東方軍器伝   作:RYUやん

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打開策

 〜二日前〜

 

 

『それでこの、いかにも危険です、って感じのカラーリングの弾丸はなに?』

 仁はシリンダーから取り出されてテーブルの上に乗せられたジャッジに装填される弾薬のうち、まだ説明されていない黄色と黒の縞模様の俗に言う"警告色”をした弾薬を指さして言った。

『そいつか? それはな……いや、先にコイツを見た方が早いかな?』

 そう言って健二はスマートフォンの画面を見せてきた。画面には、アメリカ人と思しき男性が射撃場でポンプ式ショットガンを構えていて、男性が構えるショットガンの銃口は斜め上を向いている。そして、健二が画面中央の矢印をタップすると動画が再生される。

 動画が再生された瞬間、男性が持つショットガンから炎が吹き出した。炎、と言ってもガスバーナーや火炎放射器のようなのではなく、どちらかと言えばそれは打ち上げ花火に近い。

『なんっじゃこれ!?』

 そんな動画を見て、仁は驚いたように声を出した。

『これは"ドラゴン・ブレス”。あるアメリカ人が自作したショットガン用の焼夷弾。まぁ、見ての通り違法一歩手前の品だな』

 ドラゴン・ブレス弾。

 それは、あるアメリカ人が作り出した狂気の産物。マグネシウムの小さな塊を撃ちだし、発砲時の火花によって着火される、一種の焼夷弾。

 とはいっても、結局はそれだけ。燃える小さな塊を打ち出しているだけに過ぎない、だからこの弾薬は非致死性の弾薬として娯楽用に使われることが多く、この弾薬を使う軍隊や警察組織は一つもない。

『そりゃそうだろ……。で、まさかとは思うけど、そいつを小型化したのがコレとか言わないよな?』

『ご名答。だが、ただ小型化したわけじゃない。このままだと威力不足で使い物にならん』

 自信満々に、そして少々興奮気味に健二は続ける。

『マグネシウムの塊と火炎放射器用の燃料を少量と発砲時に噴射される可燃性ガスを組み合わせた。そして完成したのが、この"ワイバーン・ブレス”弾』

 要するに、マグネシウムの塊と燃料を可燃性のガスで燃やしながら吹き飛ばす、というもの。

 当たり前だが、正気の沙汰ではない

『頭おかしいんじゃねえのか!?』

 ごもっともである。この世界のどこに、そんな意味の分からないモノを作る人間がいるのだろうか。

『心外だな。こっちはお前の身を案じてやっているのに……』

『そんなら、もっと使用者に優しいものを作ってください!』

 そして、しばらくすると健二が、

『真面目に言うとだな、その銃で使える弾ん中で一番瞬間火力が良いのが焼夷弾、って結論になってだな』

『結局は火力、ってか? 文字通り』

『まあ、そういうことだな。どんなに強力な生き物でも、火が効くなら倒せるだろ』

『じゃあ、もし火が効かなかったら?』

『全力で逃げろ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パァン! という破裂音と共に、銃口からは炎が飛び出す。最高温度が約1000°を超える炎が目の前の妖怪の体を包み込む。

 炎を纏った妖怪は金切り声のような悲鳴を撒き散らしながら、四肢のない体を無理矢理のたうち回らせる。

 そしてついでに、

「熱っつぇ!?」

 当然、至近距離にいた少年もダメージを負う。しかし、手袋をしているため火傷はせずに済んだ。

 目の前の妖怪は動かない。周りに炎が広がっていないのを確認すると、妖怪の体を見てみる。思った通り、妖怪の肌は"霧”で出来ていた。というよりは霧に似た由来不明の気体で、だ。

『手応えは……ありそう?』

 無線から聞こえてきた鈴華の声に、痛む指を気にしながら仁は応える。

「回復してないし……はぁ……それに、動かない」

 極度の緊張により、疲労はピーク。頭に被った帽子から汗が溢れ出て、額をつたう。

 終わったのか? 

