要 結城の日常   作:テンツク

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36話

俺はマネージャーさんの後について行き、事務所を歩いていた。その時後ろから、

 

「あれ?結城じゃない?」

 

と、そんな声をかけられたので、後ろを振り向くと、そこにはなぜか決め顔で佇んでいる姉貴がいた。

 

「え?豊、豊川京香さん!?」

 

「あ、確かパステルパレットのマネージャーさんだっけ?やっほー」

 

「こ、こんにちは!豊川さんは何故ここに?」

 

「暇だから遊びに来ちゃったんだ。さっきまでパスパレの子達と話をしてたんだー」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

「そうそう、それよりなんで結城がここに?」

 

「ああ、簡単に言えば、麻弥の仕事の手伝いだ」

 

「麻弥ちゃんの?確か雑誌の撮影だっけ?」

 

「ああ、なんでもデート風景を撮りたいらしくてな。それの相手役にお願いされたんだよ」

 

「そうなの。まぁあんたなら大丈夫でしょう。あ!そうだ!何なら私と一緒にモデル撮影しない?」

 

「馬鹿言ってんじゃねーよ。今回のは俺がその雑誌に載らねーから受けただけだってーの」

 

「ちぇー、結城のいけず」

 

「うるせー、てか断るの分かってただろーが」

 

「ですよねー」

 

「ほら、俺達は行かねーといけねーから。しっし」

 

「あー、ひどーい・・・まぁそう言う事なら仕方ないね。私もこれから仕事だし、バイバーイ!」

 

「おう、頑張れよ」

 

「もちろん!」

 

そう言って姉貴は去って行った。

 

「あ、あの?大丈夫なんですか?」

 

「?どうかしましたか?」

 

「いや、だって、あの豊川京香さんにあんなため口で話すなんて・・・」

 

「ああ、そう言うことかそれならなんも心配ないですよ。あれ、俺の姉なんで」

 

「・・・・・・・・え?ええええええ!?」

 

「ちょ、声」

 

「あ、ごめんなさい・・・お姉さんって本当なんですか?」

 

「ええ、何なら後であいつらに聞いてみてはどうです?あいつら知ってますから」

 

「そ、そうなんですか?それじゃあ聞いてみます」

 

そんな会話をしていたら、いきなりドンッって感じに後ろから誰かに抱きつかれた。

 

「うおっと、なんだ?」

 

倒れそうになったのを何とか踏ん張り、後ろを見ると、そこにはくっついている彩がいた。

 

「彩か、どうしたいきなり」

 

「えへへ、結城さんが見えたので来ちゃいました!」

 

「そうかい。でも外ではこんな事すんなよ?」

 

「分かってますよ!ちゃんとそこのところはわきまえてます!」

 

「えらいえらい」ナデナデ

 

俺は彩の頭を撫でながらそう言った。すると彩は気持ちよさそうに目を細めて甘えていた。

 

「あの、そろそろお時間が」

 

「あ、そうですね、行きます、彩も行くのか?」

 

「はい!みんな一緒にいるので、私もご一緒します」

 

「そうか、行きましょうか?」

 

「はい。それではこちらです」

 

彩を一旦引きはがし、俺達はマネージャーさんの後をついて行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

それから少し歩いた所で、マネージャーさんが止まり、

 

「ここにみんながいらっしゃいますので、入りましょうか」

 

「ですね」

 

マネージャーさんが扉を開け中に入ると、そこにはニコニコしている日菜と何故か正座をしている麻弥、そしてその前にいかにも怒ってますオーラを醸し出してる千聖とイヴがいた。なにこの地獄絵図は。

 

「あれ?まだやってたんだ?」

 

「なんだ?お前さん知ってんの?」

 

「まぁなんと言うか、嫉妬ですかね?」

 

「嫉妬?あいつらが麻弥に?」

 

「ちなみに私も嫉妬してますよ?」

 

「いや、そんな笑顔で言われてもな・・・しかし、あれ止めねーと話にならんな」

 

「そうですね、ほら二人とも。お客さんが来ているんだから、その辺にしときなさい」

 

「「ああ?」」ハイライトオフ

 

「おお、すげー迫力・・・マネージャーさんビビってんじゃん。てかあの声はアイドルとして大丈夫か?」

 

「ま、まぁ演技だと思えば大丈夫じゃないでしょうか」

 

「割とガチのトーンだったがな。ほらお前ら、その辺にしとけ」

 

俺がそう言うと二人の目に生気が戻り。

 

「あらやだわ、結城さんにこんな所を見せてしまうなんて・・・恥ずかしいわ」

 

「結城さん!こんにちは」

 

「お二人さんずいぶん切り替え早いね・・・まぁ良いや。ほら麻弥、大丈夫か?」

 

「か、要さん、ありがとうございます!」

 

そう言って麻弥勢いよく俺に抱きついてきた。すると日菜以外の三人から負のオーラって言うのかな?みたいなのが見えないにしても、感じられた。

 

「麻弥ちゃん?私たちの目の前で結城さんに抱きつくなんて良い度胸してるわね」ハイライトオフ

 

「そうだね、私も我慢してたのにね」ハイライトオフ

 

「麻弥さんずるいです」ハイライトオフ

 

と、麻弥に向けての言葉が各々発せられた。

 

「いや、彩、お前さっきここに来る前に俺に抱きついて来ただろーが」

 

俺がそう言うと、彩は知らぬふりをし、千聖とイヴは彩にじりじりと詰め寄った。

 

「「彩ちゃん/さん?」」

 

「あはは、逃げるが勝ち!」

 

「「あ!こら!待ちなさい」」

 

そう言って三人は外に飛び出して行った。

 

「たく、あいつらは」

 

「大丈夫かな?あれ」

 

「ああ、大丈夫でしょう・・・それよりお話の方をしましょうか?」

 

「あ、そうですねそれでは」

 

「日菜、あいつらの方に行ってきな」

 

「はいはーーい、待て待てー」

 

そう言って日菜は楽しそうに出て行った。

 

「麻弥、座れるか?」

 

「あ、はい、大丈夫っす」

 

そう言って麻弥はイス座った。

 

「それでは・・・・・・・」

 

 

そうして、俺達はマネージャーさんから今日の雑誌の説明を受けた。

 

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