要 結城の日常   作:テンツク

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172話

 

キャーーーーーーーー!!!!!

 

「こんにちは月ノ森女子学園のみなさん、初めまして赤司 テツヤです、今日はご招待いただき誠に感謝致します、僕の演奏をこんな大勢の前で披露するのは久しぶりなので緊張していますが、本日はよろしくお願い致します」

 

『緊張?・・・・・・』

 

「今回は僕の個人的な意見で彼にも一緒に演奏をしてもらおうと思ってるよ」

 

「えー、どうもー赤司の友達の要 結城でーす、今日はこの後出てくる豊川 京香のマネージャーとしてきただけなのに何故か演奏させられる事になりました、よろしくー」

 

「それじゃあさっそく始めようか、準備は良いかい?」

 

「OK」スッ

 

「 」スッ

 

 

「3、2、1」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ましろ!すげぇぞ!あの赤司さんと要さんが目の前にいるぞ!」

 

「透子ちゃんお、落ち着いて」

 

「透子ちん、テンション高いねー」

 

「あの2人ってそんなに有名人なの?」

 

「そりゃあそうだよ!あの吹雪大のイケメントップ2だよ!」

 

「へー、赤司君ってそんなに人気なんだねー」

 

「赤司君って、七深はあの赤司って人知ってるの?」

 

「うん、うちのお父さんと赤司君のお父さんがお友達でねー、昔よく遊んでもらってたんだー、でも中学生ぐらいの時からは遊んでもらえなかったんだよねー」

 

「そうなの?どうして?」

 

「何でも赤司君のお父さんがバイオリンにハマったらしくて、それを無理矢理?赤司君にさせてたかららしいよ、詳しくは知らないけど」

 

「バイオリンで凄い人なの?」

 

「神童」

 

「瑠唯さん?」

 

「赤司テツヤ、中学の時にその才能と技術の高さで神童と呼ばれていた人よ」

 

「ほへー」

 

「赤司さんの事ずいぶん詳しいんだね瑠唯って」

 

「詳しいかは分からないけど、私がバイオリンで目指すキッカケになり、同時に無意味と考えることになった人よ」

 

「瑠唯さんにそこまで言わせるって、とても凄い人なんですね」

 

「ええ」

 

「あ、演奏が始まりそうよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜演奏からしばらく時間がたった後の事〜

 

「はぁー・・・・・」

 

私、倉田ましろは自分で言うのも何だけど、酷く落ち込んでいた、その理由としては先ほどの赤司さんと要さんの演奏を聴いて、次元が違うことを認識させられたからだ、しかもその後に透子ちゃんにお二人が組んでるバンドの動画を見せてもらいさらに落ち込んでいるのだ。

 

「はぁー、私ってこのままバンド続けてても良いのかな?」

 

そんな事を考えていると。

 

「まーた勝手に落ち込んでるー」

 

「透子ちゃん」

 

「まーたいらんこと考えて落ち込んでたでしょー」

 

「う、うん」

 

「もー」

 

そんな事を話していると。

 

「あーのクソどこ行きやがった」

 

前からさっき演奏をしていた要さんが歩いて来た。

 

「あ、そこの2人、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ、この辺で豊川京香を見なかった?」

 

「い、いえ見てないです」

 

「・・・・・・・」

 

「と、透子ちゃん?」

 

「そっかー・・・・・まぁいいや、ほっとこ」

 

「え?良いんですか?」

 

「良いよいいよ、なんかあったらあいつの責任だし」

 

「え?でもマネージャーさんなんですよね?」

 

「臨時のな、って言ってもただの付き添いみたいなもんだ」

 

「そ、そうなんですね」

 

「あ、しろちゃんととーこちゃんみーっけ」

 

「やっと見つけた!」

 

「・・・・」

 

「あ、七深ちゃん、つくしちゃん、瑠唯さん」

 

「あれー?要さんだー、どうかしたんですか?」

 

「ちょっと豊川を探してたんだけどな」

 

「豊川さんどうかしちゃったんですか?」

 

「いやな、いきなり『懐かしいからちょっと散歩してくるね!』なんて言って飛び出していったもんだから探してたんだよ」

 

「それで、見つかったんですか?」

 

「いや、見つかんねーから諦めた」

 

「それは大丈夫なんですかー?」

 

「ああ、まぁ自分で行くだろうから大丈夫だろ」

 

「でも、マネージャーなのでは?」

 

「ああ、それね、まぁ実は言うと俺豊川の弟なのよ」

 

「え!?そうなんですか!?」

 

「ほへー」

 

「弟さんが何故マネージャーに?」

 

「ああ、本当はマネージャーするはずだった人が熱出ちゃってな、その代わりでやってる、っと言ってもただの付き添いみたいなもんだ」

 

「そうだったんだ」

 

「それより、そこの白髪の子」

 

「は、はい!?」

 

「なんか悩みでもあったかい」

 

「え!?」

 

何で何も言ってないのに分かったんだろう。

 

「そうなの?ましろ」

 

「う、うんまぁ少し」

 

「まぁ悩みがあるならお仲間に話してみたら?少しは気が楽になると思うぞ?」

 

「は、はい」

 

「それより、どうして桐ヶ谷さんは固まっているのかしら?」

 

「そうあねー、おーいとーこちゃーん」

 

「は!やべ、気絶してた」

 

「ちょっとー、大丈夫なの?」

 

「へーきへーき、あまりにも突然だったから驚いてただけ」

 

「それなら良いんだけど」

 

♪〜〜〜〜

 

「あ、悪い俺だ、はい・・・・おーそうか、なら頼むは」

 

「何かあったんですか?」

 

「いや、お探しの人物を赤司がたまたま見つけてくれたらしくてな、面倒見てくれるってさ」

 