 その答えは、直ぐに分かった。

「……?」

 風が吹いた。さっきまでは無風だったのに、今では季節特有の冷たい風が吹いている。

 それだけなら普通の筈なのに、どうもおかしい。具体的には徐々に風が強くなっている。

『仁君、何かおかしい。一回、そこから離れて』

 鈴華が警告し、嫌な予感がした仁はその場から一心不乱に逃げようとする。

 しかし、風速10メートルをゆうに超えていた風は少年が動くことを許さなかった。仁は飛んでくる木の葉や枝から身を守るため、顔を腕で覆う。

 その時、腕の隙間から見えたのは所々が欠けた体を起こそうとする妖怪の姿。

『━━━━!!』

 無線機から何か聞こえるが、空気を切り裂く風で何を言ってるかは聞き取れない。

 妖怪が仁の方向を向く。片方が欠けたその赤い目に、黒目はないが、もしあったとすれば間違いなく、仁のことを睨んでいるだろう。

 突然、風が止んだ。嘘みたいに強かった風は、もう見る影もない。

 

 

 

 そして、空気が膨張した。

 

 

 

 妖怪を中心に、まるで爆発時の衝撃波のような突風が仁を襲う。単なる風と思ったが、体を打ち付けるのが風、とは言い難いまるで殴打されているようか感覚と、その感覚がした箇所を伝う生温かい液体を感じて、それが間違いだと気づく。

「が、ああぁあ!?」

 近くの街頭から聞こえたのは金属と何かがぶつかる、ガン! という音。音だけで仁は気づいていなかったが、その時街頭からは赤い火花が散っていた。

 すると次には、木の葉などに混じって木の枝までもが飛んできた。

 そして、彼自身の体も木の枝のように吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一部始終を見ていた少女は、言葉を失っていた。

 最初は、単なる害獣駆除(・・・・・・・)かと思っていた。彼女とて、ヴァン・ヘルシング教授のような怪物ハンターではない。単なる、一端の兵士だ。

 撃てば、倒れる。一発でも当たれば、それは致命傷になるはず、それなのに、

 それなのに、"アレ”は倒れない。

 頭を撃ち抜いた。なのに、倒れない。

 足を撃った。なのに、平然と立ち上がる。

 相方が炎で攻撃した。火で炙られて無事な生き物なんてこの世にはいない、なのに、生きてる、動いてる、攻撃してきた。

 それに考えてみれば、変な話だ。

 

 

 

 なんで、最初からアレは攻撃して来なかったのだろうか

 

 

 

 捕食する生物なら、狩れると思ったら問答無用で命を奪う。捕食される側なら、自身の命の危険を感じれば、その命が削れる事も意図わずに反撃をする。

 それなのに、アレは攻撃をしてこない。

 まるで、自分達よりも強大で負けることなど有り得ない。そう、言っているかのように。

 そうか、アレは生物(・・)じゃない。

 自分が……いや、自分達()が散々見下してきた、妖怪(・・)じゃないか。

 昔の話では、月に攻めてきた妖怪達は、月と自分達との圧倒的な力の差を味わされて退散したという。

 なのに、自分一人で立ち向かうと、こんなにも恐ろしい存在なのか、この妖怪というモノは。

 妖怪が、こちらを向いた。

「っ!!」

 少女は、ただがむしゃらに引き金を引いた。狙撃に限らず、狙って撃つという行為に集中力は付き物。しかし、今の彼女に冷静さは無い。

 放たれた弾幕は、何故か妖怪に辿り着く前に破裂する。

 無駄と分かっていても、彼女は引き金を引き続ける。

 "M110 SASS”の弾を撃ち尽くすと"M1911”を腰から引き抜き、既に足元まで来ていた妖怪に向かって撃つ。

 しかし、やはり弾幕は妖怪に届かない。やがて、視界から妖怪は消える。

 困惑しながらも、少しずつ落ち着きを取り戻す。そして、手に持つM1911の弾倉を取り換える。

 手すりから、覗き込むように10メートルほど離れた地上を見ようとするが、

「どこに……っ!?」

 覗き込む前に、妖怪が現れた。

 跳躍したのか、壁をよじ登ったのかは分からないが、とにかく少女を目的にやってきたことは明確だろう。

 

