断片のダスト   作:サンハテナ

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なんか違う


旅の恥の書き捨て

―――また外は静かに波の音が聞こえる。部屋の中の扉を閉めて満月の夜、音のない静かな海だけ見える。

熱を帯びた体。部屋の中はリョコウバトの息遣いだけがある。目を瞑ると頭の中は同じホテルのお客であるキュルルが思い浮かぶ。

 

「はぁっ…はぁっ…なんでヒトが…んんんっっ」

 

息遣いが荒いまま、欲望に身を任せると、手が股の方に伸び、自分の勃起していたちっちゃい突起に触れる。撫でるように手で刺激すると、びりびりとした刺激が脳に上がって気持ちいい。最近自分の心が癒されたいと何故かこれをしてしまう。正直みっともない恰好でするからあまり好きな行為ではない。

 

「こんなの嫌ですのに……でも……きもちいい…」

 

さらに弄って弄って繰り返し繰り返し弄り続けて…

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

キュルルは一人で篭っていた。

厚いカーテンに閉じられた部屋の中でキュルルの呼吸が聞こえる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

僕の名前はキュルル。キュルルは部屋の中で下半身を脱いだまま、ベットの上でたまの自慰を終えた。

 

「よし!いこう!」

 

僕は決意するとズボンを穿いて立ち上がる。最近の僕はずっと一日中籠って、絵を描いていたりかと思えば、一日中エッチな妄想して自慰をしたりして…だいぶ怠惰な生活だけど、楽しいんでいる。昔、彼女(カラカル)に貰った透明で小さく綺麗なビードロの玉も、粘土でつくった彼女のいじめるためのおもちゃも今は単なる置物になってしまったけど…でも別に無問題だよ。今日もオオミミギツネさんとエッチしたよ。妄想の中でね。僕はロビーに向かっていた。

 

ホテルはまもなくお昼になろうとしている。果てしない海、「みゃーみゃー」とウミネコが鳴いて空を飛ぶ。遠くに海を越えてみえてくる大きな建物がある。海の上に立つホテルは7階建てで、屋上にはイルカを模した形になっている。あれが僕のいるホテルだ。

 

おほん、僕みたいな偉大な画家にもたまには休憩が必要である。部屋で休憩してもいいけど、今日の僕は広いロビーのソファで休息をとりたい気分だった。静けさの中、広いロビーにはガラス窓にソファーがならんでいる。僕はその一画のソファーで休息をとる。天井が高く、解放感がある。こうして目を瞑り、体の力を抜くと…遠い遠い昔、僕がここに来る前もよくソファーで寝ていた…ような気がする。正直小さいときのことなんてあまり覚えてないが。昔の僕は育てる母いなくて、施設に預けられてしばらく過ごしていた。でも今はそんなことは現実感がない。過去の過ごした来た日々が嘘みたいで、何しろ、今の状況と昔の状況の剥離がすごい。コノハ博士のところでみたあのかばんという人物の話だと人間はこのパーク内にはいないらしい。はぁ…僕がこの島にきて何日経ったんだろうか…まあ僕は絵がかけるならなんでもいいんだけどね。

 

「ブタさん!そこはもういいから入口の方のお掃除しなさい、いつお客がきてもいいように!」「はい!」

「ハブ!しゃんとしなさい。お客様にそんな姿みせたら失礼でしょ??」

 

これはこの人たちの日課みたいなものだ。ハブはお土産で店を営業している。ブタはホテルの館内のお掃除をしている。オオミミギツネはお客さん相手をしたり、他の従業を監視したりしてる。

 

「ハーブ??聞こえてるかしら?」

「あーもー!わかったわかった!」

 

僕はホテルと柔らかなソファーの上でなんとなく聞き耳を立てる。ハブはあまり勤勉ではない。でも商品の知識は豊富でお土産にあるものはだいたいわかるし、なんなら月一でどこかにいってお土産を買ってきたりするらしい。支配人のオオミミギツネによると、ジャパリまんの管理も上手でハブは仕事で集めてきたジャパリまんで品物を交換したり保存して置いたりすることが上手い…らしい。とてもそうは見えないけど。

 

「それにしても、いつまでいるんだろうな?あいつ」

「なんで?」

「もうだいぶいないか?」

「あの子は、喧嘩してここにきたみたいだから…しばらくはいるんじゃないの?」

というかお客様に失礼よ

「…あいつ大丈夫かな…」

「心配だったら話しかければいい」

「うーん…」

 

