俺はマネージャーさんの後について行き、事務所を歩いていた。その時後ろから、
「あれ?結城じゃない?」
と、そんな声をかけられたので、後ろを振り向くと、そこにはなぜか決め顔で佇んでいる姉貴がいた。
「え?豊、豊川京香さん!?」
「あ、確かパステルパレットのマネージャーさんだっけ?やっほー」
「こ、こんにちは!豊川さんは何故ここに?」
「暇だから遊びに来ちゃったんだ。さっきまでパスパレの子達と話をしてたんだー」
「そ、そうなんですか!?」
「そうそう、それよりなんで結城がここに?」
「ああ、簡単に言えば、麻弥の仕事の手伝いだ」
「麻弥ちゃんの?確か雑誌の撮影だっけ?」
「ああ、なんでもデート風景を撮りたいらしくてな。それの相手役にお願いされたんだよ」
「そうなの。まぁあんたなら大丈夫でしょう。あ!そうだ!何なら私と一緒にモデル撮影しない?」
「馬鹿言ってんじゃねーよ。今回のは俺がその雑誌に載らねーから受けただけだってーの」
「ちぇー、結城のいけず」
「うるせー、てか断るの分かってただろーが」
「ですよねー」
「ほら、俺達は行かねーといけねーから。しっし」
「あー、ひどーい・・・まぁそう言う事なら仕方ないね。私もこれから仕事だし、バイバーイ!」
「おう、頑張れよ」
「もちろん!」
そう言って姉貴は去って行った。
「あ、あの?大丈夫なんですか?」
「?どうかしましたか?」
「いや、だって、あの豊川京香さんにあんなため口で話すなんて・・・」
「ああ、そう言うことかそれならなんも心配ないですよ。あれ、俺の姉なんで」
「・・・・・・・・え?ええええええ!?」
「ちょ、声」
「あ、ごめんなさい・・・お姉さんって本当なんですか?」
「ええ、何なら後であいつらに聞いてみてはどうです?あいつら知ってますから」
「そ、そうなんですか?それじゃあ聞いてみます」
そんな会話をしていたら、いきなりドンッって感じに後ろから誰かに抱きつかれた。
「うおっと、なんだ?」
倒れそうになったのを何とか踏ん張り、後ろを見ると、そこにはくっついている彩がいた。
「彩か、どうしたいきなり」
「えへへ、結城さんが見えたので来ちゃいました!」
「そうかい。でも外ではこんな事すんなよ?」
「分かってますよ!ちゃんとそこのところはわきまえてます!」
「えらいえらい」ナデナデ
俺は彩の頭を撫でながらそう言った。すると彩は気持ちよさそうに目を細めて甘えていた。
「あの、そろそろお時間が」
「あ、そうですね、行きます、彩も行くのか?」
「はい!みんな一緒にいるので、私もご一緒します」
「そうか、行きましょうか?」
「はい。それではこちらです」
彩を一旦引きはがし、俺達はマネージャーさんの後をついて行った。
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それから少し歩いた所で、マネージャーさんが止まり、
「ここにみんながいらっしゃいますので、入りましょうか」
「ですね」
マネージャーさんが扉を開け中に入ると、そこにはニコニコしている日菜と何故か正座をしている麻弥、そしてその前にいかにも怒ってますオーラを醸し出してる千聖とイヴがいた。なにこの地獄絵図は。
「あれ?まだやってたんだ?」
「なんだ?お前さん知ってんの?」
「まぁなんと言うか、嫉妬ですかね?」
「嫉妬?あいつらが麻弥に?」
「ちなみに私も嫉妬してますよ?」
「いや、そんな笑顔で言われてもな・・・しかし、あれ止めねーと話にならんな」
「そうですね、ほら二人とも。お客さんが来ているんだから、その辺にしときなさい」
「「ああ?」」ハイライトオフ
「おお、すげー迫力・・・マネージャーさんビビってんじゃん。てかあの声はアイドルとして大丈夫か?」
「ま、まぁ演技だと思えば大丈夫じゃないでしょうか」
「割とガチのトーンだったがな。ほらお前ら、その辺にしとけ」
俺がそう言うと二人の目に生気が戻り。
「あらやだわ、結城さんにこんな所を見せてしまうなんて・・・恥ずかしいわ」
「結城さん!こんにちは」
「お二人さんずいぶん切り替え早いね・・・まぁ良いや。ほら麻弥、大丈夫か?」
「か、要さん、ありがとうございます!」
そう言って麻弥勢いよく俺に抱きついてきた。すると日菜以外の三人から負のオーラって言うのかな?みたいなのが見えないにしても、感じられた。
「麻弥ちゃん?私たちの目の前で結城さんに抱きつくなんて良い度胸してるわね」ハイライトオフ
「そうだね、私も我慢してたのにね」ハイライトオフ
「麻弥さんずるいです」ハイライトオフ
と、麻弥に向けての言葉が各々発せられた。
「いや、彩、お前さっきここに来る前に俺に抱きついて来ただろーが」
俺がそう言うと、彩は知らぬふりをし、千聖とイヴは彩にじりじりと詰め寄った。
「「彩ちゃん/さん?」」
「あはは、逃げるが勝ち!」
「「あ!こら!待ちなさい」」
そう言って三人は外に飛び出して行った。
「たく、あいつらは」
「大丈夫かな?あれ」
「ああ、大丈夫でしょう・・・それよりお話の方をしましょうか?」
「あ、そうですねそれでは」
「日菜、あいつらの方に行ってきな」
「はいはーーい、待て待てー」
そう言って日菜は楽しそうに出て行った。
「麻弥、座れるか?」
「あ、はい、大丈夫っす」
そう言って麻弥はイス座った。
「それでは・・・・・・・」
そうして、俺達はマネージャーさんから今日の雑誌の説明を受けた。
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