 

 そして、風が吹いた。

 

 

 先程の、相方を襲ったものと同じ"風”が彼女を襲う。先程は効果範囲外だったらしいのか少女の元には届かなかったが、今回は違う。

「きゃ、っ……!」

 今度は一瞬だけだったが、確かに感触はあった。まるで拳で殴られたような感覚、それか刃物で叩き切られるような、どちらにせよ風によって作り出される感覚ではない。

 だが、その一瞬で肺の中の空気は全て排出され、彼女の華奢な体は背後の壁に叩き付けられる。

 だが、彼女はすぐに起き上がった。立ち上がった直後に感じたのは、全身から感じる痛み。そして、口内には鉄の味。

 それらを気にせずに、先程まで自身がいた手すりの方へと視線を固定したまま、胸ポケットに差し込まれたナイフを抜き、構えを取る。

 妖怪は既に練習用の室内トラックの上に降り立っていた。

 当たり前だが室内トレーニング場に明かりはない。背後の月明かりだけが、妖怪と彼女を照らしている。

 ナイフを構え、少女が走り出した。少女は1m程助走をつけると、跳躍する。そして、ナイフを逆手に持ち落下時の勢いで妖怪の頭に突き立てようと狙いを定める、が、

 ガギンッ!! という音と共に、火花を撒き散らしながらナイフは勢いよく弾かれた。

 弾かれた際の衝撃からナイフは手から離れ、空中の鈴華の体もバランスを崩し地面に墜ちる。

 地面に墜ちた彼女の体を、今度は妖怪の前足が襲う。人に例えるならば、それは蹴りと同じ。

 今度は、腹の中心に。耐刃ベストによって裂傷の類の怪我は軽減される。しかし、どれだけ防具が硬かろうが、攻撃時に発生する"衝撃”はどんな防具をも貫く。

 内臓を揺さぶられ、喉の奥から吐き気が込み上げ、彼女は登ってくるそれを我慢しようとするが、

「ゲホッ……ゲホ……!!」

 口から吐き出されたのは吐瀉物ではなく、血の塊だった。

 もはや、戦意などない。そして、逃げる気力すら存在しない。閉じる瞼と、共に感じる意識が遠のく感覚。

 それに抗おうともせずに身を任せていた、その時。

「うおおおおぉぁぁぁ!!」

 何者かの叫びが聞こえたと思うと、妖怪の体が横に揺さぶられた。

 そして、妖怪の体は横に倒れる。彼女は知っている。コイツ(妖怪)は幾ら倒れようと、何度でも何度でも起き上がってくる。こんな事しても無駄なんだ、と。

 薄れゆく意識の中、彼女が考えていると、

「大丈夫か! おい、しっかりしろよ!!」

 そんな声が聞こえた途端、仰向けに倒れている彼女の上半身が何者かに持ち上げられた。僅かに開けられた視線の先、そして彼女の顔から10センチも離れていない所に。

 神川 仁の顔があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソっ……」

 仁は悪態をつくと、目を開けることがない彼女の体をそっと地面に置いた。

 死亡した、という訳ではないだろうが。血を吐いていたあたり、早く医者などに見せた方がいいだろう。

 しかし、その前にやることが一つだけある。

 倒れた妖怪のいる方向を見る。

 相も変わらず妖怪は立ち上がろうと体を動かしている。それらしいダメージを受けたような雰囲気もない。だが、先程と比べて明らかに違うものがあった。

 それは、

(足が欠けてる? そこまで、俺のキックは威力はないはず……)

 倒れた妖怪には、前足がなかった。銃から放たれた弾幕が当たった訳でもない、さらに言えば少年のキックは妖怪の体に向けたものであり、欠けた前足に向かってではない。

 そう言えば、"ワイバーン・ブレス弾”を受けた直後も、妖怪の体は直ぐに再生されていなかった。

 ということは、

(まさか……弱ってるのか?)

