごく一般的に見える人間?がいた。

 彼らは、一人として同じ服を着ている者がいないように思える程、様々な洋服を着ている。だが、そんな彼らには一つの共通点があった。

 住民らの全員の頭にウサ耳が着いているのだ。

 子供から、老人までの、全員にだ。

 それは月人という種族としての文化なのか、それとも生物としての特徴なのかは不明だが、どちらにせよ、そんな特徴が彼らにはあった。

 「なあ、ところで一つ良いか?」

 門の中へ入る一歩手前、仁は再び隣にいる隊長ウサ耳に聞いた。

 「ええ」

 「君は、何て名前だ?」

 「私?」

 「いや、言いたくないなら別に…

 少年が言いかけた時、隊長格のウサ耳がポツリと

 「鈴華」

 と、呟いた。

 「え?」

 「だから、私の名前は"鈴華(すずか)”」

 「…そうか、ありがとうな鈴華。さっきは助けてもらって」

 「お礼は要らないわ。それが任務だから」

 そう言う、鈴華の頬は少しだけ赤くなっていた。だが、少年はそんな事に気付くことは無かった。

 そして、仁と鈴華率いるウサ耳部隊が城門の中へ入ろうとした。

 その時、仁の姿が一瞬にして消えた。

 「えっ…!?」

 鈴華が慌てて、仁が居た筈の場所に向かうと。

 仁が居た筈の地面には、まるで亀裂の様なモノが走っており、亀裂の端にはリボンの様なものが、そして中には多数の目のようなナニカが見えていた。

 消えた仁は恐らく、突如開いた、この"亀裂”の中へ消えていったのだろう。

 「何…これ?」

 鈴華は、その"亀裂”の中を覗き込もうと近付くが。

 近付いた瞬間、その"亀裂”はまるで人の口が閉じる様に閉じてしまった。

 そして、少女はただ、消えた少年がいた場所で呆然と立ち尽くすのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うおおおおぉ!?痛っ!」

 ドスンという音をたて、少年は"スキマ”の中から落ちた。

 そして、少年から見て正面。そこには、紫色のドレスを着て、白の傘を差している幻想郷の大妖怪こと八雲 紫がそこに居た。

 「って、紫!?」

 と、痛めた腰に手を当てている仁は言った。

 「今日(こんにち)は、仁」

 紫は、いつもの様に胡散臭いニヤニヤとした表情で仁を見ている。

 周囲には、先程と同じような森が広がっているが。

 紫の後ろの景色、仁から見て正面には、大きな湖が広がっていた。

 本当にここは月なのか?という疑問を吹っ飛ばして仁は、

 「何でここに?」

 と、紫に聞いた

 「そんな事、貴方には関係ないわ」

 「……質問を変える。何で、俺をここに?」

 「勿論、貴方をここから帰す為よ」

 「何で?レミリア達のロケットでだろ?なのに、何で紫が?」

 「あら、聞いていないの?彼女達のロケット、今じゃ木っ端微塵よ。それくらい、貴方も身をもって知っている筈でしょうに」

 「……そうか」

 そもそも仁は、この月に着いて初めの記憶に、ロケットの残骸(・・・・・・・)から身を起こした、というのがある。

 そう、その時点でロケットは既に万全な状態ではなかったのだ。彼女達━━レミリアや霊夢達は無事という話があるだけ良かったが、帰る為のロケットがないと言うなら、彼女達も幻想郷へ帰ることが出来ないという事だ。

 「ところで、霊夢達は?」

 仁は立ち上がると、そう紫に聞いた。

 紫は正面に広がる、大きな湖を見たまま、

 「あの娘達なら、先に帰らせたわ。霊夢を除いて(・・・・・・)全員ね」

 と、仁を見ずに言った。

 「どういうことだ?」

 「そのまんまの意味、霊夢には幻想郷からの…そうね、"大使”になってもらっているのよ」

 「大使?」

 「ええ、そうよ。けれど、あの娘もちゃんと帰すわよ。心配は要らないわ」

 「そうか…なら、良かった」

 そして、数秒仁は間を置くと。

 「で、どうやって帰るんだ?」

 「勿論、私のスキマでよ」

 と、紫は言うと傘を持つてとは反対の右手、何も無い空間にかざすように降ると、いつものスキマが開いた。

 「ほら、入りなさい」

 「ハイハイ」

 そして、仁がスキマの中に入った時。

 「そういや、何で紫はここに?」

 「だから、貴方には関係ないと言ったはずよ。……でも、まあ少しぐらい教えてあげましょうか」

 「私が、ここに来たのは。ちょっとした、"取り立て”よ」

 「取り立てって、借金とかの?」

 「……さあ、どうでしょうね」

 紫がそう言った瞬間、スキマは閉じた。

 「ちょっ…」

 仁が何か言おうとしていたが、既にスキマは閉じた後だった。

 

 

 そして、紫が一人になると。

 「……まあ、少なくとも月の民が貴方にやった事に対する、"慰謝料”はしっかり頂くわ」

 と、ポツリと呟いたのであった。

 




2週間以内に投稿出出来たので、もう満足です。
内容は昔から考えていたので、すんなりといけました。(´∀`)
とりあえず、次回は自分的に1番書きたかった話なので、多分次回も同じように早めに投稿する予定です。
それでは、今回もこんな小説読んでいただきありがとうございます!!
誤字や脱字、おかしな文がありましたらご報告して頂けると幸いです。
それでは、次回もよろしくお願いします!
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