僕はソファーから外に目を向ける。大きな硝子の中には小魚が泳いでいる。いつも思うのはホテルの立地の異様さだ。外からみるとわかるけど、このホテルは周りが海、というかホテルが海の中にある。海の上にあるだけなら、ただ海が良く見えて良いホテルかもしれないが、このホテルには陸とを繋ぐ橋がない。海岸に桟橋があってそこからボートで入口に入らないとこのホテルには入ることができない。泳げるフレンズや飛べるフレンズならいいけど、ものすごく欠陥だと思う…実際客は僕しかいないし。まぁそのおかげで静かに楽しめるんだから僕はいいんだけど。オオミミギツネは暇が嫌みたい、退屈そうに受付にいる。ここのスタッフはハブにブタにオオミミギツネと三人だから、そんなに増えても困るとは思うけどね。ハブはそんなに真面目そうな感じじゃないし。ともかく僕はこのホテルのソファーの上で波の音を聞ていた。そうして平和な一日を過ごそうとしていたんだ。

 

「ん?あれ?ブタさんが静かね?」

 

 

「あれーブタさん静かね?」

「またお客でも来たんじゃねーの?」

 

ハブたちは僕がくるときもそんな話をしていたらしい。

 

「もーまさかそんなわけないわよ…そんなわけ…」

 

階段の方をちらっとみると、赤いスカートを穿いている令嬢が階段を下っていた。

 

「ってホントだわ!!」

「マジかよ!」

 

オオミミギツネは驚いた。ついでハブも驚いた。

なんと本当にお客が現れたらしい。

お客が現れたことで、スタッフたちは慌てているようだ。僕は聞き耳を立ててその声の様子を聴く。

 

「オオミミギツネさん…お、お客様です。お客様がいらっしゃいました…」  

「うわっ、うわ、ど、どうしよう…」

「名前でもきけよ」「え、でも…」

「私お部屋の準備してきます!!」

 

なんだかプチパニックになってるみたい、ブタさんは緊張して走ってこけてる。客の目の前だというのに話し合うハブとオオミミギツネさん。ハブとオオミミギツネさんの前には赤いスカートをきたフレンズが立っている。赤いスカートをきたフレンズはホテルの二人に話しかけた。

 

「あの突然すみませんが…私、リョコウバトと申します。あの…空いているお部屋はありますかしら?」

「いえいえご、ご丁寧に…えーと、そ、そりゃ、もうガラガラですので、えーとあの、あの私は支配人のオオミミギツネです、えー…速やかにお部屋を用意するので少々お待ちください!!」

 

そこに現れたのはリョコウバトという人らしい。オオミミギツネさんもぺこぺこ頭を下げながら客室に準備に向かう。リョコウバトさんはキョロキョロしてから茫然と立ち尽くす。僕はソファーの背もたれにぴたっと張り付いて、昨日ブタさんとオオミミギツネさんによってピカピカに磨かれたガラスに、淡く反射して赤い服の彼女の姿と横顔を僕も見る。

 

明るめの赤のベスト。それに連なる赤のスカートは下から白く、足のタイツは白から赤へ。

ガラス越しからでも姿はわかる。二本に束ねられたさらさらの青い髪と翼。

頭にはよくスチューワーデスの被っている舟形帽に、ジャパリパークでよく目にする「の」マークに羽が生えたデザインのバッジを中心にすえている。

スタイルが良くて、足が長く、お尻もちょうどいい大きさで立っている姿も凛としている。

横からみた顔は小さくモデルさんみたいで、それなのになんだか憂いを感じる瞳…キレイ。

その姿をみて僕はとてつもない胸の高鳴りを抑えらない。ドキドキと心臓の音が頭の中にまでコダマして、僕の思考を駄目にしてくる。

 

ハブはオオミミギツネさんがしばらく帰ってくる間にお話をしていた。

 

「海に沈んでるなんて最悪のホテルだろ?」

「面白いホテルですわね?」

 

リョコウバトは興味深そうにあたりを見回す。

 

「楽しそうだな」

「はい!こんなに大きな所でフレンズが働いてらっしゃるのは初めてみたので興奮します」

「そっか、まあ珍しいよな」

「あのちょっとみてまわってもよろしいですか?」

「どうぞご勝手にー」

 

ハブはそそくさと持ち場に戻った。オオミミギツネとブタさんはまだ準備中。その間、リョコウバトさんはホテルを隈なくみながら、ゆっくりと歩いている。うわーどうしよう、近づいてきた…あまり今フレンズと関わりたくない。僕は目を閉じて、いびきをかいて、タヌキ寝入りをした。こうすればきっとスルーされるはずだ。彼女は周りをキョロキョロとみてからリョコウバトはすこし遠目でキュルルを見つけた。リョコウバトの体はゆらゆらと上機嫌であったのが、突然硬直するように止まる。

 

「………あ、あれは……ヒ、ヒト?」

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