 少年は、ナイフを抜き、もう片方の手には"M1911”を。

(だったら、まだ可能性はある!!)

 前方の妖怪に向けて、少年が走り出す。

 まずは、弱点の背中へとM1911で狙いをつけて一発。すると撃たれた妖怪は痙攣するが、それでも立ち上がろうとする。

 そして、もう二発。次に痙攣する妖怪へとナイフを向ける。妖怪の霧のような体の中に彼はナイフを入れるが、触った感触も刺した感触さえない。でも、引き抜こうとしてもナイフは抜けなかった。まるで空間に固定されているかのように。

『お前だけは生かしておいてやったのに。なぜ、こんなことをする?』

「誰だっ!!」

 突如、声が聞こえた。

 しゃがれた男の声だったが、どこか人が発する声ではないと思える。もっと言えば、その声は耳からではなく頭の中に直接入ってきているかのようだ。

『それに、お前が刃を向ける相手。間違っているんじゃないか?』

 少年は周りを見回して気付いた。妖怪の頭がこちらを向いていた。

 そして、少年は気付いた。妖怪が、理性のない獣のように振舞っていた妖怪が、喋っているのだと。

「何を言ってる?」

 驚きを隠せないまま、仁が言った。

『こういうことだ』

 と、妖怪の顔が変形した。まるで、花のつぼみが開花するように八方に広がった霧の中心には、黒髪の少女がいた。

 それは先程、少年に警告をしたまま黒の霧に飲まれた少女だった。ここで、一つの結論が彼の中で出る。

 妖怪が少女の姿をしていたのでは無い、少女が妖怪になったのだと。

 しかし、疑問が一つ減って、一つ増えただけ。

 新たな疑問、それは、目の前の妖怪は誰になるのか? ということ。

「っ!?」

 仁は慌てて手を伸ばすが、その手が届く前に少女は霧に覆われる。

『勘違いしているらしいが、俺はこの小娘の力を借りてるに過ぎん』

 だが、一つの結論が出ただけで疑問が増えただけ。

「てめぇ、どういうつもりだ!」

 声を低くして、仁が言った。

『どういうつもり? はっ! 面白い、あぁ、面白い……ははは!!』

 まるで狂ったように笑い始めた妖怪は、急に立ち上がると、いつの間に再生していた前足で仁を壁に押し付ける。

 手にしていた銃もナイフも地面に落ちる。

『やっぱり!! お前達にはもう、俺達に恐怖心すらなくってる! ちょいと癪だが、あのジジイの言ってることが本当なんだなぁ!』

 突然、紳士的だった口調が横暴なものへと変わる。その紳士的な口調は、まるで芝居だったかのように。

「離っせよ!!!」

 外側の支柱へと体を押し付けられたまま、妖怪の腹部に蹴りを入れるが、足は妖怪の体を突き抜け空を切る。

『止めろ止めろ。今回はサービスだ。あの雌兎よりも、まぁ、苦しまないように早めに殺してやる』

 まるで、仁……いや、人間を嘲笑うように妖怪は言う。

 苦しまないように、とは何だったのだろうか、刃こぼれした包丁のようなギザギザした歯が並ぶ顔を近づける。今度は、"観察”するようにではない。明らかな殺意が込められている。

 手足は拘束され、為す術もない。

(ちくしょう……どうする)

 銃も、ナイフもない。頼れる武器は何一つない。二つとも、とてもじゃないが手が届く距離ではない()

(それだ!!)

