すいません、もう一度おっしゃってください?」
紫の発言に仁は混乱して、おかしな言語で答える。
「だから外で暴れている妖怪を駆逐してきてってことよ」
と、彼女は仁に分かりやすく言ったつもりなのだろうが、それが余計に少年を混乱させた。
「違う違う!! 何で、さっきの妖怪さえ倒せない俺なんかに頼むんだよ!?」
声を上げながら、仁は続ける。
「第一に、俺みたいな中学生よりも強い人間なんて世の中には幾らでも居るだろ!?」
仁は人間だ。ただの一般人が、
「だって貴方には霊力の量が他の人の何倍有るのだもの」
「霊力?」
仁は聞き慣れない単語にキョトンとした。厳密には、画面の中だけでしか聞き覚えのない単語が、現実の、そして大真面目な会話の時にあたかも知ってて当たり前と言わんばかりに出してくるからである。
「霊力っていうのは、人の体に流れているエネルギーの様なもの」
と、紫の代わりに横にいた霊夢が答えた。
「な、なるほど」
やはり、科学の世界の住人の彼には理解が出来なかった。単語自体は、ゲームなどのサブカルチャーで聞いたことはあるが、その言葉の意味自体は知らないのだ。
「そして、もうひとつの理由は貴方の中に宿る能力」
「能力? 俺は超能力者でもあるまいし、あるわけないだろ?」
何度も言うが神川 仁は普通の生活を送るただの一般人だ。そんな、ヒーロー物の映画であるような能力なんて持てるはずがない。
「そんなことはないのよ。いい? 此処に来た外来人のほとんどが此処に来た瞬間に何かしらの能力が覚醒するのよ。それと幻想郷の能力は非科学的なオカルトのようなもの、それ故に何で能力が元々無い外来人に付く理由は誰にも分からないの。だって、理解ができる
そしてね、と紫は数秒ほど間をおいてまた喋りだした。
「そして能力が覚醒した外来人の能力はその外来人の経験や特技。それにその外来人が大切にしていた物から影響を受けるわ、それらの事から自身の能力が決まる」
そして紫は何故か残念そうな顔をしてしばらく目を閉じる。
「要するにね、仁君、貴方の能力は今の時点では全く分からないわ」
「そこまで話しといて分からねーのかよ?!」
何かを期待していた仁は落胆した。ほんの一瞬でも、期待していた自分が馬鹿だったと言わんばかりに。
「それなら、幻想郷に来てから自分で能力と呼べる能力を使ったのかしら?」
「そ、それは……」
確かに仁は幻想郷に来てからその仁に有ると言われる能力は微塵も使っていなかった。
「そうでしょ? だから今から能力を特定するために外に行って調べようかと思ったけど……ご覧の通り、今はもう夜よ。それに貴方は酸欠を起こすほどの運動をしたらしいわね。だから明日
霊夢が何で私までと言っていたが、紫は特に気にせずにテーブルから離れ立ち上がった。
「ちょっと待て! 今、明日って言わなかったか!?」
「ええ、そうよ。何か問題でも?」
そう言いながら、紫は手に持つ扇子を閉じ、その扇子で空間を縦に割くような動作をする。
「大有りだ!! それって、
「だから、何か問題が有るかしら?」
あからさまに苛つきながら、紫は言う。
「俺はこれでも受験生だぞ!! もう少しで高校に送る通知表ができるって言うのに授業受けないってのは自殺に等しい行為なんだぞ!」
外の世界を知っているなら分かるだろ、と仁は来るときに使ってたあの謎空間を作っている紫に言った。
それに対して、紫は、
「もしかして貴方今日金曜日ってこと忘れているの?」
「あ……」
「それに貴方さっきの帰り道で、帰ったらゲームするとか言っていた気がするけどどうなのかしら?」
「な」
「貴方にとっては余裕でも。高校受験は気を抜いてはいけないわよ」
と、紫は言う。その言い方はまるで、悪い事をした子供を叱る母親そのもの。
「わ、分かりました」
仁は先程からの言動から焦りが出ているのが直ぐに分かる。
「なあ紫、じゃあ俺はどこで寝泊まりすれば良いんだ? 野宿して妖怪には喰われたくないぞ」
「それなら。霊夢。あなた一晩仁を泊めてあげてちょうだい」
「いやいやいや流石に年頃の女の子の家に泊まr「別に良いわよ」良いのかよ?!」
と仁は予想外の答えに困惑する。少年とて年頃のヲトコノコだ、同年代の少女と同じ屋根の下で過ごすというのは、少々刺激が強い。
「これでも此処に来た外来人の面倒を少し見ていたから平気よ」
「そ、そうなのか……?」
「それに変な気でも起こしたら弾幕でボッコボコにしてあげるから、大丈夫よ」