「見つかって良かったですね」

 

「まぁな」

 

「あ、あの!」

 

「ん?」

 

「さっきの悩みの話なんですけど、要さんにも聞いてもらえませんか?」

 

「俺に?別に良いけど、ちょっと時間くれるなら」

 

「何かあるんですか?」

 

「いや、喉かわいたから飲み物買おうかと思ってな、自販機ってどっかある?」

 

「それならそこの建物の中にあります」

 

「お、サンキュー、君たちもなんか飲む?」

 

「良いんですかー?」

 

「ちょっと七深!?」

 

「はは、気にしなさんな、君達もどうだい?」

 

「それじゃあお言葉に甘えて」

 

「い、いただきます」

 

「・・・・いただきます」

 

「私もいただきまーす」

 

「了解、なら買いに行くか」

 

 

「よし、それで?悩みってのは?」

 

「はい、実は」

 

私はさっきまで悩んでいた事を全部話してみた。

 

「なるほど、俺らの演奏を聴いて自信をなくしていると」

 

「は、はい」

 

「ふーーーーん、なるほどね」

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

「ちなみに君達でバンドを組んでるって事で良いのかな?」

 

「は、はい!そうです!」

 

「なるほど、それじゃあ簡単な質問をするけど、じゃあとーこちゃんだっけ?」

 

「はい!」

 

「君はこの子になれるかい」

 

「ましろに?まぁなろうと思えばなれなくもないけど、難しいかな」

 

「今名前知ったから言うけど、じゃあましろちゃんはとーこちゃんになれるかい?」

 

「む、無理ですよ!?」

 

「そ、俺が君達になれって言われても無理だ」

 

「そ、それがどうしたんですか」

 

「何に対してバンドをやっているのかって感じかな」

 

「何に対して」

 

「ちなみに俺達のバンドの目標?っと言うかこれだけは絶対にするって事は、楽しむだ」

 

「楽しむ」

 

「はっきり言って他のバンドの演奏を聴いて上手いとか下手とか思った事はない」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、だって自分達のバンドは自分達何だから、誰にどうこう言われようが知ったこっちゃないって話だ」

 

「自分達は自分達」

 

「じゃあそこの黒髪の子」

 

「はい・・・」

 

「そこまで上手くないバンドがあったとする、そのバンドは上手くないから辞めないといけないか?」

 

「そんな事はないと思うわ」

 

「そう言う事、まぁ自分達で上手くないから辞めるって言うんだったら話は別だけどな」

 

「それでだ、君は俺たちの演奏を聴いて自信をなくして辞めた方が良いと考えてるんだろう?」

 

「は、はい」

 

「それは本当の辞める理由になっているのかい」

 

「え?」

 

「それじゃあ聞くけど、君達は何でバンドをやってるんだい」

 

「なんで・・・」

 

「ちなみに俺達が組んだ理由は思い出づくりだ」

 

「思い出づくり、ですか?」

 

「そ、ある1人のバカが去年の春先にもうすぐ卒業するから思い出づくりにバンドしねーかって言ってきてな、そっから始まった」

「そこから何度かライブに出たりとかしたりしたって訳」

 

「私は、自分の内気な性格を変えようと思ってバンドを始めてみようと思いました」

 

「ちゃんとした理由があるじゃん、それで?少しは変わったかい?」

 

「は、はい!みんなと出会って変れてきているような気がします!」

 

「だったらそれで良いじゃん、バンドをしていて楽しいとかわくわくするとか、思うことの方が大事だと思うぞ、上手い下手をどうこう言うより、ライブで上手くいって楽しい、とか上手くいかなかったけど楽しく出来たって思う方が俺的には大事だと思うぞ」

 

「・・・・・」

 

「上手くいかなければ次に活かせば良い、上手くいったのならさらに伸ばしていく、俺らはずっとそうやって来た」

 

「・・・・・」

 

「一度や二度失敗したって、どうって事ないだろよ、寧ろそれで辞める方が俺はよっぽどだと思うぞ」

 

「・・・・・」

 

「別に仲間に辞めろって言われたわけじゃないんだろ?」

 

「はい」

 

「だったら今その考えに行き着くのは少し違うんじゃないか?」

 

「・・・・・」

 

「それじゃあ聞くが、もし君だけやる気があって、他の子が今の君と同じ理由で辞めていったらどう思う?」

 

「何で?とか待ってってなると思います」

 

「だろ?それを今君はやろうとしてるんだよ」

 

「・・・・・」

 

そうだ、バンドをやり始めた頃も上手くいかなくて逃げたんだった。

 

「もう少しぐらいは考えても良いんじゃないか?そこからでも遅くはないと思うぞ」

 

「はい!」

 

「さて、なんだか説教みたいな感じになっちゃったが、後は君達で話してみな」

 

「ありがとうございます!」

 

「おう、それじゃあ俺はあのバカのところに行くとするよ、じゃーねー」

 

そう言うと要さんは歩いていってしまった。

 

「すごい良い話だったね」

 

「うん・・・本当に」

 

「そのおかげでましろも考えを改めるようになったみたいだしね」

 

「・・・・」

 

「瑠唯さん?」

 

「いえ、何でもないわ(なんだか自分の事を言われているような気がする話だったわね)」

 

「それじゃあこれから練習だー」

 

「そうだね!!」

 

「やるっしょ」

 

「そうね」

 

「ええ」

 

これからはもっと練習をして要さんやポピパさん達のように演奏をするんだ!変な事でクヨクヨしてる場合じゃないよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達のバンドはまだ始まったばかりだ!

 

 

 





青ガメラさん、桐生戦兎さん、ドゲザイルさん!!高評価ありがとうございます!!

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