 仁は目を閉じる。そして、足元に落ちているナイフにまるで"念力”をかけるかのように集中する。

 次の瞬間には、少年は解放されていた。

 少年を掴んでいたはずの妖怪の腕は霧散し、妖怪の下部から少年は逃れたため、その口の刃は空を切る。

『な、……に?』

 少年は妖怪から5m程距離を置くと、妖怪が自身の方向を向くよりも早く、何も持っていないはずの右手を振り下ろす。

 すると、今度は妖怪がバランスを崩しかけるが何とか持ち直す。

『なんだ、手品か? 面白い、だが』

 妖怪が言うと、再び失われていた前足が再生する。

『何をしようが、この通り』

「知ってる。だから、時間稼いでるんだよ」

 今度は、振り下ろした手を逆に上に上げた。

「手品? んな、胡散臭いモン使ってるわけねえだろ。俺は、"手で触らずに物動かしてる程度”だっつうの‼」

 手が消え、体に異常をきたし、次に妖怪を襲ったのは"体が崩れる”感覚。

 今度は、部分的ではない。体全体が崩れる感覚。

 気づけば、四肢が動かないことに気づく。

 だが、幸いにも喋るだけの行動は出来る。

 だから、彼は最後に、

『貴様ァ! なにをしたァああ!!!』

 と叫び、それと共に消えていった。霧が無くなると、そこには全身切り傷だらけの、黒色のワンピースを着た少女が現れ、気を失っているからかそのまま前のめりに倒れた。

 そして、霧を纏っていた少女がいた場所には、1本のナイフが宙に浮いていた。切っ先には赤い木の根のようなものが生えた"札”がぶら下がっていた。

「何って、てめぇを倒しただけだよ!!」

 溜まっていた鬱憤を晴らすように叫ぶと、先程まで自分が拘束されていた柱へと体を預ける。同時に、空中を浮いていたナイフが地面に落ちる。

 一か八か、でやった事だがこうまでして上手く行くものなのか、と少年は思う。

 あの時、自身の能力"触れずに物を動かせる程度の能力”を使って、ナイフを使わなければ窮地は脱せなかったろう。

 戦闘には使えない、と思っていた……いや、思い込んでいた。実際、守矢神社での弾幕ごっこの時にこの能力は使っていたが、あの時はほとんど曲芸のようなものだった。初の実戦使用で、こんなに上手くいくとは、見方は変えてみるもんだ、と少年は思う。

 そう言えば、同じく守矢神社の緑髪の少女がこんなことを言っていた、

『幻想郷では常識に囚われてはいけないのです』と、緑髪の少女が何故か嬉しそうに語っていたのを思い出す。

(ほんっと、その通りだぜ……まぁ、ここは幻想郷じゃねえけどな)

 うっすらと、口元に笑みを含めた仁は肩の無線機に手をかける。

「こちら、仁。妖怪は退治した。迎えに来てくれ」

 ただし、返事は返ってこない。

 さっきの戦闘で壊れたか? と、もう一度呼びかけると、

『どうした?』

 と、今度はしっかりと健二の声が返ってきた。

 だが、その声量はとても小さく、まるで声を潜めているような印象がある。

「妖怪は倒した。けど、負傷者が出てる。早く迎えに来てほしい」

 仁の視線の先には、血を吐いたまま倒れている鈴華と倒した妖怪の中から出てきた全身切り傷だらけの少女。

 二名とも意識を失っていて、なるべくなら早めに医者に見せた方が良いだろう。

『……すまないが、私は迎えに行けん。代わりを送ったから、後はそいつに聞いてくれ』

「代わり? じいちゃん、何かあった?」

『……ちょっと、面倒事がな』

 それだけ言うと、健二は5秒ほど黙り込む。その間に、何故か金属がぶつかるような音が聞こえた。

『そういう事だ、また後で屋敷で会おう』

 それを最後に、健二からの通信は一方的に切られた。

「代わり……まさか、紫か?」

 なんて事を考えても、足元にスキマが開くことはなかった。あの雑な運ばれ方はいつまでたっても慣れない。

 感覚的に言えば、落とし穴に落とされるのと一緒なのだから。

 そして仁は一人、迎えを待つことになった。

 

 




ちょっと今回は、長いですが読みにくくは無かったですか?
現在、他のサイトのある大会に出るためにオリジナル小説と並行して書いているので、ちょっとばかり間が空くかもしれないのであしからず。
では、今回はこれで…。
誤字や脱字、おかしな文があったらご報告して頂けると幸いです‼
それでは、こんな小説を読んで頂きありがとうございました‼
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