と、霊夢は割と物騒な事を笑顔で言う。若干、背中に寒気を感じたと思うと、仁は何かに気付いたように、
「そうだ霊夢、弾幕って一体何なんだ?」
霊夢は何かを喋ろうとしたが、その前に紫が、
「弾幕についても明日説明するつもりよ。あと今日はしっかりと休みを取りなさい」
と、紫は謎の空間に片足をいれながら言った。
「それじゃあ明日また会いましょう」
それだけ言って、彼女は自身の能力で作り出した空間の中に消えていった。
「……行っちまったか」
「それじゃあ仁ちょっと夕飯の準備を手伝って。さすがにタダで泊める分けにもいかないわ。しっかり働いてちょうだい」
「あ、悪い。今行く」
そう言うと、仁は霊夢の居る台所に向かっていった。
「そういえば、霊夢は巫女なんだよな?」
仁は台所でトントンと手際よく野菜を切りながら、横で同じ作業をしている霊夢に聞いた。
「それが何?」
「って、ことはこの建物は神社、なんだよな?」
「そうよ」
と、霊夢は素っ気なく返す。
「じゃあこの神社に他に人は居るのか?」
「いいえ、この神社に居るのは私一人よ」
「……」
意外な答えだった。彼はとある事情により一年の内、数ヶ月を一人で生活する事がある。しかし、それは彼の近くに住む祖父が支えてくれていたから成り立つものだ。
そんな彼と同年代に見える少女が、一人で暮らしているということが、彼にとっては衝撃だった。
「母親が居たけど五年ほど前に古い付き合いの母親の友達と一緒に行方不明になったわ」
「……それで居なくなった理由は分かったのか?」
彼は不謹慎と分かっていながらも聞いた。
「全く、よ。けれど行方不明になる前に私が母さんから『博麗の巫女』を受け継ぐ儀式の数日後だったから、もしかしたらそれが関係してるかも知れないけどね」
「……そうか色々聞いといてなんだけど……その……悪かった……」
「別に良いわよ。だって、まだ死んだって決まったわけじゃ無いんだから」
~幻想郷・??? ~
何者にも知られていない地にある屋敷の居間に、自称妖怪の賢者こと八雲紫とその"式神”八雲 藍《やくも らん》は居た。
「そういえば、紫様が何故あの
紫の
彼女は狐の耳のような尖りが2つある帽子に、中華風の長袖のロングスカートに青い掛け軸のような布を被せてある服を身につけている。そして、彼女一番の特徴は腰から伸びている9つの扇状に広がっている金色の尻尾だった。
「そうね」
「紫様……?」
「ごめんなさいね、藍。……それで何で私があの外来人を連れてきたか、だったわね。……その前に藍、貴女は霊力、妖力、魔力の3つの力は勿論知ってるわよね?」
「はい、紫様。ですが、何故今更そんな事を?」
「じゃあ、それ以外の力がそこら辺に居そうな一般人から感じ取れたら?」
「その3つ以外の力って、まさか……?」
「そう、彼からは“神力”が感じ取れたのよ。落ち着いて藍、正直私だって驚いてるのよ」
「で、ですが紫様。只の一般人から神力なんて放出される筈がありません!」
「確かに、その通りよ。彼は、例え強大な力を持ったとしても、それを悪事に利用する事は絶対に無い。断言するわ」
「で、ではその根拠は?」
さぞかし、立派な答えが返ってくるのだと思っていた。
だが
「彼、ヘタレだもの」
これ以上ないほど、あっさりと言い放った。
「は、はぁ……。紫様がそう仰るなら良いのですが……彼の能力については何か?」
「残念だけど、情報は何も無いわね」
「それなら、神力の原因は一体……?」
「だから今、眠たいなかで私が働いてるじゃないの」
今度は冗談交じりに、そして軽い口調で言う。
「そう、ですね。……では、私は食事の片付けを」
「ええ、頼むわよ」
そして藍は八雲邸の台所へと向かっていった。
(……でも、
紫はそう頭の中で呟き、そして自身の寝室の方へと向かっていった。
今回もちょくちょくと書き方を変えていますRYUです………今回は仁君が幻想郷に連れてこられた理由などを書いてみました。そして紫と藍様との会話では二人のしゃべり方をよーく考えて書いたつもりですけどまだまだ修行が足りませんね………そして二人の会話で出てきた仁の中から感じる神力…理由はもう少しで判明するのでそれまでは考察してみてください(~µ~)
後、次の回はとある東方のキャラを出したいと思います。
誤字や脱字におかしな文があったらご報告していただけると幸いです!
それではこんな小説を読んでくれてありがとうございました!
2019/06/22
全体的に書き直しました。